著者
平松 慎介 根引 浩子 上野 綾子 若原 佑平 丸山 紘嗣 末包 剛久 山崎 智朗 佐々木 英二 佐野 弘治 佐藤 博之 中井 隆志 川崎 靖子 木岡 清英
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.110, no.6, pp.1007-1013, 2013 (Released:2013-06-05)
参考文献数
27

79歳女性.腹部膨満感を主訴に来院し,腹部X線でイレウスと診断した.左Th8-10領域に小水疱をともなう皮疹がみられ,血液検査で水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)抗体価上昇を認め,VZVによる麻痺性イレウスと診断した.保存的加療を行いイレウスは改善した.帯状疱疹は日常よく遭遇する疾患であるが,まれながらイレウスの原因となりうることを今後念頭に置くべきと考え報告する.
著者
深谷 裕司 大橋 弘史 佐藤 博之 後藤 実 國富 一彦
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
pp.J21.005, (Released:2022-03-30)
参考文献数
33
被引用文献数
1

An improvement of the electricity generation cost evaluation method for High Temperature Gas-cooled Reactors (HTGRs) has been performed. Japan Atomic Energy Agency (JAEA) had completed the commercial HTGR concept named Gas Turbine High Temperature Reactor (GTHTR300) and the electricity generation cost evaluation method approximately a decade ago. The cost evaluation was developed on the basis of the method of Federation of Electric Power Companies (FEPC). The FEPC method was markedly revised after the Fukushima Daiichi nuclear disaster. Moreover, the escalation of material and labor costs for the decade should be considered to evaluate the latest cost. Therefore, we revised the cost evaluation method for GTHTR300 and the determined cost was compared with that of the Light Water Reactor (LWR). As a result, it was found that the electricity generation cost of HTGR of 7.9 yen/kWh is cheaper than that of LWR of 11.7 yen/kWh by approximately 30% at the capacity factor of 70%.
著者
山田 幸三 伊藤 博之
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.89-99, 2008-12-20 (Released:2022-08-20)
参考文献数
25

有田焼と京焼の陶磁器産地を比較事例とし,産地の分業構造を事業システムの概念に依拠して捉えて形成メカニズムを探る.有田では中核となる窯元が技能や伝統を伝承して産地を方向付けする責任を果たし,産地のヘゲモニーをもってきた.一方,京都では生産者の窯元,顧客,問屋が「顔の見える」関係にある.両地域とも窯元は他者の真似をしないという不文律があった.産地の分業構造は人材育成の仕組みを基盤とする競争の不文律に支えられてきたことを主張する.
著者
伊藤 博之
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.4-17, 2021 (Released:2022-01-11)
参考文献数
82

本稿は,2つの統治パラダイムを対比することで,統治と経営が連動していることを主張する.第一の統治パラダイムは,現行の支配的な企業統治論である.それに従うならば,経営は「制作」となる.一方,経営を「実践」とするもう1つの統治パラダイムも構想できる.統治と経営のこうした連動性を再評価することで,企業統治論の研究が活性化され,経営学の諸論考と企業統治論の交流が促進されることが期待される.
著者
伊藤 博之
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.12-23, 1991

親鸞は、天皇の権威を絶対視する日本の精神風土のなかにあって、天皇制の基盤となった神祇信仰を最も深い次元から批判し、日本共同体の観念を超越した真の普遍思想を日本人に示した思想家であった。世俗の信仰形態はそれが国家の組織に取りこまれたものであったとしても、利己心や我執を離れたものではない。自己本位の利害を祈る迷信にすぎない共同体の神祇崇拝の思想を超越した真実の浄土信仰は、日本人の内面に巣くう天皇制的心性を克服する可能性をひめたものということができる。
著者
近藤 博之
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.104, pp.171-191, 2019-06-30 (Released:2021-04-01)
参考文献数
20
被引用文献数
1

近年,格差是正や少子化対策の一環として教育の無償化が議論されている。これについては賛否両論があるものの,意見の分布に階層差はとくに見られないという。しかし,個人化された社会で人々の意識を扱うには単独の意見ではなく,諸々の意見が織り成す文脈に焦点を当てる必要がある。本稿では,ブルデューの社会空間アプローチを用いてこの問題に取り組んだ。具体的には,子どもの教育と高齢者の社会保障について個人と政府の責任を問うた質問(JGSS-2012)に注目し,それと他の諸々の意見との関連を多重対応分析により吟味した。 分析の結果,まず第1-2主成分で構築した政治的意識空間が経済的適応度と政治的参加志向によって特徴づけられることが示された。また,取り上げた意見の多くは第2象限から第4象限にかけて展開し,その並びが階層的様相をもつことが示された。社会的属性変数の布置からは,その並びが資本総量に一致することが確認された。他方,費用負担意識はそれに直交する第1象限と第3象限にかけて展開し,他の意識との関連は希薄であった。社会的属性の布置も,僅かに伝統的専門職と経営者・業主の間に対立的関係が見られるに過ぎなかった。さらに,意外なことに,学生や若者の位置が政府の責任増大を否定する領域に見出された。これらは,この問題が未だ議論として定着しておらず,単に現状を反映した回答がなされているに過ぎないことを示唆している。全体を通して,教育費負担意識の現状と社会意識分析に対する社会空間アプローチの有効性が示された。
著者
近藤 博之
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.181-196, 1999-09-30 (Released:2009-10-19)
参考文献数
16
被引用文献数
5 1

教育機会の趨勢に関する近年の多くの研究は, 教育達成の相対的な格差が長期にわたりきわめて安定していることを示している。それらは教育機会の拡大からもたらされた変化と階層間の格差に関わる変化とを注意深く区別しているが, モデルの構成要素としてメリトクラシー仮説の意味するところを十分に考慮してはいない。本論は, 閾値の発想を取り入れた累積的ロジット・モデルを用いて, この問題に改めて取り組んでみたものである。そこでは, 各出身階層に一次元の連続量として進学の優位度を想定し, それを共通の閾値で区分したものが現実の教育達成をもたらしていると仮定している。この枠組みを用いてSSM調査データ (1955年と1995年) を分析することにより, 1) 戦前期から今日までの教育機会の変動が各出身階層の優位度分布を一定としたまま, もっぱら閾値の低下によってもたらされたこと, 2) 男女の教育達成の差も閾値構造の違いに帰属できること, 3) 高度成長期を含む戦後の教育拡大は階層間の格差を広げるように働いたこと, 4) 相対的な格差は今後も維持されるが, 絶対的な格差は徐々に減少していく見通しであること, などが明らかとなった。優位度分布の布置がつねに同じであるというこの結果は, 教育機会の問題に要因論的アプローチが不適切であることを示すものと解釈される。
著者
加藤 博之 長谷川 利夫
出版者
川崎市立看護短期大学
雑誌
川崎市立看護短期大学紀要 (ISSN:13421921)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.1-14, 2020-03

「精神保健福祉資料」(以下、630調査と表記する)によると精神科病院における身体拘束実施者数は2018年度630調査において全国で11,362人に上り、630調査で身体拘束実施者数の調査を開始した2003年度と比べ約2.2倍に増えている。身体拘束実施の状況および身体拘束実施に関連する要因を明らかにするため630調査の各年度の都道府県別データ等を用いて分析を行った。その結果、身体拘束実施率には地域差が存在した。有意に高い都道府県、有意に低い都道府県が存在し、2017年度・2018年度でほぼ同様の傾向が見られた。最高と最低の開きは、2017年度11.6倍、2018年度は20.5倍にも上った。この身体拘束実施率の都道府県による違い、「東高西低」ともとれる現象はなぜ生じるのか、その要因を明らかにすることが、身体拘束の縮減につながる可能性があることが考えられた。患者の年齢は75歳以上が身体拘束実施率が有意に高かった。診断名では「F7 精神遅滞(知的障害)」「F0 症状性を含む器質性精神障害」の身体拘束実施率が有意に高く、診断名の細項目では「精神遅滞(知的障害)」「アルツハイマー病型認知症」「血管性認知症」などで有意に高かった。精神科病院における、75歳以上の患者、認知症患者や精神遅滞(知的障害)患者に対して身体拘束に代わる対応方法を見つけていく必要性は高いと考えられた。
著者
加藤 博之 松谷 秀哉 小林 只 大沢 弘
出版者
弘前大学21世紀教育センター
雑誌
21世紀教育フォーラム
巻号頁・発行日
no.11, pp.31-37, 2016-03-31

【背景と目的】医学部1 年生に対し、入学後のモチベーションの低下を防ぎ、能動的な学習姿勢を修得させ、さらに医師のプロフェッショナリズムを涵養する教育方法は、未だ確立されたものがあるとは言い難い。本学では1 年次に「臨床医学入門」の授業を通年で行なって、この問題への対応に努めており、本稿では本科目の全体像について報告する。【対象と方法】1 年次学生を対象とし、平成21年度より開講している科目「臨床医学入門」は毎週水曜の午後行われる。教育方法は講義、実習、演習(ワークショップ)など多岐にわたる。授業内容としては、(1)「こんな医師になりたい」をテーマに作文を書き、同級生全員の前で自己紹介を兼ねて発表、(2)「患者さんの願いと医師が果たすべき役割」をテーマとしたワークショップ、(3)「弘前大学医学部の歩みとこれから」の講義、(4)アーリーエクスポージャー、(5)地域医療の最前線の医師による講義「現場の医療を知ろう」、(6)コミュニケーション実習「模擬患者さんと話してみよう」、(7)地元について知る講義「津軽学」、(8)まとめのワークショップ、などから成っている。これらの教育内容はいずれも、Intrapersonal professionalism、Interpersonalprofessionalism、Public professionalismの涵養に通じるものである。これらは医師になる者の基本であり、特に本学学生の約半数を占める地域枠入学者のPublic professionalismの修得は重視されている。【結論】プロフェッショナリズムの涵養に焦点を当てた初年次教育は、長期的な効果が期待できる。
著者
斉藤 博之
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.93, no.5, pp.327-333, 1998-05-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
7

従来から清酒製造では「酒造好適米」という言葉がよく使われるが, 分析値等の具体的数値で定義されたものではなかった。今回は「最新の醸造科学」としての観点から酒米分析値による好適米の判別, 酒造適性の評価方法について紹介していただいた。より効率的な好適米育種や酒造米の選択に資するところが大であると思われる。
著者
佐藤 博之
出版者
湘南工科大学
雑誌
湘南工科大学紀要 (ISSN:09192549)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.17-26, 2020-03-31

本稿ではキャリア教育科目群の授業設計に関して,さらなる深化に向けた契機とすることを目的とし,特に“PBL”“インストラクショナルデザイン”をキーワードとした調査研究から,授業担当者が授業設計を考える際のティップス的価値について整理・考察を行う.The purpose of this report is to provide opportunities for further deepening the class design of career education subjects. In particular, through a research study using "PBL" and "instructional design" as keywords, we will organize teaching strategies that are useful for class staff in thinking about class design.
著者
秋本 憲一 斉藤 博之 赤沢 晃 橋本 光司 勝沼 俊雄 野々村 和男 海老沢 元宏 永倉 俊和 植草 忠 恩田 威文 福田 保俊 飯倉 洋治
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF PEDIATRIC ALLERGY AND CLINICAL IMMUNOLOGY
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.96-100, 1990-08-25 (Released:2010-04-30)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1

重症のアトピー性皮膚炎患児のなかには食物除去療法, 環境整備, 薬物療法, 免疫療法, ステロイド外用療法等を行っても治療に抵抗するものが結構多い. 重症アトピー性皮膚炎患者が夏休み明けに軽快していることがしばしば経験し, 海水浴がアトピー性皮膚炎の治療に役立つのではないかと考え, 昭和63年の夏にアトピー性皮膚炎患児9名を対象に一週間の海水浴療法を経験し, 好結果を得た. 今回行った方法は, 患者を神奈川県二宮町の国立小児病院二宮分院に入院させ, 食物療法, 薬物療法等の治療に加え二宮町の海岸で午前一時間, 午後二時間, 海岸で海水による皮膚の洗浄を行うものである. 僅か一週間の短期間で通常の入院治療より優れた寛解が得られ, 厳格な食物除去療法のような社会的・栄養的な問題, 薬物療法による副反応等の問題がないため, 海水浴療法は重症の小児アトピー性皮膚炎に対して是非試みるべき治療法と考えられた.
著者
佐藤 寛子 柴田 ちひろ 秋野 和華子 斎藤 博之 齊藤 志保子 門馬 直太 東海林 彰 高橋 守 藤田 博己 角坂 照貴 高田 伸弘 川端 寛樹 安藤 秀二
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.167-175, 2016-09-25 (Released:2017-06-05)
参考文献数
29

In Akita Prefecture, patients with Kato type of tsutsugamushi disease (Sucrub typhus) transmitted by Leptotrombidium akamushi were identified in August 2008 for the first time in 15 years, and in 2010 as well. We conducted surveys of the habitat of L. akamushi using Suzuki’s Method (MITORI-HO) between 2011 and 2014 in 74 areas of riverbed in which the disease was prevalent, including the upstream, midstream, and tributary areas of the Omono River. Habitats of L. akamushi were identified in 40 areas in three cities and one town, and the total distance along Omono River was approximately 10 km shorter than that reported by a survey conducted in 1964. Some of those areas were inhabited by L. akamushi gradually after river improvement work and the disease temporarily became prevalent there, although no patient had been identified in these areas prior to the construction. L. akamushi was only collected from sand, sandbanks, and other areas in the vicinity of the river, which can easily be flooded when the water level rises. No extensive research has been conducted on the re-emergence of tsutsugamushi disease transmitted by L. akamushi. It is necessary to continue to provide people with information and increase their awareness.