著者
野田 百美
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

申請者は中枢神経系における甲状腺ホルモンの機能と、その機能異常による神経・精神症状に注目してきた。血中甲状腺ホルモン(前駆体:T4)はトランスポーターを介して脳内・アストロサイトに取り込まれ、タイプ2脱ヨード酵素(D2)によって活性化型(T3)に変換された後、種々の細胞に作用する(Noda, 2015)。我々は脳内免疫細胞であるミクログリアにもT3の受容体が発現し、顕著な遊走性・貪食性亢進を起こすことを初代培養ミクログリアを用いて報告した(Mori et al., 2015)。一方、成体では、甲状腺機能亢進症モデルマウスを用いてグリア細胞を観察したところ、いずれも、性と週齢によってグリア細胞の形態変化や行動が異なることがわかった(Noda et al, 2016)。臨床的には、甲状腺機能亢進症・低下症は様々な中枢神経系疾患と関連がある他、高齢者の甲状腺機能低下症と、アルツハイマー病発症リスクは深い関係にあり、性差が顕著に存在することも報告されている。しかし、こうした甲状腺機能異常症と神経・グリア連関、性ホルモンと加齢の影響について、その分子基盤は殆ど解明されていない。加齢によって増える甲状腺機能異常は殆どが低下症であり、高齢化社会で増えるウツや認知症には、甲状腺機能低下症が大きく関わっている。従って、ウツや認知症の予防・治療のために、適切な甲状腺機能低下症モデルを作成し、脳の機能形態学的変化、行動や認知に及ぼす影響を検討した。1)グリア細胞とシナプスの三次元構造解析:海馬ニューロンのシナプススパイン(棘)の3次元構造を解析したところ、若齢オスの甲状腺ホルモン亢進症、低下症におけるスパインの形態変化を比較・検討した。2)甲状腺機能低下症がもたらす行動・認知機能変化:甲状腺機能亢進症モデル・低下症における行動変化、記憶と学習、その性差と加齢の影響を検討した。
著者
野田 裕子
出版者
一宮女子短期大学
雑誌
一宮女子短期大学紀要 (ISSN:1349936X)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.11-17, 2005-12-21

血栓症の予防に期待できる線溶酵素と抗トロンビン活性物質について、世界の発酵食品のなかでも身近に食されているものを取り上げ、その存在の有無を検討した。日本の発酵食品ではうるか(渋うるか)やこのわた、酒盗、各種納豆、もろみ、麦味噌に顕著な線溶活性がみられた。さらに奈良漬や飛騨こうじ味噌、三年味噌における線溶活性も高かった。また抗トロンビン活性は三州八丁粒味噌と麦味噌が高かった。アジアの発酵食品では特にコチュジャン、甜面醤、プアール茶で抗トロンビン活性が顕著にみられた。しかしヨーロッパの発酵食品ではゴルゴンゾーラの線溶活性とパルミジャーノレジャーノの抗トロンビン活性がみられたのみで、特に各種ヨーグルトでは線溶活性も抗トロンピン活性も全くみられなかった。
著者
野田 浩子
出版者
吉川弘文館
雑誌
日本歴史 (ISSN:03869164)
巻号頁・発行日
no.831, pp.1-16, 2017-08
著者
野田 諭 松谷 慎治 浅野 有香 倉田 研人 柏木 伸一郎 川尻 成美 高島 勉 小野田 尚佳 大澤 雅彦 平川 弘聖
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.139-143, 2014 (Released:2014-08-07)
参考文献数
15

症例は66歳女性。高CEA血症の精査にて甲状腺腫瘍を指摘され当院紹介。右葉に18mm大の腫瘤を認め,穿刺吸引細胞診で濾胞性腫瘍と診断された。濾胞性腫瘍として1年6カ月超音波のみで経過観察され変化を認めなかった。2年6カ月後,他院PET検査で甲状腺への異常集積を指摘され,再受診した。CEAの上昇,腫瘤の増大傾向を認め,カルシトニンが高値であり,手術を施行,術中組織検査にて髄様癌と診断,非機能性の副甲状腺過形成を伴っており,甲状腺全摘術,頸部リンパ節郭清と副甲状腺全摘術および自家移植を施行した。病期はpT2N0M0 StageⅡであった。初診時の画像および細胞診結果から濾胞性腫瘍と診断,長期超音波で経過観察された髄様癌の1例を経験した。初診時診断に反省すべき点は多いが,経過を追えた点で貴重な経験と考え,文献的考察を加えて報告する。
著者
野田 茂德 Shigenori Noda
出版者
国際コミュニケーション学会
雑誌
国際経営・文化研究 = Cross-cultural business and cultural studies : 国際コミュニケーション学会誌 (ISSN:13431412)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.63-71, 2016-12

Spring of 1978 has come with the thunderstorm. After the storm, there was a blue sky. If the spring storm is an announcement spring seasons and end of winter, people can withstand the storm, however, natural phenomenon sometimes be very violent.Economist Kenneth E. Boulding has discussed "Limit exists in the Spaceship Earth" as a metaphor for the common destiny in his book "The Economics of the Coming Spaceship Earth" (1966).For the Spaceship Earth to reach mature society, there are many issues and difficulties need to be overcome. Can we expect the mature society after the spring storm for the crew of the Spaceship Earth? What are the fundamental issues and difficulties exist in the mature society?This paper is a study on this subject of "reality and problems of 1978 society".
著者
小野田 元
出版者
Society of Advanced Science
雑誌
Journal of Advanced Science (ISSN:09155651)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.f1-f4, 1999-08-15 (Released:2010-02-25)
参考文献数
8
著者
野田 晴義 阪本 正治
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.20-21, 1997-09-24

近年, 電話を利用したテレホンバンギングやテレホンショッピングなどのサービスが急速に拡大しつつある。これらのサービスに対して, 話者照合技術で音声による本人確認ができれば, 利用範囲が大きく拡大していくと考えられる。本稿では, 利用者の負担を軽減するため, 利用者とシステム(オペレータや音声自動応答システム)との間で交わされる応答音声を蓄積しておき, 話者照合に利用する方式を提案する。
著者
野田 庄三
出版者
社団法人 日本繊維機械学会
雑誌
繊維機械學會誌
巻号頁・発行日
vol.3, no.7, pp.332-336, 1950

(1) 粗紡機のスイングモーシヨンによる不正ドラフトの傾向はリフトに対し一次的に変化する。 (2) スイングホイール又はチエンドライブによつては機購的にボビンの回轉数の変化を完全になくすることは出來ない。 これはベベルギャー2組で防止出來る。(3) (4) 粗糸斑はチエンドライブの方がスイングホイールより小であり、斑はシヤフトの位置を適当にして最小とすべきである。 (5) 太い粗糸を巻く時程不正ドラフト量の割合は増大する。
著者
岩川 眞由美 今村 史人 大川 治夫 金子 道夫 堀 哲夫 池袋 賢一 雨海 照祥 中村 博史 四本 克己 野田 秀平
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.7, pp.1208-1212, 1998-12-20 (Released:2017-01-01)
参考文献数
24

body stalk anomalyの1例を4歳時に在宅医療へ移行したので報告する.症例は在胎24週より胎児超音波検査で臍帯ヘルニアが指摘されていた男児.在胎35週3日に帝王切開, 出生時体重2162g, Apgar score 4/6で出生した.巨大臍帯ヘルニア, 脊椎側彎症, 動脈管開存症, 心房中隔欠損症, 気管狭窄症, 気管軟化症を合併し, 出生直後より人工呼吸管理を要した.以後, 臍帯ヘルニア人工膜縫縮術, 2回にわたる腹壁閉鎖術, 胃食道逆流防止術, 胃瘻・腸瘻造設術, 同閉鎖術, 巨大鼠径ヘルニア根治術を施行し, 2歳6カ月頃より病状が安定したので試験期間後4歳時に在宅呼吸管理となった.現在, 6歳であり在宅呼吸管理を支援するネットワークに支えられ社会生活を送っている.
著者
伊東 康久 野田 喜美雄 石川 久 井崎 賢二 江花 稔
出版者
JAEA
雑誌
JNC-TN8410 2001-007
巻号頁・発行日
pp.1-81, 2001-03

核燃料物質取扱施設では非密封の放射性物質を取扱う場合、グローブボックス(以下「GB」という)等の包蔵性を有した設備を配置している。放射性安全の立場からは包蔵性の一時的な機能低下等を考慮し、放射性物質漏洩の早期発見及び作業者の吸入を防止する目的で種々の施策を講じている。その中の一つに作業環境中の空気中放射性物質濃度を連続監視するためのダストモニタがあげられる。一般的にダストモニタは吸引ポンプを使用して空気を吸引し空気中に浮遊するダストをろ紙に捕集する方式であり、吸引ポンプの連続運転能力、可搬性及び排気場所の確保並びに騒音等に構造的問題を持っていた。このため、ダストの捕集方法に関し、従来技術である吸引ポンプを使用しない技術開発を進めることとした。上記目的を遂行するために、静電気により空気中のダストをイオン化し、ろ紙に捕集する市販の集塵器に着目し、静電捕集型のダストサンプラ及びダストモニタを試作し、特性試験及び操作性について評価した。静電捕集方式は空気吸引方式と違い吸引量の定量化が課題であり、捕集量を定量化するためにマスクマンテストで使用している装置を用い、塩化ナトリウム(以下「NaCl」という)による捕集量の定量化と捕集分布の解析評価を実施した。また、既存の空気吸引方式であるエアスニファとラドントロン子孫核種を対象に捕集量の比較を実施した結果、ほぼ同等の捕集性能を有していることが分った。一方、静電捕集方式の機能を明確にすることと、実際に使用する管理区域内を想定して操作性等の評価を実施した結果、十分実用に耐えうることも分った。今回の試験で使用したダスト捕集用ろ紙は市販されている集塵機の付属品を用いたが、放射性ダストの捕集には適していなかった。今後、集塵ろ紙の材質適正化を行うとともに、装置の小型化と捕集効率向上を検討し、また、試作機の構造は汚染防護対策が十分ではないので、これらを考慮した再設計を行う必要がある。 著者所属: 日本原子力研究開発機構(JAEA)
著者
片野田 耕太
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.273-276, 2015

<b>目的.</b>喫煙の健康影響および喫煙対策の効果について科学的証拠を概観すること.<b>方法.</b>健康影響については国際がん研究機関(IARC)および米国公衆衛生総監報告(Surgeon General Report)の総括報告,喫煙対策の効果については米国疾病対策センターのCommunity Guideのデータをまとめた.<b>結果.</b>健康影響については,がんの分野で肝がんおよび大腸がんが,がん以外で糖尿病などが,能動喫煙と因果関係のある疾患に追加されていた.受動喫煙と因果関係のある疾患としては脳卒中が追加されていた.喫煙対策については,喫煙曝露を減らす対策として,たばこの値上げ,公共空間や職場での禁煙法制化,クイットラインなどが「推奨」されていた一方,インターネットを利用した禁煙介入,メディア上での禁煙コンテストなどは「証拠不十分」とされていた.<b>結論.</b>喫煙の健康影響および喫煙対策の効果に関しては,主に欧米の研究が中心であるが,科学的証拠が十分に蓄積している.わが国の喫煙対策は,実施可能性だけでなく,科学的証拠を十分に考慮した上で立案すべきである.