著者
川又 達朗 片山 容一
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.9, pp.666-673, 2009-09-20
被引用文献数
4

スポーツ医学の分野では,脳振盪が注目されており,予防を中心にさまざまな研究が行われている.軽症の頭部外傷である脳振盪の予防が強調されるのはなぜであろうか.スポーツによる脳振盪の特徴は,繰り返して起こしやすいこと,軽症であるがゆえに診断,重症度の評価と競技への復帰時期の判断が難しいことである.繰り返す脳振盪は,頭部外傷後脳症や脳振盪後症候群などを引き起こす.尚早な復帰はセカンドインパクト症候群や急性硬膜下血腫など,重篤な頭部外傷の発生につながる可能性がある.脳振盪を起こしやすいスポーツ環境は,急性硬膜下血腫による死亡率が高いことも報告されている.スポーツ頭部外傷,特に脳振盪について現状の考え方をまとめる.
著者
谷垣 伸治 片山 素子 松島 実穂 橋本 玲子 岩下 光利
出版者
The Japan Society of Ultrasonics in Medicine
雑誌
超音波医学 (ISSN:13461176)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.413-420, 2011

救急外来では,全ての疾患を確定診断する必要はない.緊急を要する患者のみを抽出し,時期を逸せず専門医に委ねればよい.産婦人科救急外来に来院する患者の主訴の3分の2は,下腹部痛と性器出血であり,この二つへの対応をおさえておくことが肝要である.産婦人科領域において緊急を要する疾患は限定されている.当院において,救急外来での診察直後に緊急手術を要した疾患は,異所性(子宮外)妊娠,卵巣出血,卵巣腫瘍破裂・茎捻転,PID(pelvic inflammatory disease)のみであった.診断の第一歩は,妊娠反応である.妊娠の有無により,疾患を患者数から見て約半数否定することが出来る.ついで超音波断層法を行う.緊急を要する疾患の鑑別の為には,子宮内に妊娠しているか否か,卵巣腫瘍の有無,腹腔内出血の有無の確認のみで十分である.心配な症例は,時間をおいて繰返し検査する.超音波断層法は,他の検査に比し簡便かつ非侵襲であり,産婦人科救急において最も有用かつ必須な検査である.
著者
片山喜八 著
出版者
片山書堂
巻号頁・発行日
1885
著者
山場 久昭 長友 想 油田 健太郎 久保田 真一郎 片山 徹郎 朴 美娘 岡崎 直宣
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. IOT, [インターネットと運用技術] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.32, pp.1-6, 2015-05-14

近年,スマートフォンやタブレットのようなモバイル端末の普及に伴い,覗き見によって認証に必要な情報が第三者に取得されてしまてしまうことが問題となってきている.これを解決する技術として,指紋などの生体情報を用いた生体認証が注目されている.本論文では,そのひとつである筋電位を用いた個人認証について検討を行う.具体的には,前腕部の筋電位の波形が手首から先の手の動き (ジェスチャー) によって異なる波形を示すことを利用し,そのジェスチャーを組み合わせてパスワードとして用いる手法を提案する.今回は,個人認証に用いる生体認証として筋電位が利用可能であるのか,筋電位の波形からジェスチャーを判断することができるのか,また,それを計算機上に行わせるのが可能かどうかについて検討を行ったので,報告する.
著者
田村 拓己 久保田 真一郎 油田 健太郎 片山 徹郎 朴 美娘 岡崎 直宣
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.808-818, 2015-03-15

ボットによるWebサービスの不正利用対策として,CAPTCHAと呼ばれる反転チューリングテストが利用されている.Webサイトへの導入のしやすさや回答方式の理解のしやすさから,文字列の画像を用いたCAPTCHA方式が広く普及している.しかし,ボットによる文字認識技術の発展が著しく,高い確率でテストが突破されるなど,その脆弱性が指摘されている.高度化するボットの文字認識技術に対抗し,解読難度を高くしたCAPTCHAや画像識別などの人間の高度な能力を利用するCAPTCHAが提案されているが,利便性が低いことや特定の攻撃に弱い点が問題となっている.本稿では,人間特有の画像認識能力を利用することで,利便性を保ち十分な堅牢性を持つ新たなCAPTCHA方式を提案する.提案手法は,判定に利用する提示画像に正答の文字列を含まないようにすることで文字認識攻撃に耐性を持たせた.また,提示画像には,人間が画像を補完して認識できる程度の妨害図形を付加し,堅牢性を向上させた.提案手法の有効性を確認するため,画像CAPTCHA方式において考えられる攻撃への耐性を考察し,利便性の評価としてアンケートによるユーザビリティ評価を行った.その結果,システム実装に必要な妨害図形の量に関する閾値を明らかにし,提案手法が攻撃に対して十分な耐性を持ち,ユーザビリティが優れていることを示した.A reversal turing test called CAPTCHA is used in many webservice sites to prevent the automatic program called bots from making unauthorized accounts. The CAPTCHA with images of correct answer string, called as the text-based CAPTCHA, is widely prevalent because of an ease implementing in the website. The optical character recognition technologies enable bots solve the text-based CAPTCHA automatically. Any researchers have pointed out the vulnerability of the text-based CAPTCHA. Absorbing the vulnerability of the text-based CAPTCHA, the image-based CAPTCHA is proposed, which use the human abilities to discern objects in images. However, the existing image-based CAPTCHAs also have problems about usability and robustness. In this paper, we propose a new image-based CAPTCHA using images without a correct answer string and with obstruction figures, to achieve high usability and robustness. In order to confirm a effectiveness of the proposed method, we argue to absorb some considerable attacks in the image-based CAPTCHA, and conduct assessment of usability through our questionnaire. The results show that the proposed system absorb the attacks adequately and has usability.
著者
北島 正章 遠矢 幸伸 松原 康一 原本 英司 宇田川 悦子 片山 浩之 大垣 眞一郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境工学研究論文集 (ISSN:13415115)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.361-370, 2008
被引用文献数
1

ヒトノロウイルスは、細胞培養系が確立されていないため、消毒処理に対する耐性について十分な知見が得られていない。本研究では、ヒトノロウイルスに近縁で細胞培養可能なマウスノロウイルスを用い、水道水中のノロウイルスに対する塩素消毒の有効性を検証した。マウスノロウイルスの塩素消毒耐性はポリオウイルスよりも低く、3mg/L・minの遊離塩素消毒で99.99%(410g) 以上不活化された。また、ヒトノロウイルスとマウスノロウイルスの遺伝子の残存率は同程度であった。これらの結果から、ノロウイルスの塩素消毒耐性は他の腸管系ウイルスと同等以下であり、十分な塩素消毒が施された配水システムにおいてはノロウイルスが感染力を保ったまま末端給水栓まで到達する可能性は低いことが示唆された。
著者
片山拓也 村尾和哉 寺田努 塚本昌彦
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.901-908, 2011-06-30

近年のコンピュータ小型化に伴い,ウェアラブルコンピューティングに関する注目が高まっている.ウェアラブルコンピューティング環境では,携帯性や装着性の観点から小型の入出力デバイスが望まれる.一般に,コンピュータへの入力デバイスとしてはキーボードが広く普及しており,多くのユーザがキーボードの入力に慣れ親しんでいる.しかし,ウェアラブルコンピューティングのためのキーボードの単純な小型化は,キータッチのしやすさなどのユーザビリティに影響をあたえるので限度がある.そこで本研究では,ユーザが既に体得しているキーボード入力の能力を活かすために,既存のキー配列をそのままにしながらキーボードを左右に分割し,どちらか一方のみを装着して用いる手法を提案する.提案手法では,単語の切れ目毎にキーボード半分の打鍵情報から入力単語を推測する.提案手法を用いることで,従来のキーサイズと入力動作を最大限に保ったままキーボードの大きさを半減できる.
著者
内田 吉文 本多 和彦 吉村 藤謙 間瀬 肇 加藤 英紀 片山 美可 米澤 泰雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.I_1366-I_1370, 2011 (Released:2011-11-09)
参考文献数
7

In the Ise Bay, there is a problem of drifting debris. This study examines the validity to use an Artificial Neural Network (ANN) for the prediction of collection position of the drifting debris. The ANN model predicting the positions of debris generation and debris accumulation is constructed by checking suitable input data and ANN parameters and transfer function. The resulting ANN gives good predictions: 1) The fit ratio of the drifting debris generation positions is 83%; 2) The fit ratio of drifting debris accumulation positions is more than 50%; and 3) In front of Yokkaichi city and southward of Centrair (The central Japan International Airport) are the main places where drifting debris gathers.
著者
増田 恭一郎 山里 敬也 岡田 啓 片山 正昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.90, no.9, pp.696-704, 2007-09-01
被引用文献数
30

本研究では,LEDイ言号機と車載カメラを用いたITSのための並列光空間通信について考える.本方式では受信機がカメラであるため,複数のLEDから送信されたデータを個別に復調することが可能であり,LEDの数を増やせばそれだけデータレートを向上させることができる.しかし,遠距離から送信機LEDを撮影した際に隣接するLEDが画像内で干渉することが問題となる.そこで本論文では,この干渉に対する耐性をもった階層的符号化方式を提案・評価する.提案方式では,二次元高速ハールウェーブレット変換を用いて階層的符号化を実現する.性能評価は計算機シミュレーション,実装実験の両面からなされ,提案方式の有効性を示す.
著者
片山 泰久
出版者
素粒子論グループ 素粒子研究編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.4, no.9, pp.97-111, 1952-09

場の理論の発散を除くために導入されたFrom Factorを中心として非局所的相互作用の理解と非局所場の理論の関係を求め、これによつて非局所場理論はどの様に一般化することが可能かを論ずる。
著者
片山 俊之 土居内 龍 西山 雅人
出版者
中央水産研究所
雑誌
黒潮の資源海洋研究 = Fisheries biology and oceanography in the Kuroshio (ISSN:13455389)
巻号頁・発行日
no.12, pp.85-89, 2011-03

紀伊半島南西岸産のイサキについては,生殖腺の組織学的観察によると産卵期が5~8月であり,雌は1歳では成熟せず,2歳から全個体が成熟し,雄は1歳で全個体が成熟することがわかっている(土居内・吉本 2009)。今回の調査において,和歌山県でのGIのピークは雌雄ともに5月だった。ただし,産卵が活発化する時期はGIのピーク時ではなく,GIがピークを示した次の月であるものと推察されている(土居内・吉本 2009)。大分県では5月以前のデータがないものの,GIのピークが雌雄ともに6月であり,神奈川県ではイサキの産卵期は6~8月とされている(増沢1968)。これより,イサキの産卵期については調査各県沿岸海域において大きな差はみられないことが明らかとなった。イサキの年齢と成長については各県で調査されており,神奈川県では鱗による年齢査定から,lt=32.9[1-exp-O.31(t+0.496)](lt:t歳におけるFL,t:年齢)という成長式が得られている(増沢1967)。和歌山県では耳石横断切片による年齢査定から,lt=331[1-exp{-0.283(t+1.45,)],(r2=0.915),の成長式が得られており,年齢の範囲は雄で0~21歳,雌で0~15歳である(Doiuchi et al. 2007)。大分県では,豊後水道西武海域で漁獲された個体の耳石横断切片による年齢査定から,lt=319.7[1-exp{-0.672(t+0.183)}]という成長式が得られており,年齢の範囲は雄で0~23歳,雌で0~17歳であることが明らかとされている(山田・片山2007)。これを基にすると,神奈川県では2歳以下の個体を主に漁獲していることになる。和歌山県では2~4歳魚が漁獲の主体である。大分県では2~4歳魚が漁獲の主体である。なお,鱗による年齢査定は耳石横断切片よりも過小評価になる場合があるため,神奈川県の漁獲物を和歌山県と大分県で得られている成長式に当てはめると,やはり2歳以下が漁獲の主体と判断された。
著者
片山 淳 深川 光郎
出版者
九州地区大学図書館協議会
雑誌
九州地区大学図書館協議会誌
巻号頁・発行日
vol.47, pp.3-6, 2005-02

論文末尾に著者の読みがなが「かたやま あつし」とあるのは「かたやま じゅん」の誤り
著者
片山 明久 成美大学経営情報学部 Seibi University School of Management and Business Administration
出版者
成美大学成美学会
雑誌
成美大学紀要 = The Seibi University review (ISSN:21860300)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.1-14, 2012-03

歴史的観光地では、当地の歴史そのものの持つダイナミズムが、観光のシーンにおいて様々に展開する。それは、長野県妻籠や奈良県今井町に見られるような町並み保存を中心とした展開や、奈良県奈良町に見られるような古い街並みと新しい文化の融合を試みる展開など、その地域によってそれぞれの特徴が見られる。本稿では岡山県倉敷市を事例に、歴史と芸術という2つのダイナミズムが、互いに影響を与えあいながら協奏的に展開してきた史実を辿り、それが現代の観光シーンにどのような魅力を生み出しているかについて考察する。考察の方法としては、次のように進めてゆく。まず倉敷の歴史を概観し、この地の商人が資産家になっていった経緯をつかむ。そして戦後、彼らを中心に市民と行政が協力して、歴史的な町並みと民芸に「美」的価値を見出し、これを保護していった活動を見てゆく。このように倉敷の歴史のダイナミズムの展開を理解した後、倉敷に存在するもう一つのダイナミズムである芸術の展開について見てゆく。考察対象としては、設立当初より倉敷における芸術の中心的存在であった大原美術館を挙げる。まず創設者である大原孫三郎が、館の創設に込めた思いを考察し、継承者である大原總一郎がそれをどのように発展させていったのかを理解する。その上で現在の大原美術館の活動を概観し、そこに芸術のダイナミズムが現在においても継承・実践されていることを確認する。これらの考察の下、倉敷の観光のシーンにおける歴史と芸術という2つのダイナミズムの協奏がもたらす魅力について説明を行い、これらふたつのダイナミズムの関係は、コラボレーションというひと時の協同ではなく、永続的な、安定感のある、静かな協奏であると指摘し、これを本稿の結論とした。
著者
片山長三著
出版者
石切剱箭神社
巻号頁・発行日
1965