著者
島森 哲男
雑誌
宮城教育大学紀要
巻号頁・発行日
vol.47, pp.373-398, 2012

伊達政宗は漢詩を33首残している。本稿はその校訂、注釈、現代語訳である。これらの注釈作業を通じて、我々は伊達政宗の中国文学に対する基礎的な知識や、日本の王朝文学の流れを汲む伝統的な花鳥風月の美意識、そして漢詩を通じての当時の知識人との交流の跡を確認することができる。
著者
小森 哲志 鍵村 達夫
出版者
一般社団法人 日本薬剤疫学会
雑誌
薬剤疫学 (ISSN:13420445)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.95-111, 2014-03-25 (Released:2014-04-30)
参考文献数
11
被引用文献数
1

薬剤疫学研究において,薬剤への曝露と有害事象発生との因果関係を検討するための代表的な手法として,コホート研究とケース・コントロール研究という2つの研究手法がある.いずれの研究の背景にも,疾病が発生してくる元となるリスク集団の存在を想定することができる.コホート研究では,リスク集団のなかに研究コホートを設定し,それを直接調べようとする.一方,ケース・コントロール研究では,同じ研究コホートからコントロールをサンプリングすることにより,その一部を調べようとする.このように考えることで,コホート研究とケース・コントロール研究を統一的な視点から理解することができる.ここでは,コントロールをサンプリングする方法の例をいくつか示し,そのサンプリング方法によって得られる曝露効果の指標について概観した.(薬剤疫学 2013; 18(2): 95-111)
著者
佐賀 朝 松井 洋子 小野沢 あかね 人見 佐知子 横山 百合子 吉田 伸之 金 富子 吉田 ゆり子 塚田 孝 神田 由築 浅野 秀剛 米谷 博 杉森 哲也 初田 香成 松田 法子 本康 宏史 齊藤 俊江 松田 有紀子 屋久 健二 吉元 加奈美 武林 弘恵 ボツマン ダニエル
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、日本近世~近代における国内各地や植民地の遊廓の調査を進め、遊廓の開発や社会=空間構造を分析するとともに、一次史料を用いて、遊女屋・貸座敷の経営内部における女性たちへの抑圧と搾取の構造の解明も進めた。その結果、近世後期以降の遊廓の大衆化と全国的普及の過程で女性たちに対する搾取が強化される一方、明治維新に伴う公娼制度の改革を経て、女性たちが多様な手段を用いて搾取や暴力に直接・間接に抵抗し、それが遊廓社会の変容を促していくことも明らかになってきた。継続的な現地調査や研究会と研究者のネットワーク化、「遊廓・遊所研究データベース」の充実により、新しい遊廓研究が現れてきた点も重要な成果である。
著者
島森 哲男
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 (ISSN:13461621)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.373-398, 2012

伊達政宗は漢詩を33首残している。本稿はその校訂、注釈、現代語訳である。これらの注釈作業を通じて、我々は伊達政宗の中国文学に対する基礎的な知識や、日本の王朝文学の流れを汲む伝統的な花鳥風月の美意識、そして漢詩を通じての当時の知識人との交流の跡を確認することができる。
著者
島森 哲男
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 = Bulletin of Miyagi University of Education (ISSN:13461621)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.242-270, 2017-01-31

戦国武将、直江兼続は漢詩を二十三首残している。本稿はその校訂、注釈、現代語訳である。これらの注釈作業を通じて、我々は直江兼続の中国文学に関する深い造詣と、日本の王朝文学の流れを汲む伝統的な花鳥風月の美意識、そして漢詩を通じての交友関係の跡を知ることができる。
著者
松井 彰彦 金子 能宏 川越 敏司 関口 洋平 田中 恵美子 西倉 実季 福島 智 森 壮也 両角 良子 山下 麻衣 澤田 康幸 遠山 真世 井伊 雅子 石川 竜一郎 岡崎 哲二 澤田 康幸 清水 崇 遠山 真世 長江 亮 星加 良司 山下 麻衣 臼井 久実子 加納 和子 川島 聡 河村 真千子 倉本 智明 栗原 房江 坂原 樹麗 佐藤 崇 瀬山 紀子 長瀬 修 山森 哲雄
出版者
東京大学
雑誌
学術創成研究費
巻号頁・発行日
2007

いわゆる「障害者」のみならず、長期疾病者や顔にあざのあるユニークフェイス等、制度と制度の狭間に落ち込んでいる人々にも焦点を当て、彼らが直面する社会的障害の共通項を探った。ゲーム理論や障害学を用いた理論研究に加え、障害者団体や地方自治体を通じた障害当事者およびその家族への調査、企業を対象とした調査、長期疾病者を対象とした調査、ネパールやフィリピンでの海外調査を展開し、報告書にまとめた。
著者
倉林 敦 大島 一彦 松田 洋一 森 哲 細 将貴 佐藤 宏 長谷川 英男 太田 英利
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

我々は、ヘビからカエルに水平伝播した奇妙なLINE転移因子(以降TE-X)を発見した。本研究ではこの水平伝播現象について、(1)水平伝播発生地域の解明、(2)水平伝播の系統学的起源、(3)ベクター生物の特定、を目的とした。世界各地からカエル類29科161種194サンプル、ヘビ類17科125種139サンプル、寄生虫類166サンプルを収集し、各サンプルのTE-XをPCRと次世代シークエンサーを用いて解析した。その結果、TE-Xの水平伝播は、世界各地で複数回生じており、特にマダガスカルでは様々な寄生虫に仲介されて、現在進行形で脊椎動物間TE-X水平伝播が生じている可能性が高いことを明らかにした。
著者
一森 哲男
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:24240982)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.15-35, 2013-03-25 (Released:2017-04-08)
参考文献数
16

本論文では下記の内容を含む.(1)すべての除数方式の配分結果が,あるタイプの離散最適化問題の最適解として表現できることを示した.(2)ある基本特性を満たす除数方式のサブクラス(人口比例型除数方式)を提案し,人口比例型除数方式を離散最適化問題として表現した.この基本特性を満たす目的関数の性質についても議論した.(3)最後に,人口比例型除数方式が著者が以前に提案していた緩和除数方式に等価であることを証明した.
著者
島森 哲男
雑誌
宮城教育大学紀要 = Bulletin of Miyagi University of Education
巻号頁・発行日
no.53, pp.403-426, 2019-01-31

中国の唐代伝奇小説に見られる虎と人との婚姻譚、虎の人への変身譚、人の虎への変身譚には、虎の皮を脱いだり着たりして変身する話が多い。民話に多く見られる「脱ぐ/着る」の変身について、中国唐代の虎と人の変身譚を材料に、その時代背景や民俗学的背景も含めて具体的に検討する。
著者
森 哲 森 直樹 土岐田 昌和
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

中国には6月と9月に渡航し、イツウロコヤマカガシが、ブファジエノライドを持つマドボタル亜科の種と持たないホタル亜科の種を区別して捕食するかどうかを検証するための嗜好性特定実験を行い、前者のみを選好して捕食することを明らかにした。また、イツウロコヤマカガシが、ヒキガエル類とホタル類が共通に持つブファジエノライドを手がかりとして餌認知しているかどうかを実験的に確かめたが、これを支持する結果は得られなかった。野外調査は四川省と雲南省で行い、レオナルドヤマカガシを捕獲し、胃内容物からPyrocoelia属のホタルを初めて検出した。さらに、雲南省ではDiaphanes属のホタルの採集にも成功し、本ホタルがブファジエノライドを持つことを化学分析により確認した。頸腺の胚発生の分析においては、ステージ32のヤマカガシ胚、ならびに同ステージのシマヘビ胚およびマムシ胚の頸部組織で発現する遺伝子をRNA-seq法を用いて網羅的に比較し、ヤマカガシ胚の頸部のみで強く発現する遺伝子を40個ほど特定した。そのうち、頸腺の形成に関与していると予想されたCADM1、NGFR、PDGFRA、AZIN2の4つについて、ヤマカガシより配列断片を単離し、in situハイブリダイゼーションによるmRNAの発現解析を行ったが、組織標本の状態や染色プロトコールが十分でなかったことから、mRNAの局在を確認することができなかった。計画ではインドネシアにも渡航して、Macropisthodon属の種の頸腺の形態観察と頸腺成分の分析を行う予定であったが、調査許可取得の事務的手続きに時間がかかっており、実行はできなかった。しかしながら、インドネシアの共同研究者が単独でボゴール博物館に収蔵されている標本を用いて関連種の頸腺形態の観察を行い、11月には来日して、日本爬虫両棲類学会大会で成果を発表した。
著者
田中 宏典 古森 哲 富田 一誠 瀧川 宗一郎 稲垣 克記
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.509-513, 2012 (Released:2013-03-14)
参考文献数
7

症例は5日前からの左下肢痛を主訴に当科を初診した67歳の男性である.合併疾患として直腸癌があり,2回の手術を受け,その後の抗癌剤治療が進行中であった.初診時所見で左第4腰椎神経根領域に疼痛を認め,腰部脊柱管狭窄症など念頭に精査,治療を開始した.初診から5日経過後に疼痛の増悪と共に左第4,5腰椎神経根領域に水疱を伴う皮疹を認めた.下肢帯状疱疹と診断し抗ウィルス薬の点滴と軟膏による治療を開始した.治療開始から1か月後に下肢痛も軽快し水泡も痂皮化した.本症例では,当初腰椎疾患を疑ったが,下肢痛の出現から10日後に皮疹が出現して初めて診断が可能となった例である.腰椎疾患が多い高齢者では下肢痛の病因としての帯状疱疹は初診時の診断が難しい.免疫能低下が考えられる高齢者の下肢痛では,帯状疱疹も念頭に置いて注意深く診察する必要があると思われた.
著者
佐賀 朝 塚田 孝 吉田 伸之 人見 佐知子 神田 由築 小野沢 あかね 松井 洋子 吉田 ゆり子 金 富子 浅野 秀剛 伊藤 毅 米谷 博 杉森 哲也 初田 香成 松田 法子 松本 良太 本康 宏史 横山 百合子
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本課題では、日本近世~近代における「遊廓社会」の形成・普及の歴史について、三都と中核とする列島各地や植民地の事例も視野に入れて、比較類型史論・都市社会=空間構造論の方法を用いて共同研究を実施した。その最大の成果は、『シリーズ遊廓社会』全2巻(吉川弘文館)であり、本課題の代表者・分担者・連携者・協力者21名による論稿を掲載することができた。列島各地で個別の現地調査や、調査と一体の研究会を開催し、遊廓研究のネットワーク化を図るとともに、府県別の遊廓・遊所の沿革と史料情報を内容とするデータベースWEBサイトを構築し、今後の遊廓・遊所研究の発展につながる基盤を構築した点も特筆すべき成果である。
著者
島森 哲男
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 = Bulletin of Miyagi University of Education (ISSN:13461621)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.242-270, 2017-01-31

戦国武将、直江兼続は漢詩を二十三首残している。本稿はその校訂、注釈、現代語訳である。これらの注釈作業を通じて、我々は直江兼続の中国文学に関する深い造詣と、日本の王朝文学の流れを汲む伝統的な花鳥風月の美意識、そして漢詩を通じての交友関係の跡を知ることができる。
著者
伊藤 康男 阿部 達哉 富岳 亮 小森 哲夫 荒木 信夫
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.103-107, 2010 (Released:2010-03-03)
参考文献数
11
被引用文献数
9 23

症例は19歳女性である.急性の異常行動と変動する意識障害で発症した.入院時妊娠17週で児の発育に問題はなかった.髄液検査で単核球優位の細胞数増多,抗NMDA受容体抗体陽性,頭部MRIで明らかな異常所見なく,非ヘルペス性辺縁系脳炎が考えられた.妊娠26週目より意識障害は徐々に改善し,妊娠37週で自然分娩した.骨盤MRIで卵巣奇形腫をみとめず,分娩後の抗NMDA受容体抗体が陰性化したことより,本症例の発症に妊娠との関連が示唆された.妊娠中に発症した抗NMDA受容体抗体陽性の非ヘルペス性辺縁系脳炎の報告例はまだなく,貴重な症例と考えたので報告する.
著者
小杉 徹 岡野 正豪 荒尾 知人 金森 哲夫
出版者
静岡県農業試験場
雑誌
静岡県農業試験場研究報告 = Bulletin of Shizuoka Agricultural Experiment Station (ISSN:0583094X)
巻号頁・発行日
no.50, pp.19-28, 2006-03 (Released:2011-03-05)

微生物資材等について約5週間の栽培試験を行い、キャベツの生育促進効果及び、根こぶ病の抑制効果について調査した。1.園芸培土(クレハ)と多腐植質黒ボク土を5:1に混合し、その混合土1g当たり1×10(5)の根こぶ病菌の休眠胞子を接種したものを、供試土壌とした。供試土壌に対して、牛糞たい肥2%、またはEMボカシ(米ぬか、魚かす、なたね油かすに微生物液を入れて1週間嫌気発酵させたもの)2%を混和し、それぞれ牛糞たい肥区、EMボカシ区とした。キャベツ播種後1週間では、EMボカシ区で生育が抑制されたが、5週間目の調査時には資材無施用区と同等となった。また、EMボカシ区は、根こぶ着生を抑制した。2.EMボカシと微生物液を入れないボカシを用意して、キャベツに対する栽培試験を行った。資材施用による生育に対する効果は認められたが、両資材に生育差はなかった。また両資材ともに0.25-0.5%以上で根こぶ着生はほぼ抑制された。3.米ぬか、魚かす、なたね油かすを各々0.3%施用した場合でも、根こぶの着生が抑制された。根こぶ着生を抑制しているのは、ボカシ資材を構成している米ぬか、魚かす、なたね油かすと推測した。
著者
大森 哲至
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.60-75, 2010 (Released:2010-08-19)
参考文献数
41
被引用文献数
1

2005年2月1日,三宅島の住民は2000年に起きた噴火から4年5ヵ月ぶりに帰島を果たした。しかし,その現状は噴火から7年が経過する現在でも島内の広い範囲で環境法16条に基づく火山ガスの基準を満たしていない。本研究では,精神健康調査票(GHQ28)を用いて,繰り返される災害下で復興活動に取り組む三宅村坪田地区住民の精神健康を検討した。主要な結果は以下の通りであった。精神医学的障害のおそれがある閾値点6点以上のハイリスク者は,住民の63. 6%であり,災害による精神健康への影響が長期化していた。ハイリスク者は全年齢階層で男性よりも女性に多く,男女とも60歳以上の高齢者に多かった。また,ハイリスク者の発生に寄与するリスク要因を分析した結果,最も相対危険度の高いのは,性別の要因であり,女性は男性の3. 8倍の危険度となっていた。次いで,相対危険度の高いのは,今後の生活や復興活動に対する悩みの有無であり,悩みのある人はない人の3. 3倍の危険度となっていた。さらに,仕事の回復していない人は回復している人の2. 8倍の危険度となっていた。
著者
倉林 敦 熊澤 慶伯 森 哲 土岐田 昌和 澤田 均
出版者
長浜バイオ大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

フクラガエル属(Breviceps)は、皮膚から分泌する糊によって雌雄が体を接着して交尾する、奇妙な四足動物である。我々は、発見以来60年間謎のままであったフクラガエル糊について、その物理的特徴と、構成蛋白質、およびその候補遺伝子を明らかにしつつある。本研究では、アフリカにおいてフィールドワークを行い、生殖用の糊という形質の、起源・要因・過程など、適応進化の実体を生態学・系統学・分子遺伝学の側面から解明する。この過程で、生態学・形態学的解析、新種記載、人工繁殖研究などもあわせて実施し、謎の多いフクラガエルとその近縁属の自然史について新たな知見を加えることを目的としている。本年度は、11月に南アフリカの西ケープ州、および、東ケープ州においてフクラガエル類の観察、採取を行なった。西ケープ州では、ジャイアントフクラガエル・ローズフクラガエルに加え、昨年採取はできたものの、実験前に死亡したクロフクラガエルを採取した。さらに、ケープタウンから30 kmほどの地点で、ナマクワフクラガエルを採取した。本種の分布はケープタウンから300kmほど北からと考えられていたため、これは本種の新産地の発見となった。東ケープ州では、ヘイゲンフクラガエルの採取を試みたが、成功しなかった。また、北ケープ州に分布するサバクフクラガエルを現地共同研究者に採取していただき、実験に供した。各種の糊分泌物を採取し、その強度を測定した。その結果、上記のうち1種(特許申請の関係で公表しない)は、極めて接着力の強い糊を持ち、その接着力は、アロンアルファなどの市販の接着剤を上回ることさえあった。また、フクラガエルの糊の接着力は、1)体の体積(重量)に比例して強くなる、生息地の土壌の硬さに比例して強くなる、という2つの仮説があったが、本年の研究からはそのどちらの仮説も否定された。