著者
長尾 誠也 鈴木 康弘 中口 譲 妹尾 宗明 平木 敬三
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.335-342, 1997-05-05
被引用文献数
22 18

天然水の腐植物質は微量元素及び疎水性有害有機物のキャリヤー又はトリハロメタンの前駆物質と考えられている.天然水をグラスファイバーフィルターで濾過後, 三次元分光蛍光光度計により腐植物質の蛍光特性を測定する方法の妥当性を検討した.天然水の化学特性のうち, 腐植物質の蛍光スペクトルに影響を及ぼす腐植物質濃度, pH及びイオン強度について検討した結果, 陸水(腐植物質濃度0.5〜10mgl^<-1>, pH6〜9,イオン強度0.04M以下)及び海水(イオン強度0.75M)に適用可能であることが分かった.本測定法を河川水, 湖水, 湖底及び海底たい積物間げき水に適用した結果, これらの天然水腐植物質の三次元励起-蛍光スペクトルには, 土壌フルボ酸に相当するピークが検出された.
著者
川島 高弘 小山 孝一郎 鈴木 勝久 岩上 直幹 小川 利紘 置田 彩子 福山 恒太 野田 亮
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告 (ISSN:02852853)
巻号頁・発行日
vol.95, pp.1-28, 1997-08

1996年2月11日20 : 00JSTに鹿児島宇宙空間観測所より打ち上げられた観測ロケットS-310-24号機により高度100&acd;160kmにおける窒素分子の振動温度, 回転温度, 数密度の同時観測に成功した。電子銃を用いて大気中の窒素分子を電離し, 窒素分子イオンからの発光スペクトルの1つである1st Negative Bandを高感度の分光器で測定することで各物理量を求めた。またこの実験の最中, 電離中間層が高度140km近辺に発生しており, 世界で初めて電離中間層中の中性大気の数密度, 温度を観測した。観測された温度の高度分布は通常の大気モデルと違い, 鉛直波長40kmほどの波動構造を示していることがわかった。この現象を潮汐波による変動と仮定して簡単な1次元大気物理シミュレーションを実行して検討した。振動温度に関しては本観測器で値を正確に決定できるほど高温に振動励起されておらず上限を与えるにとどまったが, 上限値は過去のO'neil (1974) の測定と矛盾しない。
著者
山内 翔 川村 秀憲 鈴木 恵二
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1-11, 2015-01-01 (Released:2015-01-06)
参考文献数
19
被引用文献数
2 1

The main feature that keeps states and structures stable can be seen in living organisms. This adjusting and adaptive feature is called homeostasis. This integrated adaptive feature is achieved by the cooperation of organs in living organisms. Living organisms in nature act dynamically due to this feature. Highly adaptive behavior caused by this feature is also observed in simple living organisms that have no neural circuits such as amoebas. In amoeba case, each cell acts as an oscillator and such behavior is explicable as synchronization phenomena of oscillators. Based on these facts, a method of control to generate homeostasis in robotic systems is proposed by assuming a robot system is an aggregation of oscillators in this paper. When a robot system is assumed as an aggregation of oscillators, a robot system tries to keep the value of the specific function that indicate its uncomfortable level small the whole time. To keep such function value small, a robot system stabilize the relationship between oscillators when its value is small and reconstruct the relationship between oscillators when its value is large. This behavior is also explicable as synchronization phenomena of oscillators. A redundant robot arm is made to confirm the effect of this control method to generate homeostatic behaviors in robotic systems.
著者
鈴木 直人
出版者
日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.85, no.5, pp.510-514, 2014-12
著者
五嶋 研二 府川 和彦 須山 聡 鈴木 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.455, pp.31-36, 2009-02-23

本報告では,移動通信における中継システムとして,i)雑音が加わったアナログ信号を再送するAF(Amplify-and-Forward)と,ii)復号して再送するDF(Decode-and-Forward)を切替える方式を検討する.中継局において,CRC復号による判定誤りが検出された場合はAFを行い,誤りが検出されない場合にはDFを行う.さらに送信側とは異なる符号化を行いHARQ(Hybrid ARQ)と同様の高信頼化を図る.また,受信側で直接受信と中継局経由の受信信号の合成メトリックを求め,復号に必要なビット対数尤度比(LLR)を算出するために,まずプリアンブル信号を用いてチャネル推定とレプリカ誤差の平均電力推定を行い,合成メトリックの重み係数をレプリカ誤差の平均電力値から求める方法を提案する.マルチパスフェージング条件下でOFDM伝送の計算機シミュレーションを行い,i)切替方式はAFとDFよりも優れたパケット誤り率(PER)特性が得られ,ii)中継局での受信レベルが高く高符号化率の場合に異符号を用いる方式が効果があること,iii)準静的伝搬環境ではチャネル推定の精度による劣化が小さいことを明らかにする.
著者
小平 優衣 鈴木 啓史 三原 鉄也 永森 光晴 杉本 重雄
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2014-CH-101, no.8, pp.1-8, 2014-01-18

現在ディジタル環境でマンガを探すには,web 上の情報を参照するのが一般的である.タイトルや著者名などの書誌情報が利用される場合が多いが,マンガの内容や主題,キャラクタ等に関する情報も検索に利用されている.内容に即した検索を行うためには,マンガに関する情報を,マンガの何について説明している情報かを記述したデータとして利用できるようにする必要がある.また,これらの情報は一般的な語彙としてまとめられていないため利用することは難しく,情報共有を促進するためにはマンガの概念をディジタル上で機械が扱いやすくできるように形式化する必要がある.異なるマンガリソース間同士の参照や再利用,効率の良いリソースの生成を可能にするため,共通基盤となるマンガに関する情報を体系化し扱うことを可能にするオントロジーの構築を行った.構築のために Wikipedia のマンガに関するカテゴリ名を語彙として利用し,語彙同士の関係性を定義してオントロジーを構築し,マンガリソース同士を結びつけることで LOD として利用することを可能にした.構築したオントロジーは語彙の追加などの拡張が可能であり,マンガのあらゆる情報に繋げることが可能である.
著者
守屋 康充 安福 和弘 石橋 史博 伊豫田 明 鈴木 実 関根 康雄 渋谷 潔 飯笹 俊彦 藤澤 武彦
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, 2005
被引用文献数
1

症例は, 反復性多発性軟骨炎と診断された62歳, 女性. 1998年より加療開始, 2000年に症状の増悪, CTにて左右気管支の狭窄を認めたため, 気管切開を行い, ダイナミックステントを挿入した. その後, 2002年にダイナミックステント入れ換え, さらに2003年に左右の主気管支へのメタリックステント挿入を行った. 今回, 乾燥喀痰の付着によるステント狭窄にて, 窒息状態で救急外来に搬送された. 救命処置中にダイナミックステントが逸脱したが, 気管切開孔より気管チューブを挿管し, 人工呼吸管理にて救命できた. 全身状態が安定した後, 全身麻酔下に硬性鏡を使用してファイコンステント再挿入術を施行し, 経過良好にて退院した.
著者
荒木 誠一 木村 誠 鈴木 護 藤木 昌俊
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.899-900, 1993-10-15
被引用文献数
1

子豚に活性卵白粉末(AEWP)2mg/kgまたは100mg/kgを1回経口投与すると, 投与1日後に末梢血好中球のラテックス粒子に対する貪食能を充進した. とくに, 100mg/kg投与では貪食活性が5日間持続した. AEWP30mg/kgを1週間経口投与すると, 投与期間中, 貪食能を亢進した. また, 投与中止後10日目の再投与により, 貪食能を亢進した. 以上の成績から, AEWPの経口投与は, 非特異的免疫能の増強効果を有することが明らかになった.
著者
鈴木 亜由美
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.379-386, 2014

本研究は,幼児において道徳的にネガティブな結果をもたらした加害者の信念を推測する際には誤りが生じやすいのかどうかを検討したものである。3–4歳児,4–5歳児,5–6歳児,合計71名に対して,行為者の同一の誤信念が道徳的にネガティブ,ポジティブ,ニュートラルな結果をもたらす3条件での誤信念の理解を問い,標準誤信念課題との正答率の差を検討した。加えて行為についての道徳的判断と理由づけを求めた。その結果,ニュートラル条件とネガティブ条件においては,標準誤信念課題よりも信念質問の正答率が低くなることがわかった。また,行為の背後にある誤信念を正しく理解している幼児であっても,非意図的行為がもたらす結果がネガティブかポジティブかに影響された道徳的判断を行うことが示された。一方で判断の根拠においては,誤信念を理解しない子どもに比べて,行為の意図性に言及した理由づけが多く見られることがわかった。これらの結果より,誤信念課題に道徳的文脈が加わることにより,加害者バイアスと状況の複雑さという2つの要因が影響し,幼児にとって誤信念の推測が難しくなることが示唆された。
著者
大野 希一 国方 まり 鈴木 正章 西村 裕一 長井 大輔 遠藤 邦彦 千葉 達朗 諸星 真帆
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.619-643, 2002-11-29
被引用文献数
4

The volcanic activities of the Usu 2000 eruption were monitored and reported by many scientists and the mass media. Summarizing these observation results, most of relatively large explosion events occurred during March 31 to April 7, 2000. Around the Nishiyama and Kompira crater groups, the pyroclastic deposits with multi units can be divided into 19 layers on the basis of their visible color, grain size and sedimentary structure; from Layer A to Layer S in ascending order. The eruptive dates of each layer inferred from the wind directions, the eruptive sequence, and the distribution of deposits are summarized as follows; the Layer A, characterized as the light gray color ash fall deposit including in some pumice layers, was generated by March 31 phreatomagmatic explosions occurred at Nishiyama crater group. The Layer B, composed poorly sorted breccia and ash layer with gray color, was generated on March 31 p.m. at Nishiyama craters. The Layer C to the Layer G, dark brown-gray aggregate ash, were derived from the volcanic eruptions occurred on April 1 to 2 in Nishiyama and Kompira crater group. The Layer H to Layer M and Layer O, mainly consist with gray and reddish brown aggregate ash including in lithic fragments, were generated during April 3 and 4 in Kompira crater group. The Layer N, which distributes around N19 crater, generated on April 4. The Layer P, massive ash with gray color, was generated on April 6 in Kompira crater group. After April 7, the Layer S, characterized as light brown aggregate ash, has been generated from the recent minor activities around limited craters. The amount of Layer A fallen in the range from the source to Toyako Onsencho Town is estimated at 1.2×10^8 kg, and total amount of Layer A including in the distal area is 2.4×10^8 kg. On the other hand, amount of other deposits generated during April 1 to 6 (e.g. Layer B, N, and Q) is an order of 10^6-10^7 kg. Total amount of the pyroclastic deposits erupted from the Usu 2000 eruption is more than 6.4×10^8 kg.