著者
渡辺 雅子
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.23-42, 2001-10-10
被引用文献数
1

The words "individuality" and "creativity" have been frequently used in the philosophy of Japanese education since the Meiji period, and emphasis on individuality has come to be a key term in recent educational reforms. However there is no consensus on how these words are understood by teachers, administrators and scholars. This study analyzes how individuality and creativity are understood, taught and evaluated in Japanese and American classrooms, by focusing on language arts lessons, and in particular writing instructions. Observation of lessons, interviews with teachers, and analysis of students' compositions reveal that in American classrooms, creativity is achieved through ideas written in realistic terms in an appropriate form, whereas in Japanese classrooms, it is achieved through vivid expressions of personal feelings based on the shared experiences of a teacher and fellow students. In order to achieve creativity, teachers in the United States give strict guidance in composition, stressing techniques for choosing the style best fitting the student's individual objective among several different ones. In Japan, teachers encourage students to freely express their feelings, and yet students' compositions show remarkable similarity. Paradoxically, the strict technical teaching of different styles produces variety in students' writing in the United States, while the encouragement of free writing produces compositions that are strikingly similar to each other in Japan. One of the reasons of this outcome is that mastering different styles provides a choice among alternatives for American students to express their ideas. However, the results of the research do not mean that Japanese students lack individuality and creativity. Rather, differences in American and Japanese teachers' views of "individualtiy" and "creativity" influence teaching practices and their outcomes.
著者
渡辺 和人 山折 大 竹田 修三
出版者
北陸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

大麻の毒性発現機構解明の一環として、主成分テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)およびカンナビノール(CBN)の代謝、代謝的相互作用、細胞毒性に関して検討を行い、以下の点を明らかにした。(1)THCのマウス脳における代謝。(2)CBDのヒト肝における代謝。(3)THC、CBD、CBNのヒトCYP分子種の阻害作用および誘導作用。(4)THCのカンナビノイド受容体を介した細胞毒性およびヒト乳癌細胞増殖促進作用の機構。(5)シクロオキシゲナーゼ-2選択的阻害剤としてのカンナビジオール酸、選択的5-リポキシゲナーゼ(LOX)阻害剤としてのCBD-ジメチルエーテル、THCおよび主代謝物THC-11-oic acidの強力な15-LOX阻害作用。
著者
山岡 傳一郎 伊藤 隆 浅間 宏志 佐橋 佳郎 三谷 和男 姜 東孝 安井 廣迪 渡辺 均
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.270-280, 2017 (Released:2017-12-26)
参考文献数
18
被引用文献数
1 6

漢方製品の使用量と金額は近年増大しているが,輸入生薬単価の上昇と保険薬価低下のために,漢方薬を扱う業界には長期低落傾向がみられる。生薬国内生産はこの30年間減少し続けているが,状況改善への試みがなされている。福島県の会津産人参生産量は153トンから8トンに減少したが,圃場の拡大と栽培期間短縮の研究が開始された。奈良県では生産から販売までの一貫体制の構築に取組み,大和当帰を用いた新たな商品開発販売のため,生産者,製薬・食品メーカー,大学研究機関による協議会が活動している。また薬用作物の国内生産に向けて,農林水産省,厚生労働省ならびに日本漢方生薬製剤協会は,3年間にわたり生産者と製薬各社とのマッチング会議を各地で開催してきた。漢方による医療費削減のためには,漢方製剤だけでなく煎薬などの生薬を直接用いた治療のできる医療体制が必要である。生薬国内生産コストを賄う施策に関する議論が望まれる。
著者
永吉 希久子 瀧川 裕貴 呂 沢宇 下窪 拓也 渡辺 誓司 中村 美子
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.26-43, 2023-04-01 (Released:2023-04-20)

ソーシャルメディアにおける「世論」の特徴と、それを分析するメリットを検討するため、前号では2020年の安倍首相(当時)に関するツイートの分析を例として、「教師あり機械学習」によるセンチメント分析という手法を用いて、安倍首相に対する支持と不支持の態度を推定した。分析の結果、ツイートの8割近くが安倍首相に対するネガティブな態度を表していると分類され、世論調査の内閣支持率との間に、大きな乖離がみられることが明らかになった。そこで、前号で用いたのと同じ、安倍首相に関する500万のツイートについて、ツイートの話題を抽出できるトピックモデル分析という手法を用いて詳細に分析し、Twitter「世論」の特徴と、その有用性について報告する。 トピックモデルの手法は複数存在するが、本号では短文からなる文書の分析に適したギブスサンプリングディリクレ多項ミクスチャーモデル(GSDMM)を用いた。分析の結果、25のトピックが抽出され、全体の28%程度をコロナ関連のトピックが、24%程度を政治疑惑・スキャンダルに関するトピックが構成していた。トピックごとのセンチメントの分布をみると、ほとんどのトピックで安倍首相への否定的意見が大半を占めていたが、外交や「安倍首相への批判と、そうした批判者への批判」からなるトピック、辞任報道への反応では、肯定的意見も2割程度あった。また、政治的疑惑・スキャンダルに関するトピックは短期間の盛り上がりにとどまり、相対的に少数のアカウントが繰り返しツイートをする傾向にあるのに対し、新型コロナ関連のトピックは一定期間持続し、相対的に多くのアカウントが発言に参加していることも示された。 Twitter上の安倍首相への態度の大半を不支持が占めていたが、その内部は政治的疑惑・スキャンダルを中心に、相対的に少ないアカウントが積極的にリツイートを含めた発信を行うトピックと、緊急事態宣言やアベノマスクといった、多様なアカウントが否定的意見を表明したトピックが混在していたことがわかる。 Twitterデータの分析によって、通常の質問紙調査で測定できる「聞かれたから答える」意見とは異なり、人々が関心をもち、意見を表明するほどの熱意を持って抱く「世論」を測定することができる。本研究で用いたような、トピック分析やセンチメント分析などの手法を組み合わせて分析することで、人々の関心や熱意の推移、その多様性や状況による変化を検証することができる。このような点が、Twitterで世論を分析するメリットといえるだろう。 上記のように、Twitterに現れる「世論」は通常の世論調査から把握される「世論」とは質的に異なる。重要なのは、従来の世論調査から把握される世論とツイートの分析から把握される世論の、それぞれの特徴と利点、限界をふまえ、両者を補完的に用いることである。それにより、より多面的に世論を理解することができる。 *GSDMM(ギブスサンプリングディリクレ多項ミクスチャーモデル)Gibbs Sampling Dirichlet Multinomial Mixture
著者
高橋 啓子 奥村 恭男 永嶋 孝一 園田 和正 古川 力丈 佐々木 直子 磯 一貴 黒川 早矢香 大久保 公恵 中井 俊子 渡辺 一郎 平山 篤志
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.48, no.SUPPL.2, pp.S2_6-S2_14, 2016-12-30 (Released:2018-08-15)
参考文献数
7

症例は41歳男性.B型WPW症候群に伴うwide QRS頻拍に対し,電気生理学的検査を施行した.心室連続刺激中の心房最早期興奮部位はHis束電位記録部位であったが,心室早期刺激で左側後壁副伝導路の存在が示唆された.心室早期刺激でclinical wide QRS頻拍(SVT1)が誘発され,右側側壁副伝導路を順行,房室結節を逆行する逆行性房室回帰性頻拍と診断した.SVT1は室房伝導時間が短縮し,His束電位が心室(V)波に重なるSVT2へと変化した.その間,His –心房(A)波間隔は一定であったことからSVT1の室房伝導は機能的右脚ブロックであったのに対し,SVT2ではそれが解除されたと考えられた.さらにその後の心室早期刺激でwide QRS頻拍SVT3が出現し,これは室房伝導の順序は変化しないまま,narrow QRS頻拍SVT4に変化した.これらは房室結節を順行,左房後壁副伝導路を逆行する順行性房室回帰性頻拍と診断した.wideからnarrowへの変化はCoumel現象による左脚ブロックが解除されたためと考えられた.さらに副伝導路間を旋回するSVT5と,通常型slow-fast房室結節回帰性頻拍(SVT6)も誘発された.以上より,順伝導のみの右側副伝導路,潜在性左側副伝導路,房室結節遅伝導路を焼灼し終了した.
著者
倉恒 弘彦 近藤 一博 生田 和良 山西 弘一 渡辺 恭良 木谷 照夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.90, no.12, pp.2431-2437, 2001-12-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2

慢性疲労症候群とは,原因不明の激しい全身倦怠感と共に微熱,頭痛,リンパ節腫脹,脱力感,関節痛,思考力の低下,抑うつ症状,睡眠異常などが続くため,健全な社会生活が送れなくなるという病気である.化学的,生物学的,社会心理的なストレスが誘因となって引き起こされた神経・内分泌・免疫系の変調に基づく病態と思われるが,潜伏感染ウイルスの再活性化やサイトカインの産生異常などが深くかかわっている.
著者
渡辺 敏樹 気賀沢 一輝 宮崎 泰 平形 明人
出版者
日本神経眼科学会
雑誌
神経眼科 (ISSN:02897024)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.385-391, 2016-12-25 (Released:2017-01-14)
参考文献数
17
被引用文献数
1

眼以外の神経症状が見られない視神経萎縮で発見された神経梅毒の一例を報告する.症例は59歳男性,数年前より両眼の進行性視力低下,視神経萎縮を認めるも,数か所の病院にて原因が判明せず当院へ紹介となった.視力右(手動弁),左(0.1),視野は,右は下耳側周辺のみ残存,左は中心および下方に暗点を呈し,両眼視神経乳頭の萎縮がみられた.対光反射近見反応解離を認めたが,縮瞳傾向はなかった.画像検査では視神経萎縮を呈したが,圧迫などの異常所見はなかった.血液および髄液の梅毒抗体の高値,髄液細胞数の上昇を認め,HIV抗体は陰性だった.神経梅毒と診断,ペニシリン大量点滴治療を2週間施行した.治療後,髄液細胞数の低下,血液と髄液の梅毒抗体の低下を認めたが,視力,視野に著変はなかった.経過中に脊髄癆などの神経学的異常はなかった.神経梅毒による視神経萎縮は,日常診療にて遭遇する事は稀だが,視機能予後は不良である.視神経萎縮の原因として梅毒を念頭に置く必要がある.
著者
渡辺 理文 杉野 さち子 森本 信也
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.71-84, 2022-07-31 (Released:2022-07-31)
参考文献数
15

本研究では,理科を専門とする小学校教員1名を対象にし,対象者のもつアセスメント・リテラシーの具体を個性記述的に分析して示した。また,その対象者がアセスメント・リテラシーを自覚的に用いて授業を計画・実践した事例を示した。方法として,AbellとSiegelの提案するアセスメント・リテラシーの理論的枠組みとモデルを援用した。この枠組みとモデルは,評価の目的,対象,方略,解釈・行動に関わる四つの知識で構成されている。半構造化面接によって,対象者のもつアセスメント・リテラシーの具体を分析し,その具体を枠組みにして,小学校第6学年「水溶液の性質」の授業を計画・実践した。結果として,教師が自身のもつアセスメント・リテラシーを自覚的に用いた授業事例を示すことができた。日本の理科教師のアセスメント・リテラシーの分析に,AbellとSiegelの提案する枠組みとモデルは援用可能であった。
著者
高城 健 岡田 義清 白壁 和彦 古橋 廣崇 榎本 真悟 谷知 正章 丸田 紘史 安武 優一 栗原 千枝 戸田 裕之 東山 正明 渡辺 知佳子 髙本 俊介 冨田 謙吾 清水 邦夫 永尾 重昭 三浦 総一郎 穂苅 量太
出版者
消化器心身医学研究会
雑誌
消化器心身医学 (ISSN:13408844)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.2-5, 2016 (Released:2016-09-01)
参考文献数
29

近年,心的外傷後ストレス障害(post-traumatic stress disorder: PTSD)と過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome: IBS)の関連性が指摘されており,一方で精神疾患と腸内細菌との関連性が指摘されている。また,IBSでは腸管粘膜における脳由来神経栄養因子(brain-derived neurotrophic factor: BDNF)の発現が増加するとの報告もある。今回我々は,本学で開発されたPTSD動物モデルを用い,腸内細菌叢や腸管粘膜におけるBDNF発現の変化について検討した。シャトル箱を用いてラットに逃避不能の電撃を負荷すると,後の行動観察でラットはPTSD,学習性無力(learned helplessness: LH),indeterminateのいずれかの行動パターンを呈することが判明した。行動パターンによって腸内細菌叢の構成が異なり,PTSD群ではBacteroidetes,LH群ではProteobacteriaの割合が増加する傾向がみられた。またLH群では,近位結腸のBDNF発現が増加する傾向がみられた。これらの変化がmicrobiota-gut-brain axisに関連し,行動変化や消化管機能に影響を与えている可能性がある。
著者
鈴木 徹 竹内 友里 益田 和徳 渡辺 学 白樫 了 福田 裕 鶴田 隆治 山本 和貴 古賀 信光 比留間 直也 一岡 順 高井 皓
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.371-386, 2009 (Released:2011-05-23)
参考文献数
24

Recently, several food refrigeration equipments that utilize magnetic field have attracted much attention from food production companies, consumers and mass media. However, the effectiveness of the freezers is not scientifically examined. Therefore, the effectiveness should be clarified by experiments or theoretical considerations. In this study, the effect of weak magnetic field (about 0.0005 T) on freezing process of several kinds of foods was investigated by using a specially designed freezer facilitated with magnetic field generator. The investigation included the comparison of freezing curves, drip amount, physicochemical evaluations on color and texture, observation of microstructure, and sensory evaluation. From the results of the control experiments, it can be concluded that weak magnetic field around 0.0005 T provided no significant difference on temperature history during freezing and on the qualities of frozen foods, within our experimental conditions.
著者
渡辺 恒夫
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.159-165, 2003-03-01

明晰夢(夢の中で夢であることを気付く夢)が実際に生じることが、実験的に検証された。4名の被験者が、夢見ていると気付いた時に夢の中で特定の行動をとることにより、ポリグラフ上に観察しうる合図を送り出すことに成功したのだった。うち2名はレム睡眠中に、他の2名は段階1中に合図を送信した。次に、明晰夢の起こる心理的条件を発見するために、明晰夢に関する質問紙を作成し、「アイゼンク人格目録」および「菅原の自意識尺度」と共に大学生を対象として調査を実施した。その結果、明晰夢経験頻度と人格特徴の間にはいかなる有意な関係も見出されなかったが、自意識尺度中の「私的自意識」の得点との間には、有意な正の相関が見出された。この結果は、多くの人々が、その人格特徴のちがいにかかわらず、私的自意識を日常生活の中で強化するような訓練を積むことによって明晰夢を見る能力を高めうるということを、示唆するものと思われる。
著者
渡辺 貫太郎
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.126-133, 1960 (Released:2010-05-07)
参考文献数
23
著者
渡辺 敏郎
出版者
日本醸造協会
巻号頁・発行日
vol.107, no.5, pp.282-291, 2012 (Released:2013-10-08)