著者
白石 君男
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.261-275, 2019-08-30 (Released:2019-09-12)
参考文献数
54
被引用文献数
2

要旨: 日常生活における音源定位は,音の刺激が両方の耳に与えられるような音の聴取状態である両耳聴 (binaural hearing) の重要な機能の一つである。これまで, 両側性小耳症・外耳道閉鎖症などの伝音難聴では, 骨導補聴器は片側装用されることが多かったが, 両耳に骨導補聴器を装用すると健聴者と同程度の方向感の精度をもたらさないものの, 方向感を有することが明らかとなった。骨導補聴器の両耳装用は, 小耳症・外耳道閉鎖症などの幼児では聴覚系の発達を促し, 成人の伝音難聴では日常生活の不便さを減少させるものと思われる。
著者
白楽 ロックビル
出版者
日本社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会学会誌 (ISSN:13440896)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.59-71, 2011

10年余りかけ、読売新聞の記事データベースから、明治・大正・昭和・平成時代(1874~2009年)の136年間の「研究者の事件データベース」を作り、最近完成させた(白楽ロックビル『研究者の事件と倫理』、講談社サイエンティフィック、2011年9月出版予定)。136年間の「研究者の事件」(含・技術者)は、文系も含めた全分野で1,402件あった。直近23年間(1987~2009年)の件数の多い順の「事件種」ランキングでは、セクハラが1位、研究費が2位、改ざんが3位だった。「研究者の事件」をおこす研究者は、「55+歳の大学医学部の男性教授」が多かった。「盗用」、「ねつ造・改ざん」を詳細に分析した。
著者
白井 泉
出版者
日本農業史学会
雑誌
農業史研究 (ISSN:13475614)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.47-60, 2016 (Released:2017-02-17)

In modern era, the northeast Japan was considered a developing area and had relatively low economic and health standards, especially in the 1930s. However, within this area, the Tsugaru region of Aomori Prefecture accounted for the highest apple production in Japan since the 1900s, and seemed to enjoy richness compared to the other regions of the prefecture even in the 1930s. The purpose of this study is to analyze why the peasants of Tsugaru region chose to cultivate apples, how they produced apples alongside rice despite the fact that these goods’ busy harvest season come at the same time, and what impact their faming management had on their living standards over time. The analysis reveals the following. (1) In Tsugaru region, peasants began to introduce the cultivation of apples from the 1900s, but this was done as a workaround; for these peasants, the most attractive crop was rice because it was more profitable than apples in the 1910s and 1920s and peasants could sell, store, and eat it. Some peasants purchased active paddy fields after becoming rich from apple cultivation. (2) Apple growers adopted labor-intensive technologies to make apples red in response to consumer preferences and to thereby increase their revenues. Although part of the labor force during the busy season was attracted from outside the prefecture by the offer of high wages, the labor quantity of peasant men and women increased due to the farming of these multiple crops. (3) There is a possibility that such labor environment raised the infant mortality rate, which is an index of mothers’ and children’s health, but the region experienced rapid economic development and, in the 1930s, a total production value per household that was close to the national average. This means that although the multiple farming of rice and apple increased the labor burden on peasants, it led to the economic development of the region.
著者
白石 一成
出版者
宮城県水産研究開発センター
巻号頁・発行日
no.3, pp.45-51, 2003 (Released:2011-03-05)

宮城県北部の浅海岩礁域5箇所において、アワビ類とウニ類、海藻類および植食動物、肉食動物の現存量調査を実施した結果、キタムラサキウニでは水深が深い所により多く、無節サンゴモとの関連がみられた。更に、植食動物のクボガイではホンダワラ類のアカモクや小型海藻類を、バテイラでは大型海藻類のアラメを餌料および棲息場として利用していると考えられた。エゾアワビでは、その出現がアラメの分布と関係することから、バテイラとの間で餌料の競合関係にあるとみられた。また各箇所で、アワビ類、ウニ類および植食動物は、餌料となる海藻類に制約される形で出現していることも明らかとなった。一方、肉食動物のヤドカリ類とイトマキヒトデは各箇所で出現が認められたが、海藻類の少ない箇所ではヤドカリ類が多く出現しアワビ類等の幼稚仔がより捕食され易い状況にあるものと考えられた。
著者
白鳥 英
出版者
東京都市大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

半導体デバイス、MEMS、ディスプレイのカラーフィルタ等の製法では機能性の液膜を基板に塗布する工程があるが、様々な物理要因によって種々の膜厚ムラが発生し、最終製品の寸法精度が低下してしまう課題がある。この膜厚ムラの発生を回避・抑制できるような最適塗布条件を数値シミュレーションによって探索したいが、従来の方法では①時間発展計算に時間を要すること、②計算に必要な塗膜の物性値の測定・入手が困難なこと、が障壁となっていた。本研究では①支配方程式を教師とした機械学習を導入して高速に膜厚ムラを予測する枠組みを構築し、②塗膜の物性値をデータ同化の方法によって推定できるようにすることで上記の課題の解決を目指す。
著者
海老名 敏明 金上 晴夫 桂 敏樹 青沼 賢治 白石 晃一郎
出版者
医学書院
雑誌
呼吸と循環 (ISSN:04523458)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.401-409, 1959-04-15

I.まえがき 機能的残気量(Functional Residual Capa—city,以下F.R.C.と略す)の測定は,慢性肺気腫の診断並びにその程度の判定上大切であるばかりでなく,慢性肺疾患に於ける代償性肺気腫の有無,肺葉切除術後の残存肺膨脹の状態を知る上にも重要である。 F.R.C.の測定はかなり前から行われ,1932年のChristie1)の論文では当時まで発表されたF.R.C.の測定に関する約47篇の論文の詳細な考察を行いVan Slyke and Binger2)の方法が最も信頼性の高い方法であると述べている。この方法は水素をIndicator Gasとして用いているがChristieは之を改良し,爆発の危険性を除くために窒素をIndicator Gasとして用いる閉鎖回路法を発表した。この方法はその後かなり長く用いられ,閉鎖回路法としてはわが国では現在も尚行われている。1939年J.McMichaelはChristieの方法を追試しKatharometerを用い水素をIndicator Gasとして用いるConstant Volume Modificationを初めて発表した。1940年Darli—ng4)は酸素による開放回路法を発表し,その正確さ,再現性の高い点から米国その他に於て現在も尚広く用いられている。
著者
北田 大樹 白井 暁彦
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2013論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.117-122, 2013-09-27

概要:スマートフォン上でのエンタテイメントコンテンツ閲覧時のリアルタイム行動分析手法について報告する.「楽しみ」は主観的な人間の感情であるが,「笑い」は視聴者の不随意運動として,スマートフォンの高分解能加速度センサにて得ることが可能である.スマートフォン上での映像視聴時に起きる自然な不随意運動を,スマートフォン上の高分解能加速度センサを用いて取得し,視聴者の主観的な情動を統計的かつ集合的に分類取得するアルゴリズムおよびアプリケーション開発を行っている.実験システムは,データ収集のためにRuby とSinatra フレームワークによって開発されており,将来的な実装として,WebSocket のサーバーサイドJavaScript での実装であるNode.js を用いて,Web ベースの分散非同期接続での実装可能性を検討し,LAN/WAN 環境においてベンチマークを行った.推定アルゴリズムは,ムービープレイヤーアプリケーション「L-PoD」に実装され,同一のエンタテイメント・コンテンツにおける被験者間の笑いの特性の違いをProperty of Difference (PoD) として視覚化することができる.

1 0 0 0 OA 救荒植物

著者
白井光太郎 著
出版者
嵩山房
巻号頁・発行日
1903
著者
白石 泰之
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
雑誌
Hospitalist (ISSN:21880409)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.793-805, 2018-12-01

近年の世界的な心不全患者の増加は「心不全パンデミック」とよばれ,医療だけでなく社会・経済面でも大きな問題となる可能性を孕んでいる。今後の心不全診療を考えるうえで,国内外における心不全の有病率や発症率,そして予後を把握することは重要である。 心不全にかかる経済的負担が膨らみ続けるなかで,前時代的な「均一の医療」から「テーラーメード医療」への転換が必要であり,予後予測(リスク評価)に基づいた効果的かつ効率的な医療の実践が望まれている。本稿では,複数の臨床的な予後因子を組み合わせた心不全リスクモデルと,その臨床使用についても合わせて概説する。
著者
白川 英樹
出版者
一般社団法人日本脳神経超音波学会
雑誌
Neurosonology:神経超音波医学 (ISSN:0917074X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.2-6, 2007 (Released:2008-04-12)
被引用文献数
1

はじめに 全く思いがけないことに,2000年10月10日,ノーベル財団から『電気を通すプラスチックの発見は「有機物は電気を通さない絶縁体」という常識を覆す画期的で,独創的な研究成果である』という発表があり,20世紀最後の年のノーベル化学賞を受賞することになった. 大学院を終え助手として大学に奉職するようになってから,2000年3月に定年退官するまでの34年間,高分子合成に関するさまざまな研究を行った.一貫して行った研究はアセチレンの重合反応に関することであった.研究を始めた当初は反応機構の解明が当面の目標だったので,電気を通す有機化合物に全く興味を持たなかったわけではないが,将来そのような研究にテーマを変えることは夢にも思わなかった.ところがひょんなことから,というよりは思わぬ失敗実験のお陰により,これまで粉末でしか得られなかったアセチレンの重合体であるポリアセチレンが薄膜状で合成できることが分かった.その薄膜状のポリアセチレンを試料とすることにより,とんとん拍子で目的とする研究が進み,数年で目的とする研究を終えることができた.
著者
白木沢 旭児
出版者
日本農業史学会
雑誌
農業史研究 (ISSN:13475614)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.29-39, 2014

A purpose of this report is primarily to consider agro-politics in the North China in the Japan-China War period. Second this report considers how the Japanese side occupation authorities held a farm village. Third it is to clarify the characteristic of the North China farm village in this time. The following things became clear in this report. The Japanese occupation authorities recognized that the food increase in production contradicted the raw cotton increase in production mutually. The occupation authorities devised the plan of the provisionment according to the area, they forced that the farmer delivered farm products to side power of Japan. However, it was shown that supplies outflow case of 3 districts each other, that is to say, Japanese occupation district, the Chinese Nationalist Party rule district, and the Chinese Communist Party rule district. Therefore, the delivery plan and the distribution plan of the Japanese side were not necessarily carried out. As a result of agriculture survey by Shangdong farm village, the following things became clear. The farmer of Shangdong needed cash income to include an another job income and purchased food by the money. That is why the most important task of the North China agriculture was increasing of the production and to meet the cash demand of the farmer.