- 著者
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清水 裕晶
獨協医科大学内科学(内分泌代謝)
- 雑誌
- Dokkyo journal of medical sciences (ISSN:03855023)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, no.1, pp.T11-T17, 2010-03-25
横紋筋細胞におけるピオグリタゾンとメトホルミンの単独,及び併用投与時の遺伝子変化について解析した.最初に,ヒト横紋筋由来のA673細胞に対して,1 mMのメトホルミンと10 m Mのピオグリタゾンの単独投与群と両剤併用群を作成し一日培養後,各群にマイクロアレイを施行した.対照と比較し,単独及び,併用投与時には1000個を超える遺伝子で2倍以上の発現を認めた.単独投与で発現が増加し,併用で更に増加した遺伝子群を抽出して階層型クラスター解析と優位機能Pathway解析を施行したところ,階層型クラスター解析では,単独時と比較して,併用時で有意なミトコンドリアb 酸化回路の活性化を認めた(p<0.05).また優位機能Pathway解析では,CPT-1A を含むb 酸化関連遺伝子の活性化を認めた.本研究において,両剤の併用は横紋筋細胞のb 酸化回路を賦活化して,より脂肪燃焼・抗肥満的に作用する可能性が示唆された.