著者
海上 智昭 田辺 修一 渡辺 美香 相川 沙織 須藤 啓介 岡村 信也
出版者
一般社団法人日本リスク学会
雑誌
日本リスク研究学会誌 (ISSN:09155465)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.199-218, 2012 (Released:2013-06-04)
参考文献数
104

The early 1920s was an epoch making era for research on disasters, especially in the behavioural/ social science research areas. Since the first behavioural/social scientific research on disasters was tailored by Prince in 1920, research on disasters has gained popularity and importance over time with a substantial amount of literature exploring the interaction between human society and disasters. By tracing how the term “disaster” has evolved and shifted over time, the authours identify key trends in behavioural/scientific approach to disasters. The authours present a selective overview of research on disasters to synthesize the insights of the past research, and move in the direction of presenting a clear answer for the old yet new question of what disaster is and what it means. Possible directions for future research were also discussed.
著者
金子 祥子 渡辺 聡哉 南 吉昇 立木 孝
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.220-226, 2005-06-30 (Released:2010-08-05)
参考文献数
11

入院加療で治癒し, 退院後の経過観察中に再発をきたした突発性難聴の2症例 (53歳女性, 38歳男性) を経験した。2症例とも初発時と再発時の難聴型はほぼ同様であったが, その転帰は異なり, 1症例は再発時も治癒したがもう1症例は回復に留まった。現在まで突発性難聴再発例の報告は少なく, 初発時からの聴力像の詳細な経過をたどったものはない。今回我々は初発時から治癒, 固定に至るまでの経過を観察することができたため報告する。
著者
渡辺 良雄
出版者
THE TOHOKU GEOGRAPHICAL ASSOCIATION
雑誌
東北地理 (ISSN:03872777)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.61-69, 1965 (Released:2010-10-29)
参考文献数
22

以上, 東北地方の都市の基本的産業構成を検討し, それが第3次産業依存である事実から, 中心地理論の解釈を適用しその規模的階層分化の事実を示した。そしてこれらの点のみに関していえば次の事を指摘出来る。1) Basic-Nonbasic 機能の統計的検出法を適用すると, 都市自体の消費等価分を超過する産業活動は, 東北地方では本質的には第3次産業のみであり, 流通と公務の都市の性格が明瞭である。2) この事実はIsolated Urban Societyに近い都市の構成性格を示唆するが, それらが全体として中央日本の都市の第2次産業との分業関係で成立する点では, 純粋なIsolated Urban Societyとも異質のものとみられる。3) これらの性格が典型的に示されるのは, 東北地方でも宮城県南縁部および山形県中部以北に限定される。4) これらの第3次産業依存の都市の地域では, 局地的には都市規模の階層分化の事実が明瞭に示される。しかしその様相は, おおよそ4つの地域的類型により規構成を異にする。従って東北地方全体といった規模の階層分化構造をみると, 異質の階構造の総和となるので全体としての分化構造は認められなくなる。
著者
中原 竜二 海野 進 渡辺 一樹
出版者
静岡大学地球科学教室
雑誌
静岡大学地球科学研究報告 (ISSN:03886298)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.25-57, 1992-07

伊豆半島と伊豆大島の間の海底には40ケ所以上の地形的高まりが存在して, そのほとんどは海底火山体と考えられている。1991年4月27日から5月1日にかけて海上保安庁水路部によって, この海域に存在する海山の頂上, 約30ポイントから約60個の火山岩, 砂岩, 火山噴出物と砂などから成る集塊岩などがドレッジされた。Na_2O+K_2O-FeO^*(全FeO)-MgO図(AFM図)で示される全岩化学組成から, ドレッジされた火山岩は, よりアルカリ元素に富み, 低いFe/Mg比をもつ局アルカリソレアイト系列と, よりアルカリ元素に乏しく, 高いFe/Mg比をもつ低アルカリソレアイト系列とに分かれる。両系列はその地球化学的, 岩石学的特徴が, それぞれ東伊豆単成火山群, 伊豆大島火山と似ている。これらの高アルカリソレアイト系列の岩石と東伊豆単成火山群から得られる火山岩は低アルカリソレアイト系列の岩石及び伊豆大島火山から得られる火山岩よりもより高いZr/Y比をもっている。マントルの部分溶融の程度が高いほどZr/Y比は低くなる。したがって高アルカリソレアイト系列の岩石と東伊豆単成火山群の本源マグマは低アルカリソレアイト系列の岩石と伊研大島火山よりもマントルの部分溶融の程度の低いマグマに由来していると思われしる。また, 高アルカリソレアイト系列の岩石と東伊豆単成火山群の岩石のZr/Y比はかなり広い組成領域をもち, マントルの部分溶融の程度にもかなりの差がある。この違いはN-type MORBのソースマントルが4〜10%分別部分溶解を起こすことによって説明できる。Zr/Y比の地域変化を見ると, 東伊豆単成火山群(海底火山も含む)は系統的な分布を示さず, 部分溶解の程度も場所によってさまざまであると思われる。したがって東伊豆単成火山群が同一の部分溶解したマントルダイアピールに由来するというモデルは成立しない。
著者
堤 理恵 瀬部 真由 別府 香名 渡辺 涼乃 尾平 優 黒田 雅士 阪上 浩
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.1019-1024, 2018 (Released:2018-10-20)
参考文献数
12
被引用文献数
1

がんの化学療法中に味覚・嗅覚障害は頻繁に生じ、患者のquality of life(以下、QOLと略)だけでなく、体重低下や栄養状態の悪化を引き起こす深刻な副作用である。しかしながらこれまで確立された治療法や予防策はなく、食事内容や形態の工夫が主な対処法であった。味覚障害は薬剤による亜鉛のキレート化が原因であるとされているが、これに加えて味覚受容体遺伝子の発現変化や口腔粘膜障害の影響も報告されている。本稿では、化学療法中に生じる味覚・嗅覚障害の実態とともに、これに対する栄養的なアプローチを紹介する。
著者
荒田 龍朗 岸 和樹 山口 俊光 渡辺 哲也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.58, pp.1-5, 2011-05-13
参考文献数
8

漢字の形を正確に知りたいという視覚障害者の要望を受けて,漢字を言葉で伝える「構成読み」を提案した.構成読みは,漢字を構成する複数の部品とその位置関係で漢字の形を表すものである.漢字の分解ルールを定め,これに従って,JIS第1水準・第2水準の6355字の漢字を作成した.構成読みによる漢字想起の精度を調べるため,構成読みで表した漢字を書かせる実験を晴眼者を対象に行った.その結果,熟語による説明では書けなかった漢字も約90%の正答率で書くことができた.これにより,構成読みの有効性が示された.一方で正答率の低い構成読みも一部あった.その要因について検証した.
著者
石山 美由紀 渡辺 正 黒澤 大樹 氷室 裕美 鈴木 久也 宇賀神 智久 中西 透 渡部 洋
出版者
日本産科婦人科内視鏡学会
雑誌
日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 (ISSN:18849938)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.345-351, 2019

<p><b>Objective:</b> To report our experience with the management of two cases of chronic tubal pregnancy by laparoscopic surgery.</p><p><b>Case 1:</b> A 37-year-old woman presented to our hospital with a small amount of genital bleeding at 10 weeks and 3 days of gestation, calculated from the date of her last menstrual period. Serum human chorionic gonadotropin level was elevated to 108.5 mIU/mL and transvaginal sonography (TVS) revealed a 52-mm diameter of irregularly shaped left periovarian mass. Magnetic resonance imaging (MRI) also showed a periovarian cystic mass with suspicion of an old hemorrhage. We performed laparoscopic left salpingectomy after the diagnosis of chronic left tubal pregnancy.</p><p><b>Case 2:</b> A 31-year-old woman was referred to our hospital with suspected left tubal abortion at 16 weeks and 1 day of gestation. Both TVS and MRI revealed a left periovarian mass with a diameter of 40 mm. After the mass was diagnosed as chronic left tubal pregnancy under laparoscopic vision, left fallopian tube was preserved by salpingotomy. She achieved twin pregnancy by ovulation induction with clomiphene 7 months after laparoscopic surgery.</p><p><b>Conclusion:</b> Although preoperative diagnosis of chronic tubal pregnancy is difficult, laparoscopic approach would be feasible, especially when salpingotomy would be performed for future fertility preservation.</p><p></p>
著者
村松 博士 田中 育太 庵原 秀之 三上 淳一 中谷 玲二 日下部 俊朗 渡辺 秀樹 北川 一彦 土田 茂 久居 弘幸 倉 敏郎 坂田 隆
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.611-616, 2018 (Released:2018-04-20)
参考文献数
32

液体栄養剤の半固形への形状変化が臨床経過に与える効果を検証する目的で無作為多施設共同比較臨床試験を行った。半固形化栄養群(以下、介入群と略)には半固形状の水分とペクチンとカルシウムを添加し半固形状とした経腸栄養剤を、液体栄養群(以下、対照群と略)には液体の水と経腸栄養剤を経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)施行翌日から胃瘻より投与開始、漸増した。介入群75例と対照群76例について術後2週間の臨床経過を比較した結果、誤嚥性肺炎の発症は介入群(1/75)で対照群(11/76)よりも有意に抑制された(p=0.0028)。また、PEG前は両群に差がなかったブリストル便形状スケールは2週間後で介入群が対照群よりも低くなり(4.9 ± 1.1 対. 5.6 ± 1.1)(p=0.00045)、便性状が改善した。PEG周術期において液体栄養剤を半固形状に変化させることによって誤嚥性肺炎と下痢を抑制した。
著者
有薗 信一 小川 智也 渡辺 文子 寶門 玲美 西村 正士
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.289-295, 2006-08-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
18
被引用文献数
1

肺葉切除術後患者における理学療法の介入頻度の違いによる効果を無作為化比較対照試験によって検討した。研究の同意を得た肺癌患者63例を手術に先立って無作為に2群に割り振った。通常の看護ケアに,理学療法士による理学療法介入を1日1回行う群を1回群とし,理学療法介入を1日3回行う群を3回群とした。当院の理学療法は,排痰,早期離床,呼吸練習などを中心に行い,手術当日から介入した。手術後1週間毎日の肺活量,酸素投与期間,歩行開始日,歩行自立日,手術後呼吸器合併症の有無を評価した。肺葉切除術を実施した症例は51例であり,1回群27例,3回群24例であった。手術後1週間毎日の肺活量,酸素投与期間,歩行開始日,歩行自立日は1回群と3回群の間に差を認めなかった。また,手術後呼吸器合併症は,1回群に膿胸1例,遷延性肺瘻1例,無気肺1例,肺炎1例の計4例であり,3回群には呼吸器合併症を認めず,2群間で有意な差を認めた。肺葉切除術後患者における多頻度の理学療法介入は,手術後呼吸器合併症を減少させるかもしれない。
著者
渡辺 卓 柳沼 厳弥 濱崎 安純 河原井 駿一
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.69-73, 2008-03-15 (Released:2009-09-15)
参考文献数
18
被引用文献数
3 5

非閉塞性腸管虚血 (NOMI) は希であるが,早期診断が難しく,腸管壊死をきたし予後不良である.1999年4月から2003年9月まで,開心術後1,040例のうち NOMI は5例であった.全例,発症時に大腿部の大理石紋様と,血中乳酸値の上昇を認めた.上腸間膜動脈 (SMA) 造影を行い, SMA 内に PGE1500μg を30分で持続動注した.腹膜刺激症状を呈した3例に開腹術を施行した.5例中4例を救命した. NOMI の診断では血中乳酸値の上昇とともに皮膚の大理石紋様は臨床的にきわめて有効な指標であった. NOMI が疑われた場合,血管造影による早期診断,早期治療が肝要と考えられた.