著者
渡辺 光太郎 藤堂 謙一 奥野 龍禎 佐々木 勉 望月 秀樹 岡崎 周平 谷口 茉利子 柿ヶ野 藍子 北野 貴也 秀嶋 信 石倉 照之 中野 智仁 神野 隼輝
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
2019

<p>要旨:可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)は稀ながら周産期脳卒中の原因として重要な疾患である.症例は37 歳の初産婦,妊娠40 週に緊急帝王切開で第一子を出産した.産褥3 日目に,頭痛,めまい,左手の使いにくさが出現し,当院に搬送された.頭部MRI で左小脳半球と橋に急性期脳梗塞,右前頭葉に皮質下出血を認めた.来院時のMRA では主幹動脈に異常を認めなかったが,第8 病日に脳底動脈・両側椎骨動脈に高度狭窄が新たに出現し,basi-parallel anatomical scanning(BPAS)および3 dementional-T1 weighted imaging(3D-T1WI)の所見から血管攣縮と考えられた.カルシウム拮抗薬で治療を行い,次第に狭窄は改善し,数カ月の経過で正常化した.本例では,MRA に加え,BPAS および3D-T1WI を経時的に撮影することにより,非侵襲的にRCVS の診断が可能であった.</p>
著者
渡辺 光一
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.3-35, 2006

宗教について、組織理念とブランド、交換を通じた価値創造など、コミュニケーションとマーケティングという視点から考察を行った。そして、布教や教団活性化など教団の実践に役立つ実学を念頭に、インターネット利用者を対象とする定量的な実証調査について、「信仰者」と「関心者」を中心とした彼らの特徴を統計的に分析した。まず、宗教へのコミットメントや判断などの宗教的志向性について分析し、またメール相手の種類、相談やアドバイス、ネットコミュニティにおける匿名性や感情効果など、布教にかかわる情報コミュニケーションについて分析した。それを踏まえ、インターネットでのマーケティング手法を考慮してネットコミュニティによる布教の可能性について考察し、その可能性を生かせない教団のインターネット利用の問題点や現状認識について述べ、それらを克服するための望ましい宗教的な情報コミュニケーションのデザインについて提案した。
著者
成田 奈緒子 渡辺 ひろの
出版者
文教大学
雑誌
文教大学教育学部紀要 = Annual report of the Faculty of Education, Bunkyo University (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
no.49, pp.209-221, 2015

大学生における睡眠を含めた生活習慣が睡眠の質と量,自己肯定感に及ぼす影響を,睡眠時脳波測定を用いて検討した.大学生48 名から得られたデータでは,朝型であるほど自己肯定感が高く,また睡眠の質が良いほど自己肯定感が高いという有意な相関関係が得られた.また,朝型であるほど睡眠の質も良いという相関関係も観察された.さらに,8 名における睡眠時脳波解析をしたところ,REM睡眠含有量が相対的に高い被験者は,睡眠時間も長く,入眠までの時間も短く,大脳皮質覚醒の回数も少なく,全体として睡眠効率が高い傾向が見られ,自己肯定感も高かった.睡眠が不良である被験者ではアルバイトなどで生活習慣が不規則であったことより,大学生においては自律的に生活習慣を改善する努力をすることが睡眠の質と自己肯定感の上昇に必要であることが考察された.
著者
山本 英弘 渡辺 勉
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.147-162, 2001-06-30 (Released:2009-10-19)
参考文献数
20
被引用文献数
2 1

政治的機会構造論は, 現在の社会運動論において主流をなす理論の 1 つだといえるが, いくつかの問題点がみられる.本稿では, 政治的機会構造論の修正を試みたうえで, 1986~1997年の宮城県における社会運動イベントのデータを用いて計量的に検証する.分析から, 以下の2点を示唆することができる. (1) 社会運動に対する政治的機会構造の影響は, 運動の類型によって異なる.したがって, 政治的機会構造がそれぞれの社会運動の類型に対してどのように影響するのかを考慮しなければならない.従来の研究ではこの点が看過されていた. (2) 社会運動の類型によっては, 運動に対する政治的機会構造が機会として影響するのではなく, 政治体による政策が運動を誘発するという影響を及ぼす.そのため, 政治体と社会運動体の相互作用をより重視する必要がある.
著者
中村 太士 中村 隆俊 渡辺 修 山田 浩之 仲川 泰則 金子 正美 吉村 暢彦 渡辺 綱男
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.129-143, 2003
参考文献数
33
被引用文献数
6

釧路湿原の多様な生態系は, 様々な人為的影響を受けて, 劣化ならびに消失しつつある. 大きな変化である湿原の樹林化は, 流域上地利用に伴う汚濁負荷の累積的影響によって起こっていると推測される. 汚濁負荷のうち特に懸濁態の微細粒子成分(ウォッシュロード)は, 浮遊砂量全体の約95%にのぼる. 既存研究より, 直線化された河道である明渠排水路末端(湿原流入部)で河床が上昇し濁水が自然堤防を乗り越えて氾濫していることが明らかになっている. Cs-137による解析から, 細粒砂堆積スピードは自然蛇行河川の約3〜8倍にのぼり, 湿原内地下水位の相対的低下と土壌の富栄養化を招いている. その結果, 湿原の周辺部から樹林化が進行しており,木本群落の急激な拡大が問題になっている. また, 東部3湖沼の中でも達吉武沼流域では, 土壌侵食ならびに栄養足負荷の流入による達吉武沼の土砂堆積, 水質悪化が確認されており, 水生生物の種数低下が既存研究によって指摘されている.ここではNPO法人トラストサルン釧路と協働で, 自然環境漬報の集約にもとづく保全地域,再生地域の抽出を実施している. また, 伐採予定だったカラマツ人工林を買い取り, 皆伐による汚濁負荷の流出を防止し自然林再生に向けて検討をすすめている. 湿原南部には1960年代に農地開発されたあと, 放棄された地区も点在しており,広里地域もその一つである. この地域は国立公園の最も規制の緩い普通地域に位置しており, 湿原再生のために用地取得された. ここではタンチョウの1つがいが営巣・繁殖しており, 監視による最大限の注意を払いながら, 事前調査結果にもとづく地盤据り下げならびに播種実験が開始されている. 釧路湿原の保全対策として筆者らが考えていることは,受動的自然復元の原則であり, 生態系の回復を妨げている人為的要因を取り除き, 自然がみずから蘇るのを得つ方法を優先することである. さらに, 現在残っている貴重な自然の抽出とその保護を優先し可能な限り隣接地において劣化した生態系を復元し広い面積の健全で自律した生態系が残るようにしたい. そのために必要な自然環境情報図も環境省によって現在構築されつつあり, 地域を指定すれば空間的串刺し検索が可能なGISデータベースがインターネットによって公開される予定である.
著者
石川 匡子 内田 詩乃 佐藤 春香 伊藤 俊彦 渡辺 隆幸
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.308-316, 2016 (Released:2017-09-27)
参考文献数
30
被引用文献数
2

市販魚醤を用い,品質ならびに呈味評価を行った.魚介類と食塩のみで製造する場合は,魚介類自体のタンパク質の自己消化のみで分解するため,長期熟成が必要であり,微生物繁殖抑制のため塩分濃度が高めに設定されていたが,遊離アミノ酸総量やグルタミン酸量も多いという特徴があった.魚介類に食塩と麹を添加する方法では,短期熟成が可能であり,塩分濃度が低く,麹により甘くクセが抑えられた香りという特徴があった.魚種や製法の違いは,アミノ酸量や有機酸量にも反映された.特に,グルタミン酸,アラニン,乳酸量は魚醤のうま味や甘味,酸味の強さとなって現れた.これらの味質は,お吸い物に用いた際に,まろやかさや好ましさに影響しており,魚醤の味質に合わせた最適添加量を求める必要性が示唆された.
著者
渡辺 茂
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, 1961-05-25
著者
三鴨 廣繁 和泉 孝治 伊藤 邦彦 玉舎 輝彦 渡辺 邦友 上野 一恵
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.67, no.8, pp.712-717, 1993-08-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
24
被引用文献数
1 4

Certain bacteria produce some carcinogens such as N-nitro compounds, n-butyric acid and n-valeric acid.From this point of view, the examination of intrauterine bacterial flora in patients with uterine endometrial cancer may provide important information.Twenty patients with the diagnosis of uterine endometrial cancer and 20 patients without complications other than myoma uteri were enrolled in the study. Enterobacteriaceae, Streptococcus agalactiae and anaerobic bacteria were mainly detected.The products of these bacteria might be considered to contribute to the initiation of endometrial carcinogenesis.Mixed abnormal flora between aerobic and anaerobic bacteria were detected in all patients with uterine endometrial cancer. It is suggested that uterine endometrial cancer provides favorable conditions for bacterial growth. Mixed abnormal bacterial flora also might influence the onset and growth of uterine endometrial cancer.
著者
青木 信之 鈴木 繁夫 渡辺 智恵 池上 真人 松原 緑 榎田 一路 寺嶋 健史 汪 曙東 高橋 英也 阪上 辰也 江村 健介
出版者
広島市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

2018年度(平成30年度)については、本科研の最大課題について大きな知見が得られた年度となった。まず学生に実施したアンケート結果については、多くの大学生は長期休暇期間後の英語力低下は感じている、学習不足も感じている、しかし休暇期間中の学習機会の大学による提供については積極的ではなく、学習を管理されることについてはほとんど望まないということであった。一方、少人数ではあったが、長期休暇期間中に英語e-ラーニングを実施した大学では、学習量は学期中よりかなり少なかったものの、それでも受講しなかった学生達に比べて、英語力が向上あるいは維持されるという結果が示された。本研究で取り組もうとしてきたのは、英語力を向上させるには(特にある程度の基礎力をもった大学生の場合は)、集中的に大量の学習をさせることが必要であり、そしてそれをe-ラーニングによって実施することが可能であるということであった。本科研では、それに加えて、教養教育期間中にしっかりと英語力を上げ、そしてそれを維持させるには、長期休暇期間中の学習不足を克服する必要があり、それこそe-ラーニングの出番であることを証明するということで主目的であった。つまり、本科研の最大のポイントは、長期休暇中の英語力低下を防ぐという点であり、そういった意味では大きな前進があったと考えている。
著者
黒木 嘉典 大橋 望 渡辺 圭司 新村 友季子 新村 眞司 池原 在 伊波 恵
出版者
日本磁気共鳴医学会
雑誌
日本磁気共鳴医学会雑誌 (ISSN:09149457)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.25-28, 2019-02-15 (Released:2019-03-18)
参考文献数
16

We analyzed the efficacy of time-intensity curve and texture analysis of dynamic contrast enhanced study (DCE), and also mean apparent diffusion coefficient (ADC) and histogram analysis of diffusion-weighted imaging in a neoadjuvant chemotherapy (NAC) non-effective group and an NAC effective group of patients with breast cancer. Based on texture and histogram analysis, it was speculated that early response was predictable.