著者
森川 洋
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.84, no.5, pp.421-441, 2011-09-01 (Released:2015-10-15)
参考文献数
46
被引用文献数
4 2

「平成の大合併」を通勤圏(日常生活圏)や国土集落システムとの関係から考察した結果,「昭和の大合併」では中心地システムへ適合するかたちの合併が多かったが,高度経済成長期を経て大きく変化した国土の中で実施された「平成の大合併」では,国土集落システムへの適合が基本的条件となった.過疎地域が広い面積を占める地方圏では小規模町村の多くが合併したが,市町の規模が大きく財政的にも豊かな大都市圏内の市町村では合併は比較的少ないままにとどまったので,住民生活における地域格差をむしろ拡大することとなった.通勤圏の未発達な山間僻地や離島には未合併町村が多く残されているが,通勤圏や日常生活圏を全く無視した市町村合併は少ない.
著者
山本 徳栄 近 真理奈 伊佐 拓也 根岸 努 森 芳紀 前野 直弘 小山 雅也 森嶋 康之
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.493-499, 2017-09-25 (Released:2017-09-30)
参考文献数
17

2008年1月から2016年11月の期間中,埼玉県動物指導センターに収容されたイヌとネコから直腸便を採取し,腸管寄生虫類の検索を行った。イヌは1,290頭中296頭(23.0%)が寄生虫類陽性で,検出種とその陽性率はイヌ鞭虫(15.0%),イヌ鉤虫(6.4%),イヌ回虫(2.1%),イヌ小回虫(0.2%),マンソン裂頭条虫(2.0%),瓜実条虫(0.2%),日本海裂頭条虫(0.1%),縮小条虫(0.1%),Isospora ohioensis(1.3%),ランブル鞭毛虫(0.5%),Cryptosporidium canis(0.5%),腸トリコモナス(0.2%)およびIsospora canis(0.1%)であった。ネコは422頭中216頭(51.2%)が寄生虫類陽性で,検出種とその陽性率はネコ鉤虫(25.1%),ネコ回虫(17.8%),毛細線虫類(1.7%),マンソン裂頭条虫(18.2%),瓜実条虫(1.9%),テニア科条虫(0.5%),壺形吸虫(6.9%),Isospora felis(5.2%),Isospora rivolta(1.4%),Cryptosporidium felis(0.7%)およびToxoplasma gondii(0.2%)であった。また,2000年4月から2015年10月の期間中,同施設に収容されたネコから採血し,T. gondiiに対する血清抗体価を測定した。ネコにおけるトキソプラズマ血清抗体は,1,435頭中75頭(5.2%)が陽性であった。
著者
吉川 隆 森 優樹
出版者
一般社団法人エレクトロニクス実装学会
雑誌
エレクトロニクス実装学術講演大会講演論文集 第28回エレクトロニクス実装学術講演大会
巻号頁・発行日
pp.392-393, 2014 (Released:2018-07-27)

省エネ対策としてHEMS(Home Energy Management System)が提案されている。我々はHEMSにおいて人の健康状態をモニタする機能を組み込む事を想定しており,人が小型の無線情報端末を装着することになる。その際の電源としてペルチェ素子による温度差発電が可能ではないかと考えており,実用性の可能性を実験により確認できた。
著者
中川 裕志 湯本 紘彰 森 辰則
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.27-45, 2003-01-10 (Released:2011-03-01)
参考文献数
22
被引用文献数
12 18

本論文では, 専門用語を専門分野コーパスから自動抽出する方法の提案と実験的評価を報告する. 本論文では名詞 (単名詞と複合名詞) を対象として専門用語抽出について検討する. 基本的アイデアは, 単名詞のバイグラムから得られる単名詞の統計量を利用するという点である. より具体的に言えば, ある単名詞が複合名詞を形成するために連接する名詞の頻度を用いる. この頻度を利用した数種類の複合名詞スコア付け法を提案する. NTCIR1 TMRECテストコレクションによって提案方法を実験的に評価した. この結果, スコアの上位の1, 400用語候補以内, ならびに, 12,000用語候補以上においては, 単名詞バイグラムの統計に基づく提案手法が優れていることがわかった.
著者
苅部 治紀 森 英章 加賀 玲子
出版者
東京都立大学小笠原研究委員会
雑誌
小笠原研究年報 (ISSN:03879844)
巻号頁・発行日
no.44, pp.23-41, 2021-06-30

アニジマイナゴは、2011年に小笠原諸島固有属種として記載された種で、父島列島兄島のみから知られている。この種は一般的なイナゴ類と異なり、樹木であるシマイスノキのみを採餌する。本報告では、筆者らの調査でこれまでに明らかになった野生下での生態、生活環について記述する。本種は日中タコノキの葉鞘に潜み、周囲の食樹シマイスノキの間を往来し、タコノキをねぐらのように利用している可能性がある。このような行動は夜間に見られ、夜行性であること、幼虫の孵化と成長の追跡状況から年1化であることが明らかになった。一方、近年のグリーンアノールの兄島における増加で、同種の個体密度が増加した地域では姿を消している。
著者
藤井 知昭 三浦 基嗣 長谷 徹太郎 敦賀 健吉 森本 裕二
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.36-39, 2019-02-25 (Released:2019-03-12)
参考文献数
14

複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome:CRPS)はアロディニアを伴うことが多い.アロディニアは慢性痛患者の生活の質を損ねるだけでなく,治療に難渋することも多い.抑肝散は動物実験において抗アロディニア作用を有することが示されている.今回,抑肝散の内服継続が困難なCRPS症例に対して七物降下湯を投与したところ,抑肝散と同様の抗アロディニア作用が得られた.七物降下湯は,抑肝散の抗アロディニア作用の中心的生薬と考えられる釣藤鈎を含んでおり,抑肝散と同様の抗アロディニア作用を有する可能性がある.
著者
森 雅秀
出版者
Japanese Association of Indian and Buddhist Studies
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.420-412, 1993-12-25 (Released:2010-03-09)
参考文献数
18
被引用文献数
1
著者
大森 光 安藤 寿男 村宮 悠介 歌川 史哲 隈 隆成 吉田 英一
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.129, no.1, pp.105-124, 2023-02-22 (Released:2023-02-21)
参考文献数
70
被引用文献数
1 3

いわき市アンモナイトセンターの双葉層群足沢層大久川部層(コニアシアン下部)のアンモナイト(主に径40-60 cmのMesopuzosia yubarensis)密集層と直下にある炭酸塩コンクリーション濃集層の,堆積相・産状観察と地球化学分析から形成過程を考察した.M. yubarensisは,沖合いの生息場から死後浮遊で沿岸に達した軟体部の失われた殻が,ストーム波浪で住房部が破壊され,分級・集積・運搬され,下部外浜沖合い側で癒着HCS極細粒砂層のハンモックマウンドに沿って急速に埋積した.炭酸塩コンクリーションは,多様なサイズ(径15-194 cm)の長-扁球形で,密集しながらも比較的一様に分布する.コンクリーションの形成は,ストーム波浪で運搬された有機物と底質中のベントス遺骸の分解に伴って堆積物の浅所で始まり,その後,埋没に伴い堆積物深所におけるメタン生成帯での有機物分解が生じるまで継続した.
著者
兼森 雄一 竹垣 毅 夏苅 豊
出版者
日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.133-141, 2006-11-25 (Released:2010-06-28)
参考文献数
45

The genetic population structure of the mudskipper Boleophthalmus pectinirostris was investigated based on nucleotide sequence data from the mitochondrial control region (472 bp) of 131 individuals collected from four localities in Ariake Bay, two in Yatsushiro Bay, Kyushu, Japan, one in Korea (Suncheon) and one in China (Zhe Jiang). A total of 53 composite haplotypes were observed from 49 permutation sites. The estimated haplotype tree and pairwise Fst showed genetic differentiation among the Suncheon, Zhe Jiang and Japanese populations. The structures of the haplotype tree and network, and low genetic diversity of the Japanese populations compared to that at Zhe Jiang suggested that a bottleneck effect had occurred in the former after being isolated from the continental population by rising sea levels (i. e., relictual species). Based on the number of unique haplotypes in the Japanese populations and nucleotide substitution rate, the estimate of the divergence time for the Japanese and Zhe Jiang populations was much greater than that expected for the apparently relictual species distributed in Ariake Bay. The Ariake and Yatsushiro populations formed a single group in the haplotype tree, although the estimate of pairwise Fst showed a significant difference between the populations, probably associated with the differences in frequency of the most dominant haplotype. Accordingly, the two populations seemed to be genetically differentiated from each other, probably due to the geographical isolation.
著者
新里 なつみ 永田 昌子 永田 智久 森 晃爾
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.141-158, 2019-09-20 (Released:2019-09-25)
参考文献数
33

目的:本研究では,企業における健康施策決定プロセスと企業・労働者のニーズを踏まえた産業医の介入に関する実態を調査することで,健康施策において企業の意思決定が円滑になされるための産業保健サービスの要素・手法を探索的に調査・検討した.方法:企業における健康施策の立案に関与する10社11名の産業医を機縁法にて選定し,半構造化面接を実施した.Berelson, B.の内容分析に基づき質的帰納的に分析した.結果:本研究のテーマに対応した144カテゴリが形成され,社内健康施策の意思決定プロセス・産業医の介入・産業医の介入に関する補足要素の3要素に整理された.このうち産業医の介入は,「関係性の構築・相互理解の促進」,「根回し・調整」,「仮説に基づくニーズの可視化」,「統合的な企画づくり・提案」の4要素に関連する具体的な介入手法が示された.考察:企業の意思決定が円滑になされるための産業保健サービスの要素・方法として,1)健康施策における企業の意思決定の特徴や意思決定者の前提を踏まえて,合意形成を要する範囲やその影響を把握することや,2)産業保健への認識を高めるために,恒常的に産業保健に関する情報を経営情報へ翻訳しながら,提案を行うことが有効であると考えられた.産業医を中心とした産業保健専門職は,本研究にて明らかとなった手法を,活動の自己評価や改善に活用し,健康施策決定に貢献することが望まれる.
著者
稲垣 克哲 森 奈美 本田 洋士 髙木 慎太郎 辻 恵二 茶山 一彰
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.448-454, 2017-08-20 (Released:2017-08-30)
参考文献数
24
被引用文献数
1 15

症例は20歳,男性.社交不安障害の治療中に全身倦怠感と黄疸が出現し,入院した.自己判断で抗ストレス・強壮目的にアシュワガンダと複数の処方箋薬を併用していたが,入院1カ月前からアシュワガンダを過剰摂取していた.DDW-J 2004薬物性肝障害診断基準では8点「可能性が高い」となり,アシュワガンダによる肝細胞障害型の薬物性肝障害と診断したが,本製品及び併用薬の中止後,肝酵素は低下するも高ビリルビン血症は増悪し,中止1カ月後にT-Bil 31.3 mg/dLとなった.肝生検では類洞内に限局して多数の胆汁栓を認め,ウルソデオキシコール酸(UDCA)とフェノバルビタールにて利胆を図り,改善した.薬物性肝障害において,起因薬物中止後も肝内胆汁鬱滞が増悪することは少なく,またアシュワガンダによる肝障害の報告事例はない.アシュワガンダは無承認無許可医薬品であり,販売実態の調査や不適切使用について注意喚起が必要である.
著者
森 俊彰 岡本 誠 山内 信弥 石井 輪太郎 城倉 昴
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
pp.22-013, (Released:2023-01-16)
参考文献数
24

Three juvenile specimens of Odontanthias borbonius were collected from Suruga Bay (2 specimens, 20.0–23.4 mm standard length (SL), 95–100 m depth) and Okinawa (23.7 mm SL, 180 m depth), Japan. Because little is known of juvenile morphology of the species, the specimens are described and compared with adults from Japan. Fresh coloration of the juveniles was similar to that of adults, being characterized by a pale pink body and large yellow spots. Following fixation, the juvenile coloration was lost, although black pigment vesicles scattered in the former positions of the yellow spots indicated that O. borbonius can be distinguished from all other congeners, which lack such spots. Juveniles of the former had a large, smooth, interopercular spine, the supraocular ridge with serrations, and serrated posttemporal spines.
著者
森本 康裕
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶応義塾大学日吉紀要. ドイツ語学・文学 (ISSN:09117202)
巻号頁・発行日
no.52, pp.27-48, 2015

0.1. 閉鎖空間への二度の侵犯 : 個人の罪2. 個人主義と権力3. ラプンツェルの名 : 罪の記憶4. 魔女≠権力結語にかえて
著者
森田 泰智 森地 茂 伊東 誠
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_595-I_611, 2013 (Released:2014-12-15)
参考文献数
24
被引用文献数
2

近年,東京の都心駅周辺で急速に都市開発が進展し,これにより,駅施設の処理能力を上回る旅客のホーム上での滞留が発生するなど,鉄道駅で激しい混雑が見られるようになった.しかし,上記の駅周辺での都市開発の進展は,駅施設に急激な負荷をかけることとなるが,駅施設が交通量の増加にどこまで耐えられるのかについて,曖昧で把握されていない.そこで本研究では,都心駅周辺の急速な都市開発による鉄道駅の激しい混雑への対応に向けて,駅構内の混雑の実態調査を行い,ピーク時における駅施設(本研究では,駅構内で最も混雑する場合が多いホームの昇降施設等に着目)で刻々と変化する旅客の捌け方を秒単位で計測し,駅昇降施設が許容できる交通量(本研究では,最大捌け人数と定義)を検討した.
著者
森本 ゆり 宮本 浩徳 古瀬 充宏
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.91-97, 2006-10-10 (Released:2012-09-24)
参考文献数
4

ドワーフハムスターであるジャンガリアンハムスターとロボロフスキーハムスターにおいて,食の嗜好性に違いがあるか否かについて調査した。まず,飼料の色に対する嗜好性を調べたところ,ジャンガリアンハムスターは緑色の飼料を好んで摂食した。次に,実験動物用ペレット,ニポシ,ヒマワリの種およびカボチャの4種類に対する選択摂取テストを行った。その結果,カボチャを摂取する割合が最も高かった。また,ほとんど摂食しなかったニポシに対して,嗜好性が高かったカボチャの風味に対する反応テストも行った。結果として,嗜好性が低い食物であっても,好んで摂食するものの風味付けにより摂食量が増加することが示唆された。さらに,水分を多く含むキュウリとキャベツならびに水分の少ないヒマワリの種とクルミの4種類に対する選択摂取テストを行った。どちらのハムスターも水分含量が多い食物を多くの割合で摂食し,その割合はジャンガリアンハムスターがロボロフスキーハムスターに対して高かった。しかし,水分含量ばかりでなく食物自体に対する嗜好性も選択に関与しているかもしれない。