著者
石川 智子
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2002-03-25

新制・課程博士
著者
石川 智 鹿島 薫 七山 太
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100124, 2012 (Released:2013-03-08)

はじめに東北地方太平洋沖地震による津波発生以降、各地の陸上・海底における津波堆積物の記載が行われている(たとえば、Goto et al., 2011;Abe et al., 2012など)。陸上に残された堆積物については、遡上方向に向かって層厚と粒径の変化が確認されている。津波堆積物は、陸上では風雨や人為によって消失してしまうが、水に覆われる湖沼や湿地ではよく保存される。湖沼流入型の古津波堆積物についてはBondevik (1997)によって記載され堆積ユニットが明らかにされている。現世の湖沼流入型の津波堆積物の特徴を明らかにすることによって、北海道東部太平洋側などの沿岸湖沼で認められる津波痕跡への応用が可能となる。本研究では宮城県七ヶ浜町に位置する阿川沼とその周辺に遡上した津波堆積物を扱う。阿川沼は宮城県七ヶ浜町に位置し海岸線に直行する方向に細長い形状の堰止湖である。東北地方太平洋沖地震による津波発生時には、阿川沼周辺においては海岸付近で浸水高10 mを記録し、内陸2 km地点まで到達した。この沼に関する研究例は非常に少なく、水質分析とプランクトン調査報告があるのみである(田中 1993など)。この阿川沼において湖沼の存在が津波堆積物の分布とどう関わるのか検討する。研究手法海岸から阿川沼を通り、浸水域最奥部までの測線を設定する。阿川沼の海側湖岸・沼中・内陸側湖岸と最奥部でそれぞれ柱状試料を採取し、層相観察と帯磁率測定、測色、珪藻分析を行う。観察の結果と今後海側湖岸と内陸側湖岸、浸水域最奥部における柱状試料を観察したところ、これまでの研究と同じく海側ほど砂層が厚く、内陸に向かって細粒化し薄くなっていく傾向が見られた。表層は植生が繁茂しており土壌化も見られた。現在各試料の層相ごとに珪藻分析を進めており、津波が淡水湖に流入した際にその周辺に残される珪藻種構成の変化や珪藻殻の破片化について考察予定である。謝辞GPS測量は産業技術総合研究所の機器をお借りし、渡辺和明氏にデータ解析していただいた。ここに記して感謝いたします。
著者
石川智康 松尾和洋
雑誌
第74回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.1, pp.433-434, 2012-03-06

近年,Social Mediaが急速に普及している.その中でも,利用が拡大しているSocial Networking Service(SNS)では,参加している人々がコミュニティ(SNSコミュニティ)を形成し,活発にコミュニケーションしている.SNSコミュニティでの活動が世界中で社会的な変化を起こすまでになっている.そこで,SNSコミュニティを取り上げ,特徴を調べることが重要となる. 本研究では,具体的なSNSコミュニティを社会ネットワーク分析し,グラフ構造的な特徴を調べる.特に,影響力のある個人の抽出や,グラフ構造との関係などを明らかにする.そして,特徴的な人物のグラフ構造を考察し,SNSコミュニティの有効な活用法を探る.
著者
石川 智治 小林 幸夫 宮原 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.259, pp.75-82, 1999-08-26
被引用文献数
8

過去に,音質評価語の収集及びグループ化を行い, それらを多次元空間にマツピングし, 解析することにより, 高度感性情報に関連する評価語群(16語)を明らかにした. しかしながら, 多次元空間内の心理距離による評価語のクラスタ化で, 少数の重要な評価語がクラスタ化されない事, 多次元空間内における解析で求められる評価語の重要度と衆目評価法による重要度の順序が一致しない事などの問題があり, これ以上の解析はできなかった. そこで, 聴取者の音楽再生における音の聴き方の違いから, 評価語のグループ化を行い, 各グループ毎に評価語の解析を行うという新しい考え方に基づき, 多次元尺度構成法(MDS)やDematel法を行った結果, 上記問題点が解決された. そして, 得られた各グループと高度感性情報との位置付けを議論すると共にキー評価語の抽出を試みた.
著者
佐々木 實 石川 智子 山田 真司
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.45, no.10, pp.743-747, 1989-10-01
被引用文献数
11 2

人間の手によるピアノの直接演奏において、楽譜上の等しい時価を演奏したときの時間間隔に見られるゆらぎについて分析を試みた。各音符の長さをできる限り正確に弾いたメトロノーム的な演奏(Aタイプと名づける)と、芸術的な演奏(Bタイプと名づける)とについて、各音符の時価に対応する時間間隔を測定し、その時系列からゆらぎのパワースペクトルを求めた。その結果次の結論を得た。1)Aタイプの演奏は全体のゆらぎのパワーが小さく、かつ、スペクトルエンベロープの傾きは、平坦又は右上がりである。2)Bタイプの演奏は全体のゆらぎのパワーが大きく、かつ、長い周期によるゆらぎが強調されており、スペクトルエンベロープの傾きは右下がりである。3)A、B両タイプのスペクトルエンベロープの傾きの係数の境界はおおまかに-2付近に設定できる。
著者
宮原 誠 石川 智治 小林 幸夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.235, pp.9-15, 2001-07-20
被引用文献数
1

高度感性情報再現を目的としたスピーカの新設計理論を示す.高度感性情報とは人に感動を呼び起こすもの(深々さ, 凄み, 実在感など)である.コーン型のスピーカによる電気音響信号の再生(主として低温の再生)は, 制御理論の臨界制動(ζ┤0.7)の考え方を基本とする設計とは全く異なり, むしろ軽く, サスペンションの柔らかい振動板が, 複雑な電気信号に高度高く駆動されるように設計することが重要である.具体的には, 目標をQ_0<0.2, 高周波数帯域はボイスコイル近傍のみを振動板のピストン運動領域とする, などである.又, スピーカが空振りせずに空気をしっかりとらえて, 自由空間に精密な波面を放射させるようなメインアンプも含んだ新しいスピーカ駆動理論を示す.
著者
石川 智治 冬木 真吾 宮原 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.80, no.11, pp.1805-1811, 1997-11-25
被引用文献数
29 7

音質評価語の調査・収集を行い, それらをKJ法によりグループ化し, 30語の代表評価語を得て既に発表した. その後, 評価実験の結果を踏まえて, 再整理と追加による改善を行い代表評価語を35語に集約した. 本論文は以下のことについて示す. 1.その改善の内容, 2.得られた代表評価語(35語)の心理的距離のMDS法による解析と四つのクラスタへの分類, 3.クラスタ化とは独立に行った, 衆目評価法による代表評価語のランクづけ, 4.分類した各クラスタと衆目評価法で得られた結果をつき合わせて総合音質に重要な代表評価語の選出を行った.
著者
小椋 雅夫 亀井 宏一 堤 晶子 野田 俊輔 佐藤 舞 藤丸 拓也 石川 智朗 宇田川 智宏 伊藤 秀一
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.31-35, 2011-04-15 (Released:2011-12-07)
参考文献数
11

グルココルチコイド (以下,ステロイド薬) の全身投与が長期にわたるステロイド依存性ネフローゼ症候群,頻回再発型ネフローゼ症候群,ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群などのいわゆる難治性ネフローゼ症候群ではステロイド薬の副作用が大きな問題となる。とりわけ骨合併症である成長障害 (低身長),骨粗鬆症,大腿骨頭壊死は重篤かつ不可逆的なものが多い。今回,私達はステロイド薬の副作用による骨合併症を呈した難治性ネフローゼ症候群4例に対してリツキシマブ療法を行った。リツキシマブの投与後,全例がステロイド薬からの離脱が可能となり,骨密度の改善や新たな骨合併症の予防が可能となった。リツキシマブは小児の難治性ネフローゼ症候群において再発抑制効果があり1)2),ステロイド薬の減量中止が可能となるが,infusion reactionをはじめとして,重症感染症,間質性肺炎,進行性多巣性白質脳症などの重篤な副作用を呈することもあり,使用にあたっては注意が必要とされる。
著者
石川 紀彦 石川 智啓 川瀬 裕志 澤 重治
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.579-582, 2000-05-15
参考文献数
7
被引用文献数
1

症例は72歳, 男性.受診後2日間にわたる約400mlの喀血を認め, 1999年8月6日入院となった.胸部X線写真では異常は認められなかった.胸部CT検査では, 下行大動脈に接して塊状, あるいは網状の出血を疑わせる浸潤影を認めた.気管支鏡検査では, 左下葉枝からの出血と軽度の気管支拡張症を認めた.気管支拡張症による喀血を疑い, 8月10日に気管支動脈塞栓術を施行した.その後安定していたが2週間後に約200mlの再喀血を認めたため, 翌日手術を施行した.下行大動脈に嚢状瘤があり, これに左下葉が強固に癒着していた.喀血の原因は胸部大動脈瘤肺内穿破と診断した.癒着した肺を部分切除し, ついで瘤の中枢側及び末梢側にカニューションし一時的バイパスを作製した.瘤の上下で大動脈を遮断し瘤を島状に切除し, パッチ閉鎖した.縫合部の補強目的にゴアテックスシートでパッチ部を被覆した.術後経過は良好で9月24日に退院した.
著者
石川 智久 中山 貢一
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.128, no.4, pp.208-213, 2006 (Released:2006-10-13)
参考文献数
16

グルコースによるインスリン分泌機構として,グルコース代謝によるATP/ADP比の上昇によりATP感受性K+チャネル(KATPチャネル)が閉口して膜が脱分極し,電位依存性Ca2+チャネルが活性化されてインスリン開口放出が惹起されるというKATPチャネル依存性の機序が知られている.しかし,インスリン分泌がこのKATPチャネル依存性の機序によってのみ生じるわけではない.特に,グルコース誘発インスリン分泌の第2相には,KATPチャネル非依存性の機序の関与が示されている.この機序として,マロニルCoA/長鎖アシルCoA仮説,グルタミン酸仮説,ATP仮説などが提唱されているものの,これらの仮説とは矛盾する報告も為されており,未だその全容解明には至っていない.著者らは最近,こうした因子とは少し性質を異にした新たな機序を提唱した.すなわち,グルコース刺激によりβ細胞の構成型NO合成酵素が活性化されてNOが産生され,そしてNOが低濃度ではcGMP産生を介してインスリン分泌を促進し,それ以上の濃度になるとcGMP非依存性の機序によりインスリン分泌を抑制することを示した.また,高濃度グルコースによりβ細胞が膨張することに着目し,低浸透圧刺激を利用して細胞膨張応答機構を解析した.そして,β細胞の膨張が伸展活性化カチオンチャネルを活性化して膜を脱分極させ,インスリン分泌を惹起することを示した.以上の結果から,NOがグルコース誘発インスリン分泌においてその濃度によって促進的あるいは抑制的に働く調節因子として機能すること,また,高濃度グルコースによるインスリン分泌に細胞膨張による伸展活性化カチオンチャネルの活性化を介した機序が寄与する可能性を示した.こうしたKATPチャネル非依存性の機序は,糖尿病治療薬の新たなターゲットとなる可能性を秘めており,研究のさらなる展開が期待される.
著者
田村 藍 安 然 大西 裕子 石川 智久
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 : FOLIA PHARMACOLOGICA JAPONICA (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.130, no.4, pp.270-274, 2007-10-01
被引用文献数
3

「ポルフィリン」という名称は,古代紫(ポルフィラ)に由来する.古代紫という色は,紫草という多年草の根から染料として創り出された色で,日本の伝統色の中でも特別な意味を持っていた.特に平安時代には賛美され,高い位の象徴であると同時に,気品や風格,艶めかしさといった様々な美を体現していた.21世紀の今,ポルフィリン研究において,温故知新の新しい潮流が起きようとしている.ポルフィリンはヘモグロビン,ミオグロビンのほか,我々の体内細胞におけるチトクロムの補欠分子族ヘムの基本骨格であり,生命維持に不可欠な生体物質である.一方,ABC(<u>A</u>TP-<u>B</u>inding <u>C</u>assette)遺伝子は,細菌から酵母,植物,哺乳類に至る広い生物種に分布して,多様な生理的役割を担っている.ヒトでは現在までに48種のABCトランスポーターが同定されており,それらはタンパク質の1次構造の特徴に基づいて7つのサブファミリー(AからG)に分類される.これまでの臨床的研究結果から,ヒトABCトランスポーター遺伝子の異常によって様々な疾患が引き起こされることが判明した.例えば,ABCC2(cMOAT/MRP2)の遺伝子変異はビリルビン抱合体の輸送障害を起こしDubin-Johnson症候群を引き起こす.さらに最近の研究によって,ヒトABCトランスポーターのうちABCB6,ABCG2,ABCC1,ABCC2がポルフィリン生合成やヘム代謝に密接に関与していることが明らかになった.ヒトABCトランスポーターの遺伝子多型や変異とポルフィリン症などの疾患との関連が示唆される.この総説では,当該分野での最新の知見を紹介しつつ,ポルフィリン生合成やヘム代謝におけるヒトABCトランスポーターの役割を議論する.<br>
著者
石川 智治 三井 実 大谷 社 宮原 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.37, pp.19-24, 2005-05-05

我々は, 人に深い感動を喚起させる情報:"高度感性情報"再生のための新・電気音響再生論に基づき高品質音響再生システム(Extra HI System M)の研究開発を行っている.そのシステムの再生音がスピーカ前3mまでの範囲において平面波の性質を持つことを実証した.このことはこれまでの通説: 球面波, とは全く異なる事実である.本報告では, 従来の代表的且つ, 標準的なモニタースピーカ: YAMAHA NS-1000Mにおける音伝搬(波面など)の特性を実測して明らかにした.次に, より忠実な波面を再生するように改造したところ, 7段階評価で+2以上の音質改善を得た.波面の忠実な再生は, 新・電気音響再生論の骨子であり, 新理論の正しさを実証した.
著者
冬木 真吾 小林 幸夫 石川 智冶 宮原 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.97, no.602, pp.9-16, 1998-03-13
被引用文献数
22

高度感性情報の再現に重点をおき、ディジタル音響機器を見直した結果、CD Playerの電源極性が"空気感"の再現に影響を与えることを発見した。この事実を定量的に解析するために、CD Playerの電源極性の違いのみによる差分信号を測定した。その結果、CD Player出力信号(アナログ)に時間軸方向の伸び縮み歪みが140ns(以内)〜700nsec存在し、この歪みが大きいと"空気感"の再現が悪いことを明らかにした。
著者
辻 敦司 石川 智治 宮原 誠
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.89, pp.37-42, 2000-09-22

我々は,高度感性情報再現に重要な物理要因を探究し,それに基づいて高度感性情報を再現できるオーディオシステムの開発を行っている.これまでの我々の研究により,オーディオシステムの筐体の支持方法や材質,構造の違いにより高度感性情報再現が大きく異なることが分かってきている.本研究は,オーディオアンプの筐体振動に着目し,どのような振動(床,空気,電気信号)が生じており,また,それが高度感性情報再現にどのように関係しているかを考察した.これまで高度感性情報再現のために実験的に得られてきたアンプの支持方法により,どのような振動モードがアンプ筐体に生じているかを検討した.We have been discovering important physics factors to reproduce the high order sensations, and we are developing the audio system based on the obtained facts. It has been clarified that the reproduction high order sensations greatly depend on the material and the structure. Vibration mode on a chassis is measured and considered.
著者
村田 浩一 仁位 亮介 由井 沙織 佐々木 絵美 石川 智史 佐藤 雪太 松井 晋 堀江 明香 赤谷 加奈 高木 昌興 澤邊 京子 津田 良夫
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.501-503, 2008-05-25
被引用文献数
2

南大東島に生息する野鳥4科4種183個体の血液原虫感染状況を調査した.そのうち3種109羽(59.6%)に血液原虫感染を認めた.ダイトウコノハズク30個体の末梢血液中に原虫を認めなかった.Haemoproteus sp.およびPlasmodium sp.感染がダイトウメジロ14羽(45.2%)に認められた.モズおよびスズメにPlasmodium spp.感染が認められ,感染個体比率はそれぞれ92.2%(94/102)と5%(1/20)であった.
著者
藤本 桂一 石川 智治 篠田 亮 宮原 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.598, pp.59-62, 2002-01-18

CD盤の構造・材質による音質の違いはCDの始まりの頃, ホットに議論された事はあるが明確な答えが出ないままに立ち消えになった.我々は, 高度感性情報を忠実に伝送し, 深々さ, 凄み, 等の"深い音楽"を伝達する目的の研究の中から, 信号の時間方向の伸び縮み歪み(jitter)が音質劣化の元凶であると推測するに至った.jitterに注目し, 注意深い観察から, 最終的には信号に何らかの問題が生じるとしても, 光学的な平均的とらえ方では, ピット毎の光反射の瞬時的あばれを測定できていない.一方, 機械的振動としてとらえると, 材質, 構造に起因するCD盤の光反射の瞬時的あばれを, 間接的ではあるが, モニターできると見通し, 実験, 考察をしてきた.その仮説は, 過去の種々の問題を説明しており, 矛盾は一つも起きていない.例えば, 音質上大きく違うのに, 反射率は, ほとんど変わらないが, 振動に関係する(アルミ箔の厚み)を計測すると二桁も違う, と言う結果が出ている.CD盤の材質, 構造, プロセスと, 高度感性情報の忠実な再現に関して報告する.CDの音質を向上させる大きなかぎと考えている.