著者
渡辺 和宏 舟山 裕士 福島 浩平 柴田 近 高橋 賢一 上野 達也 長尾 宗紀 羽根田 祥 松野 正紀 佐々木 巌
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.517-521, 2004 (Released:2011-06-08)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2

術前診断が可能であった右傍十二指腸ヘルニアを経験したので報告する. 症例は71 歳の男性で, 突然の右側腹部痛で発症した. 小腸造影にて, 口側, 肛門側での狭窄を伴う, 空腸係蹄の集塊像を右側腹部に認めた. 上腹部CTにて, 右側腹部で被膜に包まれ嚢状塊となった拡張した小腸を認め, 上腸間膜動静脈の腹側を扇状構造の腸間膜が走行していた. 右傍十二指腸ヘルニアの診断にて, 発症から14日後, 開腹手術となった. 開腹所見にて下結腸間膜窩に発生した右傍十二指腸ヘルニアと診断され, 嵌入した腸管を還納した後ヘルニア門を閉鎖した. 腸間膜側壁窩に発生する一般的な傍十二指腸ヘルニアでは, ヘルニア嚢は上腸間膜動静脈の背側を走行するが, 自験例では上腸間膜動静脈とは独立した位置関係であった. 下結腸間膜窩をヘルニア門とするヘルニアは我々が検索した限りでは報告がなく, 極めてまれな症例であると考えられた.
著者
堀田 慎一 鈴木 佳司 渡辺 幹男 本間 英夫
出版者
The Surface Finishing Society of Japan
雑誌
表面技術 (ISSN:09151869)
巻号頁・発行日
vol.44, no.10, pp.831-835, 1993-10-01 (Released:2009-10-30)
参考文献数
9
被引用文献数
3 3

Various factors influencing the adhesion between glass and electroless nickel plated films were investigated. In terms of the film, it was found that the use of glycine as a complexing agent resulted in films that exhibited good adhesion. Adhesive strength also increased at lower pH and lower plating bath temperature. In terms of pretreatment, etching was important to improving adhesion. Adhesive strength was greatest when the glass was first etched with sodium hydroxide, next etched with hydrofluoric acid and then treated with methylate. Adhesion was also increased by decreasing the level of dissolved oxygen in the catalyzing treatment solution and plating bath.
著者
渡辺 和明 小池 真史 立石 章 高久 雅喜 本宮 栄二 道廣 英司
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
地震工学研究発表会 報告集 (ISSN:18848451)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.193, 2005 (Released:2010-11-22)
参考文献数
16

筆者らは, 供用開始から約30年が経過した沈埋トンネルを対象に, 現状のトンネルが有する耐震性能について調査した. まず建設当時の設計図書, 工事記録, 既往の現地調査結果の情報を収集し, それらに基づいて検討条件を設定した. また当該地区の歴史地震や活断層等の地震環境を調査し, 耐震検討に用いるレベル2入力地震動を設定した. そしてトンネル周辺地盤の地震応答解析, トンネルの横断及び縦断方向の地震応答解析を実施し, トンネル躯体や継手部の安全性を照査した. これらの検討結果より, レベル2地震動に対して両側立坑部の一部の部材でせん断耐力が不足すること, 立坑部と函体間の継手部で最大目開き量が大きくなること等, 今後, 耐震補強を検討する上での貴重なデータを入手できた.
著者
高林 範子 山本 真代 小野 光貴 渡辺 富夫 石井 裕
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.112-123, 2016-06-20 (Released:2016-07-14)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

表情の中の微笑みや視線などの非言語メッセージは,看護コミュニケーションにおいて重要な役割を果たしている.これまで,アバタを介した看護コミュニケーション教育支援システムを開発したが,アバタの視線や表情に関する表現性の課題が残された.本論文では,アバタに微笑みと眼球動作モデルを付加した看護コミュニケーション教育支援システムを開発し,システムの活用可能性を検証する目的で,ロールプレイングによるコミュニケーション実験を行った.実験用のシステムモードとして【A:真顔のみ】,【B:微笑み+眼球動作無し】,【C:微笑み+眼球動作有り】の3つのモードを用意した.実験の結果,システムのモードとしては,微笑みと眼球動作のあるCモードが最も高く評価された.自由記述においてもコミュニケーション時の表情や視線が与える効果に気づく意見が多くみられ,本システムによる看護コミュニケーション教育支援の有効性が示された.
著者
渡辺 浩司 伊達 立晶 田之頭 一知 森谷 宇一 戸高 和弘 菊池 あずさ 石黒 義昭 萩原 康一郎 吉田 俊一郎
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

キケロ、クインティリアヌスといった古代ローマの弁論家は、弁論術の学的な根拠を追求するわけではなく、学的な根拠は古代ギリシアのアリストテレスによって作られた弁論術を継承している。18世紀になると弁論術の学的な根拠はバウムガルテンによって書きかえられた。現代におけるレトリック復興は、古代の弁論術を継承するものではなく、古代の弁論術への誤解と「認識がレトリカルだ」とする現代の考え方とによる。
著者
渡辺 和夫 矢野 眞吾 中川 昌子 山崎 幹夫
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1996

脳機能改善薬のリード化合物としてのβ-カルボリン類に注目して、薬品合成化学班は新規β-カルボリンの分子設計、天然物化学班は高次機能に作用する新たなる天然物の検索、薬理班は得られた化合物の薬効評価を行った。研究成果を次の3点にまとめた。(1)薬品合成化学班:光学活性β-カルボリン化合物の合成手段として、2種の合成法の開発に成功した。光学活性な1-フェネチル基、もしくは1-ナフチルエチル基を不斉補助基として有するトリプタミン誘導体を酸性条件下アルデヒドと反応させたところ、高収率かつ高いジアステレオ選択性にてPictet-Spengler反応が進行し光学活性1-置換-テトラヒドロ-β-カルボリンが得られた。さらに、キラルルイス酸存在下、N-ヒドロキシトリプタミンとアルデヒドから得られるニトロンを用いて世界初のエナンチオ選択的不斉Pictet-Spengler反応にも成功し、種々の光学活性1-置換-テトラヒドロ-β-カルボリンの合成を行った。(2)天然物化学班:菌類、生薬などの天然素材から、広範に向神経性成分を探索し、子嚢菌から痙攣性テトラヒドロ-β-カルボリン化合物、モノアミン酸化酵素阻害活性成分、免疫調節活性成分を、さらに、南米生薬、和漢薬、東南アジア伝承薬からマウス酢酸ライジング抑制活性β-カルボリン化合物、鎮痛活性成分、抗不安活性成分をそれぞれ単離し、分子構造と構造活性相関を解明した。(3)薬理班:タイ国民間薬Mitragynaspeciosaの作用解析を行い、その成分mitragynineがオピオイド受容体に作用して麻薬性を発現すること、さらに、類似構造を有する漢薬釣籐鈎成分hirustineがオピオイド受容体に拮抗的に作用することを見出した。脳-腸機能調節の研究において、グルタミン酸受容体、GABA受容体、オピオイド受容体に作用する薬物が胃液分泌に極めて強い作用を示すことを見出した。
著者
朝治 啓三 渡辺 節夫 加藤 玄 青谷 秀紀 西岡 健司 中村 敦子 轟木 広太郎 大谷 祥一 上田 耕造 横井川 雄介 花房 秀一 亀原 勝宏 小野 賢一
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

従来の一国完結史観で捉えたイングランドやフランスの王国史を乗り越え、13世紀西欧世界の権力構造の中での、アンジュー帝国の果たした役割を検証した。イングランド在住諸侯は共同体を結成し、イングランド国王としてのプランタジネット家と共同で王国統治を担う体制を構築した。フランスでは現地領主や都市が相互に抗争して共同体を結成し得ず、カペー家の王は侯、伯と個別に封建契約を結んで自衛した。王家は北仏のごく一部しか直接統治しなかった。プランタジネット、カペー両家はフランス、ブリテン島の諸侯の帰属を取り付けるために競合した。中世の「帝国」を、諸侯や都市の核権力への帰属心をキーワードに説明し得ることを実証した。
著者
平林 由果 片瀬 眞由美 渡辺 澄子 栗林 薫
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.93, 2003 (Released:2004-05-25)

【目 的】制服にローファーを履いて通学する女子高校生の姿をよく目にする。ローファーは歩行に適した靴とは言えない。それにも拘わらず、ローファーを履いている高校生が多いのはなぜだろうか。そこで、高等学校における通学靴の現状を把握するため、生徒指導教諭と女子高校生を対象にアンケート調査を実施した。【方 法】調査1:愛知県下の全高等学校(男子校を除く)218校に調査用紙を送付し(郵送調査法)、通学靴に関する規定の有無とそれに関連する着衣や持ち物などに関しての規定について調査した。調査は2002年7月に実施し、127校(58.3%)から回答を得た。調査2:調査1の結果から、通学靴を指定している高等学校に対し、指定されていることに対する女子高校生の意識を尋ねる調査を実施した(自記式集合調査法)。調査時期は2002年12月、有効回答数は759であった。【結果および考察】調査1:通学靴を「指定している」高校は13%であり、すべてがローファーを指定していた。「規定を設けている」は61%であった。指定や規定を設けている理由としては、「制服との調和」、「高校生らしさ」などが多く挙げられていた。調査2:回答した高校生の67%が指定されているローファーを気に入っていた。指定靴に関して「制服との調和」、「色」は、ほぼ80%が満足していると回答したが、「価格」、「個性の表現」では、50~60%が不満足と回答した。指定靴がない場合でもローファーを履きたいというものは64%を占めており、靴を選ぶ第1の基準が「色・デザイン」であるという高校生の実態と関連していると思われる。
著者
中澤 知洋 森 浩二 村上 弘志 久保田 あや 寺田 幸功 谷津 陽一 馬場 彩 幸村 孝由 内山 泰伸 斉藤 新也 北山 哲 高橋 忠幸 渡辺 伸 中島 真也 萩野 浩一 松本 浩典 古澤 彰浩 鶴 剛 上田 佳宏 田中 孝明 内田 裕之 武田 彩希 常深 博 中嶋 大 信川 正順 太田 直美 粟木 久光 寺島 雄一 深沢 泰司 高橋 弘充 大野 雅功 岡島 崇 山口 弘悦 森 英之 小高 裕和 他FORCE WG
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集 72.1 (ISSN:21890803)
巻号頁・発行日
pp.508, 2017 (Released:2018-04-19)

NGHXTあらため、FORCE衛星は1-80 keVの広帯域X線を高感度で撮像分光し、まだ見ぬ隠されたブラックホールや超新星残骸のフィラメントでの粒子加速の探査を目指している。2016年に変更した計画の内容、検出器および望遠鏡の開発状況、およびサイエンス検討の進捗を報告する。
著者
川股 知之 渡辺 雅彦 成松 英智
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

難治性がん疼痛の新たな治療法として脊髄大麻受容体(CB1)に注目しその鎮痛機序とがん疼痛治療への応用について研究を行った.CB1は脊髄興奮性介在神経の軸索終末に特異的に発現しており,神経伝達物質放出抑制よって鎮痛に作用することが示唆された.骨がん疼痛状態では脊髄μオピオイド受容体は発現低下するがCB1発現に変化なく,CB1活性化により骨がん疼痛が減弱することが明らかとなった.CB1は骨がん疼痛治療の新たな標的として期待される.
著者
伊香賀 俊治 満倉 靖恵 小熊 祐子 福永 興壱 星 旦二 伊藤 史子 苅尾 七臣 星出 聡 藤野 善久 久保 達彦 中村 裕之 福島 富士子 鈴木 昌 渡辺 麻衣子 白石 靖幸 安藤 真太朗 川久保 俊 山川 義徳
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2017-05-31

超高齢化の進行に伴う医療費・介護費等の増大は、先進各国共通の課題であり、疾病・介護予防へと政策が転換され始めている。個人の努力による生活習慣改善に限界が指摘される中で、本研究では住環境(住宅や地域)の改善によるCo-Benefit である健康寿命延伸効果に着目し、大規模なフィールド調査と追跡・介入調査によって住環境と脳情報や要介護状態等、新たな客観データによる健康影響の客観的論拠の獲得を進めている。本年度は、さまざまな世代を対象として自宅と自宅以外の環境が居住者の健康に及ぼす影響の調査を目的とした横断面調査の補充ならびに、研究代表者らの科研費基盤A(23246102、26249083)から実施してきた経年調査(縦断面調査)、住環境・執務環境の建替・改修前後調査(介入調査)を実施した。具体的には、青壮年期~中年期を対象とした調査では、自宅環境と居住者の健康(客観指標:家庭血圧、脳MRI撮像データ、睡眠状態、体温、身体活動量、心拍、IgE抗体等)との関連の検証に加え、オフィスでの知的生産性の検証を行った。日中の知的生産性はオフィス環境そのものの影響のほか、前日の自宅での睡眠・休息が影響するため、良質な自宅・オフィスの環境がもたらす相乗効果に関する被験者実験を行った。また、自宅と自宅以外の環境の相乗効果は幼・少年期にも存在するため、幼稚園・小中学校での活発な身体活動と自宅での良好な睡眠が、病欠確率と学習効率への影響を調査・分析した。環境側の調査項目としては温度・湿度、(一部の調査で光・音・空気環境、カビ・ダニ)測定等を行った。今年度の調査対象地は、高知県(梼原町、高知市)、山口県(長門市)、福岡県(北九州市)、東京都(23区内)、神奈川県(横浜市、藤沢市)、山梨県(上野原市、大月市)、広島県(広島市)、三重県(津市、伊勢市)、熊本県(熊本市)、石川県(志賀町)等であった。