著者
渡邊 [きよ][ひこ]
出版者
CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.124-134, 1939
被引用文献数
3

Ipomoea batatas LAM. Kulturrasse Hitihuku 2n=90 Goldskin 2n=90 Kintoki 2n=90 Isikaja 2n=90 Turunasi 2n=90 Ipomoea pes-caprae ROTH. (=I. biloba FORSK.) 2n=30 Ipomoea pes-tigridis L. 2n=30 Ipomoea cairica SWEET (=I. palnata FORSK.) 2n=30 Ipomoea reptans POIR (=I. aquatica FORSK.) 2n=30 Ipomoea obscura KER. 2n=30 Ipomoea sp. 2n=30 Operculina Turpethum PETERS (=Ipomoea Turpethum R. BR.) 2n=30 Hewittia sublobata O. K. (=H. bicolor WIGHT et ARN.) 2n=30 Ipomoea indica MERRILL (=I. congesta R. BR.=Pharbitis insularis CHOISY) 2n=30 Calomyction bona-nox BOJ. 2n=30 Stictocardia campanulata HOUSE (=Ipomoea campanulata L.) 2n=30 Argyreia nervosa BOJ. (=A. speciosa SWEET.) 2n=30 Merremia gemella HALLIER f. (=Ipomoea chryseides KER.) 2n=58
著者
渡邊,洋之
出版者
環境社会学会
雑誌
環境社会学研究
巻号頁・発行日
no.4, 1998-10-05

本稿では捕鯨問題について、歴史-社会学的視点より考察を加えた。多様なクジラと「日本人」とのかかわりは、近代以降、拡張主義的方向性を背景とし、捕鯨業が一つの大きな産業として成立したことで、捕鯨というかかわりに単一化されていった。しかし、「捕鯨文化」を主張する人類学的研究は、日本の捕鯨擁護という政治的目的によりなされたため、上記の過程を無視または的確にとらえずに、捕鯨を実体化した「日本人」の「文化」であるとして正当化するという誤りを犯した。今後のクジラとのかかわりは、野生生物を守ることを基本姿勢とし、その上でかかわりの多様性を維持するという方向で検討されねばならない。その際には、国家・民族・地域を実体化しその「文化」であると表象して正当化すること、また逆に、「文化」と表象することである国家・民族・地域を実体化することは、慎重かつ批判的に考察されるべきである。
著者
渡邊 三津子 古澤 文
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2014, 2014

<B>1. はじめに</B><BR><br> ソ連崩壊後のカザフスタン農業については、マクロな視点からのすぐれた研究蓄積がある一方で、個別地域における市場経済化がミクロな市場(バザール)や地域の農業にどのような影響を与えたのか、といった点については実態的な調査が行われていないのが現状である。本研究では、人々の生活に最も身近な市場と地域農業との関係に焦点を当てる。ソ連崩壊後20年を経て、地域の市場が市場化やグローバル経済をどのように受容してきたか、また市場の変容が地域農業や土地利用にどのような影響を与えたかを明らかにすることを目的とする。 本発表では、市場の小売店や農業生産者へのインタビューを通じて、近年の青果物の輸入増加に目を付けた農業生産者たちによる新たな取り組みとしての施設栽培の導入について紹介する。 <BR><br><B>2. 青果物輸入量増加と施設栽培の導入</B><BR><br> カザフスタンにおいて、1991年のソ連崩壊後、計画経済から市場経済へと移行する過程で農業生産の大幅な縮小が生じた事はよく知られている(錦見、2004など)。その後、1999年ごろまで農業生産は停滞していたが、その後穀物生産に牽引されて回復過程に入ったとされている(野部、2008)。 しかし、野菜や果物に関しては季節的な変動が大きく、夏場には大量に市場に出回るものの冬場には不足する。アルマトゥ市内の市場やジャルケントの市場での聞き取りでは、冬季に市場に出回るものの多くは、海外(特に中国)からの輸入品である。近年、当該地域では、こうした現状に目を付けて施設栽培を導入する農業生産者も現れた。以下、アルマトゥ市近郊、パンフィロフ地区ジャルケント周辺の2か所における聞き取りの内容を紹介する。<BR><br>1) パンフィロフ地区の農業者の事例<BR><br> アルマトゥ州パンフィロフ地区は、中国と国境を直接接する辺境である。2012年末、中国の青島からカザフスタン共和国のアルマトゥを結ぶ大陸横断鉄道が開通したことにより、現在では経済活動の結節点としての重要性が高まっている。 Sさんは、ソ連時代にはジャルケントの銀行に勤めていたが、2005年に農業企業(有限会社)を設立した。Sさんの農場では、現在25棟の温室を所有し、9月以降冬場にかけてキュウリやトマトを栽培している。 ジャルケントのコーク・バザールで青果物の小売店を営むZさんによれば、現在ジャルケントにはSさんを含む3軒の農家が施設栽培を行っているが、冬場の需要を満たすには至らず中国産のものを仕入れている。<BR><br>2) カスケレン地区の農業者の事例<BR><br> &nbsp; アルマトゥは、1997年にアスタナに遷都されるまでの首都であり、現在でも国内最大人口を抱えるカザフスタンの経済活動の中心地である。アルマトゥから西方約25㎞のカスケレンにおいて農業企業を営むAさんは、もともとエコノミストであり農業経験はなかったが、中国産の野菜の輸入量や品目、価格について調査し、2012年に企業に踏み切った。現在2棟の温室を有し、キュウリとトマトを栽培している。温室自体は韓国製で、その他の栽培技術や種、土などはオランダのものを使っている。Aさんの農場では、農薬は使わず有機栽培を行っている。露地栽培に比べてコストは割高になるが、カザフスタンではまだ有機野菜などの付加価値が認められていないので、他の露地物と同じ価格で販売している。 <BR><br><B>3. まとめ</B><BR><br> &nbsp; ソ連時代以降の食生活の変化に伴って、冬場にも青果物の需要がある一方で、カザフスタンにおける冬場の生産は少ない。ソ連崩壊後、特にカザフスタン南東部においては中国から輸入青果物が大量に出回るようになった。それに目を付けた、農業者が独自に施設栽培を導入し始めたが、技術面やコスト面での課題が多い。 &nbsp; <BR> &nbsp;<br>錦見浩司(2004):農業改革-市場システム形成の実際-.岩﨑一郎・宇山智彦・小松久男編著『現代中央アジア論-変貌する政治・経済の深層-』201-226./野部公一(2008):再編途上のカザフスタン農業:1999~2007年-「連邦」の食料基地からの脱却.「専修経済学論集」43(1)、73-91。
著者
湯浅 正洋 松本 希美 渡邊 敏明
出版者
公益社団法人 日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.86, no.12, pp.678-684, 2012
参考文献数
32

Biotin is a water soluble vitamin that is a cofactor for carboxylases in fatty acid synthesis, gluconeogenesis, and amino acids metabolism. Biotin deficiency is very rare in humans since biotin is widely contained in various foods. However, biotin deficiency has been reported in infants using "infant formulas" made in Japan. Biotin deficiency is especially developed in infants with special formulas, high-calorie infusion with low biotin contents and anticonvulsants. Biotin deficiency is sometimes shown in infant patients with milk allergies caused by amino acid formula with low biotin contents. In this article, we reviewed the biotin deficiency induced by special formulas in Japanese infants. From previous reports, the biotin content in Japanese formulas is lower than the recommended dietary amount of FAO/WHO (1.5 μg/100kcal) and that of United States products. Urinary biotin concentration in formula-fed infants is lower than breast-fed infants, because biotin contents in Japanese formulas are much less. From these findings, biotin should be added to Japanese infant formulas as soon as possible, and it is necessary to make clinical staffs, such as dietitians and pediatricians, and neonatal intensive care unit staffs recognize that the biotin contents in special formula are not enough for maintaining the nutritional status of biotin.
著者
渡邊 健
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
vol.74, pp.69-83, 2018 (Released:2018-03-29)

2017年6月、「東京都公文書の管理に関する条例」が制定され、翌7月に施行された。同条例は何をきっかけとして、どのような過程を経て制定されたのか。先行して公文書管理条例を制定している地方公共団体の事例に照らして考察した。東京都の場合、豊洲問題という不祥事を契機として、小池百合子都知事のリーダーシップの下、条例化が進展した。その制定過程について、都に対する情報開示請求の結果得られた文書を中心に、「条例案の概要」に対して募集されたパブリックコメントへの意見表明結果や東京都総務局総務部文書課との面談等を通じて、多面的に検討した。東京都の情報公開や公文書管理に対するスタンスは条例制定を経てなお、課題が多いが、今後2019年の新公文書館開館に併せてもう一段の制度見直しが期待される。特に歴史公文書の扱いについて、継続的に動向を注視していくことが必要である。
著者
横田 和子 中村 隆俊 佐藤 武郎 樋口 格 山下 継史 渡邊 昌彦
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.615-619, 2017 (Released:2017-09-30)
参考文献数
11

症例は48歳,男性.人間ドックの腹部超音波検査にて,右腎腹側に6cm大の腫瘤を認め,精査目的に当院紹介となった.腹部造影CTでは,右腹横筋に接して6cm大の境界明瞭で内部均一な腫瘤性病変を認め,腹部MRIでは,T1脂肪抑制画像で内部均一な低信号を認めた.注腸造影検査では,横行結腸肝弯曲中心に壁外性の圧排像を認めた.以上より腹横筋脂肪腫が疑われ,悪性腫瘍が否定できないため手術の方針となった.画像上,腫瘍は腹腔内に突出していたため腹腔鏡下手術の方針とした.右肋骨弓下に突出する腫瘍を認め,周囲臓器への浸潤はなく腹膜および腹膜前脂肪織・腹横筋の一部とともに合併切除した.病理組織学的所見は,被膜を有し異型に乏しい脂肪組織の増生を認め,辺縁に全周性に筋組織が付着するintermuscular lipomaと診断した.腹壁由来脂肪腫を腹腔鏡下に切除しえた症例は非常に稀であるため,文献的考察を加えて報告する.
著者
中島 崇行 大塚 健治 富澤 早苗 増渕 珠子 上條 恭子 八巻 ゆみこ 吉川 聡一 長谷川 恵美 小鍛治 好恵 渡邊 趣衣 橋本 常生
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.234-238, 2018-10-25 (Released:2018-11-14)
参考文献数
9
被引用文献数
5

殺虫剤であるクロラントラニリプロールの実態調査を行った.試験溶液は,QuEChERS法を応用した抽出とC18/GC/PSAによる精製により調製し,LC-MS/MSにより測定・定量を行った.8食品で分析法の性能評価(n=5)を行ったところ,回収率は50.2~93.4%, RSDは9.7%以下であった.本分析法を用い,野菜207検体および果実163検体を分析したところ,検出限界(4 ng/g)を超える検体数(検出率)は野菜で17検体(8.2%),果実で2検体(1.2%)であった.なかでもオクラ(10検体中4検体),パプリカ(23検体中4検体)およびトマト(6検体中2検体)の検出率が高く,さらに葉菜類では高濃度に残留している検体があり,最も高濃度の残留が認められたのは国産のみず菜(571 ng/g)であった.また,国産を含めてアジア圏の検体からの検出が大半を占めた.しかし,いずれの検体においても,MRLを超える残留は認められなかったことから,クロラントラニリプロールの適切な使用が伺えた.
著者
渡邊 美咲 野口 実華子 橋本 多美子 吉田 精作
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.228-233, 2018-10-25 (Released:2018-11-14)
参考文献数
5
被引用文献数
5

2008年から2016年に購入した小麦製品中残留有機リン系農薬濃度を調査した.国産の小麦粉34検体中,クロルピリホスメチルは検出数16,最高値0.016 ppm,ピリミホスメチルは不検出,フェニトロチオン(MEP)は検出数14,最高値0.004 ppmであった.国産のクッキー38検体中,クロルピリホスメチルは検出数22,最高値0.054 ppm,ピリミホスメチルは検出数1, MEPは検出数16,最高値0.007 ppmであった.ふすまを含む国産クッキー中のクロルピリホスメチル濃度は高かった.外国産クッキー68検体ではクロルピリホスメチルは検出数25,最高値0.025 ppm,ピリミホスメチルは検出数32,最高値0.11 ppm, MEPは検出数4,最高値0.004 ppmであった.ヨーロッパ地域の製品からピリミホスメチルが高頻度に検出された.全調査検体において検出値は基準値未満であった.
著者
中西 徹 河村 葉子 城市 香 渡邊 雄一 杉本 敏明 阿部 裕 六鹿 元雄
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.193-199, 2018-10-25 (Released:2018-11-14)
参考文献数
3
被引用文献数
2

食品衛生法では,器具・容器包装からの総溶出物試験として蒸発残留物試験が規定されている.油脂および脂肪性食品の最適な食品擬似溶媒は植物油であるが,蒸発乾固が困難であることから,合成樹脂ではヘプタン,ゴムでは20%エタノールが浸出用液として用いられている.一方,欧州連合では,油脂および脂肪性食品に使用される合成樹脂に対してオリブ油への総溶出物試験が規定されており,その試験法は欧州標準規格EN1186-2に収載されている.しかし,試験操作上の問題が多いことから,試料の恒量化を43%硫酸デシケーターで行い,溶出後試料に残存する植物油を内標準浸漬抽出法で抽出し,植物油のメチルエステル化にナトリウムメトキシドを用い,GC測定条件を変更するなどの改良を行った.その結果,操作が簡便で試験時間が大幅に短縮され,試薬の有害性が低減され,合成樹脂だけでなくゴムにも適用可能な試験法を確立することができた.さらに,本法とEN1186-2に示された試験法を6種類の試料を用いて比較したところ,同等の試験性能をもつ優れた試験法であることが確認された.
著者
渡邊 淳司 安藤英由樹 朝原 佳昭 杉本 麻樹 前田 太郎
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.1354-1362, 2005-05-15

本論文では,歩行移動の快適性,利便性を向上させるための靴型歩行周期誘導インタフェースを提案し,歩行周期の誘導を効率的に実現するための刺激入力手法について論ずる.靴型インタフェースは,靴底にある圧力センサによって歩行状態を計測し,それに合わせて足の甲に振動刺激を行うことで,人間の感覚入力に対する運動の半無意識的な同期現象(引き込み)を利用して歩行周期の誘導を行うものである.本実験を通して,振動刺激は踵が接地するタイミングに行うと効果的に誘導が可能であり,歩行周期に対する刺激周期の変化が-100 msから+150 msの範囲ならば,装着者に心理的負荷をかけずに誘導可能であることが分かった.
著者
渡邊 智子 土橋 昇 鈴木 彰 Tomoko WATANABE Noboru TSUCHIHASHI Akira SUZUKI 千葉県立衛生短期大学(調理科学 食品学) 千葉県立衛生短期大学(食品学) 千葉大学 Chiba College of Health Science Chiba College of Health Science
雑誌
千葉県立衛生短期大学紀要 = Bulletin of Chiba College of Health Science (ISSN:02885034)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.13-17, 1994
被引用文献数
1

The effect of ozone exposure (concentration : 0 and 0.3 ppm) during cultivation of Winter mushroom (Flammulina velutipes (Curt. : Fr) Sing.) was investigated on the weight and chemical composition (diameter of pileus, lenght of stipe, water, protein, lipid, carbohydrate and ash as major constituents : and thiamin, riboflavin and ascorbic acid as vitamins) on dry matter basis of fruit body i. e., pileus, stipe and the whole. As to 0 day after the ozone exposure treatment, increase was observed on water, protein, ash, thiamin, riboflavin and ascorbic acid in the whole bodies. On the other hand, as to 5 days after the ozone exposure treatment, an increase was observed on diameter, content of lipid and carbohydrate in pileus, on the length, content of carbohydrate, thiamin and ascorbic acid in stipe, and on the content of protein, carbohydrate, thiamin and ascorbic acid in the whole.
著者
渡邊 智子 土橋 昇 鈴木 彰 Tomoko WATANABE Noboru TSUCHIHASHI Akira SUZUKI 千葉県立衛生短期大学(調理科学食品学) 千葉県立衛生短期大学(食品学) 千葉大学 Chiba College of Health Science Chiba College of Health Science
雑誌
千葉県立衛生短期大学紀要 = Bulletin of Chiba College of Health Science (ISSN:02885034)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.13-17, 1994

The effect of ozone exposure (concentration : 0 and 0.3 ppm) during cultivation of Winter mushroom (Flammulina velutipes (Curt. : Fr) Sing.) was investigated on the weight and chemical composition (diameter of pileus, lenght of stipe, water, protein, lipid, carbohydrate and ash as major constituents : and thiamin, riboflavin and ascorbic acid as vitamins) on dry matter basis of fruit body i. e., pileus, stipe and the whole. As to 0 day after the ozone exposure treatment, increase was observed on water, protein, ash, thiamin, riboflavin and ascorbic acid in the whole bodies. On the other hand, as to 5 days after the ozone exposure treatment, an increase was observed on diameter, content of lipid and carbohydrate in pileus, on the length, content of carbohydrate, thiamin and ascorbic acid in stipe, and on the content of protein, carbohydrate, thiamin and ascorbic acid in the whole.
著者
安藤 久美子 長尾 啓子 川島 敏生 渡邊 幹彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.462, 2003 (Released:2004-03-19)

【目的】我々は投球障害肩の治療において野球肘の既往を認める者を多く経験し、肘関節の可動域(以下ROM)制限が肩の運動に影響を与えている可能性があると考えた。そこで上肢回旋ROMを測定する方法を考案し、肘関節や手関節などの固定が上肢のROMに影響を与えることを報告してきた。今回、投球障害肩の選手の上肢回旋ROMを測定し健常群と比較検討したので報告する。【対象】健常肩群(以下N群)健常な上肢を有する者22名。男性10名女性12名。平均年齢は25.0歳。投球障害肩群(以下Ab群)当院を受診し、投球障害肩と診断された野球選手。男性9名。平均年齢19.5歳であった。【方法】測定は各被験者1回、肘関節伸展位で上肢を矢状面・前額面で両上肢挙上させ、挙上角度0°60°120°における上肢の回旋運動を最大努力にて行い、前腕回内外運動器(YAESU社HKY式)を用いて測定した。これを以下の4条件で行い、_丸1_固定なし:Free_丸2_手関節固定:Wrist_丸3_前腕回内位固定:P -elbow_丸4_前腕回外位固定:S-elbow。各条件でのAb群とN群の平均値を比較検討した。【結果】(1)上肢回旋ROM(屈曲挙上角度:N群/Ab群)Free(0:360/320)(60:340/300)(120:310/280)Wrist(0:320/300)(60:310/290)(120:290/270)P-elbow(0:250/230)(60:250/230)(120:240/220)S-elbow(0:230/240)(60:230/250)(120:220/220)(2)上肢回旋ROM(外転挙上角度:N群/Ab群)Free(0:360/310)(60:370/320)(120:320/290)Wrist(0:320/300)(60:350/220)(120:300/270)P-elbow(0:250/220)(60:290/260)(120:260/210)S-elbow(0:230/240)(60:260/250)(120:230/220)であった。Ab群の回旋ROMはN群と比較してS‐elbow以外では前額面、矢状面ともに可動域が低かった。S‐elbowではAb群とN群に大きな差は認めず、矢状面上では逆転していた。【考察】上肢の回旋運動は肩甲胸郭節と肩関節と前腕の複合運動である。今回の実験よりAb群は上肢の回旋可動域の低下が認められた。しかし、前腕回外位固定では正常群と大きな差は認められなかった。これはAb群が前腕回外位で固定された状態に近く、前腕の回内位に入らないのを肩関節内旋で代償していると考えられ、こうした動きの制限が可動域減少の1つの要因と考えられた。投球障害肩の発症の1つの要因に前腕の回内外制限を肩関節内外旋で過度に代償した結果が推測された。