著者
河野 功 杢野 正明 山中 浩二 鈴木 孝 小山 浩 功刀 信
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.68, no.671, pp.2059-2066, 2002-07-25

ETS-VII is a test satellite to perform in-orbit demonstration of rendezvous docking (RVD) technology, which will be necessary for advanced space activities in the early 21^st century. ETS-VII successfully performed autonomous RVD in the first experiment flight. But in the second experiment flight, seberal times of Z-thruster misfiring occurred and they prevented for ETS-VII to accomplish docking for three weeks. To verify all technical items, the third experiment flight was replanned on condition that firing Z-thrusters should be minimized. And we modified on-board software to continue approach in case that Z-thrusters misfiring occur. ETS-VII succeeded in the third experiment as the result of these countermeasures. We present replanning of the third experiment flight and its result in this paper.
著者
鈴木 博
出版者
日本動物分類学会
雑誌
動物分類学会誌 (ISSN:02870223)
巻号頁・発行日
no.18, pp.47-53, 1980-06-25

HOLTHUIS(1973)は,海岸から少し内陸に入ったところにあり,海水が地下から浸透し,潮汐によって水面が上下する潮溜りをanchialine Pool(陸封潮溜り)とよんでいる。このような環境に生息するエビ類は,現在5科10余種が知られ,そのほとんどのエビの体色は鮮かな赤色である。ここに報告したエビはAntecaridina lauensis(EDMONDSON)で,Fiji諸島(模式標本産地)・Europa諸島(マダガスカル西方)・Dahlak諸島(シナイ半島東部)・Hawaii諸島などで知られ,日本では南大東島からの記録(諸喜田,1975)があるのみであった。 このエビが発見された黒島の古井戸は,典型的なanchialine poolで,塩分は1979年12月7日の測定では13.22‰であった。このエビの第1・2・5胸脚はそれぞれヌマエビ科の特徴を示しているが,眼上棘を欠き,額角は短かくとがり無棘,眼柄は短かく,複眼は退化的,鰓は7対,外肢がすべての胸脚に存在することなどが種の特徴である。暗所では,多くの個体は鮮かな赤色であるが,明所では色素細胞の収縮により,体は黄赤色か半透明となるものがみられる。
著者
鈴木 伸和 熊本 悦明
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.86, no.6, pp.1088-1097, 1995-06-20
被引用文献数
6

男性透析患者に性機能障害が起こることはよく知られている.透析患者の性機能障害を詳細に検討するため, われわれは札幌医大式性機能質問紙を用いて性機能調査を行った.対象は外来透析をうけている男性205例であり, 糖尿病症例および重度貧血症例 (ヘモグロビン濃度8g/dl未満の症例) は今回の検討から除外した.質問紙の性機能評価にあたって, 当教室ですでに同質問紙を施行していた, 3462例の健康男性のデータをコントロール群として比較検討した.男性透析症例のうち, 性欲は33.7%が健康男性の下方10%領域に, 勃起能は44.4%が健康男性の下方10%領域に含まれており, いずれも加齢とともに著しい低下を認めた.射精能は自覚的勃起機能と連動した動きをみせており, 加齢とともに低下する傾向を認めた.性交頻度を透析症例と健康男性とで比較したが, 性交渉を有していないものが, 30歳代では透析症例12.9%に対して健康男性3.5%, 同様に40歳代では22.4%に対して3.0%, 50歳代では52.2%に対して7.5%, 60歳代では89.3%に対して18.0%と, 透析症例では, 各年代とも健康男性に比べて性交頻度が低下しており, しかも加齢に伴う低下が著しかった.
著者
大内 誠 岩谷 幸雄 鈴木 陽一
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.95-100, 2007 (Released:2008-07-04)
参考文献数
10

著者らは, 3次元音響バーチャルリアリティを実現するための聴覚ディスプレイ装置を開発した.この装置は,ヘッドフォンを用いて音場を精密に再現するものであり,そこに音源が存在しないにもかかわらず,聴取者は音源の位置を知覚することが可能である.したがって,視覚から情報を得ることの困難な盲人や強度の弱視者にとって,本装置は今までにない情報提示装置になりえることが期待される.著者らはこの装置を応用して,身辺空間認知や認知地図形成のためのコンテンツソフトウェアを開発し,実際に訓練を行った.その結果,いずれも訓練効果が認められ,本装置が視覚障害者にとっての新しい情報提示装置として有効であることが立証された.
著者
鈴木 保志 神崎 康一 川上 好治
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.528-537, 1993-11-01
被引用文献数
4

中国地方の1925年植栽のヒノキ人工林において, 1987〜1988年に間伐率約50%で優勢木を伐出したときの伐出後の林分の事後経過の調査を行った。伐出による被害は残存木の18%に生じていた。1993年の再調査までに台風害と雪害もあって, 24%が消失した。根についた傷の深さについては悪化する傾向を示したが, 直径成長は伐出被害木と被害木との間に有意な差は認められなかった。残存林分の成長の分析には材積年成長を樹幹表面積で割った値を指標として用い, 対照林分に比べて間伐後の成長は遜色がないことが確認された。
著者
斎藤 寿樹 川原 純 吉仲 亮 鈴木 拡 湊 真一
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告アルゴリズム(AL) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.17, pp.1-6, 2011-02-28
被引用文献数
1

与えられたグラフ中のパスを列挙する問題は古典的な問題である.これまで,解を列挙するアルゴリズムや解の数を数えるアルゴリズムがいくつか提案されているが,一般に解の数は極めて多く,解の数を求める問題は #P-完全であるため,満足のいく高速な列挙アルゴリズムの実現は難しい.近年 Knuth は,ZDD (Zero-suppressed Binary Decision Diagram) を用いた任意のグラフの任意の 2 点間を端点とするパスを列挙するアルゴリズムを提案した.ZDD とは集合族を圧縮して表現できるデータ構造である.グラフの経路を辺の集合と同一視することによって,経路の集合は ZDD で表現することができる.提案されたアルゴリズムは,出力結果がパス集合の ZDD による圧縮表現であり,従来手法に比べ高速に動作する.本発表では,まず Knuth のアルゴリズムを紹介し,次に Knuth のアルゴリズムを基にした筆者らによる多項式回の ZDD の基本演算でパスの列挙を行うアルゴリズムを提案する.これらの手法と既存手法との比較実験を行い,ZDD によるパスの列挙手法の利を論ずる.The listing of all paths in a given graph is a classical problem. Although there are known algorithms for the problem, the number of the solutions tends to be huge and the counting problem is #P-hard. Recently, Knuth has proposed an algorithm for enumerating paths by using the ZDD (zero-suppressed binary decision diagram). The ZDD is a condensed representation of a family of sets. By identifying a path in a graph as a set of edges, the sets of paths can be represented by ZDD. His algorithm outputs a ZDD representing a set of paths. In this paper, we first introduce Knuth's algorithm, and propose an algorithm where ZDD operations implemented polynomial many times by extending Knuth's algorithm. We experiment with these algorithms and a known enumeration algorithm, and discuss the advantage of the algorithms using ZDD from the experimental result.
著者
田中 英道 森 雅彦 松本 宣郎 吉田 忠 鈴木 善三 岩田 靖夫 池田 亨 芳野 明
出版者
東北大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1990

宇宙の体系、天体の考察は当然歴史的な変遷の中で、人間の外界に対する思想行為として、深く芸術に影響を与えてきた。芸術そのものが近代のように、科学、哲学と分離している時代と異なり、一体化した時代にあっては、宇宙観、天体観がそこに表現されざるを得ない。例えばカトリックの総本山であるヴァチカン宮の、ミケランジェロによるシスティナ礼拝堂天井画には『旧約聖書』の「天地創造」の場面が描かれているが、これは基本的には「ユダヤの宇宙論」に基づいている。第一に指摘すべきことは聖書の記録が「宇宙」という観念を知っていたかどうかであるが、世界は有機的統一体ではなくて別の現象の集まりに過ぎず、それらの共通の創造主の意のままに制御されている。つまり聖書の世界にはユニヴァースやコスモスという言葉はない。理論的にはそのような形で芸術に表現されることになる。ミケランジェロの場合、神が闇と光を創造し、月と太陽をつくり、人間を生じさせた場面を描いたとき、そこには宇宙論的な統一体はないことになる。確かに創造された人間の姿は、決して、最初から宇宙の中で調和のとれた存在として描かれているものではない。しかし『創世記』(1-31)で天地創造の話の終わりに「はなはだ善かりき」という使い方があって、宇宙の優位性を語っている。聖書の世界像ははっきり地球中心的であるが、ギリシアの天体観は様々な形をとったが、太陽中心説でさえ存在した。これらの知識が総合されて芸術に含まれている。このような宇宙観、天体観がまずどのようなものであったかを根本的に検討することが、我々の研究課題であった。単に西洋のキリスト教的観念だけでなく、ユダヤの宇宙論、ギリシャの天体観などを多角的に検討し、またイスラム、インドさらには中国などの宇宙観と比較し、それぞれがどのような共通性と相違があるか、研究成果の中で取り入れることが出来た。様々な分野の分担者がそれをまとめる作業を行った。
著者
鈴木 脩司 石田 貴士 秋山 泰
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.24, pp.1-7, 2012-06-21

我々は以前に suffix array を用いた高速な相同性検索システムを提案したが,近年の次世代シークエンサーの進歩が目覚ましく,得られる配列データは増加しており,さらなる高速化が必要とされている.このため,本研究では従来システムの改良を試み,長さ L hash のすべての文字列の suffix array の検索結果を予め計算しておき,これを保存しておく.そして,検索の際は L hash 文字目までの検索には保存しておいたものを読み出すことで高速化した.また,このシステムを用いてエピゲノム解析へも対応するために,バイサルファイト処理を行った DNA 断片配列のマッピングができるように改良を行った.We developed the system for fast homology search using suffix array. However, next generation sequencers are improving gradually and become to produce larger data than previous sequencers. Thus, we have developed a new faster system. To accelerate search using suffix array, we store the results of searching patterns whose length is less than Lhash and use them as caches. In addition, we enhanced our system to map bisulfite reads for epigenomics.
著者
鈴木 堅弘
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.13-51, 2008-09

本論は、春画として最も有名な北斎画の「蛸と海女」を取り上げ、この画図を中心に春画・艶本表現における図像分析を試みた。まず具体的な図像分析に先駆けて、同種のモチーフが「あぶな絵」や「浮世絵」にも描かれている背景を追うことで、近世期の絵画表現史における「蛸と海女」の画系譜を作成した。そしてその画系譜を踏まえて、北斎画を中心とした春画・艶本「蛸と海女」の図像表現のなかに、同時代の歌舞伎、浄瑠璃、戯作などに用いられた「世界」と「趣向」という表現構造を見出すことにより、春画・艶本分野においても同種の演出技法が用いられていたことを発見するに至った。また、こうした図像分析を通じて、北斎画を中心とした春画・艶本「蛸と海女」の表現構造が、太古より連綿と続く「海女の珠取物語」の伝承要素や、江戸時代の巷間に流布した奇談・怪談の要素で構成されていることを読み解いたといえよう。 なお、これらの考察により、春画・艶本の性表現のみに注視しない、新たな見方を提示することができたに違いない。