著者
渡辺 伸一
出版者
奈良教育大学
雑誌
奈良教育大学紀要. 人文・社会科学 (ISSN:05472393)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.109-119, 2012-11

Over 190 animal species are designated as the national monument by the Law for the Protection of Cultural Properties. The "deer of Nara" have a very peculiar characteristic among them. It is difficult to specify which "sika" deer belong to the deer of Nara because the Cultural Properties Protection Committee (the Agency for Cultural Affairs since 1968) defines them ambiguously. The deer of Nara, Cervus nippon (species name), living from Hokkaido in the north to Kyushu in the South, are found mainly in Nara Park in the city of Nara. The deer of Nara are defined simply as "sika" deer (1) living in and around Nara Park and (2) being tame. Yet, both "around Nara Park" and "being tame" are ambiguous terms, whose specification varies from person to person. This article confirms that the way to specify the deer of Nara has been ambiguous since they were designated as national monument under the Law for the Protection of Cultural Properties (1957). Then, it shows how the ambiguity of the provisions has brought about various confusions and problems among local people and clarified the reasons why their content has become ambiguous. Finally, the author proposes how new provisions should be framed from the position that they must be clearly articulated.
著者
渡辺 伸也 高橋 清也 赤木 悟史 水町 功子 松田 秀雄 米内 美晴 片山 努 横山 紅子 高橋 正弘 上田 淳一 長谷川 清寿 志賀 一穂
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.99, pp.149, 2006

【目的】わが国では,多数の体細胞クローン牛が生産されており,これらの牛を対象とした一連の飼養・繁殖試験を通じ,雌雄のクローン牛の成長や繁殖に関する健全性のデータが収集されている。しかしながら,クローン牛由来乳のリスク評価に重要といわれる乳中アレルゲンに関するデータ収集は不十分である。本研究では体細胞クローン牛およびその後代牛が生産した乳中のβ-ラクトグロブリン(BLG)の遺伝的変異体(多型)のタイプ(ホルスタイン種では、通常、A型,B型およびAB型の3種類)を調査した。【方法】泌乳中の体細胞クローン牛:11頭(ホルスタイン種:9頭,黒毛和種:2頭),体細胞クローン後代牛:6頭(ホルスタイン種),5頭の体細胞クローン牛(ホルスタイン種)に共通のドナー牛:1頭および対照牛:17頭(ホルスタイン種:15頭、黒毛和種:2頭)より乳を採取し,その中に含まれるBLGのタイプをBLG特異的抗体(森永生化学研究所製)を用いたウエスタンブロット法で解析した。【結果と考察】調査したホルスタイン種におけるBLGタイプは,体細胞クローン牛で,A型:2頭,B型:1頭,AB型:6頭,後代牛で,A型:0頭,B型:2頭,AB型:4頭,また,対照牛で,A型:4頭,B型:4頭,AB型:7頭であった。ドナー牛とこの牛の体細胞より生産されたクローン牛(5頭)に由来する乳のBLGタイプは全て同一(AB型)であった。一方,調査した黒毛和種におけるBLGタイプは,体細胞クローン牛2頭 (同じ体細胞由来) で,ともにB型,対照牛で,A型:0頭,B型:1頭,AB型:1頭であった。以上の結果は,体細胞クローン操作が,生産されたクローン牛やその後代牛の乳中BLGにおける遺伝的変異体のタイプに影響を及ぼしていないことを示唆している。
著者
渡辺 伸一
出版者
奈良教育大学
雑誌
奈良教育大学紀要. 人文・社会科学 (ISSN:05472393)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.109-119, 2012-11-30

Over 190 animal species are designated as the national monument by the Law for the Protection of Cultural Properties. The "deer of Nara" have a very peculiar characteristic among them. It is difficult to specify which "sika" deer belong to the deer of Nara because the Cultural Properties Protection Committee (the Agency for Cultural Affairs since 1968) defines them ambiguously. The deer of Nara, Cervus nippon (species name), living from Hokkaido in the north to Kyushu in the South, are found mainly in Nara Park in the city of Nara. The deer of Nara are defined simply as "sika" deer (1) living in and around Nara Park and (2) being tame. Yet, both "around Nara Park" and "being tame" are ambiguous terms, whose specification varies from person to person. This article confirms that the way to specify the deer of Nara has been ambiguous since they were designated as national monument under the Law for the Protection of Cultural Properties (1957). Then, it shows how the ambiguity of the provisions has brought about various confusions and problems among local people and clarified the reasons why their content has become ambiguous. Finally, the author proposes how new provisions should be framed from the position that they must be clearly articulated.
著者
渡辺 伸也
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, 2010-02-25

体細胞クローン牛由来畜産物の安全性確認は,全国畜産場所長会の「畜産技術開発推進に関する提案」や地域の畜産推進会議の要望事項として,ここ数年来,独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構畜産草地研究所に寄せられてきた重要な要望事項のひとつであった.畜産草地研究所では,全国の関係機関の協力を得,体細胞クローン牛およびその後代牛の健全性や生産物性状の調査を進め,2008(平成20)年3月,「体細胞クローン牛・後代牛の健全性ならびに生産物性状に関する国内調査報告書」を取りまとめるなど,その要望に応えるよう務めてきた.<BR>食品安全委員会は,この国内調査報告書をはじめとした国内外の参考資料に基づく慎重な審査ならびにリスクコミュニケーションやパブリックコメントを実施し,新開発食品評価書「体細胞クローン技術を用いて産出された牛および豚ならびにそれらの後代に由来する食品」を公表した(2009(平成21)年6月25日).これを受けた農林水産省の通達(同年8月26日)の内容は,実質的に1999(平成11)年11月に出された体細胞クローン牛の出荷自粛要請の継続であった.<BR>このような情勢を受け,今回の問題別研究会では,「体細胞クローン技術の取り扱いと利用方向」というテーマを設定し,体細胞クローン牛豚およびその後代に関するリスク評価の経緯やその結果ならびにリスク管理機関(厚生労働省と農林水産省)の方針や考え方を担当官から参加者にわかりやすく説明していただくとともに,参加者の質問にも答えてもらうことにした.あわせて,現在の農林水産省の方針を踏まえた体細胞クローン技術の利用方向として,「クローン検定」と「医学・医療への利用」に関する研究について,参加者の認識を深めるため,関係する理論や実践に詳しい専門家より最新の研究情報を提供していただくことにした.<BR>担当官の説明に対し,参加者からは,「食品安全委員会の審査によって,体細胞クローン牛豚の安全性が確認されたにもかかわらす,農林水産省は,なぜ,これらの動物の規制を続けるのか」という声があがった.農林水産省の担当官からは,規制する根拠として,「低い生産効率など,商業生産に見合わない技術段階」と「国民理解の醸成不足」が提示された.これに対して,参加者からは,「どこまで生産効率を高めたら規制を解除できるのか,その基準を教えて欲しい(研究者)」,「消費者は皆よく知っている.規制を続けることがサイレント・マジョリティの声ではない(消費者)」などといった質問や意見がだされた.研究会で提起された論点の詳細については,「体細胞クローン家畜の生産効率向上へ向けた将来展望(12月15日)」の分もあわせて,「畜産草地研究所研究資料(10号 ; 予定)」に掲載し,今後の議論の参考に資したいと考えている.<BR>最後に,年末のご多忙な時期にもかかわらず,研究会の講師を務め,また,原稿の取りまとめにもご協力いただいた諸先生に感謝いたします.
著者
内田 悠介 枝廣 育実 水野 恒史 高橋 弘充 大野 雅功 北口 貴雄 勝田 隼一郎 幅田 翔 大橋 礼恵 岡田 千穂 内田 和海 渡辺 伸 深沢 泰司 伊藤 真義 武田 伸一郎 田島 宏康 湯浅 孝行 他HXI/SGDチーム 太田 方之 林 克洋 小高 裕和 一戸 悠人 米田 浩基 都丸 亮太 高橋 忠幸
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.71, pp.373, 2016

<p>2016年2月に打ち上げられたX線天文衛星「ひとみ(ASTRO-H)」に搭載された軟ガンマ線検出器(SGD)の主検出器はコンプトンカメラである。これまでに、実験による性能評価の一方で、シミュレーションによる検出器応答の作成が行われた。検出器の応答は、バックグラウンドや入射光子の偏光の影響を受ける。2015年11月に行われたSPring-8偏光ビーム試験の結果を含めて、本講演ではSGDコンプトンカメラの検出器応答について報告する。</p>
著者
渡辺 伸一 飯島 伸子 藤川 賢 渡辺 伸一
出版者
奈良教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本報告書は、カドミウム汚染による健康披害、土壌汚染、農業被害に関する社会学的調査の研究成果をまとめたものである。カドミウム汚染は、他の重金属公害に比べて全国的に多発しているが、本調査では、中でも代表的な事例である富山県神通川流域、長崎県対馬佐須地域、群馬県安中碓氷川流域の3事例を対象とし、比較考察すると同時に、全国的状況の総合的把握を目指した。本調査は、イタイイタイ病(イ病)およびカドミウム中毒に関する公害史の試みの一つでもあるが、環境社会学的視点から、とくに、被害者、家族、地域住民、行政、医学者、研究者等の各主体による認識と対応、および、公害にかかわる被害の社会的増幅・拡大(被害構造)を、地域ごとの違いを含めて明らかにすることに留意した。報告書では、前半で富山イ病を中心とする全国状況の把握、後半の各章で各地域の歴史と現状をそれぞれ紹介する。カドミウム中毒は、骨への激甚な被害をもたらすが、より微量でもカドミウム腎症(近位尿細管障害)の原因となることが明らかになってきた。それは、土壌汚染やカドミウム汚染米等の農業被害の問題ともかかわる。そのためもあり、カドミウムによる健康被害をめぐる医学論争は、イタイイタイ病訴訟や「まきかえし」の時代から30年以上たつ現在も継続している。本調査では、この論争をめぐる社会的要因を探ると同時に、論争の背後での被害者への影響を確認した。
著者
渡辺 伸一
出版者
環境社会学会
雑誌
環境社会学研究 (ISSN:24340618)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.129-144, 2001-10-31 (Released:2019-03-12)

環境の保護は,社会的に重要な課題である。しかし,環境保護の実際をみると,学術的な重要性や,保護が生み出す受益のために,特定の少数者に過重な負担や受忍を強いる例が散見される。「奈良のシカ」の事例は,こうした問題がみられてきた典型例である。奈良のシカは,「奈良公園の風景の中にとけこんで,わが国では数少ないすぐれた動物景観をうみ出している」とされる天然記念物であり,奈良における最も重要な観光資源の一つでもある。が,当地では,このシカによる農業被害(「鹿害」)を巡り,シカを保護する側(国,県,市,春日大社,愛護会)と被害農家との間での対立,紛争が長期化し,1979年には被害農家による提訴という事態にまで至ってしまった。本稿では,まず,鹿害問題の深刻化過程をみた後に,紛争長期化の背景を,「シカが生み出す多様な受益の維持」「保護主体間の責任関係の曖昧性」「受苦圈と受益圈の分離」「各保護主体にとっての保護目的の違い」等に着目しながら検討した。鹿害訴訟の提訴と和解(1985年)は,被害農家が長期に亘って強いられてきた状況を大さく改善させる契機となった。しかし,この新しい鹿害対策も,十分には機能してこなかった。そこで,後半では,鹿害対策の現状に検討を加えた上で,依然として問題の未解決状態が続いている理由と問題解決への糸口について考察した。
著者
畑 雅恭 内匠 逸 太田 健次 井筒 潤 藤井 隆司 佐藤 時康 矢橋 清二 渡辺 伸夫
出版者
Society of Atmospheric Electricity of Japan
雑誌
Journal of Atmospheric Electricity (ISSN:09192050)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.37-52, 2010 (Released:2012-04-07)
参考文献数
16
被引用文献数
1

ELF (30-300 Hz) band three-axial magnetic-flux receiver was developed for detecting electromagnetic-wave precursor of earthquakes and volcanic eruption. The receiver attained a high sensitivity of 0.4pT/√Hz (223Hz) and 4.5 pT/√Hz (17Hz) for the ground based observation of the ambient magnetic flux anomaly. The receiver was extended to detect ultra-low-frequency (ULF) variation (0.1 to 10-7Hz) of crust magnetic flux by through MMD (Modulated Magnetic-flux Detection) reception. It detects the modulated components of the ELF band atmospheric signal which are produced by the crust ULF magnetic-flux variation. The receiver noise due to the artificial noise can be smoothed out from the objective ULF magnetic flux signal by introducing long term integration for the period of 107 seconds of the detected signal. The receiver detected the ULF anomaly of magnetic variation and the Schumann Resonance variation appeared before the two earthquakes of the class M7 occurred in Japan in 2005 and 2007 respectively.
著者
丹 敦 渡辺 伸一
出版者
奈良教育大学
雑誌
奈良教育大学紀要. 人文・社会科学 (ISSN:05472393)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.165-180, 2004-10-31

Deer in Nara - "Nara-no-Shika"- inhabit the area in and around Nara Park in Nara City, the capital of Nara prefecture. In Nara, they have been protected as sacred animals of the Kasuga shrine for a long time. On the other hand, damage to crops caused by them was so serious that the villages in Nara built "Shikagaki" (Shishigaki) during the Edo period. "Shikagaki" is a piece of equipment which is made of wood, stones and mud to prevent damage to crops caused by wild animals, especially deer in the case of Nara. According to our fieldwork, ruins of "Shikagaki" still exist around Nara Park. However, there has been no study to prove where they are located. We would like to propose that the rums of "Shikagaki" are very precious reminders of Nara's heritage in the sense that they are the products of local villagers' hard work. The purpose of this study is to clarify the distribution of the "Shikagaki" and their present situation.
著者
中澤 知洋 森 浩二 村上 弘志 久保田 あや 寺田 幸功 谷津 陽一 馬場 彩 幸村 孝由 内山 泰伸 斉藤 新也 北山 哲 高橋 忠幸 渡辺 伸 中島 真也 萩野 浩一 松本 浩典 古澤 彰浩 鶴 剛 上田 佳宏 田中 孝明 内田 裕之 武田 彩希 常深 博 中嶋 大 信川 正順 太田 直美 粟木 久光 寺島 雄一 深沢 泰司 高橋 弘充 大野 雅功 岡島 崇 山口 弘悦 森 英之 小高 裕和 他FORCE WG
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集 72.1 (ISSN:21890803)
巻号頁・発行日
pp.508, 2017 (Released:2018-04-19)

NGHXTあらため、FORCE衛星は1-80 keVの広帯域X線を高感度で撮像分光し、まだ見ぬ隠されたブラックホールや超新星残骸のフィラメントでの粒子加速の探査を目指している。2016年に変更した計画の内容、検出器および望遠鏡の開発状況、およびサイエンス検討の進捗を報告する。
著者
渡辺 伸一
出版者
関東社会学会
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.4, pp.69-80, 1991-06-15 (Released:2010-04-21)
参考文献数
30

The concept of “post-materialistic” values has been, either positively or negatively, adopted by scholars who study “new social movements”. Undoubtedly, this implies that the concept has become an essential vehicle to analyze the sense of values and attitude in new social movements. The primary object of this paper is to summarize how this concept, as a conceptual instrument, has made a great impact on the process of analyzing social movements and “new politics”. But I disagree to apply the concept, as Ingelhart's definition remainds intact, to comprehend the meaning of new social movements. In this paper I wish to propose the new interpretation of “post-materialistic” value while removing a nagative influence of the Haslovian linear theory on Ingelhart's concept.