著者
具 芳明 藤友 結実子 添田 博 中浜 力 長谷川 直樹 前﨑 繁文 前田 真之 松本 哲哉 宮入 烈 大曲 貴夫
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.93, no.3, pp.289-297, 2019-05-20 (Released:2019-12-15)
参考文献数
32

背景:日本では抗菌薬の多くが診療所で処方されているが,その現状や医師の意識はあまり知られていない. 目的:診療所医師の抗菌薬適正使用の現状や意識について調査する.デザイン:診療所医師を対象としたアンケート調査.方法:日本全国の診療所から無作為抽出した1,500診療所に医師を対象とするアンケートを送付した.結果:回収数274回収率18.3%)のうち調査に同意した269通を集計の対象とした.アクションプランや抗微生物薬適正使用の手引きの認知度は低かったが,抗菌薬適正使用についての認識や意識は高かった.感冒や急性気管支炎に抗菌薬を処方している医師が一定数おり,最も処方されているのはマクロライド系抗菌薬であった.処方の背景には医師の知識だけでなく医師患者関係など複雑な要因があることが示唆された.結論:診療所医師の知識向上に加え,医師患者間のコミュニケーション改善などさまざまな手法で外来での抗菌薬適正使用を推進していく必要がある.
著者
原田 祐輔 長谷川 利夫
出版者
日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.324-336, 2014-08-15

要旨:仕事のストレス要因とストレス反応の関連性を明らかにすることはストレス対処に寄与すると言われているが,作業療法分野において,働く領域ごとにストレス要因やストレス反応を比較した研究は見られない.本研究では,訪問リハビリテーションに従事する作業療法士(以下,訪問OTR)・病院に勤務する作業療法士(以下,病院OTR)を対象とした仕事のストレス要因,ストレス反応に関する実態調査を行った.結果として,訪問OTRは,病院OTRと比較するとストレスは低く,メンタルヘルスは良好であるということが示唆された.また,両群共にストレス反応に最も影響するストレス要因として「やりがい・適性」が抽出された.
著者
長谷川 奨悟
出版者
佛教大学宗教文化ミュージアム
雑誌
佛教大学宗教文化ミュージアム研究紀要 (ISSN:13498444)
巻号頁・発行日
no.15, pp.65-82, 2019

本稿では、現在の三木市(三木市民)にとって顕彰すべき「過去の物語」とみなされている義民伝承について、現在の「義民祭」を通じた顕彰行為の実践に対する様子を報告した。そして、地域誌としての義民伝承の歴史的経過への考察をおこない、現在のように語られるようになった地域的背景について明らかにした。そのうえで、三木の義民伝承がになってきた役割について検討している。三木市義民伝承過去の物語義民祭義民碑
著者
木村 妙子 木村 昭一 自見 直人 角井 敬知 冨岡 森理 大矢 佑基 松本 裕 田邊 優航 長谷川 尚弘 波々伯部 夏美 本間 理子 細田 悠史 藤本 心太 倉持 利明 藤田 敏彦 小川 晟人 小林 格 石田 吉明 田中 颯 大西 はるか 締次 美穂 吉川 晟弘 田中 正敦 櫛田 優花 前川 陽一 中村 亨 奥村 順哉 田中 香月 Kimura Taeko Kimura Shoichi Jimi Naoto Kakui Keiichi Tomioka Shinri Oya Yuki Matsumoto Yu Tanabe Yuki Hasegawa Naohiro Hookabe Natsumi Homma Riko Hosoda Yushi Fujimoto Shinta Kuramochi Toshiaki Fujita Toshihiko Ogawa Akito Kobayashi Itaru Ishida Yoshiaki Tanaka Hayate Onishi Haruka Shimetsugu Miho Yoshikawa Akihiro Tanaka Masaatsu Kushida Yuka Maekawa Yoichi Nakamura Toru Okumura Junya Tanaka Kazuki
出版者
三重大学大学院生物資源学研究科
雑誌
三重大学フィールド研究・技術年報 = Annals of Field Research and Technology Mie University (ISSN:13496824)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-32, 2018-10

In this study, we had investigated the benthic deep-sea fauna using the dredge and beam trawl in the region from the continental shelf to the continental slope of the Sea of Kumano, Mie Prefecture, during the No.1722 research voyage of the training ship Seisui-Maru of Mie University. The survey was carried out at 16 stations covering a depth range of 113-1059 m. The results of the survey, 14 phyla had been confirmed. Arthropod, echinoderm, annelid and molluscan macrobenthos were collected from all of the stations. The phylum number of each station was in the range from 4 to 11. The largest number of phyla had been confi rmed at St.10D of boulders bottom(768-800 m depth). Meiobenthos confi rmed in our sample were kinorhynchs, nematodes, tardigrades, loriciferans and small arthropods such as tanaidaceans, copepods and cumaceans. In addition to free-living species, parasitic copepods, isopods, platyhelminthes, acanthocephalans and nematodes had been found in fish, crustaceans and polychaetes.
著者
安藤 弘平 長谷川 光雄 豊原 富弘
出版者
一般社団法人 溶接学会
雑誌
鎔接協会誌 (ISSN:18837190)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.75-97, 1941 (Released:2011-08-05)
参考文献数
9

軟鋼の電弧熔接に於けるスパッターリング現象即ち第1圖の如く熔融小粒子が火花として多數飛散する現象を高速度寫眞によつて撮影研究し,スパッターリングの發生する原因機構を明かにしてゐる.外観的には同じく第1圖の火花として見受けられるスパッターリングもその發生原因は種々あるのであつて,大體目次III~VIIIに示す如くである.VIIIの特殊の場合は第II報に述べることゝして本文は一般の場合に就いて此の各の原因別に高速度寫眞を掲げて之を読明論議する.
著者
山田 真伸 長谷川 睦 石井 ゆりこ
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.A3P3038, 2009

【目的】<BR>アレクサンダー・テクニーク(以下、AT)は、19世紀のオーストラリア人、F.M.アレクサンダーがはじめたものである.ATとは、抑制のプロセスを適用し、頭部と脊椎の関係に着目し四肢を解放することにより、頭頚部の動きが身体全体をリードするようになり、人間本来の身体機能に近づくことを追求したものである.頭部と脊椎、特に頭頚部は姿勢制御において重要な役割を果たし、理学療法でも治療対象部位となる.そこで今回、AT概念を取り入れた手技(以下、手技)をAT生徒であり理学療法士(以下、PT)の筆者が行い、その前後での姿勢制御機能の変化を重心動揺計にて検討した.<BR>【方法】<BR>対象は、研究趣旨を説明し同意を得た健常者11名(男性5名、女性6名、平均年齢29.8±6.4歳、平均身長167.1±7.1cm)とした.方法は、重心動揺計(Active Balancer EAB-100、酒井医療)を用い、手技(背臥位、座位)前後での静止立位時の重心動揺測定を行った.測定は、日本平衡神経学会の基準に従い、開眼閉脚60秒間とした(サンプリング周波数20Hz).測定項目は総軌跡長、外周面積、実効値面積、単位面積軌跡長とした.統計処理には、t検定を用い、各測定項目を手技前後で比較した.<BR>【結果】<BR>総軌跡長は、手技前937.0±84.1mmから手技後909.8±98.9mmと有意差は認められなかった.外周面積は、266.7±150.2mm<SUP>2</SUP>から213.3±111.8mm<SUP>2</SUP>と有意に減少した(p<0.05).実効値面積は、186.8±151.8 mm<SUP>2</SUP>から118.7±78.4 mm<SUP>2</SUP>と有意に減少した(p<0.05).単位面積軌跡長は、4.3±1.8mmから5.2±2.1mmと有意に増加した(p<0.05).<BR>【考察】<BR>結果より、手技後に重心動揺の大きさを示すパラメーターの外周面積、実効値面積は有意に減少し静止立位の安定化を示唆した.さらに重心動揺の性質を示すパラメーターの単位面積軌跡長が有意に増加した.単位面積軌跡長は、重心動揺における姿勢制御の微細さを示すパラメーターとされ、この微細な制御は固有受容器姿勢制御機能によるもので、増加を示すことは姿勢制御機能が向上したと考察できる.これは手技後に、ATで重要視される頭頚部の位置関係が適切となり、固有受容器の筋紡錘が高密度に含まれる頚部深層筋が賦活されたことが考えられる.それに伴い身体重心線が理想的配列に近づき、骨構造を通しての体重支持が可能となり、各関節内にも多く含まれる固有受容器が賦活されたことも姿勢制御機能向上の一因と考えられる.<BR>【まとめ】<BR>健常者に対して手技を行うことにより、静止立位時の重心動揺における姿勢制御機能への効果が示された.しかし、本来ATは認定教師が行い最も効果が期待できるものであり、単純に姿勢制御のみへの効果を示すものではない.筆者はあくまでも約3年間AT教師からレッスンを受けたAT生徒という立場のPTである.今後もATで得た知識をPTとして臨床展開していきたい.
著者
永田正樹 磯部千裕 李芷君 山崎國弘 長谷川孝博 井上春樹
出版者
国立大学法人 情報系センター協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.3-12, 2017-09-25 (Released:2018-08-03)
参考文献数
20

人型ロボットを用いた講義動画を広域配信するシステム「SUPICE」を開発した.近年,日本の少子化に起因する大学のグローバル化に伴い,遠隔での学習が可能な反転授業が注目されている.反転授業では動画教材を用いるため,正確な反復性および多言語発話などが可能な人型ロボットでの動画作成が適している.そこで我々は,(1)利用者からパワーポイントスライドを受領し,(2)受領スライドに基づく多言語講義を人型ロボットが実演し,(3)実演した様子を動画化し,(4)その動画をインターネット上にて広域配信する講義動画配信システム「SUPICE」を開発した.「SUPICE」を用いることで,1体の人型ロボットにて複数の講義を同時に実施でき,かつ受講者はインターネット経由でいつでも講義動画を受講できるようになった.静岡大学学内での講義や説明会にて「SUPICE」の検証を実施し,本システムの有効性を確認したため,2017年4月から全学向けサービスを開始した.
著者
田中 直美 牛膓 昌利 牛膓 真美 坂本 あづさ 稲田 美帆 河原 俊 長谷川 拓馬 持田 美香
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0836, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】車いす座位姿勢の評価・シーティングを行う際,骨盤を起こし,水平,前後傾中間位とし,その上に胸郭・頸部・頭部が位置すると考えられている。しかし超高齢者は座位保持能力の低下により,骨盤を起こした姿勢では重力に抗することができず,頭部にかかる重力ストレスにより頭部が前下方へ落ちこみ,臀部が前方へ滑りだす姿勢を取ることが多い。骨盤を起こした姿勢が本当に安定した座位姿勢となっているのか疑問に感じる。そこで,シーティングの新しい考え方である,骨盤の後傾をゆるしもたれることで身体の物体的な安定を図る,脳性麻痺児・者を中心とした理論及び技法のキャスパー・アプローチ(以下,CASPER)に基づき,車いすシーティングを実施し,超高齢者への有効性を検討した一症例について報告する。【方法】普通型車いすでの一般的な座位姿勢(以下,非介入)と三角クッションを使用しCASPERを実施した座位姿勢(以下,介入)の二者間で開始座位姿勢,座位保持可能時間(バイタル変動をアンダーソンの基準に基づき終了),姿勢変化の3項目を比較した。対象は98歳認知症女性。コミュニケーション困難。介入当初BIは0点。【結果】開始座位姿勢:非介入;胸郭と仙骨が背もたれと接触し,頭頸部は右前下方へ傾く。介入;胸郭下部,坐骨がクッションと接し胸郭,頭部は一直線上に位置する。座位保持可能時間:非介入;平均3分53秒。介入;平均13分41秒。姿勢変化:非介入;頭頸部は右前下方へ倒れるまたは左情報へ伸展。右回旋は可能だが,左回旋は正中を超えなかった。約3分経過後から頭頸部の右屈曲が強まる。声かけに対して発声により反応するが,検者と視線を合わすことはなかった。介入;頭頸部が自由に全方向へ可動し,正中に戻ることも可能。全方向からの声かけに対して検者と視線を合わせ,言葉で返答することが可能。【結論】非介入で垂直に設定された骨盤は後方へ倒れようと不安定で,背もたれが上部胸郭と仙骨の倒れを固定する。上方の頭頸部は重力により前下方へ落ち込む。そのため臀部を前方へずらすことで頭頸部の落ち込みを回避していると考えられる。この座位姿勢では頭頸部の落ち込み回避のために筋力が必要であり,頸部回旋の自由度を減少させると考える。介入では,骨盤を後傾位に設定するが,坐骨を座面に設置した三角クッションに乗せることで臀部の前方への滑りを固定した。また,後方へ倒れる胸郭の重みを背もたれに設置した三角クッションで受けることで胸郭から下方が安定し,上方の頭頸部の支持性が向上したと考えられる。そのため,座位保持に必要な筋力が減少し,楽に座ることができた。また,声かけなどの刺激に対して,多様な反応を示すことができたと考える。今後,対象者数を増大,評価項目を検討し,高齢者に対する座位保持理論を系統化していきたい。