著者
廣瀬 信之 牛島 悠介 森 周司
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.20-27, 2014-09-01 (Released:2014-12-12)
参考文献数
29
被引用文献数
1 9

In computer-mediated communication, the lack of nonverbal cues such as facial expression, tone of voice, gestures leads to difficulties in communicating emotional states. Emoticons and pictograms are visual cues suggestive of facial expression or emotion and have been recently used as nonverbal surrogates in computer-mediated communication. The present study investigated whether and how visual cues (emoticons or pictograms) influence emotional communication in mobile text-messaging that conveys the following emotions: happiness, sadness, anger, or anxiety. The results showed that visual cues depicting a smile facilitate the communication of happiness, irrespective of the type of cue. The communication of anger was also facilitated by a pictogram depicting this emotion, but the intensity of sadness was relieved by a crying face pictogram. In the case of anxiety, visual cues had no effect on emotional communication. The rated degree of emotion differed between pictograms which are converted according to the mapping table but have different appearances. Furthermore, we found that the colors of pictograms facilitate emotional communication. These findings help understanding of the effective transmission of emotional states in text-messaging on mobile phones.
著者
山森 宙史
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
no.87, pp.197-216, 2015-07-31

This study aims to consider the historical process of establishing of Manga by focusing on Comic Book Sections in Japanese bookstores from the early 1970s to 1980s. Prior studies on Manga tend to focus on trades outside of regular distribution channels to emphasize peculiar characteristics of the emerging media. Consequently, the social process during the 1970s and 1980s to pervade Manga almost all of the retail bookstores through wholesalers has not been clarified. The article shows how Manga to be recognized as one of the established genre in bookstores by concentrating on the particular standard of shinshoban (pocket paperback edition) comics which became one of the best sellers in retail bookstores after the 1970s. The early spread of permanent section of shinshoban comics during the 1970s can be understood as a conflict between Manga and other genre of books, mostly literal arts, and through industrial change surrounding book business as a background. In the late 1970s, sale structure of the small and medium-sized retail bookstores became more dependent on the shinshoban comics. The situation forced booksellers to redefine the identity of their bookstore represented in the composition of sections. Accordingly, most booksellers decided to redefine the identity of their bookstores as a space for consumption from a space of cultural excellence. Booksellers defined Manga merely as a commodity and accepted shinshoban comics to make up a permanent section in their bookstores to compromise their ideals. However, constructing Manga sections in bookstores was nothing less than legitimizing Manga as one of the established genres of printed books. Therefore, the establishment of Manga in the 1970s and 1980s can be seen as a process of reconsidering the publication culture for the Japanese publication industry in a transitional period.
著者
森川 美絵
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.129-135, 2009-06

フィンランド,ドイツ,アメリカ合衆国における介護人材の確保育成策について,インフォーマルな介護者への対応も含めた取り組みの概要,介護従事者の確保・労働条件改善にむけた施策,および,専門的な介護人材の養成に関する施策を検討した.介護供給の公私バランスやシステムは国ごとに異なるが,いずれの国においても家族介護者を支援するための公的施策が講じられ,その射程は,現金の手当・給付のみならず,休日の取得と代替介護の保障,社会保険料の負担(社会保険制度上の配慮),介護者向けのサービス・プログラムの利用支援,相談・指導など,広く設定されていた.介護従事者の確保・労働条件改善については,中高年失業者の再教育・資格取得支援のほか,賃金水準に対する公的部門の直接的な規制もみられた(ドイツ).また,賃金水準の設定については,個々の事業者内部での雇用契約を越えた,より大きな組織単位での協約や交渉が機能していた(ドイツ,フィンランド).人材の定着にむけて,低報酬と専門職としての向上機会の制限に対応する具体策として,キャリアラダーの仕組みづくりが事業者レベルで広がっている(アメリカ).また,専門的な介護人材の養成については,看護と介護の共通基礎教育や福祉と看護・保健医療の共通基礎資格の導入がはかられてきた(ドイツ,フィンランド).こうした共通基礎教育・資格の導入は,ケア人材の専門性・資質という観点のみならず,ケアサービスの構造変化に対応した柔軟な介護労働市場,介護労働力の創出という観点からも推進されていた.こうした諸外国での展開は,今後の日本における介護人材の確保育成に関する政策の枠組みや具体策の検討においても,参考となる.
著者
上森 理弘
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2013-02

制度:新 ; 報告番号:甲3923号 ; 学位の種類:博士(理学) ; 授与年月日:2013/3/15 ; 主論文の冊数:1 ; 早大学位記番号:新6295
著者
前田 和甫 大西 佳太郎 小森 政嗣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.412, pp.113-118, 2013-01-17

舞踊における動作を、幾何学的形態測定学、および拡張主成分分析の一種である3相PARAFAC(Parallel Factor Analysls)を組み合わせることで解析することを試みた。幾何学的形態測定学は標識点座標を統計解析が容易な正規分布する値に変換する手法である。この手法を用いて、3名の動作者が同じダンスを踊っている際の3次元標識点座標の時系列データを規格化した。規格化されたデータは3相データと見なすことが出来る(すなわち、時系列、標識点、動作者の3相)。この3相データから舞踊動作の因子を抽出するためPARAFACによる分析を行った結果、舞踊の個人特徴に関わる因子が見いだされた。
著者
大森 翔太朗 金子 知適
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.32-39, 2015-10-30

近年プレイヤの個性に関する研究が人工知能の分野で取り組まれ始めている. 本研究では, 将棋の指し手の選択に注目し, コンピュータプログラムで棋風を実現する方法について提案する. 棋風としては, プレイヤが攻めや受けなど特徴を持つ指し手を選ぶ傾向についてに着目する. 棋風を統計的に分析した過去の研究を参考に攻めの特徴と受けの特徴を決め, 攻めと受けの棋風について, それぞれの特徴の現れているプレイヤの棋譜を選別する. そしてそれらの棋譜を教師に評価関数の機械学習を行う. 攻めの棋譜と受けの棋譜と分類して, 今回学習に使用する棋譜のパラメータへの影響を盤面図に色の濃度で表し, 攻めの棋譜と受けの棋譜で学習の際に影響が大きそうなところを確認した. また提案手法で学習したプログラムと学習前のプログラムで対戦実験を行い, 学習がうまくできているかどうかを確認した. さらに学習に使用した攻めの棋譜と受けの棋譜の一致率を攻めの棋譜を学習させたプログラムと受けの棋譜を学習させたプログラムで測り, それぞれのプログラムに違いを確かめた. 棋風の検証では, 受けに関する次の一手問題を題材に学習前のプログラムと比べてどういった違いがあったのかを確認した.
著者
森崎 直子 三浦 宏子 原 修一
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.233-242, 2015-07-25 (Released:2015-08-13)
参考文献数
30
被引用文献数
1 5

目的:本研究は,在宅要支援および要介護高齢者の包括的栄養状態の現状を明らかにし,口腔機能との関連性を分析することを目的とした.方法:在宅要支援および要介護高齢者218名を対象に調査を行い,年齢,性別,要介護度,包括的栄養状態,口腔機能(嚥下機能,舌圧,口唇閉鎖力)のデータを得た.包括的栄養状態の評価には簡易栄養状態評価表(MNA-SF)を用い,嚥下機能の評価には地域高齢者誤嚥リスク評価指標(DRACE)を用いた.舌圧はJMS舌圧測定器を用い,口唇閉鎖力はリップデカムを用いて測定した.栄養状態と口腔機能との関連性はPearsonの相関係数およびステップワイズ重回帰分析を用いて解析した.結果:MNA-SFの平均ポイントは10.07±2.58であった.一方,DRACEの平均スコアは4.39±3.80,舌圧平均値は23.89±10.61 kPa,口唇閉鎖力の平均値は10.17±6.04 Nであった.Pearsonの相関係数では,MNA-SFはDRACE,舌圧,口唇閉鎖力と弱い相関関係を示した.加えて,交絡要因の調整のためにステップワイズ重回帰分析を行ったが,MNA-SFはDRACEと口唇閉鎖力と特に有意な関連性を示し,決定係数は0.20(p<0.01)であった.結論:在宅要支援および要介護高齢者の包括的栄養状態は嚥下機能や口唇閉鎖力と有意に関連していた.
著者
長岡 千賀 小森 政嗣 桑原 知子 吉川 左紀子 大山 泰宏 渡部 幹 畑中 千紘
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.188-197, 2011

本研究は,心理カウンセリングの対話における,カウンセラーがクライエントを望ましい変化へと導くそのプロセスを明らかにするための予備的研究である.長岡・小森(2009)では熟達したカウンセラーが施行した50分間の模擬カウンセリングを収録し,クライエントとカウンセラーの身体動作の同調性,カウンセラーの発話冒頭形式(発話の最初に相槌的表現がついている,など)およびクライエントの長い沈黙に関して定量的分析を行った.その結果,身体動作の同調性は,カウンセラーの発話冒頭形式の時系列的変化,ないしクライエントの沈黙の出現にほぼ同期して変化していたことが示された.本研究ではこれを踏まえ,非言語行動の変化の直前に焦点を置き,その際のクライエントとカウンセラーの発話内容に対する臨床心理学の熟達者による解釈,ならびにクライエントやカウンセラー本人にカウンセリング映像を見せながら報告させた内観を分析した.結果から,非言語行動が変化するのと対応して,クライエントとカウンセラーに心理的変化が生じていることが示された.クライエントの心理的変化に関わるカウンセラーの技能について議論した.
著者
中西 竜也 森本 一夫 黒岩 高
出版者
東京大学東洋文化研究所
雑誌
東洋文化研究所紀要 (ISSN:05638089)
巻号頁・発行日
vol.162, pp.55-120, 2012-12-20

本论文是以中国河南省开封及其近郊朱仙镇所留存的两块阿文碑记来进行讨论的。这两块阿文碑记, 除了有关建立碑记经过的记述和若干文字有不同之外, 基本上是相同的。该碑记列举了13件伊斯兰教礼法的教条, 称这些都是中国古来的《古行》, 并且又列举了27种阿语和波斯语文献, 称这些证明13件古行教条的正统性。也就是说其内容反映了所谓《古行》和《新行》的论争。而这个论争据说在常志美(1610-1670)和舍起灵(1638-1710)改革中国古来伊斯兰教礼法的时候就已经开始了。在此我们提出了开封朱仙镇阿文碑记的阿文原文和日文翻译, 来阐明其来历和历史意义, 又查明其中所列举的27种阿语和波斯语文献是什么, 并且考察所列举的文献代表着什么意涵。我们首先讨论两块阿文碑记的形成年代, 并且论证其草稿在17, 18世纪之交就已形成了, 然后指出其内容反映了《古行》和《新行》最初期的论争情况。又指出这两块阿文碑记, 包含着若干有关《古行》和《新行》论争的新信息。其次, 我们确认了开封朱仙镇阿文碑记所列举的27种阿语和波斯语文献, 大概是中亚及南亚拥有权威的哈乃斐派法学文献。这个事实意味着, 中国的穆斯林跟中亚和南亚的穆斯林有关连性。再者, 我们指出, 27种阿语和波斯语文献, 分别支持13件古行教条的一部分, 而且其中有的文献包含关于某个教条跟别的文献不一致的描述。这个事实可能说明了, 古行支持者不是被动地沿袭来自伊斯兰世界核心地域有权威的文献, 而是主动地选择利用那个文献的说法。在本论文里, 我们通过了分析开封朱仙镇阿文碑记, 可以进一步理解前近代中国穆斯林宗教实践的细节和知识水平的实际情形, 从而可以奠定探讨伊斯兰教特殊性的基础。