著者
桐 広樹 端山 昌樹 前田 陽平 識名 崇 増村 千佐子 岡崎 鈴代 奥野 美香 武田 和也 津田 武 猪原 秀典
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.39-44, 2018 (Released:2018-07-31)
参考文献数
12

歯性上顎洞炎は耳鼻咽喉科と歯科の両方で治療が行われており,治療方針も各施設によって異なっている。今回,われわれは歯性上顎洞炎の診断および治療を検証するために,歯性上顎洞炎30例32側を対象に,診断モダリティおよび治療方針について後向きに検討を行った。初期治療として抜歯とESSが行われた9例では再発を認めなかったものの,抜歯だけが行われた12例のうち8例で後にESSが行われた。また歯科用単純X線写真にて原因歯の診断が可能であったのは55%であり,歯性上顎洞炎の診断にはCTでの読影が必要であると考えられた。いずれも後向きの検討であり,今後治療方針を一定にした前向き研究が必要であると考えられた。
著者
樫田 陽子 町田 登 山本 剛 桐生 啓治
出版者
日本獣医循環器学会
雑誌
動物の循環器 (ISSN:09106537)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.6-11, 1999

レースにおいて突然1着馬から大差で遅れて入線し,その直後の心電図(ECG)検査で発作性心房細動(AF)が認められた2例の所見について報告した。症例1ではレース終了10分後にAFが確認され,頻発性多源性心室性期外収縮(VPC)を伴っていた。本例は24時間後には正常洞調律に復帰していたが,その後の調教で状態不良のため競走馬から除籍された。症例2ではAF発症時にVPCは認められず,洞調律復帰後の成績は良好であった。運動直後に発作性AFが起こりVPCが併発した場合,予後は不良となる可能性が示唆された。
著者
隅田 陽介
出版者
日本比較法研究所 ; [1951]-
雑誌
比較法雑誌 (ISSN:00104116)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.129-162, 2017

本稿は,前号に引き続いて,近時,アメリカ合衆国で議論されている,児童に対する性的いたずらに関する証拠のみで児童ポルノ所持に関する捜索令状の「相当な理由」を構成するのかどうかについて検討したものの後半部分である。 本号では,まず,三において,児童に対する性的いたずらと児童ポルノ所持との関係に関する調査研究等に触れた。例えば,Andres E. Hernandezが,ノースカロライナ州Butnerの連邦矯正施設に収容されている90人の男子受刑者を対象として行った調査等である。こうした調査研究については,それぞれについて調査対象者が限定されているといった問題点が指摘されていることに注意する必要があるが,両者の間には関係があるとするものもあれば,逆に,関係はないとするものもあるなど,結論は一致していない,そして,各調査研究に対する評価の仕方も区々となっていることを指摘した。 最後に,四において,若干の検討を行い,現在の合衆国の捜査実務がIllinois v. Gatesに基づいた「諸事情の総合判断(totality of the circumstances)」テストによっているのであれば,これを前提とする限り,第8巡回区連邦控訴裁判所によるUnited States v. Colbertのように,児童に対する性的いたずらに関する証拠が児童ポルノ捜索のための「相当な理由」に該当すると評価することも許されるのではないかということを結論とした。その上で,このように賛否の分かれる問題については様々な角度から検討しておくことが望ましいと考えられることから,例えば,児童ポルノのような児童に対する性的搾取事案に限定して「緩和された相当な理由(expanded probable cause)」, あるいは,「拡大された相当な理由(broadened probable cause)」といった基準を適用すべきであるというような考え方があることにも触れた。
著者
松田 陽人
出版者
日経BP社
雑誌
日経システム構築 (ISSN:13483196)
巻号頁・発行日
no.150, pp.130-135, 2005-10

「仕様書」は,設計者とプログラマをつなぐ重要なコミュニケーション・ツールだ。それゆえ,安易な書き方をすると問題を起こす。よく議論されるのは,「仕様書の内容はどこまで詳しく書くのが適当か?」という点だろう。過剰品質を避け,効率的に書きたいところだが,きちんと意図が伝わることが大前提である。二つの実例を通して,そのキー・ポイントを紹介する。
著者
金森 絵里 兵藤 友博 小久保 みどり 中瀬 哲史 佐野 正博 山崎 文徳 慈道 裕治 横田 陽子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では福島第一原発事故がなぜ起こってしまったのかを領域横断的に分析し,以下の点を明らかにした。1.被爆国日本が原子力を社会的に受容したのは夢のエネルギーだという考え方が浸透していたからである。2.原子力政策は日本学術会議などの議論を十分に反映しなかった。3.大型化・連続化による経済性追求が安全性軽視につながった。4.歴史的に形成された「国家との戦い」「企業を護る」という意識と経営行動が事故につながった。5.緊急時における組織的対応が不十分だった。6.原発は総括原価方式のもとで電力会社経営を安定化したが,事故やバックエンドのコスト議論は自主的自律的におこなわれなかった。
著者
東田 陽博 棟居 俊夫
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.431-435, 2013 (Released:2014-10-11)
参考文献数
14

オキシトシンは, 視床下部神経細胞の細胞体や樹状突起から脳内に放出される. 扁桃体をはじめとする「社会脳」領域を介して社会性行動, 特に信頼を基礎とするあらゆる人間相互間活動にも影響を与える. 愛着形成, 愛情, 信頼や絆の形成に関与している. オキシトシンの遺伝子や受容体, オキシトシンの脳内分泌を制御するCD38などがそれらの機能を司る. それらの欠損や一塩基多型が自閉症スペクトラム障害のよい対人関係を構築できない社会性障害の原因と考えられている. オキシトシンの単回投与により目を見るなどの対人関係行動の改善や促進があり, 連続投与により, 自閉症スペクトラム障害の社会性部分の症状の改善がみられる.
著者
山田 陽滋 森園 哲也 増尾 安弘 梅谷 陽二
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2002, 2002

人間の手とロボットハンドの間には, 動力学パラメータや可動範囲, さらにアクチュエータの特性や, 取得できる触覚情報などにさまざまな違いがある。これらの違いから, 人間の手に対してロボットハンドの機能や性能に制約が生じている。本研究では, 人間がロボットハンドと同等の機能や性能に関する制約のもとで, ハンドに対する教示を与えることを考え, これを達成する為のWearableなロボットハンドを提案する。提案の対象として, まず指一本に着目する。
著者
弘田 陽介
雑誌
大阪総合保育大学紀要 = Osaka University of Comprehensive Children Education (ISSN:18816916)
巻号頁・発行日
no.11, pp.1-16, 2017-03-20

要旨:2005 年の中央教育審議会の答申、2008 年の幼稚園教育要領の改訂を経て、幼児教育学・保育学の領域において、「協同」というキーワードが議論されるようになってきた。そして、現在、2018 年の幼稚園教育要領の改訂に向けて、新たな望ましい資質・能力としての「協同性」についての議論が深められている。このような経緯を踏まえ、本稿は、協同性概念を再定位しようとするものである。その際、これまでの一連の議論の主導者とも言える無藤隆の著作からその概念を抽出するが、そこから浮かび上がってくるのが「身体知としての協同性」である。この身体知という発想は、現在の幼児教育における協同性の捉え方にはあまり理論的には反映されていないものである。本稿論者は、今後身体から協同性を捉えなおしていくための準備作業として、この無藤の概念を手がかりに協同性概念の整理と経緯説明を行った。
著者
野田 陽
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.2J402, 2018

<p>本研究では各入力次元の寄与度に基づいて入力へ重みをかける、補助重み法 (AW) を提案する。AW は特徴抽出するという意味で Lasso に似ているが、医用質量分析機器データのように、少数の判別に寄与する次元に対して大量の寄与の無い次元がある場合に Lasso よりも高速に特徴抽出が可能である。 (実証コード:https://bitbucket.org/akira_you/awexperiment)</p>
著者
藤倉 良 カリミ シャフルディン アンドリアヌス フェリー 武貞 稔彦 吉田 秀美 眞田 陽一郎 澤津 直也 寺末 奈央
出版者
法政大学公共政策研究科『公共政策志林』編集委員会
雑誌
公共政策志林 = Public policy and social governance (ISSN:21875790)
巻号頁・発行日
no.6, pp.27-37, 2018-03

インドネシア,スマトラ島に建設されたコトパンジャン・ダムによって1990年代に移転した村落の生活再建について研究成果をレビューし,2017年に行ったフィールド調査と合わせて長期的に評価した。移転は村落ごとに行われ,移転民には水没した財産に対する100パーセントの金銭補償に加えて,政府が造成したゴム園の無償提供もしくはアブラヤシ園の有償提供が行われた。10村がゴム園を2村がアブラヤシ園を選択した。しかし,ゴム園では政府の約束とは異なり,住民の移転時には未整備であり,整備されて収穫が得られるまで,住民は生活再建に支障をきたした。そのような状況の中で,ナマズの養殖と加工を開始した村落では,副収入により所得が増加した。アブラヤシ園を選択した村落では,収穫が得られるまで賃金労働する場が提供され,分譲された農地をローンで購入することができた。さらに,移住してきたジャワ人を労働力として使うことで農園を拡大し,所得を大幅に増やすことができた。住民が移転後も農業によって生活を再建することが前提となる計画の場合には,実際に収穫が得られるまでの生活支援が必要である。さらに,政府は移転民が予想通りに農業収入が得られない場合に備えて,副収入源を得る機会を提供することが望ましい。
著者
岡前 暁生 原田 和宏 岡田 誠 和田 智弘 和田 陽介 道免 和久
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1375, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】介護者のレスパイト目的などで利用されるショートステイにおいて,介護負担感と関連している要介護者の神経精神症状(以下 NPS)の変化に関連する要因を明らかにすることは重要である。しかし,これまでショートステイでの各要因が要介護者のNPSに与える影響については十分に検討されていない。離床時間は廃用症候群の予防のためにも重要であるが,ショートステイ中に具体的にどの程度の離床時間が適切なのか明らかでない。そこで本研究の目的は,ショートステイ利用前後における要介護者のNPSの変化に関して,離床時間を含めた各要因との関連について検証することである。【方法】対象は介護老人保健施設のショートステイを利用した要介護者50名(男性23名,女性27名),平均年齢84.0±9.8歳である。除外基準は,調査期間中に急な体調の変化が生じた者,要介護者の普段の生活の様子を観察できる介護者がいない者,介護者から正確な情報を得ることが困難な者とした。データ収集は利用前の状況は入所2日前から前日の状況,利用後の状況は退所翌日から2日目の状況について,主介護者から回答を得た。評価項目は基本属性,ショートステイ利用状況,個別リハビリテーション実施加算の有無,NPSについてはThe Neuropsychiatric Inventory(以下 NPI)を改変したNPI重症度2日間評定版(以下 NPI 2d)を用いて調べた。また,離床時間は1日のうち座位および立位の姿勢を取っていた時間として,自宅の状況は主介護者から,施設の状況は介護スタッフから情報を得た。さらに施設の離床時間から自宅の離床時間を減じた値(以下 離床時間の差)を求めた。統計学的検定は,NPI 2dの利用前後の変化値から改善群と非改善群に分類し,各項目の差をMann-WhitneyのU検定,対応のないt検定,χ二乗検定を用いて比較し,有意差が認められた項目を独立変数,NPI 2dの変化を従属変数としたロジスティック回帰分析を行った。抽出された因子についてROC曲線により感度・特異度,カットオフ値を算出した。有意水準は5%とした。【結果】改善群(18名)と非改善群(32名)を比較した結果,利用前NPI 2d(p<0.01),施設の離床時間(p<0.05),離床時間の差(p<0.01)に有意差を認めた。ロジスティック回帰分析の結果,利用前NPI 2d(odds比=3.484,95%信頼区間1.287-9.431,p<0.05),離床時間の差(odds比=1.297,95%信頼区間1.004-1.676,p<0.05)が独立した有意な関連因子として抽出された。改善群と非改善群を分けるカットオフ値は利用前NPI 2dが1.5点(感度:0.824,特異度:0.727),離床時間の差が2.5時間(感度:0.647,特異度:0.879)であった。【結論】ショートステイ利用後の要介護者のNPSの改善には,利用前のNPS,施設と自宅の離床時間の差が関連していることが示された。今回の結果は,ショートステイにおける理学療法士の効果的な関わりの手がかりになる可能性がある。
著者
山田 陽子
出版者
広島国際学院大学現代社会学部
雑誌
現代社会学 (ISSN:13453289)
巻号頁・発行日
no.11, pp.3-14, 2010

本稿の目的は、ソーシャルネットワーキングを介した時間管理術の自主的勉強会における参与観察や参加者へのインタビュー調査をもとに、昨今の「自己啓発」の内実について明らかにすることである。調査の実施期間は2008年6月から2009年3月、インタビュー対象は大手企業勤務のシステムエンジニアやIT系の起業家である。近年、ビジネスマンの自己啓発や仕事の効率性・生産性の向上を目的とした諸々のテクニックの集積体は「時間管理術」や「ライフハック」といった名称で呼ばれることが多い。本稿では、時間管理術やライフハックとは何なのか、人々は時間管理術やライフハックに何を求め、どのような点に魅力を感じているのか、その社会的機能とはどんなものか、時間管理術やライフハックという知が人々をどのように結び付けているのか、時間管理術やライフハックという知が出てきた社会的背景はどのようなものか、時間管理術やライフハックと現代人の自己がどのように関連しているのか等について知識社会学の観点から明らかにする。In this paper, from a viewpoint of sociology of knowledge, I survey the aspects of worker's self-enlightenment today based on the qualitative research concerning the social networks of time management and life-hacks. Methods of self-enlightenment or of working with great efficiency for businessperson frequently are called "life-hacks". In this paper,I interviewed two systems engineers worked in world-wide electronic company and an entrepreneur. In this paper, the following the points at issue are examined."What is the life-hacks?,". "What are social functions of life-hacks?", "What are social backgrounds of life-hacks?", "How does the life-hacks connect people?" and so on.
著者
坂田 陽子 口ノ町 康夫
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.133-141, 2014 (Released:2016-06-20)
参考文献数
39
被引用文献数
2

本研究の目的は,対象物の特徴を抽出する能力が人の一生涯にわたってどのように変化するのかについて,幼児,大学生,高齢者を対象に同一の課題を用いて組織的に検討することであった。刺激として形,模様,色から成る幾何学図形を用い,2個もしくは8個を同時に実験参加者に呈示し,刺激間の共通した特徴を抽出させた。共通特徴は,形もしくは模様もしくは色のいずれか一つのみであった。その結果,形特徴に関しては,年齢による抽出成績差はなく,生涯を通して高水準で抽出が可能であった。一方,模様と色特徴に関しては,年齢による抽出成績に差が見られ,模様特徴に関しては加齢に伴うなだらかな逆U字曲線が,色特徴に関しては加齢に伴う,模様特徴よりも鋭角な逆U字曲線が見られた。これらの結果から,抽出能力は対象物の特徴によって異なる生涯発達的変化を示すことが分かった。その全体像から,形特徴抽出のような幼児期初期にはすでに獲得されている能力は高齢期後期まで残存し,模様や色特徴抽出のような幼児期後期に獲得した能力は高齢期初期に衰退するという現象が明らかとなり,この現象に対して,“first in, last outの原理”を適用できるのでないかと考察された。
著者
山本 篤志 福永 智栄 新沢 敦 堀江 延和 米谷 さおり 長濱 通子 藤原 進 山田 陽三 福永 淳 錦織 千佳子
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.133-139, 2018 (Released:2018-11-08)
参考文献数
18

ステロイド忌避を含む難治性のアトピー性皮膚炎(AD)患者で顔面に皮疹を有する12名を対象に,白虎加人参湯エキスに石膏末を加味した方剤を4週間投与し,AD 診療ガイドラインに基づく皮疹の重症度スコア,痒みVAS,生活の質(Quality of life)の指標であるSkindex-16および各種血液検査を行い,有効性を前向きに評価した。 また,どのような証(漢方医学的に把握した病態)に有効かを後ろ向きに調査した。 その結果,内服4週間で重症度スコアとSkindex-16の平均が有意に低下した。好酸球数,IgE 抗体,TARC 値は有意な低下を認めなかった。白虎加人参湯と同様で「暑がり」,「汗かき」の証を有する患者に有効であった。4週間という短期間で皮疹が改善したことより,ステロイド忌避を含む難治性アトピー性皮膚炎患者に使用する内服薬の選択肢の1つになりえると考えた。