著者
岡崎 紀俊 田中 和夫 三品 正明
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
火山. 第2集 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.375-388, 1990-12-28
被引用文献数
1

Surveys of magnetic total intensity and gravity were conducted to reveal the underground structure of Medake, one of the central cones in the cadera of Akita-Komaga-take Volcano, from which about 1.42 million m^3 of lavas flowed in the period of 1970-1971 eruption. Magnetic and gravity anomalies obtained show some characteristic features suggesting the subsurface structure. Long wave length magnetic anomalies show that Me-dake is composed of uniformly magnetized volcanic rocks, lavas and scoriae, On the other hand, short ones found at the summit of Me-dake indicate there is a body with reversal or weaker magnetization than the surroundings. The distribution of the Bouguer anomalies is characterized by a narrow area of higher values of anomalies at the summit and a trend of higher values in northwest of Me-dake and lower ones in southeast. The latter suggests the basement structure of the caldera. The former implies an exislence of more dense intrusive rocks under the ground surface. Both centers of short wave length magnetic anomaly and of the narrow area of higher value of gravity locate at the same place about 100 m northeast of the 1970 crater on the summit. Judging from the topographic features, this place is one of the old craters. To interpret magnetic and gravity anomalies, numerical analyses for demagnetization model and for more dense intrusion model with various shapes were carried out independently. Finally, magnetic anomalies can be expained by a demagnetized vertical pentagonal prism, of which size is 80 m in N-S, 150 m in E-W and 300 m in thickness and of which top is at the depth of 5-10 m. Gravity anomalies can be interpreted by a more dense vertical rectanglar prism, of which size is 30 m×110 m×300 m and the top is at 15 m deep. The zones of high ground temperature and fumaroles are found at the surroundings of the 1970 crater and the area of the higher gravity anomalies. The fumarolic area preceding the 1970 eruption was found at north of the crater. We can infer the processes of the 1970 eruption by using the interpreting subsurface model of Me-dake and the distribution of fumaroles. At the first stage of eruptive activity in 1970, magma intruded into northeast of the 1970 crater. At the second, most of magma passed through the vent conncted with the crater and flowed out. Small quantity of magma remained in the narrow part at northeast of the crater make the present magnetic and gravity anomalies and fumaroles.
著者
山本 幸洋 藤原 伸介 田中 福代 高木 和広 松丸 恒夫
出版者
一般社団法人 日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.15-22, 2007-02-05 (Released:2017-06-28)
参考文献数
28
被引用文献数
2

10種の殺菌剤による土壌中のアンモニア酸化阻害活性を確認するとともに,そのなかで顕著な活性を示したクロロタロニル(テトラクロロイソフタロニトリル)の阻害活性について詳細に検討した.1)供試薬剤のなかでクロロタロニルとチウラムは土壌中のアソモニア酸化阻害活性が最も高かった.これらに比べ,トリフルミゾール,トルクロホスメチル,イプロジオン,フルトラニル,ヘキサコナゾール,イソプロチオラン,ベノミルおよびメタラキシルは,阻害活性が低いか,または認められなかった.2)クロロタロニルによる土壌中のアンモニア酸化阻害は,ジシアンジアミドと比べて長く持続した.また,クロロタロニルによる土壌中のアンモニア酸化阻害活性は,添加量に依存し,添加量が5mg kg^<-1>以上のときに土壌のNH_4-N含量と(NO_2+NO_3)-N含量の両方に影響を及ぼした.3)クロロタロニルの畑土壌における主要分解産物4-ヒドロキシ-2,5,6-トリクロロイソフタロニトリル(TPN-OH)は,土壌中のアンモニア酸化を阻害するが,その活性はクロロタロニルおよびジシアンジアミドと比べて低かった.4)クロロタロニルの類縁化合物テトラクロロテレフタロニトリル(TTPN)による土壌中のアンモニア酸化阻害活性は,クロロタロニルと比べて低かった.他の類縁化合物1,2,3,5-テトラクロロベンゼン(TCB),イソフタロニトリル(IPN),テレフタロニトリル(TePN),フタロニトリル(PN)およびベンゾニトリル(BN)は,いずれも土壌中のアンモニア酸化を阻害しなかった.5)アンモニア酸化細菌集積土壌において,クロロタロニル区(添加量100mg kg^<-1>)のアンモニア酸化細菌数は,クロラムフェニコール区(添加量500mg kg^<-1>)と比べて急激に低下した.以上のことから,クロロタロニルは,土壌中のアンモニア酸化阻害活性が高いこと,構造中のニトリル基と塩素の存在がアンモニア酸化阻害に必須であり,それらの分子内での配置が阻害活性の強度に大きく関与すること,クロラムフェニコールと比べてアンモニア酸化細菌に対して致死的に作用することが明らかとなった.
著者
田中 元志 矢島 拓明 新山 喜嗣
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.141, no.6, pp.720-726, 2021

<p>Eye movement was measured when food and wear pictures that consisted of four items with different positions were subjectively evaluated by seven-grade scale (like - dislike), and the relationship between the subjective evaluation and feature parameters obtained from eye fixation and scanpath was investigated. In results, a significant relationship between the saliency of pictures obtained by GBVS and the normalized total fixation time was not observed. And the eye movement at the initial state might be similar, independent of the saliency of items in the pictures. The fixation time to the item of the negative `dislike' evaluation became relatively longer, when the evaluation was negative irrespective of the experimental condition. These feature parameters would be useful for quantifying the evaluation of the pictures.</p>
著者
田中 輝彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集H(教育)
巻号頁・発行日
no.1, pp.7-14, 2009

土木系学生の初学年オリエンテーション授業,高校生や親子教室,ロータリークラブなど一般対象の教室において土木技術をわかりやすく解説するための教材開発に取り組み,その考え方と教育効果を紹介する.教室で進める授業では身近な事例を示すことによって理解を深めることに留意し,簡単な実験を目の前で行う,あるいは受講者自らが実施することによって各種構造物の機能や土木工学の基礎知識を教育する効果が実証的に確認された.
著者
星野 洪郎 清水 宣明 大上 厚志 藤木 博太 田中 淳
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

アジア地域でのHIV-1感染症の特殊性をタイのチェンマイ大学を共同研究の拠点として解析を行なった。タイには既に60万人の感染者がおり、その内2万人は子供である。HIV感染児では、大人より病気の進行が早く、治療効果の判定や薬剤の副作用の判定が早くできることがある。チェンマイ近郊には、HIVに感染した孤児を世話している国営の施設があり、経過観察や治療は、もっぱら国立病院やチェンマイ大学で行っている。文橡者の定期的な検査とその病態の関連をウイルス学的に解析してきた。このようにHIV感染小児の病態を解析しやすい体制を整えることができた。抗酸化物質にヒトのがんの発症を抑制する働きがあることが、多くの疫学的論文で報告されている。一方酸化ストレスやTNFαが、HIV-1感染症などの慢性感染症でウイルスを活性化させ、病気の進行を促進すると考えられている。抗酸化作用を持ち、TNFαを阻害する緑茶抽出物やアスタキサンチンなどの抗酸化剤は、HIV-1感染症の進行を抑える可能性が考えられる。これらについて介入的疫学研究を行う準備をしている。我々は、HIV-1感染の新しいコレセプターとして新しいコレセプターを同定し解析した。日本人感染者、タイの感染児の抹消血を用い、経時的に解析し、新しいコレセプターの臨床的、疫学的の意義を明らかにした。すなわち、HIV-1感染の新しいコレセプターとして、D6,CCR9b, XCR1およびFML1を同定し、解析を始めた。D6は、日本人血友病患者由来のsubtypeBのdual-tropic HIV-1、FML1はタイ、ベトナム由来のsubtypeAEおよびCのウイルスで利用した。これまでの研究期間の間に、タイの規則が厳しくなり、タイ人の試料は,許可なしには持ち出せず、国外持ち出しの手続きに長時間かかるようになった。緑茶抽出物をHIV感染者に投与するには、チェンマイ大学の倫理委員会に書類を提出しなければならないが、審査を受けるのに非常に時間がかかることが明らかとなった。現在手続きを進めている。
著者
田中 真理
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.427-437, 2001-12-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

本研究では, 知的障害者のメタコミュニケーションの機能の特性について検討した。特に, 伝達相手にとって明確になるように相手の特性に応じて発話内容を構成するためのメタコミュニケーションについて検討した。知的障害者30名 (MA3:9~6:10・CA21:0~53:0の知的障害者15名とMA7:8~10:8・CA15:10~18:2の知的障害者15名) と, 非知的障害児20名 (6歳児10名, 9歳児10名) を対象に比較検討した。課題は同じ物語内容を発達レベルや関係性の異なる複数の他者に伝達することであった。これらの伝達内容の違いを分析した結果, 以下の3点において知的障害者の方が非知的障害児に比べ, メタコミュニケーションがより機能していたことが示唆された。言語的な側面については,(1) 相手の特徴を正確に分析し, 相手の受け止め方を予測することのできる推理力をもち, そうしようとする志向性がある,(2) 相手の特性を今直面しているコミュニケーション場面に適用し効果的に行うという点であった。また, 非言語的な側面については,(3) 相手の注意や関心を自分に向けるための行動要求や伝達内容をわかりやすく伝えるための行動的工夫がみられるという点であった。
著者
平野 聡 中村 透 浅野 賢道 岡村 圭佑 土川 貴裕 野路 武寛 中西 喜嗣 田中 公貴 村上 壮一 海老原 裕磨 倉島 庸 七戸 俊明
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1329-1336, 2017-11-20

【ポイント】◆腹腔動脈合併尾側膵切除術(DP-CAR)が適応となる病変のほとんどは,新取扱い規約の切除可能性分類においては切除可能境界または切除不能病変である.◆本術式では適応診断を慎重に行えば,ほとんどの症例で癌遺残のない(R0)切除を達成可能であるが,進行膵臓癌として一定の再発は免れられず,術前の化学(放射線)療法との組み合わせを考慮すべきである.◆原法では大動脈上での腹腔動脈の結紮切離,上腸間膜動脈周囲神経叢の完全切除を伴うが,進展度によって切除範囲を縮小することも可能である.その場合も主要動脈の操作は安全性と根治性に対する十分な配慮が必要である.*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画(Flash形式)を見ることができます(公開期間:2020年11月末まで)。
著者
岩澤 聡子 道川 武紘 中野 真規子 西脇 祐司 坪井 樹 田中 茂 上村 隆元 道川 武紘 中島 宏 武林 亨 森川 昭廣 丸山 浩一 工藤 翔二 内山 巌雄 大前 和幸
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.39-43, 2010-01-15
参考文献数
7

<b>目的</b>&emsp;2000年 6 月に三宅島雄山が噴火し,二酸化硫黄(SO<sub>2</sub>)を主とする火山ガス放出のため同年 9 月に全住民に島外避難命令が出された。火山ガス放出が続く中,火山ガスに関する健康リスクコミュニケーションが実施され,2005年 2 月に避難命令は解除された。本研究では,帰島後 1 年 9 か月経過した時点における,SO<sub>2</sub> 濃度と小児の呼吸器影響の関連について,2006年 2 月から11月の 9 か月間の変化を検討した。<br/><b>方法</b>&emsp;健診対象者は2006年11月時点で,三宅島に住民票登録のある19歳未満の住民を対象とした。そのうち,受診者は,141人(受診率50.4%)で,33人は高感受性者(気管支喘息などの気道過敏性のある呼吸器系疾患を持つ人あるいはその既往のあり,二酸化硫黄に対し高い感受性である人)と判定された。<br/>&emsp;健康影響は,米国胸部疾患学会の標準化質問票に準拠した日本語版の自記式質問票により,呼吸器に関する自覚症状調査,生活習慣,現病歴,既往歴等の情報を収集した。努力性肺活量検査は,練習の後,1 被験者あたり 3 回本番の測定を実施した。<br/>&emsp;環境濃度は,既存の地区名を一義的な括りとし,当該地区の固定観測点での SO<sub>2</sub> モニタリングデータをもとに,避難指示解除より健診までの22か月間のデータについて,その平均値により居住地域を低濃度地区(Area L),比較的曝露濃度の高い 3 地域(H-1, H-2, H-3)と定義し,SO<sub>2</sub> 濃度(ppm)はそれぞれ0.019, 0.026, 0.032, 0.045であった。<br/><b>結果</b>&emsp;自覚症状では,「のど」,「目」,「皮膚」の刺激や痛みの増加が,Area L と比較すると,H-3 で有意に訴え率が高かった。呼吸機能検査では,2006年 2 月と2006年11月のデータの比較において,高感受性者では%FVC,%FEV1 で有意に低下(<i>P</i>=0.047, 0.027)していたが,普通感受性者では低下は認めなかった。<br/><b>結論</b>&emsp;高感受性者では呼吸機能発達への影響の可能性も考えられ,注目して追跡観察していくべきである。
著者
田中 康介
出版者
京都大学ヒマラヤ研究会; 京都大学ブータン友好プログラム; 京都大学霊長類学・ワイルドライフサイエンス・リーディング大学院
雑誌
ヒマラヤ学誌 (ISSN:09148620)
巻号頁・発行日
no.16, pp.33-41, 2015-03-28

2014年8月30日~9 月14日にかけて京都大学学生11名、職員3名の計14名が、ブータン東部を訪問した。タシガン県に立地するブータン王立大学シェラブツェ校(カレッジ)でブータンの歴史、ディグラム・ナムザ(ブータンの礼)、踊りの授業を受けた後、4 名のシェラブツェ・カレッジ学生と共に畑作地帯カリン及び水田地帯ラディにおいて、臨地研修、体験学習を行った。役場、農業・畜産・森林普及センター、保健所、寺院などを訪問した他、現地の家々を訪ね、村人から話を聞いた。標高約900 ~ 3800 m までの範囲を移動する中で、気候・植生・生業形態のダイナミックな変化に直に触れ、農村で進行する過疎、医療の現状、現地に伝わる女神アマジョモ、男神ダンリン、僧侶ギャルセ・ガナパティなどの話に耳を傾けた。復路にはシェラブツェ校を再訪し、京都大学学生が朝の学生集会で臨地研修の成果について発表し、スタディー・ツアーである臨地研修・体験学習に参加した京都大学とシェラブツェ・カレッジ学生とのワークショップを行った。両大学の学生の相互理解を深めるために発表とワークショップは英語で実施された。特に、臨地研修・体験学習による共同生活を通じて両大学の学生は交流を深めた。本報告は、このスタディー・ツアーで各個人が出会ったもっとも印象に残った事実とその理由をもとに参加した感想を綴ってもらった記録集である。スタディー・ツアーは実践型地域研究が目指している相互啓発による参加型地域研究の一つの試みでもある。また、研究者とは異なる京都大学の学生という「当事者的視点」からのシェラブッチェ校の教育、学生との数日の生活から垣間見ることができた文化や宗教などの地域の伝統文化に対するブータンの若者の考え方や接し方などに関する日本との比較論としても読むことができるユニークな相互啓発実践型地域研究の報告書となっている。報告書の各編は以下のとおりである。はじめに:国際交流科目「ブータンの農村に学ぶ発展のあり方」の背景と目的及び本報告の意義(安藤和雄)、世界一幸福な国であり続けるために(木下広大)、ブータンにおける二週間のフィールドワークで感じたこと(高島菜芭)、今までの、そしてこれからのブータン(高浜拓也)、ブータンと日本を比べて(福田 睦)、私とブータンの旅(宮本明徳)、ブータンの自然と宗教(諏訪雄一)、秘境を訪れて(長澤勇貴)、ブータンの離農・離村問題について(森田椋也)、自分と向き合う16日間(栁原志穂)、ブータンへの初渡航(酒井 肇)、ブータンの農村における過疎と景観への影響(谷悠一郎)、おわりに:自然の教材に触れて、生活を共にする(石本恭子)、ブータンを体感する科目を(坂本龍太)