著者
白井 利明 伊藤 淳 伊藤 真紀
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.212-217, 2011-03-18 (Released:2011-04-19)
参考文献数
8

人工膝関節全置換術 (TKA) 後の歩行能力の獲得時期と手術時年齢,性別,BMI,罹患関節 (片側・両側),手術アプローチ,日本整形外科学会変形性膝関節症治療判定基準 (以下JOA score) を調査し,歩行能力の回復に影響する予測因子を検討した.当院でTKAを施行した67 例 (男性7 例,女性60 例),88 膝を対象とした.原因疾患は変形性膝関節症80 膝,特発性骨壊死症8 膝であった.術後歩行能力の獲得時期として平行棒歩行,T字杖歩行,手すりによる階段昇降が可能となるまでの期間を調査した.平行棒歩行が可能となった時期は平均5.7 日,T字杖歩行16.1 日,階段昇降23.0 日であった.術後の歩行能力に影響した予測因子は罹患関節(片側・両側),手術時年齢,術前JOA score,手術アプローチであった.
著者
有吉 眞理子 大谷 淳二 白川 昌宏
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.135, no.1, pp.3-9, 2015-01-01 (Released:2015-01-01)
参考文献数
17

DNA methylation is one of the major epigenetic marks in the mammalian genome to define chromatin higher-order structure, and plays essential roles in various developmental processes. In the mammalian genome, DNA methylation mainly occurs at the 5th position of cytosine bases in a palindromic 5′-CG-3′dinucleotide sequence. Methyl CpG binding domain (MBD) proteins recognize symmetrically methylated CpG sites (5mCG/5mCG) through a conserved MBD, and recruit transcriptional repressors or chromatin modifiers. One of the MBD proteins, MBD4, uniquely contains a C-terminal glycosylation domain together with an N-terminal MBD, and functions as a mismatch DNA repair enzyme specific for T/G or U/G mismatch bases generated by spontaneous deamination of 5-methylcytosine. The base excision activity of MBD4 is also implicated in active DNA demethylation initiated by the conversion of 5-methylcytosine to thymine by deaminases. Unlike other MBD proteins, MBD4 recognizes not only 5mCG/5mCG but also T/G mismatched sites generated by spontaneous deamination of 5-methylcytosine (5mCG/TG). In addition, our biochemical data demonstrate that MBD also binds to intermediates in DNA demethylation pathways, such as 5-hydroxymethyl-cytosine (hmC), 5-carboxyl-cytosine and 5-hydroxy-uracil. The crystal structures of MBDMBD4 in complex with 5mCG/TG, 5mCG/5mCG or 5mCG/hmCG provide new structural insights into the versatility of base recognition by MBD4. A DNA interface of MBD4 has flexible structural features, in which an extensive hydration water network supports the versatile base specificity of MBD4. The versatile base recognition by MBDMBD4 implies multi-functional roles of MBD4 in the regulation of dynamic DNA methylation patterns.
著者
白石 秀壽 小野 晃典
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.68-80, 2019-09-27 (Released:2019-09-27)
参考文献数
5

世界有数の鶏卵生産消費国である日本において,大量生産がますます進む一方で,少量の高級ブランド卵を生産する様式を採用する養鶏業者も登場している。そんななか,高級ブランド卵を大量に生産して販売する鳥取県八頭町の養鶏業者がある。それが「大江ノ郷自然牧場」(農業生産法人・有限会社ひよこカンパニー)である。同牧場は,高級ブランド卵「天美卵」を成功させたに留まらず,その卵を使用した加工食品を開発して併売する形で第二次産業に参入し,さらには,農業や食を体験させることのできる施設を建設することによって,第三次産業にも参入し,それらについても,首都圏その他の大市場から離れた過疎地域であるにもかかわらず成功を収めている。本論は,事業成功のカギを握る同牧場のビジネスモデルを解析する。
著者
白岩 正 谷口 省三 井川 明彦 樫間 裕司 黒川 秀基
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1983, no.11, pp.1617-1622, 1983

(±)-α-メチルベンジルアミンの有機酸塩のラセミ体構造を調べ,優先晶出法による光学分割の可能性について検討した。塩形成に用いた有機酸は,ベンゼンスルホン酸(BS),p-メチルベソゼンスルホン酸(MBS),p-エチルベンゼンスルホン酸(EBS),スルファニル酸(SU),p-t-ブチル安息香酸(TBB),フェノキシ酢酸(PA),イソ吉草酸(IVA),ビバル酸(PI),メタクリル酸(MC)および2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(HMP)である。これらの有機酸塩のラセミ体と光学活性体の融点,溶解度および赤外吸収スペクトルの比較によってラセミ体構造を調べた。しかし,これらの方法では(±)-TBB塩のみがラセミ混合物であることが推定できただけで,その他の塩のラセミ体構造を推定することは困難であった。そこで,ラセミ体と光学活性体の融解エンタルピー(ΔHf)を比較し,さらにラセミ化合物の生成自由エネルギー(ΔGφ)を求めた。BS,MBS,EBS,SU,PA,MCおよびHMP塩においてはΔHf(±)>ΔHf(-)になったが,IVAならびにPI塩ではΔHf(±)<ΔHf(-)になった。しかし,これらの塩のΔGφ はすべて負の値を示したことから,その(±)-塩はいずれもラセミ化合物を形成していることがわかった。とくに,PI塩のΔGφ の絶対値はその他の塩のそれらにくらべてきわめて小さいので,(±)-PI塩は安定性の乏しいラセミ化合物であると推定されるTBB塩ではΔHf(±)<ΔHf(-)になり,ΔGφ の値も正の値を示したので,そのラセミ体はラセミ混合物であることが確認された。なお,以上の(±)一塩のラセミ体構造は,融点の二成分系状態図からも確認した。以上の結果から,(±)-TBB塩がラセミ混合物であることがわかったので,テトラヒドロフラン中,20℃で優先晶出法によって光学分割した。その結果,90%以上の光学純度の(-)-TBB塩を分割することができた。
著者
白川 優治
出版者
広島大学高等教育研究開発センター
雑誌
大学論集 (ISSN:03020142)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.35-48, 2017

本研究は,日本学術振興会科学研究費(課題番号15K04346)による研究成果の一部である。
著者
太田 征孝 福代 新治 白築 理恵 森田 栄伸
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.578-581, 2017

<p>75 歳,女性。2013 年に右踵部に易出血性の紅色腫瘤が出現した。2014 年に近医で腫瘤を切除され,悪性黒色腫の診断で当院を受診した。原発巣の拡大切除および骨盤内・鼠径リンパ節郭清,DAVFeron(ダカルバジン+ニムスチン+ビンクリスチン+インターフェロン <i>β)</i>投与を受けた。2015 年に皮膚・肝・肺・骨盤内・骨に腫瘤形成がみられ,悪性黒色腫の転移と診断されてニボルマブ点滴投与を開始された。 腫瘍縮小効果に乏しく,ベムラフェニブ内服に変更された。ベムラフェニブ投与開始後,皮膚・肺・肝・骨盤内転移は速やかに縮小傾向となったが,骨転移は縮小傾向に乏しかった。投与開始 3 カ月の時点で食欲低下やふらつき,失見当識が出現した。頭部 CT,MRI 画像では異常所見は認めなかった。投与開始 4 カ月で意識障害が出現し,造影 MRI および髄液細胞診を行ったところ,癌性髄膜炎および脳転移の所見がみられ,入院後 2 週間で永眠した。ベムラフェニブ投与により転移巣の縮小効果が得られたが,髄液移行性が低いことから中枢神経系転移には効果がみられなかった。また,本症例はメラニン含有量の少ない悪性黒色腫であり,単純 MRI 画像では描出されず,造影 MRI の撮影が必要であった。</p>
著者
白石顕二著
出版者
柘植書房新社
巻号頁・発行日
2000
著者
Naruse Tohru Maenosono Tadafumi Uyeno Daisuke Samejima Shota Shirawakawa Naoki 成瀬 貫 前之園 唯史 上野 大輔 鮫島 翔太 白川 直樹
出版者
琉球大学資料館 (風樹館)
雑誌
Fauna Ryukyuana (ISSN:21876657)
巻号頁・発行日
no.36, pp.1-11, 2017-05-31

琉球列島より得られたコブシガニ上科6種 (サガミトゲコブシArcania sagamiensis, ホシズナエバリアEbalia stellaris, Ebaliopsis erosa, ノコバテナガコブシMyra eudactylus, サガミコブシUrnalana elata, ノコハコブシIphiculus spongiosus) の標本を記録した. それらのうち, Ebaliopsis erosaは日本より初めて, サガミトゲコブシ•サガミコブシ•ノコハコブシは琉球列島より初めて, それぞれ標本を基に報告された. また, Ebaliopsis erosaには新標準和名クルミコブシを与え, 和名の基準とする標本にRUMF-ZC-4279を指定した. さらに, 各種の近似種との識別形質や潜在的な分類学的問題点について概説した.
著者
小松 侯子 森田 雅之 山本 道子 桜井 磐 吉田 正樹 松本 文夫 高橋 京子 三浦 香苗 関根 優子 石田 政子 辻原 佳人 国分 勝弥 高橋 孝行 白井 裕二
出版者
日本環境感染学会
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.41-48, 1995

病院給食は, 食事療法を目的とした患者に細心の注意を払い, 安全かつ衛生的に食事を提供しなければならない. そこで医療機関における配膳車および食器類の衛生管理運営状況についてのアンケート調査を実施した. またこの調査を基に, 当院の給食用配膳車および食器類の細菌汚染調査を行った.<BR>1. アンケート調査結果から細菌調査を実施した医療機関は74%あり, その内訳は手指培養試験が21%, まな板無菌試験が21%, 厨房室内汚染菌調査が19%などであった.<BR>2.病院給食の配膳および食事介助者は病棟看護婦, 病棟婦で76%を占めていた. その時の手洗い励行率は67%, マスク着用率は15%であった.<BR>3. 当院の給食用配膳車の配膳前, 下膳後の細菌汚染調査では, 配膳前と比べて下膳後に<I>Staphylococcus aureus (S. aureus), Staphylococcus epidermidis (S. epidermidis)</I> および腸内細菌群が多く検出された.<BR>4.配膳車の天蓋, 棚, 手スリ, タイヤの細菌汚染調査で, タイヤから<I>S. aureus, S. epidermidis</I>および腸内細菌群が多く検出された. また, 配膳搬送専用エレベータ床, 配膳室床からも配膳車のタイヤと同様の菌が検出された.<BR>5.独食患者および介助必要患者の病院給食用食器, トレーからは, 下膳後に<I>S. aureus, S. epidermidis</I>, 腸内細菌群が検出された.<BR>以上, 今回の細菌汚染調査結果から, 定期的な配膳車のタイヤ汚染調査は院内の環境汚染状況を把握する一つの方法とも考えられた. また食器類は患者個人専用ではないため, 感染防止上, 使用後は十分に洗浄消毒する必要がある. さらに患者給食の配膳は病棟看護婦, 病棟婦の大部分が携わっていることから, 手洗いの励行を徹底することが改めて認識された.