著者
池田 正弘
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:24321982)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.2-10, 2021-06-24 (Released:2021-09-30)
参考文献数
29

In the present paper, I review our recent two papers of the joint works with Atsushi Miyauchi (Tokyo Univ.), Yuuki Takai(KIT) and Yuichi Yoshida (NII). I mainly introduce the background of their papers and the fundamental notions for community detection of networks. First I review the notion of Laplacian and Cheegerʼs inequality for the usual undirected graph. After that, I introduce the definition of the (submodular) Laplacian for hypergraphs and the heat on them. Especially, I introduce several properties of the Laplacian and heat such as maximal monotonicity of the Laplacian and well-definedness of the heat and the Personalized PageRank respectively. Moreover, I introduce the application of the properties to the community detection on hypergraphs.
著者
春日 遥 大橋 真智子 山本 将隆 小西 祐輔 北村 春菜 池田 宥一郎 村井 貴
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.1_30-1_35, 2021-03-31 (Released:2021-03-19)
参考文献数
11

「アニマルめがねラボ」は小学3年生から中学3年生までを対象にした、バーチャル・リアリティ映像作品を用いたサイエンスコミュニケーションイベントである。子どもには難しい「動物の視覚」を題材に、バーチャル・リアリティによる直感的理解だけではなく、場のデザインにより教育効果を高める工夫を行った。多様な動物に実際に会える動物園という場の相乗効果を狙った開催場所の選定や、架空の研究所「アニマルめがねラボ」としてディティールにこだわった場の演出を行った。イベントに参加した子ども達は「リクガメとヌマガメの視力」、「イヌとネコの色覚」、「ヤモリとカエルの動体視力」の3つのブースを通して、多様性に富む生き物の視覚を学習し、更なる学習への意欲や動物への関心を得た。
著者
池田 健一郎 浦野 昌一
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.2D6GS204, 2022 (Released:2022-07-11)

近年、再生可能エネルギーへの注目が高まっている中、太陽光発電は固定価格買取制度などの国の積極的な政策により導入量が増加傾向であり、それに伴い太陽光発電の活用が高まっている。太陽光発電は気象状態に影響を受けやすく、特に日射量が太陽光発電量と強い相関性を持つことから、太陽光発電量予測と同時に日射量予測の研究が盛んに行われている。しかし、太陽光発電は、気象に依存しやすいことで安定的な供給に課題がある。電力系統運用の発電計画を立てる際には、各発電の発電量を正確に把握する必要があるため太陽光発電量の高精度な予測が必要とされている。本研究では、気象データの特徴を捉えた分類モデルの構築を行い日射量予測の精度向上を目的とする。 筆者らはこれまでの研究において、気象庁が提供している天気概況を用いて決定木により分類モデルを作成し天気状況を予測した後、XGBOOSTを用いて日射量予測を行った。本稿では、気象データにクラスタリング手法を用いて新たな天気状況分類を作成し、より日射量予測に適した天気状況分類モデルを構築することで、日射量予測の精度向上を目指した。
著者
溝口 理一郎 池田 満 來村 徳信
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能 (ISSN:21882266)
巻号頁・発行日
vol.14, no.6, pp.1019-1032, 1999-11-01 (Released:2020-09-29)

Building an ontology requires clear understanding of what can be concepts with what relations to other concepts. an ontology thus focuses on "objects" themselves rather than "representation" of them. However, few research have dealt with what to represent to date. Theory of content (what to represent) is badly needed. As a basis of ontological engineering, this paper presents ontological theories of semantic links such as is-a and part-of based on the set theory. Formulation of instance-of, is-a and part-of links is done based on member-of and subset-of relations sets. Concepts of relations and roles are also investigated to come up with a few guidelines of an ontology design. Although the research is not completed yet, basic design for an ontology representation language of solid foundation has been done.
著者
池田 昌広
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集. 人文科学系列 (ISSN:02879727)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.29-47, 2013-03

班固『漢書』は成書以来,複数のテキストが行われてきた。初唐に顔師古による校注本があらわれ,これが普及するにつれ標準本となった。小論は唐代における師古本普及のさまを推測するため,盛唐に成った司馬貞『史記索隠』と張守節『史記正義』とが師古本を利用しているか否かを調査した。その結果,索隠では利用に否定的,正義では肯定的結論を得た。索隠がおもに依拠した『漢書』テキストは師古本以前の標準本たる東晋の蔡謨集解本であったらしい。 正義では蔡謨本利用の痕迹は見つかっていない。 果たして,旧来の蔡謨本によった索隠と,あらたな師古本によった正義と,両者の『漢書』テキストの選択は対照的といえる。これの成因は索隠と正義との成立の時間差と思われる。正義は開元24年(736)の成立,索隠はそれより一世代分ほど早く成ったようだ。この間隔に師古本の普及が一定程度すすみ,正義の師古本利用を可能にしたと推量される。このことから師古本は成立後,急速に普及したのではなく漸次的に普及し,盛唐のころ蔡謨本から師古本へ 『漢書』の標準本の交替がおこったと考えられる。
著者
池田 道政
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.46-50, 1987-01-01 (Released:2013-04-26)
被引用文献数
1 1
著者
澤田 珠稀 仁木 一順 大西 二千夏 多田 耕三 西田 明代 土肥 甲二 光在 隆 奥田 八重子 森川 幸次 前 武彦 黒木 光代 高岡 由美 松岡 太郎 芦田 康宏 池田 賢二 上田 幹子
出版者
日本社会薬学会
雑誌
社会薬学 (ISSN:09110585)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.175-186, 2022-12-10 (Released:2023-01-06)
参考文献数
12

Advances in information and communication technology (ICT)-especially, the spread of social networking services (SNSs)-have facilitated the dissemination of information and an explosion of health information lacking scientific evidence. Therefore, we believe that community pharmacies are the most suitable bases for distributing health information. In 2019, we launched the health support pharmacy “Toyonaka Model” in collaboration with the pharmaceutical association, municipal government, and university. Touch-panel digital signage (DS) was used for real-time distribution of ever-changing information and a rapid grasp of pharmacy users’ responses to various types of information. Between September 2019 and August 2021, one DS was installed in a pharmacy in each of Toyonaka City’s seven areas along with 14 questions on the usefulness of the delivered information. Respondents answered the 14 questions by a tablet or questionnaire; touch logs for DS were collected. When a pharmacy user consulted with a pharmacist about information delivered via DS, the contents were recorded and described by the pharmacist on a 4-point scale (e.g., “inquiry only,” “went through to execution”). From the 850 completed questionnaires and 61,565 touches, 88.7% of the respondents indicated that the information was useful, and 90.0% expressed interest in receiving more health information in the future. Thus, health information provided by DS may be useful to pharmacy users, as demonstrated by 113 cases in which the pharmacist was consulted regarding such information. In 62 of these cases, there were indications that the DS information might have influenced users’ behavior and intended actions.
著者
曽良 一郎 猪狩 もえ 山本 秀子 池田 和隆
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.130, no.6, pp.450-454, 2007 (Released:2007-12-14)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

モノアミントランスポーターはコカイン,メチルフェニデート,メタンフェタミン(MAP)などの覚せい剤の標的分子であることから,覚せい剤依存の病態における役割を明らかにするための詳細な精神薬理学的研究が行われてきた.モノアミントランスポーターには,各モノアミンの前シナプス終末に主に発現する細胞膜モノアミントランスポーターと,すべてのモノアミンを基質とするシナプス小胞モノアミントランスポーター(VMAT)の2種類がある.覚せい剤は,モノアミン輸送を阻害し,神経細胞内外の分画モノアミン濃度を変化させ薬理効果を示す.コカインは細胞膜モノアミントランスポーター阻害作用を有し,その報酬効果はドパミントランスポーター(DAT)を介しているとする「DAT仮説」が提唱された.しかし,DATとセロトニントランスポーター(SERT)が共に関与していることが示された.ただし,SERTよりもDATがより大きな役割を果たしていると考えられる.「DAT仮説」は当初提唱された以上に複雑であると思われる.また,メチルフェニデートを健常人に投与すると投与が興奮や過活動を引き起こすが,注意欠陥多動性障害(ADHD)患者へは鎮静作用がある.DAT欠損マウスはメチルフェニデートを投与されると移所運動量が低下することから,ADHDの動物モデルの一つと考えられる.MAPはコカインとは異なる薬理作用を有する.コカインがDATを阻害し,細胞外ドパミン(DA)を増加させるのに対して,MAPはDATに作用して交換拡散によりDAを細胞外へ放出させることで細胞外DA濃度を増加させる.さらに,MAPはVMATに作用して小胞内のDAを細胞質へ放出させる.MAPの反復使用は,逆耐性現象(行動感作)や認知機能に障害を引き起こすことから,覚せい剤精神病や統合失調症などの動物モデルの一つと考えられている.依存性薬物のモノアミントランスポーターへの複雑な作用機序を明らかにすることにより,薬物依存の病態の新たな知見が得られてくると期待される.
著者
森本 行人 池田 潤
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.21-25, 2023-01-01 (Released:2023-01-01)

本稿では,日本語で書かれた人文社会系分野の研究の見える化に向けて,筑波大学が行ってきた取り組みについて述べる。1つは,筑波大学人文社会系の独自の取組としてのiMD(index for Measuring Diversity)である。iMDは学術誌の著者所属の多様性を図る指標として私たちが提案した手法で,特許も取得した。このiMDは,筑波大学人文社会系の評価指標にも活用されている。もう1つが筑波大学ゲートウェイである。筑波大学ゲートウェイは,F1000 Researchのプラットフォーム上に開発したものであり,全学の研究成果公開を促進する。ローンチから2年を経て筑波大学ゲートウェイをリブランドし,Japan Institutional Gatewayとして世に送り出すまでの経緯ならびに将来の展望を概説する。
著者
中井 健太郎 山本 修太郎 友岡 知加 井上 めぐみ 古原 千明 宿理 朋哉 髙江 啓太 谷口 拓也 池田 綾 小江 雅弘 満生 浩司
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.61-69, 2020 (Released:2020-02-28)
参考文献数
24

透析患者の心臓手術においてガイドラインに即した周術期プロトコールを作成し, 多職種が連携して管理を行ってきた. 当院における周術期合併症を調査することによりプロトコールの検証を行った. 2016年から2018年に心臓手術を行った症例のうち大血管の同時手術を除く128例を対象として, 維持透析29例 (透析群) と, 非透析群99例を比較検討した. 心臓手術の内訳は, 大動脈弁置換術および冠動脈バイパス術が最も多く, 両群間で差を認めなかった. 入院中死亡は透析群で2例 (7%), 非透析群で3例 (3%) であり有意差を認めなかった. 術後在院日数は透析群で有意に長く (30.7日 vs. 23.3日), 予定外の体外循環を要した割合は透析群で有意に高率であった (17% vs. 1%). ただし, CABG単独においては, 術後在院日数, 予定外の体外循環は両群間で同等であった. 特に弁膜症手術に際しては, 予定外の体外循環を減らし入院期間を短縮するため, さらなる検討を行っていきたい.
著者
池田 全之
出版者
教育思想史学会
雑誌
近代教育フォーラム (ISSN:09196560)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.227-246, 2004-09-18 (Released:2017-08-10)

教育思想史研究において、我々は過去のテキストを読解している。だが、この読解において過去のテキストの含意を、我々は無自覚に自身の意味づけ作用の中に回収してはいないか。教育思想史研究でなされてきた他者性を巡る議論を踏まえれば、こうした疑問が脳裏に去来する。現代思想の動向から考えれば、テキストが孕む理解不可能性(他者性)を極限まで尊重する解釈術としては、デリダの業績が真っ先に思い浮かぶ。だが、デリダも指摘するように、こうした解釈術の先駆けとして、ベンヤミンの批評手法がある。当初翻訳論として提起された、テキストの真理そのもの不在と諸翻訳の協働によるその再現という解釈術構想は、『ドイツ悲劇の根源』の序論で、現象の概念的弁別と理念におけるその救済の思想に拡張され、『パサージュ論』において、対立項の緊張の極みでの真理の閃き構想(静止状態の弁証法)に帰着した。本稿は、文芸批評の方法論から始まり社会批判の方法に深化したベンヤミンの解釈術の構造を、その鍵語であるアレゴリーに着目して解明し、破壊即救済というそれの特異なテキスト理解論を明らかにした。
著者
池田 克巳 引間 徹 楠 公仁 渡辺 幸男 藤橋 弘 日吉 貴一郎 菅沼 信夫 岩崎 浩一郎
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.437-450, 1981-09-28 (Released:2010-07-16)
参考文献数
32
被引用文献数
3 3

In order to prevent the periodontal disease, it would be a matter of important fact to apply cleaning the teeth and giving massage on marginal gingiva by means of brushing and using dentifrices including effective ingredients.The aim of this study was to investigate on the effects of the dentifrice including tranexamic acid (T dentifrice) comparing with placebo (P dentifrice).Subjects were 242 students of Josai Dental University who had no serious oral disease.P-M-A index, redness, bleeding and dental plaque were selected as indices for clinical evaluation of periodontal disease. This study was conducted with double blind method.The results obtained were as follows:1) Subjects used for statistical analysis were 207 students. (104: T dentifrice group, 103: P dentifrice group).2) T dentifrice was significantly more superior in recovery of P-M-A index (p<0.01), redness (p<0.01) and bleeding (p<0.05). On the other hand, there was no significant difference in recovery of dental plaque between T dentifrice and P dentifrice.3) The mean reduction rates of T dentifrice and P dentifrice were 31.0% and 14.3% in P-M-A index, 36.3% and 19.6% in redness, 66.7% and 42.9% in bleeding, respectively.4) Significant difference was observed in the general improvement (p<0.01). The rates of the general improvement of T dentifrice and P dentifrice were 71.0% and 48.5%, respectively.5) No particular side effect was observed through this study.
著者
鳥越 大平 髙橋 政友 中尾 素直 相馬 悠希 池田 和輝 中谷 航太 馬場 健史 和泉 自泰
出版者
一般社団法人 日本質量分析学会
雑誌
Journal of the Mass Spectrometry Society of Japan (ISSN:13408097)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.245-247, 2022-12-01 (Released:2022-12-15)
参考文献数
4

Epimetabolite is defined as analogues of known metabolites with different substructures. The rapid development of high-resolution mass spectrometry (HRMS) and some data mining tools has contributed to detecting and identifying a few epimetabolites that could play an important role as biological functions. However, almost all epimetabolites have not been identified because a generally applicable method for the comprehensive annotation of epimetabolites had not been developed. In the present study, we have proposed an advanced methodology for comprehensive structural elucidation of unidentified hydrophilic metabolites by a combination of stable isotope labeling, unified-HILIC/AEX/HRMS/MS analysis, data mining techniques, and metabolite annotation using in silico epimetabolite database (IEMDB). In fact, we successfully annotated 444 novel epimetabolite candidates in E. coli. Our method has several advantages over conventional techniques and represents a potentially useful tool for structural elucidation of comprehensive epimetabolites.
著者
因 京子 Apduhan Kyoko I. 池田 隆介
出版者
専門日本語教育研究会
雑誌
専門日本語教育研究 (ISSN:13451995)
巻号頁・発行日
no.2, pp.38-45, 2000

本稿は、中級程度の日本語知識を持つ理系留学生が専門分野の講義やゼミに参加する技能を獲得するために、専門授業に近い形で授業の教科書として用いることのできる専門科目のための日本語教材が必要であることを論じ、その素材と作業の内容を検討する。近年、科学技術系の専門用語や文型を提示する教材やレポート作成法などについての有用な参考書が次々と提案され、研究活動に必要な日本語の知識を得ることが格段に容易になってきた。しかし学習者の多くは、主体的にそうしたリソースを利用して自分の研究活動を行う段階に至る前に、日本語能力の不足を補いつつ専門科目の活動に参加する方法を具体的に経験することを助ける教材を必要としていると考えられる。専門科目型教材は、専門の授業に近い活動を核として、言語的準備から授業参加、課題実行までの活動を総合的に体験する機会を与え、自律学習への意欲と技能とを高めることを目的とする。このような教材の素材としては、議論や提案の余地を持つ主題を選択すべきである。学習のための作業としては、言語と専門内容についての準備作業と、レポート作成などの実践的作業の両方を含めることが必要である。また、自己の学習を意識化するよう促さなければならない。教材の作成にあたっては専門科目の教官と日本語教官との連携が必須であり、授業の実施にも、日本語教官が関わる必要があると考えられる。