著者
堀内 一宏 山田 萌美 白井 慎一 高橋 育子 加納 崇裕 金子 幸弘 秋沢 宏次 梅山 隆 宮崎 義継 矢部 一郎 佐々木 秀直
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.166-171, 2012 (Released:2012-03-28)
参考文献数
17
被引用文献数
2 4

症例は37歳女性である.子宮頸癌術後,胸部CTにて腫瘤影をみとめ,クリプトコッカスを検出した.脳MRIで多発腫瘤影をみとめ脳,肺クリプトコッカス症と診断し,抗真菌薬を投与したが効果なく意識障害が出現した.抗真菌薬脳室内投与をおこない意識状態は改善,脳病変の縮小をみとめた.その後脳病変の再増大をみとめ,遅発性増悪と考えステロイドを投与し改善した.難治性経過のため菌株の同定検査をおこないCryptococcus gattii (VGI型)と判明した.C. gattii 感染症では強毒株による健常人症例も報告されている.難治性症例ではC. gattii の検索,ステロイド併用,脳室内投与をふくめた積極的な治療法を検討すべきである.
著者
田中 幸一 山下 裕一 高地 俊郎 平野 忠 白日 高歩
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.2196-2199, 2000-08-25 (Released:2009-02-10)
参考文献数
27
被引用文献数
3 3

自験例は, 60歳,女性. 1996年8月30日左腰背部膨隆を主訴として当院を受診した.左腰背部に大きさ8×7cmの柔らかく圧痛のない腫瘤を認めた.腹部超音波, CTおよびMRI検査により上腰ヘルニアと診断した.手術所見では,直径2.5cmの腹横筋腱膜の断裂がヘルニア門となっており腎周囲の後腹膜脂肪の脱出を認めた.術式は周囲組織が脆弱であったため,ヘルニア門を閉鎖した後Marlex Mesh®を縫着して補強した. 1999年現在まで再発をみとめていない. 上腰ヘルニアを臨床において経験することは稀であり,本邦では自験例を含めて37例の報告がある.その診断は理学的所見から容易であったが,超音波, CT, MRI検査がヘルニアの内容,周囲との関係を知るうえで有用であった.発見された時点で症例に応じた外科的修復を行うことを原則としてよい.
著者
李 光鐘 猪股 裕紀洋 阿曽沼 克弘 岡島 英明 山本 栄和 白水 泰昌 塚本 千佳 吉井 大貴
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.946-950, 2010-10-20 (Released:2017-01-01)
参考文献数
13

症例は精神発達遅滞のない4歳男児.腹痛,上腹部膨満を主訴として来院した.腹部単純X線写真で胃内に高度のガス貯留と小腸のびまん性のガス貯留が認められた.精査では閉塞性病変は認められなかった.起床後腹部ガス貯留が著明に増加する一方で,夜間就寝すると軽快することから呑気症(空気嚥下症)と診断された.ファモチジン,大建中湯内服では症状不変で,持続的に胃内容を排出する目的で経鼻胃管を留置した.胃内容の排出促進を目的として塩酸イトプリド,クエン酸モサプリドの内服を開始したが1か月経過しても症状は軽快しなかった.また小児科的に精神的ストレスの関与が完全には否定されなかったため,抗不安薬のロフラゼプ酸エチル投与を行ったが症状の改善は認められなかった.治療開始2か月後に胃運動機能改善を目指し六君子湯投与を開始したところ2週間で上腹部膨満は著明に改善され,X線写真上でも上腹部消化管ガスは著減し2か月後に経鼻胃管を抜去しえた.本症例において六君子湯の有する胃排出促進作用のみならず胃適応性弛緩作用,胃電気活動における抗不整脈作が有効であったと考えられた.
著者
中山 浩太郎 伊藤 雅弘 Erdmann Maike 白川 真澄 道下 智之 原 隆浩 西尾 章治郎
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.49-60, 2009-12-24

Wikipediaは,インターネットを通じて誰でも編集可能なオンライン百科事典であり,ここ数年で爆発的に成長したソーシャルメディアの一種である.特に,自然言語,人工知能,データベースの研究分野で活発に研究が進められており,連想関係抽出や,対訳辞書構築,オントロジ構築など,数多くのWikipediaを対象とした研究が行われてきた.また,最近では多様なアプリケーションへWikipediaマイニングの成果を適用する事例が報告されており,その有用性が示されてきた.しかし,多量の研究発表が行われる一方で,全体像を把握することが困難になりつつあるのも事実である.本サーベイ論文では,これら最新のWikipedia研究を紹介しつつ,概観することで研究の目的面・技術面から分類し,Wikipedia研究の動向を探る.Wikipedia, an Wiki based online encycropedia, has become an emergent social media because of the significant effeciency for sharing huge amount of human knowledge via Web browsers. Especially, in NLP, AI and DB research areas, a considerable number of researches have been conducted in past several years. Relatedness measurement, bilingual dictionary extraction and ontology construction are ones of main Wikipedia Mining research areas. Furthermore, researches on application based on structured data extracted by Wikipedia Mining are becoming one of the essentials of Wikipedia research areas. In this survey paper, we introduce the new research papers and summarize the researches from both technical aspect and directional aspect.
著者
白石 大二
出版者
ぎょうせい
雑誌
国文学 : 解釈と鑑賞 (ISSN:03869911)
巻号頁・発行日
vol.25, no.10, pp.54-61, 1960-09
著者
道上 正規 清水 正喜 矢島 啓 檜谷 治 白木 渡 宮本 邦明
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

わが国では、現在では2000を越えるダムが存在しており、地盤条件あるいは降雨条件の厳しいわが国では、地震あるいは豪雨によって貯水池周辺で大きな崩壊が生じる確率は無視できず、崩壊土が貯水池に流入する可能性は低くない。多量の崩壊土が貯水池内に流入すると、イタリアのバイオントダムのように巨大な波が発生し、大災害を引き起こしかねない。このような災害は、大崩壊の発生確率とともに、貯水池数に依存しており、わが国でのその発生確率は年々高くなっていると考えられ、貯水池の流域管理が重要な課題である。そこで、本研究は、このような貯水池内での大崩壊にともなう段波形成について検討することを目的としたものであり、具体的には1)災害事例(特に眉山災害)に関する研究2)土砂崩壊の予測法に関する研究3)崩壊土砂の運動特性に関する数値解析的研究4)崩壊土塊の水域流入に伴う段波の形成と伝播遡上特性に関する数値解析的研究を実施するとともに、最終的に上記の研究を総合し、200年前島原で発生した眉山の大崩壊に伴う災害の数値シミュレーションを試み、大崩壊に伴う段波災害をある程度予測することが可能であることを実証した。
著者
白崎 良演 中村 浩章 羽田野 直道 町田 友樹 長谷川 靖洋
出版者
横浜国立大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

我々は、2次元電子系がメゾスケールの大きさである場合、強磁場下で系のネルンスト係数に量子振動が見られる(量子ネルンスト効果)ことを平成17年度から平成18年度にかけて線形応答理論を用いた理論計算で示していた。平成18年度にフランスのグループ(Bhenia, et. al. ESPCI, Paris)から、ビスマス(Bi)単結晶のネルンスト係数およびエッチングスハウゼン係数の測定結果が発表され、ネルンスト係数の量子振動が現実の系で示された。我々はこの実験結果の検討を行い、試料の3次元性の効果を取り入れた理論拡張を行った。我々は磁場中の3次元バリスティック系を考え、運動の自由度を磁場に垂直な2次元面内の自由度と磁場に平行な自由度に分け、2次元面内の運動成分は有限サイズのバリスティックなものと見なしてネルンスト係数を考察した。その結果、3次元系でもネルンスト係数の量子的な振動が現れ、ネルンスト係数のピークは弱磁場側に尾を引く左右非対称の形を持つことが分かった。この形はBiの実験結果と一致する。このように、量子ネルンスト効果が3次元系において理論・実験両面から確認された。一方、Biのネルンスト係数のピークは実験値が理論値に比べ非常に大きい。この原因の理論的解明は今後の課題として残っている。我々は量子ホール系における輸送係数の基本関係に関しても考察を行った。従来、電気伝導度テンソルの非対角成分の磁場微分と対角成分との間では線形な関係式が提案され、研究が進められていた。我々は線形応答理論を用いて量子ホール系の輸送係数を理論・解析的に導出し、成分間の関係が非対角成分の磁場微分と対角成分の二乗が比例する非線形な関係であることを示した。この理論では、電子の不純物散乱により、ランダウ準位近傍の電子状態密度がローレンツ型になると仮定している。我々はGaAsによる実験結果を用いて、数テスラ程度の磁場のもとでこの関係が良く成立していることを確かめた。

1 0 0 0 恋の鳥

著者
北原 白秋[作詞]
出版者
ビクター
巻号頁・発行日
1936-06
著者
白木澤 涼子
巻号頁・発行日
2017-03-23

北海道大学. 博士(経済学)

1 0 0 0 OA 入江のほとり

著者
正宗白鳥 著
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
1928
著者
伊藤 和博 中川 渉 大西 隆 白井 泰治 村上 正紀
出版者
一般社団法人 溶接学会
雑誌
溶接学会全国大会講演概要
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.44-45, 2013

液晶デバイスにおいて、Cu配線とガラス基板との乏しい密着性改善のため、Cu合金膜を用いた手法が試行されている。合金化によりITO膜との接触抵抗増加が懸念され、Cu(M)/ITO界面接触抵抗を低減する検討について報告する。
著者
尾口 基 赤松 浩彦 朝田 真木 久保 桂子 名村 章子 白井 絹江 朝田 康夫 西嶋 攝子
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.995-1000, 1987 (Released:2010-08-25)
参考文献数
11

男7例, 女22例, 年齢10歳-32歳で, 中-重症例の, 病型は嚢腫性5例を含む尋常性挫瘡26例, 夏期挫瘡1例, ステロイド挫瘡2例の計29例をmetronidazole (Flagyl ®) 1日当り375mg-500mgを用いて治療した.面皰, 丘疹, 硬結の消失したものを治癒, ほぼ消失したものを略治とし著効, かかる皮疹が減少したものを軽快とし有効とした.皮疹の減少と同時に新生がみとめられた例と不変であった例を無効とした.投与期間, 1-7週, 平均4週にて, 著効17, 有効7, 無効5, 有効率83%の結果を得た.副作用は舌苔を2例, 舌苔と便秘1例がみとめられたが, 治療継続に支障はなかった. 15例に治療終了時, 尿血液一般検査を行ったが, 全例異常所見は認められなかった.
著者
福島 和郎 岩崎 庸男 渋谷 昌三 Kazuro Fukushima Tsuneo Iwasaki Shouzo Shibuya 目白大学大学院心理学研究科 目白大学人間社会学部 目白大学人間社会学部 Mejiro University Graduate School of Psychology Mejiro University Faculity of Human and Social Sciences Mejiro University Faculity of Human and Social Sciences
雑誌
目白大学心理学研究 = Mejiro journal of psychology (ISSN:13497103)
巻号頁・発行日
vol.(2), pp.65-74, 2006

終助詞「よ」と「ね」に関する研究の特徴を研究分野ごとに大別すると、初期の国文法分野を中心とする構文論的アプローチや、最近の発達研究と自閉症研究の分野を中心とする事例に基づくアプローチは、主に「よ」と「ね」の対人関係機能を指摘し、日本語文法、日本語教育、言語心理学の分野を中心とする語用論的アプローチは、主に「よ」と「ね」の内在的意味を指摘し、認知科学分野を中心とする談話管理理論に基づくアプローチは、主に「よ」と「ね」が果たす情報伝達時の手続き的な指示機能を指摘しており、研究分野によって解釈が様々に分かれている。また、研究方法については、大半の研究で研究者の経験や理論に基づいた用例解釈が採用されている。発達研究と自閉症研究および一部の言語心理学分野では統計データを重視した研究方法も採用されているが、こうした研究では分析対象とされる発話文の種類が限定的な用法に留まっている。「よ」と「ね」に関する研究の更なる進展には、学問分野を越えた幅広い視点からの実証的研究が求められよう。

1 0 0 0 OA まぼろし

著者
正宗白鳥 著
出版者
植竹書院
巻号頁・発行日
1915
著者
小枝 周平 澄川 幸志 佐藤 ちひろ 佐藤 速太 齋藤 峻 白坂 真妃 小山内 隆生
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.655-660, 2016 (Released:2016-10-27)
参考文献数
15
被引用文献数
1

〔目的〕遅発性筋痛(DOMS)に対する超音波療法の温熱刺激が運動時の疼痛やつっぱり感,疲労感などの不快感,運動面の改善につながるかを経時的・即時的な視点で検討した.〔対象と方法〕対象は健常な大学生14名とした.ランダム化クロスオーバー比較試験を行い,超音波照射条件ではDOMS誘発運動後2・4・8日目に連続波の超音波を10分間照射した.超音波照射前後には運動時の疼痛,つっぱり感,疲労感,肘関節運動角度を測定した.〔結果〕超音波照射条件では運動後2日目の超音波照射後にのみ照射前と比べて運動時のつっぱり感や疲労感に有意な改善が認められた.〔結語〕超音波療法の温熱刺激は,DOMSが現れた際に運動時の不快感を一時的に軽減させるのに有効である可能性が示唆された.
著者
片岡 正次郎 白戸 智 牛島 由美子 高宮 進
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.1-19, 2013 (Released:2013-01-18)
参考文献数
44
被引用文献数
2

地震等の災害によりインフラに被害が発生すると,被害がインフラ相互に,さらには社会・経済活動にも波及し,損失が拡大する場合がある.本研究ではシステムダイナミクスに基づいて,インフラが災害により被災した場合の復旧過程をモデル化し,首都直下地震を対象とする震災復旧シミュレーションを実施した.各インフラの復旧速度が電力,情報通信,交通インフラに依存するモデルを構築し,これらの被災によってインフラの復旧がどの程度遅れるかを定量的に算出した.
著者
白山 竜次 木戸 君枝
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.281-288, 2019 (Released:2019-09-30)
参考文献数
22

明期終了時の遠赤色光(EOD-FR)照射がキクの花成に及ぼす影響について調査した.秋ギク‘神馬’の低温期におけるEOD-FR処理は花成を促進した.秋ギクの自然日長における10月開花作型栽培によるEOD-FR処理は,20品種のうち14品種において花芽分化の促進効果が得られた.短日条件下に定植した秋ギクのEOD-FR処理は,20品種のうち11品種において花芽分化の促進効果が得られた.夏秋ギク6月開花作型でのEOD-FR処理では,30品種系統のうち19品種において開花の促進効果が得られた.EOD-FR照射は,秋ギク‘神馬’の限界暗期付近の花芽分化を促進したが,‘神馬’の明期終了から最も暗期中断の効果が高くなる時間までの経過時間(Dusk-NBmax)には影響しなかった.本研究は,EOD-FR処理がキク節間伸長を促進すると同様に栽培条件によっては花成促進に働くことを示した.

1 0 0 0 OA 竹実記

著者
白雲山人 著
出版者
金屋吉兵衛
巻号頁・発行日
1832

天保3年(1832)の春、飛騨高山周辺の山々でクマザサが開花・結実し、量は25万石にも及んだ。著者は笹・竹の実は毒だとか、凶作の兆しという説を否定し、実を役立てることを説く。附録の笹魚の図に「荏野翁」(えなおう)の署名があるので、著者は高山の国学者・荏名神社社司の田中大秀(おおひで、1777-1847:号の一つが荏野翁)の可能性が高い。嘉永3年(1850)5月、『竹実記』がふたたび刊行された。版元は天保3年版と同じである。特1-2339本がその嘉永本で、『本草関係図書目録』は単に「天保三年版ノ後刷」というが、実際には天保3年の干支「壬辰」を嘉永3年の「庚戌」に直し、本文中の地名「高山の府」を「山城大和」等々と、字句を入れ替えている。救荒書『饑年要録』(特1-867)によると、この年、信州で篠(ササ)の実が多く実ったというので、畿内でも似た状況があって再出版したのかもしれない。(磯野直秀)