著者
田中 勝裕
出版者
佛教大学大学院
雑誌
仏教大学大学院紀要 (ISSN:13442422)
巻号頁・発行日
no.33, pp.17-32, 2005-03

陰陽道で行われた反閇という作法の実態を知るための史料として、『小反閇并護身法』というものがある。この文献が発見されてから、小坂眞二氏をはじめ、陰陽道の反閇に関しての研究は進んだが、未だ不明な点はいくつか残されている。本稿ではそれらのうち、特に「天鼓」と「玉女」について考察したものである。反閇とは中国の「玉女反閉局法」を典拠にしたとされる陰陽道の作法であり、「天鼓」とはその中で行なわれるものであり、「玉女」とは作法中に現われる神格のことである。「天鼓」は今までその実態が言及されていない作法であり、また「玉女」については諸説あるものの、実態のはっきりとしない神格である。本稿はそれらについて分析したものである。反閉局法反閇天鼓玉女
著者
田中 勝裕
出版者
佛教大学大学院
雑誌
仏教大学大学院紀要 (ISSN:13442422)
巻号頁・発行日
no.35, pp.29-43, 2007-03

陰陽道で行われた反閇に関する史料として『小反閇并護身法』という史料がある。そのうちの次第の一つである地戸呪の項には、用途によって呪の内容を変更するという記述がある。本稿ではそれらの用途に反閇が用いられる時、そこにどのような機能が期待されたのかを探る。具体的には典拠である反閉局法と小反閇作法の次第の比較や呪の解読(特に地戸呪に関する箇所)を行い、それらが何を目的にしているのかを明らかにすることで、反閇という作法の性格を探る。その上で、反閇の性格と、それが用いられた状況にどのような関係があるかについて考察する。なお、反閇に関してはいくつか表記があるが、論題など特別な場合を除いて、典拠とされる中国のものは「反閉局法」、陰陽道で用いられた場合は「反閇」に統一した。反閉局法反閇天門呪地戸呪
著者
辻野 綾子 米田 稔彦 田中 則子 樋口 由美
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.96, 2003 (Released:2004-03-19)

【目的】脳卒中片麻痺患者の治療として、端坐位での側方リーチ動作を用いることがあるが、足底接地の条件の違いが運動特性にどのような影響を及ぼすかは明らかでない。本研究の目的は、足底接地の条件の違いによる端坐位における体幹のバランス機能について運動学的・筋電図学的に検討することである。【方法】対象は、健常女性12名(平均年齢20.6±1.9歳、身長158.8±2.4cm、体重51.8±5.0kgであり、全員右利きであった。運動課題は、大腿長55%が支持面となるように腰掛け、膝関節95度屈曲位に設定した背もたれなしの端坐位での肩関節外転90°位で上肢長130%の位置への右側方リーチ動作とした。条件は、(1)足底接地・閉脚位、(2)足底接地・開脚位、(3)足底非接地の3つにした。圧中心(以下COP)の位置を重心動揺計を用いて計測した。頭頂、第7頚椎、第12胸椎、第4腰椎、そして両側の耳介、腸骨稜、後上腸骨棘にランドマークを取りつけ、後方からのデジタルカメラによる画像から骨盤傾斜角度、体幹傾斜角度、立ち直り角度(左屈)を計測した。両側の脊柱起立筋(腰部L4、以下ES)、外腹斜筋 (以下OE)、中殿筋(以下GM)を被験筋とし、安静坐位と側方へのリーチ保持時の積分筋活動量を測定し、最大等尺性収縮時の値で標準化した。3条件間での測定値の比較には、対応のある一元配置分散分析を用い、有意水準を5%未満とした。【結果】1) COP移動距離:条件(1)や(3)より(2)が有意に大きく、(1)が(3)より大きかった。2)Kinematics:骨盤傾斜角度は、条件(1)、(2)、(3)の順に有意に増大した。体幹傾斜角度は、条件(1)や(2)より(3)が有意に大きかった。立ち直り角度は、条件(3)より(2)が有意に大きかった。3)各筋の%IEMG:右GMは、条件(2)が(3)より有意に大きかった。左GMは、条件(3)が(1)より有意に大きかった。左OEは、条件(3)が(1)や(2)より有意に大きかった。右ES、右OE、左ESにおいては、3条件間に有意差はみられず、右側の筋活動は左側に比べ小さなものであった。【考察・まとめ】条件(2)はCOP移動距離が最も大きく、条件(3)はCOP移動距離が最も小さいが左のGM、OEの大きな筋活動を要求した。それにより、開脚位で足底接地した端坐位でのリーチ動作はCOPの移動を行いやすい傾向にあり、足底非接地の端坐位でのリーチ動作はリーチ側とは対側の大きな体幹筋活動を要求するといった特徴があることが示唆された。
著者
北原 武嗣 田中 賢太郎 山口 隆司 岸 祐介 濵野 剛
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.I_499-I_508, 2012
被引用文献数
1

近年,構造物の地震応答に関して,海溝型巨大地震により励起される長周期かつ長継続時間の地震動の与える影響が注目されている.海溝型巨大地震では,数百秒程度の継続時間となることが予測されており,その際,構造物が最大荷重を履歴した後にも数十回~数百回オーダーでの繰り返し振幅を受けると考えられている.一方,鋼製橋脚の耐震設計として実施されてきた繰り返し載荷実験では,主に3回程度の繰り返しを行ってきた.そのため,海溝型巨大地震に対する鋼製橋脚の耐震設計に関しては,十分に解明されていないのが現状である.そこで本研究では,海溝型巨大地震のような継続時間の長い地震動を受ける既設高架橋の耐震性能を把握することを目的として,都市高架橋に多用されている単柱式鋼製橋脚を検討対象とし,数十回オーダーの繰り返し振幅が構造物の耐荷性能に与える影響について検討を行った.
著者
伊藤 明和 柳田 則之 鈴木 康之 鈴木 浩二 坂堂 正生 田中 八郎 吉田 充治 三宅 弘 丹羽 英人 加藤 通郎
出版者
The Society of Practical Otolaryngology
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.72, no.11, pp.1539-1551_2, 1979

1. 臨床的に鼻アレルギーと診断された120症例中脱落26例を除いた94症例について, Gamma globulin を Placebo としてHGの二重盲検法による治験を行い, 著効5症例, 有効18症例, やや有効13症例, 無効11症例の成績を得た. やや有効を有効例に含めた有効率は76.6%, やや有効を無効例に含めた有効率は48.9%で, いずれの場合も Placebo 群の有効率を上回った.<br>2. 鼻症状の改善では, 鼻閉の改善においては有意差が認められなかったが, くしゃみ, 鼻汁の改善および総合鼻症状改善度では有意差が認められた.<br>3. 鼻粘膜所見の改善では, 分泌物の量については有意な改善が認められなかったが, 下甲介腫脹, 色調および総合鼻粘膜所見改善度については有意差が認められた.<br>4. 総合改善度については, 推計学的に明白な有意差が認められた.<br>5. 皮内反応, 誘発反応, 鼻汁中好酸球では両群間の成績に明らかな差はないが, ヒスタミン反応では, H群に有意な改善が認められる.<br>6. 副作用は全例に認められなかった.<br>7. これらの成績からして, 鼻アレルギーに対してHGは十分使用に値する薬剤であると考える.
著者
田中 成典 山本 雄平 今井 龍一 神谷 大介 中原 匡哉 中畑 光貴
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.821-832, 2021

<p>昨今,深層学習を用いて物体の詳細な部位を識別して,姿勢や行動を推定する研究が盛んである.例えば,車両の部位を識別することで,逆走や改造車両を検出できる.本研究では,それらの用途の中でも深層学習の導入が特に注目されている交通量調査への適用を試みる.当該調査では,作業の省力化や効率化を目的として,動画像から車種ごとの通過台数を計数する技術開発が推進されているが,既存技術には,形状の似た車両の車種分類に失敗する課題がある.その対応策として,調査員が着目する部位の形状を考慮して分類することが考えられる.そこで,本研究では,深層学習を用いた車両部位識別技術を開発する.加えて,再学習のコストを軽減するため,教師データの自動生成技術も検討する.そして,実証実験を通じて,それらの技術が有用であることを明らかにした. </p>
著者
塚本 洋太郎 田中 豊秀
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.147-154, 1964

1. 前報にひき続き電照下のキクに対し, NAAとジベレリンその他の植物調節物質の単独または混合散布を行ない, キクの発蕾に対する抑制効果を調べた。抑制栽培用の品種, ディセンバー•キングを使用した。NAAと混用した植物調節物質はジベレリンのほかにアスコルビン酸, チアミン, トリプトファンであつた。栄養素である尿素も使用した。別に10月咲の品種, 新東亜を用いてNAA, ジベレリン, アスコルビン酸, トリプトファンを短日処理開始後に散布し, 開花に対する抑制効果を調べた。<br>2. 無散布では発蕾抑制のあらわれる最低照度は8~12luxであつた。NAA 50ppmを散布すれば約2luxの電照下でも抑制できた。<br>3. NAA 100ppm散布により40luxの電照と同程度に発蕾を抑制することができたが, 生長抑制が著しかつた。NAA 50ppm散布は生長に対する抑制作用が小さく, 2~3luxの電照との組合せにより40luxと同程度の抑制が認められた。<br>4. アスコルビン酸は発蕾に対して抑制的であつた。NAA 25ppmとアスコルビン酸50ppmの混合液散布は低照度においてNAA 50ppmと同程度発蕾を抑制した。チアミンにもその傾向が認められたがアスコルビン酸ほど明らかでなかつた。<br>5. 新東亜を使用した実験でトリプトファン100ppmおよび200ppm散布は開花を抑制した。しかしアスコルビン酸との混合液散布は新東亜の開花に対しても, ディセンバー•キングの発蕾に対しても抑制の作用が認められなかつた。<br>6. ジベレリン50ppm散布は発蕾に対し抑制的であつた。NAAとジベレリンの50ppm混合液散布はNAA50ppm散布に比べ著しく発蕾を抑制した。NAAとジベレリンとの間に相助作用のあることを示している。花の品質には影響なかつた。<br>7. NAA 25ppmと尿素1%の混合液散布はNAA 50ppm散布と同程度発蕾を抑制する傾向がみとめられた。<br>8. この実験からキクの電照抑制栽培において, 設備不じゆうぶんによる照度の不足はNAAとジベレリンとの50ppm混合液散布により, 12luxの低照度でも発蕾を抑えることが可能であるといえる。
著者
佐藤 豊三 小野 剛 田中 和明 服部 力
出版者
日本微生物資源学会
雑誌
日本微生物資源学会誌 = Microbial resources and systematics (ISSN:13424041)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.163-178, 2016-12

2011~2014年,小笠原諸島において採集した約300点の樹木等の罹病部や寄生生物から菌類を分離し,DNAバーコード塩基配列および形態により分類同定を行った結果,286菌株が124種に同定され161菌株が属まで同定された。これらのうち少なくとも37種は日本新産,20種・1亜種は小笠原新産であり,57菌種について延べ80種の新宿主が明らかとなった。新宿主には19種の小笠原諸島の固有種が含まれていた。一方,固有植物から分離された他の50菌株以上が37属に同定されたが,DNAバーコードを用いたBLAST検索などの結果では種まで特定できなかった。これらは新種の可能性も含めて分類学的所属を明らかにする必要がある。また,国内初確認13種および小笠原諸島新産菌1種は,熱帯・亜熱帯産の宿主から分離され,菌自体も熱帯・亜熱帯分布種であった。以上および既報から,小笠原諸島の菌類相には熱帯・亜熱帯要素が含まれていることが改めて認められた。
著者
植田 貴宏 西田 哲也 大原 順一 田中 辰彦 浦 啓助 浦田 和也 池上 康之
出版者
水産大学校
雑誌
水産大学校研究報告 (ISSN:03709361)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.75-83, 2014-03

このように,日本近海においてもOTECの設置に有望な海域は存在するが,特に沖ノ鳥島は日本の排他的経済水域内で唯一熱帯に区分され,日本近海におけるOTECシステム設置可能な候補地の中で最も適した地域の一つと考えられる。しかし,実際に沖ノ鳥島近海におけるOTECを用いて海洋エネルギーの利用と水産資源の開発を行う場合,まずOTEC設置のための設計資料としての海洋物理データ(水温,塩分,溶存酸素等)が必要であり,OTECの副次的な多目的利用として水産資源開発を行う場合には,海域における栄養塩類の鉛直分布等の把握が必要となってくる。しかし,沖ノ鳥島における気象,海象調査や表層の海洋物理データについては,他研究機関により継続的に行われているが,その周辺海域における各層における海洋物理データ,栄養塩類についての海洋調査は,ほとんど行われていない。本報は,2006年1月に水産大学校練習船耕洋丸を用いて沖ノ鳥島海域での海洋調査を行い,OTEC設置のための設計資料と水産資源開発に必要な各調査点における各層海洋物理データ及び栄養塩等の調査結果について報告する。
著者
小林 英史 田中 芳明 浅桐 公男 朝川 貴博 谷川 健 鹿毛 政義 八木 実
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.1207-1213, 2009 (Released:2009-12-21)
参考文献数
24
被引用文献数
1

【目的】緑茶カテキンには抗線維化作用や抗酸化作用があると報告されており、その効果および作用を胆汁鬱滞性肝障害モデルラットを用いて系統的に検討した。【対象及び方法】Wistar rat胆管結紮モデルをSHAM群、無治療群、治療群の3群に分け、17日後に犠死させた。検討項目は、AST、ALT値、抗酸化の評価として4-Hydroxynonenal染色と8-oxo-2'deoxyguanosine染色、炎症性サイトカイン活性化のkey mediatorとして転写因子Activator Protein-1 mRNAの定量、星細胞の活性化の指標として肝臓組織中のTGF-β1の免疫染色、線維化の評価としてAzan染色とα-smooth muscle actin染色である。【結果】緑茶カテキン抗酸化剤投与により、血清AST、ALT値の低下、転写因子AP-1の低下、酸化ストレス障害の軽減、星細胞の活性化の抑制、線維化の抑制がみられた。【結論】緑茶カテキン抗酸化剤投与により、酸化ストレス障害および転写因子の発現を抑制し、星細胞の活性化を抑制することによる線維化抑制効果が示唆された。
著者
矢沢 代四郎 田中 寛 片岡 英幸 北西 剛 大脇 成広 佐伯 満男
出版者
Japan Society for Equilibrium Research
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.496-504, 1995 (Released:2009-06-05)
参考文献数
11

Two cases of horizontal eye movements disorders due to pontine lesions are reported and their clinical symptoms described. Case 1, a 52-year-old female, showed right lateral gaze paralysis together with right facial paralysis, vestibular dysfunction and scanning speech after surgery on an epidermoid cyst in the 4th ventricle. Case 2, a 56-year-old female, displayed right lateral gaze paralysis combined with right facial paralysis, vestibular dysfunction, right deafness and left hemiplegia following pontine hemorrhage. The right lateral gaze paralysis of both cases were analyzed and speculated to have resulted from combined disorders of the right abducens nucleus, the right PPRF (paramedian pontine reticular formation) and the right MLF (medial longitudinal fasciculus) in the pontine tegmentum.
著者
西村 善博 前田 均 田中 勝治 橋本 彰則 橋本 由香子 横山 光宏 福崎 恒
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.29, no.7, pp.795-801, 1991-07-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
18
被引用文献数
8

加齢による呼吸筋力の変化を検討するため, 成人116名 (男性57例, 女性59例) を対象に, 座位にて全肺気量位での呼気最大口腔内圧 (PEmax) 及び残気量位での吸気最大口腔内圧 (PImax) を測定した. 口腔内圧測定の至適回数に対する予備的検討で, 最低3回測定すれば再現性のよい値が得られたので, 3回測定での最大値を用いた. PEmaxの平均値は, 男女それぞれ123.6cmH2O及び79.0cmH2O, PImaxの平均値はそれぞれ98.4cmH2O及び71.9cmH2を示し, 性別間で有意差を認めた. PEmax及びPImaxは男女とも年齢との間に有意な負の相関を認めた. PEmaxは全肺気量と有意な正相関を, PImaxは残気率と有意な負の相関を認めた. 残気率は加齢による増加を認めた. 以上の呼吸筋力の検討より, 加齢による吸気筋力低下の原因の一つに経年的な残気率増大が関与している可能性が示唆された. 一方, 呼気筋力の経年的筋力低下は肺機能諸量と明確な関係を示さず, 栄養状態, 全身的筋力低下など多因子の関与が推測された. 最大口腔内圧測定は最低3回行えば再現性のある値の得られることが確認された.