著者
小幡 翔 端山 昌樹 前田 陽平 武田 和也 津田 武 横井 慶 猪原 秀典
出版者
日本鼻科学会
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.616-622, 2018 (Released:2018-12-20)
参考文献数
11

骨蝋は骨面からの出血に対する止血素材としてよく用いられているが,稀ではあるものの慢性炎症や骨治癒阻害などの合併症も見られることがある。今回,開頭術後,十数年の経過を経て前頭洞炎を発症したと思われる2例を経験した。両症例ともに病変はCTでは軟部陰影の中に低吸収域で,またMRIではT1強調画像,T2強調画像いずれも無信号ないし低信号で描出され,副鼻腔内病変として非典型的な所見を呈していた。一例は手術記録が不詳であったため骨蝋の同定は困難であったが,一例では骨蝋の使用についての記載が認められた。いずれに対しても診断,および症状改善のために手術を行った。一例は前頭洞手術(Draf type III)を施行し,病変部より排膿を認め,内部には骨蝋を疑う黄白色の異物残留を認めた。残る一例はDraf 2bで前頭洞を開放したところ,膿貯留を認めず,骨蝋残留を認めた。いずれの症例でも術後は再発なく,良好な経過をたどった。過去の報告によれば,骨蝋は骨治癒阻害と細菌クリアランス低下により,十数年に渡って慢性炎症が遷延するとされる。そのため,開頭術後など骨蝋使用の経過があるか予想される症例では,異物性の炎症や膿瘍形成を鑑別にあげ,症状によっては手術による骨蝋除去を行う必要がある。
著者
武田 和夫
出版者
日本監査研究学会
雑誌
現代監査 (ISSN:18832377)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.23, pp.35-42, 2013-03-31 (Released:2017-05-21)
参考文献数
8

わが国の「公認会計士法」の起源は,明治42年の日糖事件とその後の『公許会計士制度調査書』にみることができる。そこで,公認会計士法制定までの経緯と平成15年改正の内容を考察することにより,当時の職業会計士の業務内容を詳らかにし,公認会計士の使命がパブリックの概念を意識することにあり,その結果,経済主体のガバナンスの支援と内部統制のチェックを遂行することが業務の本質になることを解明した。その上で公認会計士による監査業務と内部監査の共通性を指摘し,公認会計士の内部監査への関与方法について,外部者と内部者の2つの立場から検討を加えている。前者としての立場からは,内部監査部門との共同実施の形態をとり,専門的知見に基づいた内部監査サービスを提供しなければならない。また後者の立場からは,パブリックの概念を保持することの重要性を指摘した。
著者
桐 広樹 端山 昌樹 前田 陽平 識名 崇 増村 千佐子 岡崎 鈴代 奥野 美香 武田 和也 津田 武 猪原 秀典
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.39-44, 2018 (Released:2018-07-31)
参考文献数
12

歯性上顎洞炎は耳鼻咽喉科と歯科の両方で治療が行われており,治療方針も各施設によって異なっている。今回,われわれは歯性上顎洞炎の診断および治療を検証するために,歯性上顎洞炎30例32側を対象に,診断モダリティおよび治療方針について後向きに検討を行った。初期治療として抜歯とESSが行われた9例では再発を認めなかったものの,抜歯だけが行われた12例のうち8例で後にESSが行われた。また歯科用単純X線写真にて原因歯の診断が可能であったのは55%であり,歯性上顎洞炎の診断にはCTでの読影が必要であると考えられた。いずれも後向きの検討であり,今後治療方針を一定にした前向き研究が必要であると考えられた。
著者
武田 和義
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.191-193, 2006-12-01
被引用文献数
1
著者
武田 和義
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.205-211, 2005-12-01
参考文献数
25
被引用文献数
3
著者
武田 力 高橋 徹 山本 五郎 長谷川 武夫 武田 和 武田 寛子
出版者
日本ハイパーサーミア学会
雑誌
Thermal Medicine (ISSN:18822576)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.11-16, 2012-03-20 (Released:2012-05-21)
参考文献数
9
被引用文献数
2

第28回日本ハイパーサーミア学会大会においてシンポジウム, 温熱の免疫科学 (基礎と臨床) が開かれた. その内容をもとにまとめられた4論文の一つである. 臨床 : 6年間に1,386例の進行再発癌患者に温熱または免疫療法を行った. ハイパーサーミアを1,307例に, 活性化リンパ球を995例に, 樹状細胞を689例に施行した. 評価可能な1,307例のうち臨床的有効例 (CR+PR+longSD) は188例 (14.0%) で完治例は35例であった. 免疫療法の臨床的有効率は, ハイパーサーミアを併用することにより8.1%から17.9%にあがった. もっとも効果のあったのは樹状細胞療法と活性化リンパ球とハイパーサーミアを併用した群で20.5%であった. 基礎 : マウスにLLC腫瘍を移植したのちハイパーサーミアと活性化リンパ球とその双方で治療する3群で腫瘍の増殖と肺転移数を比較したところ, ハイパーサーミアと活性化リンパ球単独でも抑制されるが双方を併用した群では相乗的な抑制がみとめられた. 次に同じ実験系で分子標的治療物質 (erlotinibとsorafenib) を与える群とハイパーサーミア群で比較したところ, 腫瘍増殖および肺転移数いずれにおいても, 分子標的治療物質単独群とハイパーサーミア単独群より, 両者を併用した群で抑制が強かった. また同時にアポトーシスの誘導も併用群で増強していた. 臨床データおよび基礎実験において温熱療法が癌に対する免疫療法を増強することが示された.
著者
岩佐 友彦 部田 英雄 武田 和義
出版者
岡山大学資源生物科学研究所
雑誌
岡山大学資源生物科学研究所報告 (ISSN:0916930X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.69-78, 1997

Powdery mildew, caused by Erysiphe graminis DC. f. sp. hordei EM Marchal, is a serious disease of Barley (Hordeum vulgare L.). In this study, we used molecular markers to identify the chromosomal locations carrying genes for powdery mildew resistance and to estimate the effect of each gene. Doubled haploid lines derived from Steptoe×Morex (S/M), Harrington×TR306 (H/T) and their parental were inoculated with five powdery mildew strains. Several quantitative trait loci (QTL) controlling E. graminis resistance were found and lacated on chromosome 4H, 5H, 6H and 7H in S/M. On the other hand, no QTL was detected in H/T but Harrington had a major resistant gene (Mlg) for powdery mildew resistance. Maker-assisted selection was conducted to examine the effect of accumulation for mildew resistance. There was a significant interaction between QTLs lacated in 4H and 7H, which suggested the presence of an epistatic effect between these QTLs.オオムギ品種Steptoe×Morex (S/M)およびHarrington×TR306 (H/T)の2交雑組合せからバルボッサム法によって育成された倍加半数体(DH)系統を用い、オオムギうどんこ病菌h81、h83(S/M)、h9、h4およびk6(H/T)に対する抵抗性を調べ、抵抗性のデータとマーカー情報からオオムギうどんこ病抵抗性を支配する遺伝子の位置と効果をQTLマッピングにより推定した。その結果、S/Mでは各菌株に対して特異的に発現するいくつかの抵抗性遺伝子が4H、5H、6H、および7Hに見出された。一方、H/Tにおいてはいずれの菌株に対してもDH系統群の抵抗性スコアの分離比が抵抗性:罹病性=1:1に適合し、見出された遺伝子は抵抗性遺伝子Mlgと同一あるいは同座であるとみられた。
著者
武田 和行
出版者
低温物質科学研究センター
雑誌
低温物質科学研究センター誌 : LTMセンター誌 (ISSN:1348317X)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.24-29, 2008-12-01

One possible design of a home-built NMR spectrometer is presented, in which a Field-Programmable Gate-Array (FPGA) is fully exploited. An FPGA is an LSI composed of a large number of programmable logic gates, in which digital circuits called the "core modules" can be built by writing hardware description codes. In principle, an FPGA can realize any digital circuits within limitations set by the available number of logic elements and the operation speed. In this work, a single FPGA chip is let do all the digital jobs required for an NMR spectrometer. It is shown that a handy and operational three-channel NMR spectrometer can be built by combining the core modules for the digital NMR spectrometer with non-digital peripheral components. These core modules as well as circuit diagrams, board designs, etc., are freely available on HUhttp://kuchem.kyoto-u.ac.jp/bun/indiv/takezo/opencorenmr/index.htmlUH. By letting these information open to public, I encourage the potential users not only to utilize this spectrometer, referred to as the OPENCORE NMR spectrometer (after the "open" "core" modules), but also to modify it so as to meet their own needs. A home-built spectrometer serves a complementary role to the sophisticated commercial spectrometer when one needs to modify the hardware inside the spectrometer in order to put new ideas into practice. Let us promote new and exciting NMR works!
著者
武田 和義
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.75-88, 1989-03-01
被引用文献数
1

くびれ米を発生し易いL-45×アキミノリのF_2集団を青森から沖縄に至る14の地域で栽培したところ,くびれ米歩合の集団平均値は1.5〜58.3%の変異を示し,各地域における豊熟初期の温度と密接な負の相関々係にあった.このF_2集団と後代のF_9系統群を平均20℃の制御環境下で登熟させたところ,穎(Cl)と子房(Tl)の長さのアンバランス(Tl/Cl)とくびれ米歩合の相関は密接であり,子房の本来の長さが穎に比べて長すぎることによって,くびれ米が発生するとみられた.その後代の固定系統を様々な環境で栽培したところ,Tlが豊熟初期の温度と密接な負の関係にある反面,Clは出穂後の温度の影響を受けないために,Tl/Clが豊熟初期の温度によって変動し,それに伴ってくびれ米歩合が変化するという環境的な因果関係が明らかにされた.
著者
武田 和義 高橋 秀和
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.1-8, 1999-03-01
被引用文献数
1

ムギ類の作期にほとんど雨の降らない夏雨型の半乾燥地では, 種子を深播して土壌深部の水を利用するため, 深播した場合にも出芽し得る深播耐性が必要である.オオムギ5,082品種とコムギ1,214品種を用いて深播耐性の品種変異を評価し, 極強品種を選抜した.深播耐性には大きな遺伝変異があり, 種子の大きさならびに幼芽の伸長量と関係があって半矮性品種の深播耐性は弱い.同質遺伝子系統対を比較したところ皮性オオムギの方が裸性オオムギよりも強かった.
著者
武田 和也 河島 信樹 矢部 恭一
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR AERONAUTICAL AND SPACE SCIENCES
雑誌
宇宙技術 (ISSN:13473832)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.27-32, 2008
被引用文献数
1 5

我々は半導体レーザーを用いた飛翔体へのエネルギー伝送システムを構築した.これはレーザーでエネルギーを受けている間飛行し続けることができるシステムである.これを用いた飛行実験を大阪ドームにおいて行った.その結果,高度50mを旋回飛行する無人飛翔体へ,自動追尾によってエネルギー伝送を行い,長時間飛行に成功した.
著者
郡司 賢 武田 和彦 丹羽 隆 茅野 康臣
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.187-188, 1995-09-20

オブジェクト指向方法論の有効性が議論されてから久しく、現在では、実際の開発に適用した話も多く聞かれようになった。しかし、オブジェクト指向による開発への適用を考えた場合、ドキュメントの管理、作業プロセスの明確化、開発体制など、プロジェクトの運営に関する問題が存在している。今回のツールの開発に先立って、OMTをベースとした具体的な作業プロセス、ドキュメント管理などの開発手順書を作成し、全面的にオブジェクト指向による分析、設計、実装を実践適用した。本稿では、オブジェクト指向の適用事例として、OMTをベースにした実践的方法論の紹介とその問題点について述べる。開発の規模、期間および環境は、以下のとおりである。開発期間....94/4-現在開発人数....6人(プログラマー3人)適用OS....Windows3.1開発言語....VisualC++ver 1.51(MFC2.5)クラス数....122ステップ数....33K(+コメント:20K)
著者
角川 陽一郎 武田 和憲 砂村 真琴 川口 信哉 小針 雅男 松野 正紀
出版者
The Japanese Society of Gastroenterology
雑誌
日本消化機病學會雜誌. 乙 (ISSN:13497693)
巻号頁・発行日
vol.87, no.6, pp.1444-1450, 1990
被引用文献数
15

雑種成犬を用い, 十二指腸盲管法にて16時間後に出血性膵炎を認めたものを対象に蛋白分解酵素阻害剤続動注療法の効果を検討した. 盲管を解放後, 無治療対照群, Nafamostat mesilate(FUT-175)の持続静注群 (5μg/kg/分), 同量の腹腔動脈からの持続動注群の3群に分けた. 24時間後の膵組織内FUT濃度は静注群•動注群それぞれ905ng/g, 4453ng/gとなつた. 膵組織内 trypsin 活性は対照•静注•動注群それぞれ2.1, 1.4, 0.7nmol/min/mg蛋白, 膵の実質に対する壊死面積比はそれぞれ49.5, 25.6, 12.4%と動注群で著明に抑制された. また, 血清Ca値や, amylase, lipase 値も改善し, 重性急性膵炎に対する本法の有用性が示された.
著者
田中 誠也 中窪 愛佳 木村 百輝 武田 和也 神田 智子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.424, pp.7-12, 2010-02-15

日本人の携帯電話における絵文字の解釈と文例を276名から6600件以上収集し,Web上で絵文字別,世代別,性別別の検索/閲覧が可能な絵文字辞書を構築した.この絵文字辞書に言語グリッドの機械翻訳サービスを適用することにより,絵文字の解釈と文例を多言語に翻訳するWebサービスを開発した.多言語翻訳可能な絵文字辞書の利用により,日本在住の外国人に日本人の絵文字の解釈と文例を提示し,携帯電話上の異言語・異文化間コミュニケーションの促進と円滑化を目的とする.
著者
武田 和夫 石黒 寛 田中 里恵 丸山 純一 笠松 隆志 大川 真 堀 伸二郎
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.280-288, 2002-10-25
参考文献数
7
被引用文献数
2 11

残留農薬の一斉分析に,GC/MS/MSを使用したときの感度及び精度を明らかにし,その有用性を検証することを目的として検討を行った.4種の農産物(ほうれんそう,にんじん,たまねぎ及び玄米)をそれぞれアセトン抽出し,GPCカラム及びグラファイトカーボンカートリッジで精製したものをマトリックス試料とし,35種類の農薬を添加して分析精度の検討を行った.その結果,検出限界はGC/MS (SIM)と比較してほぼ同等であった.各種マトリックスを添加した農薬標準溶液の測定再現性は,0.1 μg/mL及び0.05 μg/mLの濃度においてそれぞれ良好であったが,0.02 μg/mLでは35農薬中20農薬において変動係数が 10% 以上となった.SIM測定では避けられないマトリックス成分による妨害ピークも,GC/MS/MSを使用することによって影響を排除できる例が複数確認された.