著者
坂野 秀樹 武田 一哉 鹿野 清宏 板倉 文忠
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J81-A, no.2, pp.261-268, 1998-02

スペクトル包絡と音源の独立操作により, ある話者の音声を別の話者へと連続的に変化させる音声モーフィングを提案する.本手法では次の手順で音声モーフィングを実現する.1)時間領域におけるDPマッチングにより単位波形の対応をとる.2)単位波形をスペクトル包絡と音源に分離する.3)周波数領域のDPマッチングにより周波数軸を非線形に伸縮し, スペクトル包絡間の対応付けを行う.4)スペクトル包絡および音源の補間を行う.5)位相情報を付与し, 単位波形を得る.6)PSOLA法により合成する.この手法を用いることによって自然音声の時間的変化に比較的近い補間が可能となり, 音声の調音結合部分をモーフィングにより生成する実験を行った結果, ケプストラム距離において従来法に比べ1.9dBひずみを減少させることができた.また, 対比較試験では男性から女性へのモーフィングにおいて89%, 女性から男性へのモーフィングでは93%の割合で本手法の方が品質が良いと判断されており, 本手法の有効性が示された.
著者
中原 啓 武田 一哉 藤井 慶輔
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.3G4OS15b04, 2022 (Released:2022-07-11)

近年、測定技術の向上に伴い、野球の応用的なデータ分析が広く行われるようになった。グラウンド上のあらゆるプレーが定量的に評価され、個人やチームの戦略に大きな影響を及ぼしている。個人の打撃貢献を表す指標としてwOBAという指標がよく知られているが、wOBAは走者状況や点差などの試合状況を考慮しない。しかしながら、実際の試合において試合状況を考慮して複数の打撃戦略を使い分けることは一般的であり、その効果は未知である。これは、打者の戦略を第三者が取得できず、効果の推定が困難であるためだと考えられる。そこで本研究では、反実仮想シミュレーションによる効果推定方法を新たに提案する。これを実現するため、打撃戦略の変更にあたって妥当な打撃能力変換を行う深層学習モデルを提案する。本手法によって、実際の試合データでは難しかった、様々な戦略の効果推定が可能となる。検証の結果、打撃戦略のスイッチングコストを無視できる場合、戦略の使い分けが得点を増加させることが明らかになった。また、スイッチングコストを考慮する場合、得点が増加するための条件は限定的であることが明らかになった。
著者
武田 一郎
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.71-81, 1998
参考文献数
65
被引用文献数
1

後浜上限の位置の安定性と高度に関する従来の知見を概説し,さらに,日本海沿岸の後浜上限高度について検討した.後浜上限の位置は暴浪時の波の規模がさまざまであるにもかかわらず安定している.これは,浅海域のバー(海底砂州)が波に対してフィルターの役割を果たし,また,ステップが汀線直前の水深を規定するので,汀線砕波の波高がある限度を越えることがなく,その結果,暴浪時の波がある限界の地点,すなわち後浜上限を越えて遡上することがないためである.さらに,耐塩風性植物の地形固定作用も後浜上限の位置の安定に寄与する.後浜上限高度は海浜を構成する堆積物が粗いほど大きくなる.これは,堆積物が粗いほど高いフィルター効果を持つインナー・バーが形成されにくく,また,規模の大きなステップが形成されやすいので,汀線砕波波高が大きくなり得るためである.アウター・バーが存在する海岸では,これもまた波に対してフィルターの役目を果たすので後浜上限高度は小さくなる.複数のアウター・バーを発達させる多段バー海岸では,さらに後浜上限高度が小さくなる.日本の太平洋沿岸の主要海浜のほとんどは1段バー(1段のアウター・バーを有する)海岸であるのに対して,日本海沿岸はほとんどが多段バー海岸であるので,日本海沿岸の後浜上限高度の方が小さくなる.
著者
武田 一郎
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
地理学評論. Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.70, no.8, pp.512-525, 1997-08
参考文献数
44
被引用文献数
4

茨城県勝田市那珂海岸における2年間(1980年8月28日~1982年8月30日)の地形測量と波のデータを用い,後浜上限の位置と高度に関する検討を行った.バーが波に対してフィルターの役目を果たすため,また,汀線直前の水深を規定するステップ基部水深に限度があるたあに,汀線砕波の最大波高には限度がある.その結果,沖合い段階での暴浪の規模が異なっても,波の遡上限界地点に大きな差が生ずることはない.したがって,その地点に一致する後浜上限の位置はかなり安定したものとなる.<br> この後浜上限の高度は海浜堆積物の粒径が粗くなるほど大きくなる.これは,沖合いの暴浪特性が同じであっても,海浜堆積物の粒径が粗ければ汀線砕波波高が大きくなり,その結果,波の遡上限界高度が大きくなるためである.その理由は,海浜堆積物の粒径が粗いほど波に対してフィルターの効果を有するバーが発達しにくくなり,また,最大の汀線砕波波高を規定するステップ基部水深が大きくなるためである.
著者
武田 一久 神山 貴達 小川 茂
出版者
一般社団法人 日本生物教育学会
雑誌
生物教育 (ISSN:0287119X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.32-36, 2011

<p>Each of the mature pollen grains of Hymenocallis littoralis has been shown to contain a reddish brown, spindle-shaped generative cell. The present study revealed that the behavior of generative cells and sperm cells within pollen tubes could be observed under the conventional light microscope. About three hours after pollen dispersal on the surface of agar plate, the generative cell entered the pollen tube, maintaining its shape and color. The generative cell divided into two reddish brown sperm cells at 7-9 hours after pollen dispersal. These sperm cells moved toward the tip of elongating pollen tube. Based on the present observation, possible application of the pollen of H. littoralis as a material to the classes for teaching the double fertilization characteristic of the angiosperms in high school biology is discussed.</p>
著者
伊藤 太介 武田 一哉 板倉 文忠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.325, pp.59-64, 2001-09-21
参考文献数
10
被引用文献数
1

本報告では, ささやき声の音響特性と音声認識手法について述べる.データベースとして100名以上の話者が発生した6, 000文以上のささやき声, 通常発生, 顔画像を収録した.ささやき声と通常発声の比較では, 1)ケプストラム距離が有声音で4dB, 無声音で2dBであること, 2)ささやき声のスペクトルの傾きが通常発生に比べ緩やかであること, 3)1.5kHz以下のフォルマント周波数が通常発声に比べ高くなっていることが得られた.収録したささやき声から音響モデル(HMM)を学習し認識を行ったところ, 64%の単語正解精度が得られ, MLLRによる話者適応を用いた認識では, 単語正解精度が76%まで改善された.
著者
武田 一郎 世古 春香
出版者
京都教育大学
雑誌
京都教育大学紀要 (ISSN:03877833)
巻号頁・発行日
no.134, pp.65-78, 2019-03
著者
西野 隆典 井上 直哉 伊藤 克亘 武田 一哉
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.3-12, 2006-12-25 (Released:2017-06-02)
参考文献数
14

バイノーラル信号は,頭部や耳介などによる音波の反射や回折の影響を含んだ信号である。バイノーラル信号による音源方向推定が実現できれば,あらゆる音源方向を識別するロボット聴覚への応用が可能となる。本論文では,バイノーラル信号を用いた音源方向推定手法の提案,及び評価を行う。両耳間音圧差の包絡のケプストラムを単一ガウス分布で近似した音源方向推定モデルを構築し,残響時間が異なる環境において計測された両耳室内インパルス応答を用いて,提案手法が前後左右だけでなく,上下方向の識別について評価を行った。実験結果より,本提案手法は,異なる残響時間,及び上下方向に対応した音源定位手法であることが示された。
著者
武田 一哉 Takeda Kazuya
巻号頁・発行日
1993-09-29

名古屋大学博士学位論文 学位の種類:博士(工学) (論文) 学位授与年月日:平成5年9月29日
著者
山本 一公 中村 哲 武田 一哉 黒岩 眞吾 北岡 教英 山田 武志 水町 光徳 西浦 敬信 藤本 雅清
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.75, pp.101-106, 2003-07-18
被引用文献数
26 4

本稿では,SLP雑音下音声認識評価ワーキンググループの活動成果として,雑音 下音声認識評価用共通データベースAURORA-2Jと,その標準評価スクリプトによるベースライン評価結果について述べる.AURORA-2Jは,AURORAプロジェクトの AURORA-2データベースの日本語版として設計され,標準評価スクリプトも AURORA-2で配布されているスクリプトをベースとして開発されている.この共通 評価フレームワークにより,各機関における雑音環境下音声認識手法の性能を容 易に比較することが可能となり,雑音環境下音声認識手法の発展を促すことがで きると考えられる.また,自動車内における数字/コマンド発声データベースで あるAURORA-3Jの開発進捗状況についても述べる.This paper introduces a common database, an evaluation framework, and its baseline recognition result for noisy speech recognition, AURORA-2J, as an outcome of IPSJ-SIG SLP Noisy Speech Recognition Evaluation Working Group. AURORA-2J is designed as Japanized version of the AURORA-2 database and the evaluation framework is based on the AURORA-2 baseline scripts. This common evaluation framework enables to compare various noisy speech recognition techniques on a common ground. We hope more development of noisy speech recognition techniques using this evaluation framework. We also describe about AURORA-3J, digits and speech command database in car environments.
著者
鳥田 宏行 武田 一夫
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.39-44, 2007-02-01
被引用文献数
2

森林の雨氷害を軽減する知見を得るため,2004年2月に北海道日高町で発生した雨氷害の調査データを解析したところ,直径階ごとの本数被害率の分布形状は,大きく五つのタイプ((1)中庸木に被害が多い,(2)劣勢木に被害が多い,(3)優勢木に被害が多い,(4)立木のサイズに関係なく被害率の変動が激しい,(5)直径階の大小に関わりなく被害率が一定)に分類された。分布形状に差異がみられるのは,風や着氷量などの気象因子が少なからず影響したためだと推察される。また,密度管理図上で軽害林分と激害林分間の判別分析を行った結果,的中率は75%であった。判別分析で得られた判別式と収量比数0.9線を用いて安全城と危険城の境界線を描き,被害軽減が期待できる範囲を密度管理図上に示した。次に,林分平均樹高との限界形状比の関係をロジスチック式で近似して限界形状比曲線を求めたところ,生育段階で限界形状比は異なることが示された。これらの結果は,森林の雨氷害を軽減するためには,植栽密度に沿った適切な間伐が重要であることを示唆している。
著者
世木 選 新井 智貴 福島 槙一郎 細井 厚志 藤田 雄三 武田 一朗 川田 宏之
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.851, pp.16-00571-16-00571, 2017 (Released:2017-07-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1

Fatigue properties of the thick carbon fiber reinforced plastic (CFRP) laminates with toughened interlaminar layers in the out-of-plane direction (Z direction) and in the in-plane transverse direction (T direction) were evaluated experimentally. Spool specimens were machined from the thick mother plates which were laminated prepregs of T800S/3900-2B unidirectionally. The specimens were attached to metal tabs to apply loads in the thickness direction of the specimen. The tensile strengths in Z and T direction were measured by static tensile tests and S-N curves were obtained by fatigue tests at a stress ratio of R=0.1. As the results, the tensile strength in Z direction was 24% lower than that in T direction. Fatigue strength in Z direction at 106 cycles was also 25% lower than that in T direction. It was observed using a digital microscope that the fracture occurred in intralaminar layers in both static tensile tests and fatigue tests in Z direction. The thermal residual stress which was generated during the fabrication process and the stress distribution by mechanical loadings in spool specimens were calculated by finite element analysis. The calculated results showed that compressive residual stress applied in intralaminar layers in T direction by restraining the thermal deformation. It is found that the static tensile and fatigue properties in Z direction were almost the same as those in T direction by evaluating with the stresses applied in the nearest intralaminar layer to the minimum cross-section in the spool specimen.
著者
マルタ ルーカス 宮島 千代美 伊藤 克亘 武田 一哉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.73, pp.19-24, 2006-07-07

運転者のブレーキ操作や発話内容から,運転中の危険な状況を検出する手法について検討した.ブレーキに基づく検出では,ペダル踏力とその時間変化の2次元ヒストグラムを用いて,通常と分布が異なる箇所を検出した.発話に基づく検出では,危険な状況で発すると考えられる単語を音声の書き起こしテキストから検出した.CIAIR対話音声・運転行動信号コーパスのうち,人間と対話中のテータ438名分に対して,人手でビデオ映像と運転行動信号を確認しながら危険なシーンのラベル付けを行った結果,計25箇所の危険なシーンが見つかった.これらのうち,ブレーキ信号,あるいは発話内容に何らかの異常を伴うシーンがそれぞれ17箇所,11箇所存在した.ブレーキ,発話それぞれに基づいて検出を行った結果,80%の正解シーンを検出するために必要な誤検出数はブレーキで473シーン,発話で33シーンであった.また,Wozシステム,音声対話システムの対話中のデータについても同様の実験を行った.We introduce a method for automatically detecting potentially dangerous situations in motor vehicle traffic using driving behavior signals. Our proposed approach focuses on changes in a driver`s behavior, which we detect through brake pedal operation as well as driver speech. Experiments were performed using a large multimedia driving database obtained from the CIAIR project at Nagoya University. We analyzed data from 438 drivers who interacted verbally with a human operator. In eleven of the 25 situations we hand labeled as potentially hazardous, drivers uttered expletive words to express nagative feelings. In 17, sudden and intense compression of the brake pedal was observed. For the detection of 80% of these 17 scenes, the proposed method based on 2D-histograms of brake pressure and its dynamics also detected 473 false positives. As for the other eleven scenes, using our lexicographical speech feature-based method, a detection rate of 80% was achieved for 33 false alarms. We also present an analysis of data recorded while drivers interacted with a machine and a Wizard of Oz system.