著者
田中 優子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.63-70, 2009
被引用文献数
3

本研究では,批判的思考に影響を及ぼす要因について検討することを目的とし,大学生138名を対象に,複数の論理的に正しいとは言えない論法のタイプを含む文章を3題提示した.参加者は,自由に感想を書いてよいフェーズ,任意で批判を要求されるフェーズ,強制的に批判を要求されるフェーズにおいて文章に対する記述を求められた.その際,参加者の半数には専門家が,残りの半数には匿名の大学生が書いたと説明することによって情報ソースの信憑性を操作した.論理的に正しいとは言えない論法を指摘できているかといった観点から批判的思考得点を算出した結果,論法のタイプが批判的思考の抑制に影響を及ぼすこと,批判の要求が明示的になるに従い批判的思考は促進されることが明らかになった.また,情報ソースの信憑性の高さが批判的思考を抑制する傾向があるものの,その影響は外的要求の程度や論法のタイプによって異なることが示された.
著者
田中 健一
出版者
名古屋大学高等教育研究センター
巻号頁・発行日
2012

2011年度名古屋大学学生論文コンテスト優秀賞(附属図書館長賞)受賞
著者
村本 勇貴 岩本 航 我妻 浩二 田中 直樹 榊原 加奈 村上 純一 石渕 重充 松橋 朝也 笠間 あゆみ 岡田 尚之
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1286, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】青少年期のスポーツ選手において,腰痛はスポーツ活動の障害因子となっている。本研究の目的は,当院で行った中学生サッカー選手に対するメディカルチェックから,腰痛のある選手の身体特性を調査することである。【方法】男子中学生サッカー選手21名(平均年齢13.0±0.5歳)を対象とした。事前に身体状態に関するアンケート調査を行い,群分け(腰痛群・非腰痛群)を行った。メディカルチェック項目は,下肢伸展拳上(以下,SLR)・殿踵距離(以下,HBD)・ディープスクワット(以下,DS)・ホップテスト(以下,Hop)とした。疼痛のためメディカルチェックを遂行できない者は除外した。統計処理は群間比較にはSLR,HBD,Hopについては対応の無いt検定を用い,DSについてはマンホイットニーU検定を用いた。有意水準は5%とした。【結果】腰痛を有する選手は21名中5名(23.8%)であった。腰痛群は(身長:159.9±0.7cm,体重:45.8±5.4kg,BMI:17.9±1.3,SLR(右:60.0±7.1°,左:57.5±5.0°),HBD(右:10.5±3.9cm,左:10.3±3.8cm),Hop(右:7.7±1.8秒,左:7.7±0.5秒),DS:2.2±0.5点)という結果であった。非腰痛群は(身長:157.2±0.7,体重:44.1±7.3kg,BMI:17.7±2.0,SLR(右:62.9±9.0°,左:62.4±7.7°),HBD(右:4.9±4.2cm,左:4.0±3.1cm),Hop(右:7.3±0.5秒,左:7.4±0.7秒),DS:2.4±0.7点)という結果であった。HBDは腰痛群で有意に大きかった(右:p=0.05,左:p=0.03)。その他の項目では腰痛群と非腰痛群で有意差は認められなかった。【結論】我々のメディカルチェックの結果では,腰痛群のHBDが有意に大きかった。HBDは股関節伸展位で行う膝屈曲テストであるため,今回の結果は大腿四頭筋の中でも2関節筋である大腿直筋の柔軟性低下による影響が考えられる。先行研究では腰痛を有する青年期のスポーツ選手は股関節屈曲筋の柔軟性が低下すると報告されている。またサッカー競技では,股関節伸展を腰椎の伸展で代償する選手で腰椎に加わるストレスが増加すると報告されている。以上のことから,サッカー選手における股関節屈曲筋群の柔軟性低下と腰痛とは関連があるものと考えられ,本研究での腰痛群でHBDが有意に増加したものと推測された。本研究の結果,HBDが大きいサッカー選手は腰痛が生じやすいことが示唆された。今後は,腰痛を有するサッカー選手に対してHBD改善の介入が有効であるか検証する必要があると考えられる。
著者
田中 洋平 Yohei Tanaka
雑誌
淑徳大学人文学部研究論集 (ISSN:21895791)
巻号頁・発行日
vol.第4号, pp.97-108, 2019-03-15

本論では中等教育段階における歴史教育と歴史学研究の結節を企図し、高等学校で使用されている日本史教科書の記述について、歴史学的知見からこれに検討を加えた。具体的には、近世宗教史分野の研究成果を整理するとともに、これに新たな研究知見を付与したうえで教科書の記述を再検討している。ここでは、これまでの研究史及び『肥後藩人畜改帳』の分析から、寺檀制度の成立に照応させつつ、それを担う寺院が建立されたことを確認し、にもかかわらず、そうした寺院がどの段階で造営されていったかという点について、教科書中には記述がないことを指摘した。併せて近世宗教史研究のうえで長らく議論されてきた「近世仏教堕落論」についても、これを教科書に記載したうえで、歴史事象に関する生徒間の討論を深化させるための素材とすることができる可能性について言及した。
著者
田中,和夫
出版者
家屋害虫研究会
雑誌
家屋害虫
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, 2000-12-30

双翅類は所謂ハエ,カ,アブ,カガンボ(ガガンボ),ブユなどと称される昆虫で,最も進化した昆虫類の一つである.中生代初期から地球上に現れたと考えられ,歴史的には完全変態類では甲虫類より新しく,鱗翅類よりは古い.世界で10万近い種が知られ,日本では1989年のリストで5,232種が記録されている.推定実在数は世界で15〜35万といわれ,日本では1〜2万と思われる.尚,上記のハエ,アブなどの名前は,分類学上の区分に必ずしも正確に対応していないことに注意して頂きたい.
著者
田中 省作
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.351-367, 2017 (Released:2018-12-31)
参考文献数
30

膨大なテキストを機械処理し, 知識の発見や仮説の検証を行う, テキストマイニングとよばれる方法論がさまざまな分野で活用されはじめている. そのようなテキストマイニングと密接な関係にあるのが, 計算機で日本語や英語といった自然言語の処理を探究する自然言語処理である. 本稿では, 今後, テキストマイニングが社会学も含め多様な分野で展開されることを念頭に, 自然言語処理を概観し, その言語観や自然言語処理からみたテキストマイニングについて事例を交えつつ, 論じる.自然言語処理は, 情報科学, 言語学や認知科学などにまたがる学際的な分野である. 自然言語処理はテキストマイングを重要な応用として位置づけており, 汎用的な基礎解析だけではなく, 課題にそくした技術開発等も行われている. その自然言語処理は技術開発の際, 言語を大胆に捨象し, 近似することが日常的に行われる. その結果, 現在の技術水準では文脈などの大局的な言語情報は必然的に失われ, 自然言語処理を活用するテキストマイニングにも強く影響する. 得られる知識断片には, 専門家による関連知識の補完や解釈が必然的に求められることになる.
著者
吉田 純 高橋 三郎 高橋 由典 伊藤 公雄 新田 光子 島田 真杉 河野 仁 植野 真澄 田中 雅一 Fruhstuck Sabine Dandeker Christopher Kummel Gerhard Patalano Alessio
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

現代日本のミリタリー・カルチャーの2つの構成要素、すなわち、(a)メディア・大衆文化に表現される戦争・軍事組織のイメージ、(b)軍事組織(自衛隊)に固有の文化について、平成26年度には歴史社会学的観点から、平成27~28年度には比較社会学的観点から、それぞれ調査研究を実施した。研究方法としては、インターネット意識調査、文献調査、映像資料調査、博物館・資料館等の現地調査、および関連研究者・実務者へのインタビュー調査等の方法をとった。これらの調査研究で得られた知見を総合した研究成果を、平成29年度中に、研究代表者・分担者の共著として出版予定である。
著者
田中 啓介 東 結香 上原 哲太郎
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2020-IOT-50, no.4, pp.1-6, 2020-07-03

本研究では,セキュリティ対策に十分な費用を割くことが難しい組織が,効果的な対策を選定できることを目的とし,各種セキュリティガイドライン内で提言されている対策項目が,実際に発生したセキュリティインシデントの事例で有効であるかどうかの評価を行った.評価は,当該対策が施されていればセキュリティインシデント発生を防げていたかどうか,及び当該対策を施す難易度を踏まえて実施した.
著者
加藤 京里 菱沼 典子 田上 恭子 加藤木 真史 細野 恵子 田中 美智子 留畑 寿美江 丸山 朱美 酒井 礼子 井垣 通人 塚本 紀子 野月 千春 加藤 祥子 山崎 好美
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.28-37, 2012-08-20 (Released:2016-07-08)
参考文献数
38
被引用文献数
2

本研究の目的は,4週間の排便記録を通して排便パターンの実態を調査し,排便状態の判断基準を検討することである.20歳以上の男女に4週間にわたり排便ごとに便形 (水様便,泥状便,普通便,硬便),排便量 (母指頭大,手拳大以上と,その中間) について排便記録をつけてもらった. 排便記録は便宜的標本抽出にて224名より回収した.データに不備があるものと疾患による影響が考えられる5名の記録はのぞき,男性50名,女性169名の計219名 (平均年齢38±14歳) を分析対象とした.排便パターンはあらかじめ基準をおかず排便状況が似ているもので分類し,排便日数,回数,便形,排便量から帰納的に各基準を抽出して「問題なし (n=147) 」「便秘 (n=51) 」「下痢 (n=13) 」「下痢と便秘 (n=8) 」と命名した.薬剤の服用者27名をのぞいた192名での分析においては,「便秘」の排便日数は平均3.5日/週であり,同時に便形や排便量も考慮して便秘かどうかが判断されていた.「下痢」は日数や量よりも泥状便,水様便があることが基準になると考えられた.性別では女性が,年齢では「20歳代」に便秘の傾向が認められた.
著者
田中 真秀
出版者
日本教育行政学会
雑誌
日本教育行政学会年報 (ISSN:09198393)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.141-157, 2010-10-01 (Released:2018-01-09)

This paper aims to examine the differences of teacher salaries in public compulsory education schools among prefectures. Two research questions were exmined : 1) What is and entry level teacher's salary prescribed by prefectures for 2007 to 2009? and 2) Can the answer to the first question hold true for the years from 2001? With these questions in mind, the paper discusses the meaning of the differences of teacher salaries among prefectures through a comparison of entry level salaries of teachers with those of general administrative officers among 47 prefectures from 2001 to 2009. The following results were obtained : First, teacher salaries are linked to general administrative officer's salaries. The general administrative officer's salary is determined by ordinance on the basis of city personal authority's advice and city councils ratification based on the price index and the pay level of private companies in each prefecture. Second, this relationship did not change, even when the rate of national grants to compulsory education was reduced from 1/2 to 1/3. Therefore, it seems reasonable to conclude that the main cause of the difference of teacher salaries among prefectures is the public finance circumstance in each prefecture and that the difference does not expand if the rate of national grants to compulsory education was reduced.
著者
中野 生子 田中 聡 池田 めぐみ 山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.43098, (Released:2020-03-23)
参考文献数
51

本研究では,国内の中学生を対象としたサマーキャンプを取り上げ,社会情動的スキルに与える効果を,個人特性との関係性に着目しながら検証することを目的とする.UWC ISAK Japanのサマースクールを対象として,基本属性,パーソナリティ特性に関する事前質問紙調査を,社会情動的スキル(Social Emotional Competence Questionnaire)に関する事前事後質問紙調査を実施し,47名の有効回答を分析した.本研究の結果,社会情動的スキルを育成するためのプログラムとしてUWC ISAK Japanのサマースクールは有意な効果が認められたほか,協調性や開放性が低い生徒,また日本人および日本在住者と社会情動的スキルの変化量とに正の相関がみられた.これにより,自由参加型のサマーキャンプにおいては,参加者の個人特性によってプログラム効果の度合いが異なる可能性が示された.