15 0 0 0 OA 大日本風俗漫画

著者
渡辺イウ 画
出版者
渡辺イウ
巻号頁・発行日
1887
著者
渡辺 茂
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3+4, pp.109-117, 2017 (Released:2018-04-12)
参考文献数
16

【要旨】本稿では動物における共感とはどのようなものであるかを述べ、特に共通経験の役割を論ずる。他個体の嫌悪の表出は観察個体に、いわば生得的に負の情動を起こす。しかし、観察個体にも同じ嫌悪経験がある場合にはその共感が増強される。薬物で誘導される快感でも他個体が一緒に薬物投与を受けると薬物強化効果の社会的促進が見られる。しかし、拘束ストレスなどでは他個体と一緒に拘束されるとストレスは減弱する。つまり、この場合、共通経験は抗ストレス作用を持つ。動物でもヒトと同様に、自分が他者と比べて不公平に不利益な状態に置かれると不公平嫌悪が見られる。しかし、自分が不公平に利益のある状態では嫌悪が弱いか、全く見られない。このことは嫌悪的な事態(拘束など)でも、好ましい事態(摂食など)でも見られる。これらのことは、動物の情動状態が自分の状態そのものより他個体の状態との比較に依存することを示唆する。
著者
佐藤 拓哉 渡辺 勝敏
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.51-59, 2004-05-25 (Released:2010-06-28)
参考文献数
33
被引用文献数
6

Population size and spawning site environment of the endangered southernmost population of Kirikuchi charr Salvelinus leucomaenis japonicus were investigated in a tributary on the upper reaches of the Totsu River system, Nara Prefecture, central Japan, in 2001. The total number of fish≥100 mm in fork length (FL) in May was estimated to be 308±50 (SE). Water depth and gravel size at spawning sites were 15±13 cm (meant±SD) and 31±8 cm, respectively. Spawn-ing sites were found mainly at upstream sites, freely accessible to the fish. The number of fish≥130 mm in FL had dropped in the lower section of the tributary in July, most probably as a result of leisure fishing. Spawning redds were clearly fewer in the lower sections than further upstream. These results indicated that fishing pressure on the population had been heavy, resulting in a decreased level of reproduction population.
著者
渡辺 晋一
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.129, no.8, pp.1619-1625, 2019-07-20 (Released:2019-07-20)
参考文献数
16

顔面の色素病変には色素性母斑や皮膚癌など種々のものがあるが,美容目的で来院する患者の主訴の多くは“シミ”である.そしてシミを主訴に来院する患者の60%近くは老人性色素斑で,12%は顔面真皮メラノサイトーシス(FDM)である.次いで扁平な老人性疣贅が7%程度を占め,教科書でその俗称がシミとされている肝斑は,10%以下である.これらの色素病変は治療法がそれぞれ異なるので,その鑑別が治療成功の鍵となる.
著者
山田 敦朗 渡辺 範雄 香月 富士日 鈴木 真佐子 古川 壽亮
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

今回我々はスマートフォンを用いた問題解決療法を計画し、開発し、本法が自閉スペクトラム症の子どもを養育する親の生活の質の改善に有用性を示すか否かを予備的に検証するための臨床試験を計画した。名古屋市立大学の倫理審査委員会の承認を得て始めるところであったが、以下の変更を行うこととしたため、分担研究者らと相談して大幅な修正を行う計画を立てた。まず、当初使用する予定だった問題解決療法アプリを、当研究に使用できるよう変更を計画した。また同時に、問題解決療法だけではなく、行動活性化療法+アサーション訓練+問題解決療法を組み合わせて行うことに変更し、これらが使用できるようにアプリを準備中である。次に、評価項目について、他の研究とデータを比較できるようにするため、主要評価項目を8週の自己記入式のProfile of Mood States 2nd Edition(POMS2)からPersonal Health Questinnaire-9 (PHQ-9)に変更し、副次評価項目も変更した。また、参加登録及び同意取得を、ホームページを通じて行うように変更することとした。具体的には、研究対象者となる者に対して、研究が行われていることを告知する。試験参加に興味を持った対象者はホームページ上から参加申し込みを行う。ホームページを通じて、試験に参加希望あるいは説明希望の連絡があった場合は、事務局より対象者に電話し、適格条件を確認し、『私のこころケア レジトレ!』アプリのダウンロードを行う。そのうえで、試験の説明を行い、同意を取得する。これら実行可能にするため、株式会社アクセライト(https://accelight.co.jp/)が開発したePRO・EDCシステムを用いることとした。
著者
荒田 玲子 渡辺 敦子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【はじめに】節分に巻きずしを食べる習慣の起源・発祥には諸説がある。江戸時代から明治の初めに大阪の商人達が、商売繁盛、無病息災を願って行われたものが、その後大阪鮓組合や大阪海苔問屋協同組合の販売促進の宣伝により大阪を中心に広がり、1989年広島のセブンイレブンが最初に「恵方巻き」として販売し全国に広がったとされる。【目的】本学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学:行事食・儀礼食」において調査した行事のうち、認知度、喫食経験ともに高値であった節分の行事食の中から、巻きずし(のり巻き)に注目し、47都道府県におけるその喫食変化を調べることにより、県や地域の違いを掘り起こすことを本研究の目的とした。【方法】特別研究のデータを各都道府県単位で、その調査単位に10年以上居住する対象者のみを抽出し、「節分認知」「節分経験」「喫食経験」「巻きずしの喫食状況」「巻きずしの調理状況や食べ方(以前)」「巻きずしの調理状況や食べ方(現在)」「変化した時期」の項目について集計し、その喫食変化について検討した。【結果】節分に丸かぶり寿司あるいは、恵方巻きと呼ばれる太巻きずしを食べる習慣は、他の地域に比べ、大阪府を中心に近畿圏に多くみられた。「福巻寿司発祥の地の碑」がある栃木県においても、大阪より少ないが、他の関東圏より「毎年食べる」が多く、「途中から」と答えたものは少なかった。「外で食べる」が以前も現在も少なく、「買う」か「家庭で作る」が多かった。これは、巻きずしの食習慣の発祥に由来すると思われる。
著者
森田 恭成 渡辺 伸一 大野 美香 自見 孝一朗 荒川 立郎 難波 智矢 堀部 達也 劉 啓文
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.395-402, 2020-09-01 (Released:2020-09-01)
参考文献数
15
被引用文献数
1

【目的】リハビリテーション(リハ)の介入日数と人工呼吸患者の日常生活動作(activities of daily living, ADL)との関係を検討した。ADLの評価には,Barthel index(BI)を用いた。【方法】共通の離床プロトコルに基づいたリハを週7日と週5日で行う施設群間で比較した。診療録より2017年1月から13ヶ月間のリハに関する情報を収集し,検討した。【結果】週7日群100例,週5日群106例が登録された。BIは両群で差を認めなかった(75対60,P=0.310)が,週7日群はリハ開始とICU退室が早く(2日対3日,P<0.0001,8日対10日,P=0.004),また,端坐位達成率が高く(41.0%対28.3%,P<0.0001),せん妄発生率が低かった(24.0%対45.3%,P=0.001)。多変量解析でBIに関係した因子は年齢であり,せん妄に関係した因子は週7日介入,年齢,鎮静プロトコルであった。【結語】週7日群と週5日群でBIには差を認めなかったが,週7日群でリハ開始とICU退室が早くなり,端坐位達成が多く,せん妄発生は少なかった。
著者
青木 佳代 石川 和彦 林 賢一 斉藤 守弘 小西 良子 渡辺 麻衣子 鎌田 洋一
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.28-32, 2013-03-31 (Released:2013-09-07)
参考文献数
15
被引用文献数
4 13

A case of the suspected food poisoning related to deer meat occurred in December, 2011 in Shiga prefecture in Japan. Four of 18 people showed transient diarrhea, abdominal pain, nausea, and vomiting within 5 to 16 hr after eating. No typical food poisonous bacteria and viruses were detected in the food samples. Parasitological tests were performed on the deer meat, and the Ministry of Health, Labour and Welfare of Japan for horsemeat food poisoning were officially notified. A 1,100-bp DNA fragment was amplified by PCR from three slices of the deer meat, suggesting the presence of Sarcocystis sp. Cysts and bradyzoites were detected in the specimens of the deer meat. Immunohistochemical staining of the cysts detected in the deer meat with an antibody against the toxic 15 kDa protein of S. fayeri showed a positive reaction. This indicated that a similar toxic protein originating from Sarcocystis cysts was present in the deer meat. This suggested that the deer meat containing Sarcocystis cysts was the causative food in these cases of food poisoning.
著者
島田 政博 渡辺 英夫 鶴田 敏幸 森山 和幸 陣内 卓雄
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.148-150, 1985-07-25 (Released:2010-03-16)
参考文献数
5

A case of electrical burn injury was reported. After coming into contact with high tension electrical current (20, 000 volt), severe electrical burns of bilateral forearms and lower extremity were evoked. Immediately, débridement of the wounds was made, however, circulation distrubance of the blood vessels arose, which enhanced degeneration and necrosis of the soft tissue. Within a month, three limbs amputations were done, and he was survived and recovered fortunately. The patient is doing training of prosthesis exercise at present.
著者
渡辺 和之
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.13, 2014 (Released:2014-10-01)

原発事故による畜産被害を聞き取りしている。2013年秋と2014年春に南相馬市で調査をおこなった。南相馬市には福島県内にあるすべての避難区域が混在する。20km以内の旧警戒地域は小高区にあり、旧計画的避難区域(2012年4月解除)や特定避難勧奨地点(以下勧奨地点)は原町区の山よりの集落に集中する。原町区の平野は比較的線量も低く、旧避難準備区域(2011年10月解除)となり、30km圏外の鹿島区では避難も補償もない。調査では原町区の山に近い橲原(じさばら)、深野(ふこうの)、馬場、片倉の集落を訪れ、4人の酪農家から話を伺うことができた。  南相馬では転作田を牧草地としており、いずれの農家も20ha以上の牧草地を利用する。このため、糞や堆肥置き場には困っていない。ただし、事故後牛乳の線量をND(検出限界値以下)とするため、30Bq以上の牧草を牛に与えるのを禁止し(国の基準値は100Bq)、購入飼料を与えている。  ところが、酪農家のなかには1人だけ県に許可を取り、牧草を与える実験をしている人がいる。彼は、国が牧草地を除染する以前から自主的に除染をはじめ、九州大学のグループとEM菌を使った除染実験をしている。牛1頭にEM菌を与え、64Bqの牧草を与えてみた所、EM菌が内部被曝したセシウム吸着し、乳の線量が落ちていた。  市内では震災を機に人手不足が深刻化しており、酪農家の間でも大きな問題となっている。南相馬の山の方が市内でも線量が高く、いずれの酪農家の方も子供を避難させている。妻子は県外にいて1人で牛の面倒を見ている人もおり、今までの規模はとても維持できないという。といって、少ない規模だと、ヘルパーも十分に雇うこともできず、牛の数を半分以下に減らした人もいる。  現地では地域分断よりも、地域の維持がより大きな問題となっている。ある酪農家は「続けられるだけまだいいと、今では考えるようにしている」という。「小高や津島の酪農家を見ていると、いつ再開できるのか先が見えない。農家によって状況も違うし、考え方も違う。どうやって生きて行くのか、その先の見通しを何とか見つけないと。事故がなくても考えなければいけないことだったかもしれない。ただ、無駄な努力をさせられたよな」とのことである。片倉では、小学校が複式学級になる。深野でも小学校の生徒が10人に減ってしまった。「避難先には何でもある。30-40代は戻ってこない。だから、昨年から田んぼも再開した。続けていないと集落が維持できなくなる」とのことである。  人がいなくなったことで獣害問題も深刻化している。山に近い片倉や馬場では、震災前からイノシシの被害はあったが、震災後に電気柵を設置したという。「電気柵をはずすと集中砲火を受ける。猿も定期的に群れで来る。あれはくせ者。牧草の新芽を食べる」という。  このような状況でありながらも、彼らは後継者不足には悩んでいない。週末になると避難先の千葉から息子さんが手伝いにくる人もいれば、息子が新潟の農業短大を卒業したら酪農をやるという人もいる。「酪農で大丈夫かとも思うが、牧草さえ再開できれば牛乳は足らないし、やってゆけなくはない」。また、「一度辞めると(酪農の)再開は困難。それ(息子が家業を継ぐ)までは今の規模を維持して行かないと」という。酪農仲間たちは、「親の背中を見てるんだねえ」とコメントしていた。
著者
渡辺 澄夫
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.97, no.5, pp.1145-1161, 2012-02

統計的推測の問題を考えるときに現れる物理学と数学について紹介する。統計的推測の問題は、ランダム・ハミルトニアンによって定義されるカノニカル分布のもとでマクロな変量の挙動を考える問題と等価である。特に、観測データの背後にある構造を推測する場合には、基底状態が特異点を持つ解析的集合であるカノニカル分布を考察する問題になり、マクロな変量が従う法則を導出する際に代数幾何などの数学的手段が有効である。統計力学と類似する理論の構築により、統計的推測においても普遍性を持つ公式が存在すること、および、その公式は双有理不変量を与えていることが明らかになる。
著者
渡辺 哲朗
出版者
新領域創成科学研究科 基盤科学研究系 基盤情報学専攻
巻号頁・発行日
2007-03-22

報告番号: ; 学位授与年月日: 2007-03-22; 学位の種別: 修士; 学位の種類: 修士(科学) ; 学位記番号: 修創域第2043号 ; 研究科・専攻: 新領域創成科学研究科基盤情報学専攻
著者
渡辺 満久 鈴木 康弘 中田 高
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-05-19

1. はじめに布田川-日奈久断層の活動により2016年熊本地震が引き起こされ、甚大な被害を生じた。被害がとくに顕著な地域はやや局所的であり、活断層との関係が伺われる。以下、益城町と南阿蘇村の事例を報告し、今後の地震防災に活かすべき教訓として提示したい。2.益城町益城町の市街地では震度7を2度記録したが、4/16の地震時の建物被害が著しかったようである。地震被害が激甚な害域は、南北幅が数100 km程度で、東西に数 km連続する「震災の帯」をなしている。ここでは、耐震性が低くない建物までもが壊滅的な被害を被っていることがある。この「震災の帯」の中には、益城町堂園付近から連続する(布田川断層から分岐する)地震断層が見出さるため、その活動が地震被害の集中に寄与している可能性が非常に高い。木山川南方の布田川断層沿いにおいても地震断層が出現し、その近傍では壊滅的な被害を受けた家屋が集中している。その被害集中範囲も、地震断層沿いの幅およそ1km程度内に限定される。このように、地震断層直上の建物は悉く全壊し、近傍においても建物被害が著ししい。断層運動による地盤のずれとともに、強震動と地盤破壊による影響が強かったと推定される。3.南阿蘇村阿蘇カルデラ内の南阿蘇村(倒壊した阿蘇大橋周辺)においては、複数の地震断層が併走して現われた。地震断層直上およびその近傍では、ほとんどの建物が倒壊しており、多くの犠牲者を出した。ここでも、断層運動による地盤のずれてしまったことと、断層近傍での震動が強かったことが、被害を拡大させたと考えられる。これらの地震断層は、事前に検出することは非常に困難であると思われる。断層による地盤のずれの現われ方に関して、今後の防災においては非常に貴重な事例となるであろう。また、この地域においては、少なくとも5台の自動車が北~北西方向へ横倒しとなっていることも確認した。このような現象は、兵庫県南部地震では確認されていない。横ずれ断層にともなう断層直交方向のS波により転倒したと推定される。それは、南阿蘇村に集中する大規模な斜面崩壊の引き金にもなったと思われる。4.まとめ活断層の位置は、地震防災上きわめて重要活基礎的な情報であることが再確認された。どうようの現象は兵庫県南部地震時に神戸市街地でも確認されていたのであるが、残念ながら活断層の重要性が共有されることはなく、結果的に、兵庫県南部地震の教訓を生かすことにはつながらなかった。今後、活断層の事前認定が防災上極めて重要であることを再認識し、「都市圏活断層図」等を活用することによって、広域的な減災対策を講ずることが必要である。なお、南阿蘇村の事例は、現段階での活断層認定の限界を示すものである。地震防災を考える上では、既知の活断層周辺において何が起こるのか、慎重に検討してゆく必要がある。
著者
中富 康仁 倉恒 弘彦 渡辺 恭良
出版者
医学書院
雑誌
BRAIN and NERVE-神経研究の進歩 (ISSN:18816096)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.19-25, 2018-01-01

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は,慢性で深刻な原因不明の疲労,認知機能障害や,慢性的で広範な疼痛を特徴とする疾患である。われわれは世界で初めてME/CFS患者における脳内神経炎症をポジトロンエミッション断層撮影(PET)によって明らかにした。神経炎症は患者の広範な脳領域に存在し,神経心理学的症状の重症度と関連していた。現在,診断法および治療の開発につなげる研究がスタートしている。
著者
渡辺 伸元 松永 宏之 宇野 雅紀 大岩 孝
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.1153-1157, 2014-09-30 (Released:2015-02-04)
参考文献数
17
被引用文献数
1

症例は35歳女性。便秘,腹痛を主訴に来院した。腹部CTで結腸に多量の便塊と小腸から結腸にかけて高度の拡張を認め,宿便性腸閉塞の診断で入院となった。保存的治療を試みたが,さらに発熱,炎症反応高値を認めたため閉塞性腸炎の診断で緊急手術を施行した。下行結腸で硬便が数珠状に連なり閉塞していた。横行結腸で双孔式人工肛門を造設した。術後は一旦経口摂取可能となったが再度腹部の膨隆が強くなった。腹部CTで腸管外にairを伴う多量の腹水を認め,消化管穿孔の診断で術後5日目に再度,緊急手術を施行した。腹腔内には便汁が充満し,人工肛門より口側の横行結腸に壊死,穿孔を認めた。拡大結腸右半切除および回腸ストマを造設した。敗血症性ショックとなったが2回目の手術より14日目に軽快退院となった。今回,健常な若年者が宿便性腸閉塞から閉塞性腸炎,大腸穿孔をきたした症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。