著者
酒井 健夫 早川 徹 長尾 壮七 小倉 喜八郎 三浦 道三郎 矢部 光広 児玉 幸夫 渡辺 文男
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.38, no.9, pp.576-580, 1985-09-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
46
被引用文献数
2 2

搾乳牛13頭を4群に分けて, 50%ブドウ糖注射液500mlを通常注射および点滴注射し, あるいは25%キシリトール注射液1,000mlを同様に注射して, 負荷後の内分泌応答について観察した.ブドウ糖の通常注射群は, 負荷直後に血糖は直前値の6.9倍に (T1/2=30分, k=2.2%/分), インスリンは5.6倍に増加し, いずれも120分後に回復した. 点滴注射群は, 負荷直後に血糖は直前値の2.0倍に, インスリンは4.4倍に増加し, いずれも45分後に回復した. 負荷後のグルカゴンは, 通常負荷, 点滴負荷ともに大きく変動しなかった.キシリトールの通常注射群は, 負荷直後に血中キシリトール濃度は最高値228mg/100ml (T1/2=11分, k=6.35%/分) に達し, 120分後に検出限界以下となった. 血糖は120分後に直前値の2.1倍, インスリンは15分後に16.8倍, グルカゴンは45分後に3.6倍にそれぞれ増加した. 点滴注射負荷群では, 血中キシリトールは負荷直後軽度の増加, 血糖も直前値の1.3倍にやや増加したが, グルカゴンは変動が小さく, インスリンも2.3倍の増加を示したにすぎなかった.
著者
浜野 哲子 縫村 修次 渡辺 文夫 莅戸 立夫 〓 鐘石 水野 皓司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.366, pp.1-6, 2000-10-13
参考文献数
6

ミリ波帯走査型近接場顕微鏡は, 波長以下の高い空間分解能によるの非破壊材料検査等の利用が期待されている.本近接場顕微鏡システムでは, 物体からの反射係数がコントラストとして画像化される.そのため, 例えば比誘電率などの, 直接反射係数に変化を与える物体の物性定数を, コントラストから評価することが可能である.本発表では, コントラストの定量評価実現に向けた検討として, 以下の2点について報告する.1)測定値の誤差を与える原因は有限サイズの平板誘電体にあることを突きとめ, 平板誘電体の表面波伝搬が低減されるようにシステム構造の改善を行なった.その結果, 10%以上あった測定不確定率が5%以内に低減された.2)コントラストの定量評価には, 物性定数と反射係数との相関関係を理論予測する必要がある.そこで, スリット型プローブを有する本近接場顕微鏡システムの等価回路を新たに構成し, その妥当性を実験的に確認した.
著者
藤原 香織 渡辺 澄夫
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J91-D, no.4, pp.889-896, 2008-04-01

仮説検定とは,データが帰無仮説から発生していると考えることに無理があるかどうかを統計的に判断することである.仮説検定のアルゴリズムを作るためには,帰無仮説が真であると仮定したもとで,帰無仮説と対立仮説の対数ゆう度比の確率的な挙動を理論的に導出する必要があるが,特異モデルにおいては,フィッシャー情報行列が正則行列でなく,最ゆう推定量は存在する場合においても漸近的に正規分布に従わず,対数ゆう度は χ2 分布に法則収束しない.このため従来の統計的正則モデルで用いられている仮説検定手法を特異モデルに適用することはできないことが知られている.仮説検定において,帰無仮説と対立仮説がともに確率分布で与えられる場合には,ベイズ対数ゆう度比を用いた検定によって,同じ危険率のもとで検出力が最大になる.そこで,本研究では特異モデルのベイズ検定においてベイズ対数ゆう度比を用いる方法を考察し,特異モデルにおいてもベイズゆう度比の漸近挙動の導出が可能であることを明らかにする.また具体的な応用例として時系列変化問題を扱う場合における理論解析を行う. 実験により,本仮説検定法を用いた変化検出法が,適切に変化を検出し,雑音に強い変化検出法であることを明らかにする.
著者
田口 文広 松山 州徳 森川 茂 氏家 誠 白戸 憲也 座本 綾 渡辺 理恵 中垣 慶子 水谷 哲也
出版者
国立感染症研究所
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2004

1)SARSコロナウイルス(SARS-CoV)に関する研究SARS-CoVは通常エンドゾーム経由で細胞内へ侵入することが報告されているが、我々はSARS-CoVのS蛋白の融合活性を誘導するプロテアーゼ(trypsin, elastase等)存在下では細胞膜径路で侵入することを明らかにした。更に、この径路による感染は、エンドゾーム径路感染より100-1000倍感染効率が高いことが判明した(PNAS,2005に発表)。SARSの重症肺炎の発症機序は、ウイルス感染を増強する様なプロテアーゼの存在が重要ではないかと考え、マウスに非病原性細菌感染で肺elastaseを誘導し、SARS-CoVを感染させることにより、ウイルス増殖及び肺の組織障害が高くなることを観察した。今後、更に重症肺炎に至るウイルス側及び宿主側因子の同定を進めたい。2)マウスコロナウイルス(MHV)に関する研究神経病原性の高いMHV-JHM株は受容体発現細胞に感染し、その細胞から受容体を持たない細胞に感染することが知られている。我々は、JHM株を直接受容体非発現細胞へ吸着させることにより、感染が成立することをspinoculation法(ウイルスが接種された細胞をウイルスと共に3000rpmで2時間遠心)により証明した。また、受容体非依存性感染にはJHM株のS蛋白の自然条件下で融合能が活性化されるという性質によることも明らかにされた(J.Viro1.2006発表)。
著者
原 知子 安藤 真美 伊藤 知子 井上 吉世 大塚 憲一 大野 佳美 岡村 由美 白砂 尋士 高村 仁知 武智 多与理 露口 小百合 中原 満子 中平 真由巳 西池 珠子 林 淑美 深見 良子 藤村 浩嗣 松井 正枝 的場 輝佳 水野 千恵 村上 恵 山下 貴稔 湯川 夏子 渡辺 健市
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.23-27, 2004-01-15 (Released:2009-02-19)
参考文献数
20
被引用文献数
3 1

酸価1∼4.5の段階的に劣化度が異なる劣化油1,2,3を用いて,揚げ玉,まいたけの天ぷら,コロッケを調製し,揚げ物および揚げ油の官能評価による風味とPCテスターによる極性化合物量の関係について検討した.1.新鮮油,劣化油1,2,3の4種の劣化程度の異なる油及びそれらで調製された製品の風味に有意差が認められた.これら4種の油は酸価,粘度,極性化合物量が段階的に異なるもので,揚げ玉,まいたけの天ぷら,油自体の風味の評価結果は,これらの要素と対応した.新鮮油,劣化油1,2,3の順に風味評価は低下したが,劣化油1から極性化合物量15%の劣化油2の間で低下が顕著であった.また,劣化が進行した油において官能評価ではその違いが認め難くなる傾向にあった.コロッケでは油の劣化による風味評価の低下は小さかった.2.揚げ玉やまいたけの天ぷらでは極性化合物15%程度まで,コロッケでは,25%程度まで風味評価のよい揚げ物を調製できた.3.極性化合物量15%以上で風味評価が低下するとともに風味の劣化度合いを弁別し難くなる傾向があったことから,栄養的にも嗜好的にも,揚げ油の極性化合物量を15%以下で管理するのが適当であると考えられた.
著者
古谷 陽一 渡辺 哲郎 永田 豊 小尾 龍右 引網 宏彰 嶋田 豊
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.609-614, 2011 (Released:2011-12-27)
参考文献数
9
被引用文献数
3 3

目的:冷え症の危険因子となる身体症状を明らかにする。研究デザイン:2008年7月7日から11月14日にかけて前向きコホート研究を行なった。対象と方法:観察開始時に冷えを認めない女子短期大学生70名(年齢中央値20歳)。冷えの苦痛の程度をNumerical Rating Scale(NRS)で7月および11月に5日間ずつ記録した。身体症状は気血水スコア(寺澤)で評価した。冷え症の判定基準は冷えNRSの平均値5以上とした。結果:11月に17名が冷え症と判定された。有意な関連を示した自覚症状は「体がむくむ」で,多変量オッズ比[95%信頼区間]11.6[1.9 to 97.5]であった。また,冷え症群は非冷え症群より低身長であった(身長差[95%信頼区間]-5.9cm[-8.6 to -3.1])。結語:「体がむくむ」と「低身長」は冷え症の危険因子である可能性が示された。
著者
水田 啓介 伊藤 八次 西田 基 秋田 茂樹 加藤 雅也 小塩 勝博 海田 健宏 古田 充哉 宮田 英雄 柳田 正巳 柴田 康成 横山 壽一 松原 茂規 小泉 光 森 芳郎 大野 通敏 近藤 由香 藤宮 大 山田 匡彦 渡辺 英彦 加藤 洋治
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.90, no.12, pp.1399-1407, 1997-12-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
14

IPD® (supratast tosilate) was investigated for its prophylactic efficacy and therapeutic efficacy in the treatment of cedar pollinosis during the 1996 cedar pollen season. The subjects investigated were patients at the Gifu University School of Medicine and its affiliated hospitals, who had a history of cedar pollinosis. The patients were classified into two treatment groups: the prophylaxis group (70 patients), in whom IPD® administration began before the start of cedar pollen dispersion, and the treatment group (49 patients), who underwent IPD® treatment only after cedar pollen dispersion had begun and symptoms of pollinosis had manifested.Results were as follows: (1) The nasal symptoms (sneezing, runny nose, nasal congestion) were milder in the prophylaxis group than in the treatment group throughout the cedar pollen season, with the difference being significant during the season's first 2 weeks. (2) In the prophylaxis group, IPD®'s inhibitory effect was rated as excellent in 18.6% of the patients, good in 45.7% and fair in 20.0%. In the treatment group, the improvement in the symptoms was rated as disappearance in 4.2%, excellent in 20.8% and good in 43.8%. (3) When symptom inhibition in the prophylaxis group was investigated as a function of the duration of IPD® administration prior to the start of pollen dispersion, the good + excellent inhibition rate was 57.7% in the subpopulation pretreated for <2 weeks (26 cases), 64.9% with 2 to <4 weeks' pretreatment (37 cases) and 85.7% with 4 to <6 weeks' pretreatment (7 cases). Thus, IPD®'s prophylactic inhibitory rate increased with the length of the pretreatment period. (4) In the prophylaxis groups, the CAP-RAST value was significantly reduced at the time of peak pollen level and at the end of the pollen season compared with the value before IPD® administration.
著者
徳弘 一路 浅野 誠 渡辺 久晃 津村 尚志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.97, no.179, pp.47-54, 1997-07-18
参考文献数
27

「3弦の鳴るギターは良いギターである.」 というギターの評価法はどのような原理に基づいているかを調べた. 1弦と3弦の位置を交換し, スペクトルの変化を調べ, ギター全弦に第3弦を張り, その弾弦音の時間波形, 減衰特性, スペクトルを比較した結果, 3弦の位置におけるスペクトルのエンベロープが滑らかでなく, 5kHz以上の周波数帯域において倍音成分が小さく, 1弦の場所と比較して良い音がでないことがわかった. また, 同じ製作者による鳴るギターと鳴らないギターを比較した結果, 鳴らないギターは音量が非常に小さく, さらに, エンベロープが滑らかでなく, 5kHz以上の周波数帯域において倍音成分が小さいことなどがわかった.

1 0 0 0 OA 河系の文化

著者
渡辺 久雄
出版者
The Human Geographical Society of Japan
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.13, no.6, pp.473-500,578, 1961-12-30 (Released:2009-04-28)
参考文献数
29

In ancient societies seas and rivers played an important role in spreading of the civilizations. In Japan seas and oceans have remained important even until now. The role of rivers in Japan, however, was gradually changed to that in irrigation and drinking, and its industrial importance has now become recognized in modern ages.There are two reasons for rivers retreating from the means of spreading of the civilization.1) Basins formed by one river system became complete as the space of life but lost their integration that had existed by means of a river. This was brought about by the new method of reclamation that came from China: For the management of paddy-field with rivers being the source of water supply it was necessary for rivers to be divided into small parts one system by one system.2) By using new method of reclamation powerful families in the provinces developed the space of life. As a result consanguineal societies were changed into territorial societies. Overland routes took the place of waterways as means of contact among many territorial societies formed in one water system. And rivers lost their importance as traffic routes and became important as the source of water supply (water for irrigaition).The purpose of this article is to make clear the history of the roles of such river systems, taking an example from Sumiyoshi Shrine that used to possess a large ancient dominion on the Hyogo River. As Sumyoshi Shrine was a tutelary god, its domain was on the Bay of Osaka (that was) next to the Inland Sea of Seto. However, by forming a connection with the Imperial Court of Yamato the shrine widened its domain along the river system and gained a vast area including woods and river valley inland. Because it was not originally the god of agriculture or forestry, it began to draw back when it lost the protection of the Imperial Court of Yamato, and finally retreated to the sea-side place which it had first possessed. The shrines that lost even their first domains have maintained only the buildings in which the faith in the gods of navigation and diplomacy is slightly kept.
著者
永井 章夫 長沢 峰子 河村 泰仁 児玉 卓也 前花 淳子 南 新三郎 渡辺 泰雄 成田 弘和 清水 喜八郎
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.200-206, 1995-02-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
15

Vancomycin (VCM) とarbekacin (ABK) 誘発性の腎毒性に対するpiperacillin (PIPC) の軽減作用についてラットを用いて検討した。ラットにVCM 160mg/kg (iv), ABK 16mg/kg (im) をそれぞれ4日間連続投与して腎毒性を誘発させた。VCMの160mg/kg単独群では腎尿細管腔の拡張などの軽度腎障害がみられた。ABKの16mg/kg単独群でも尿細管上皮の硝子滴変性が軽度にみられた。これらの変化はPIPCの320mg/kg投与により軽減された。また, VCMにABKを併用するとBUN, 血中クレアチニンの上昇, 尿中NAG, 尿中蛋白量, 尿中β2-マイクログロブリンの増加, 腎重量の増加がみられ, 組織学的には尿細管上皮の壊死などの腎障害像が観察され, 各単独群に比べ腎毒性は著しく増強された。これらの変化に対してもPIPCは軽減作用を示した。
著者
野村 収 澁谷 智義 長田 太郎 松本 健史 坂本 直人 北條 麻理子 永原 章仁 荻原 達雄 渡辺 純夫 増田 淳
出版者
消化器心身医学研究会
雑誌
消化器心身医学 (ISSN:13408844)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.23-25, 2014 (Released:2014-09-01)
参考文献数
7

【症例】24歳男性。元来内気で真面目な性格であったがこれまで社会生活に問題はなかった。2年前より家族との会話も徐々になくなり,また外出もしなくなり1日中自室に籠もるようになった。今回,腹痛と頻回の排便に家族が気付き当院受診となった。受診時に38℃台の発熱,腹部に高度な圧痛と反跳痛,下痢,著明な貧血と高度栄養不良があり緊急入院となった。下部消化管内視鏡検査ではS状結腸から横行結腸にかけて縦走潰瘍を認め,生検組織検査にて非特異的肉芽腫が検出されクローン病と診断した。中心静脈栄養,プレドニゾロン50mg/dayによる治療を開始した。治療開始後,解熱,腹痛の改善,下痢回数も減少した。入院時は全く会話がない状態であったが,病態改善と伴に医療スタッフおよび家族と会話をするようになり現在では,外来にも1人で通院している。ひきこもりの原因がクローン病であった症例と考えられた。