著者
阿部 洋丈 Hirotaka Abe 科学技術振興機構 CREST JST CREST
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-14, 2006-01-26
参考文献数
32
被引用文献数
1

本稿では,近年注目を集めているpeer-to-peer型分散システムを構築するための基盤技術,分散ハッシュテーブル(Distributed Hash Table; DHT)についての入門的な解説を行う.分散ハッシュテーブル技術は,システム全体を管理する中央サーバを持たないようなpeer-to-peerシステム(pure peer-to-peerシステム)において,効率的なオブジェクト発見の実現を可能にする.
著者
阿部 彩
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.339-348, 2021-05-15 (Released:2021-06-03)
参考文献数
28

目的 本研究は,祖父母世代の貧困が親世代の貧困を統制しても孫のBMIと抑うつに影響があるのかを明らかにすることを目的とした。方法 東京都(2016年)が行った都下の4つの自治体の小学5年生,中学2年生,高校2年生の年代の全児童とその保護者を対象とした子どもの生活実態調査(有効回収数8,367票,有効回答率42.0%)のデータを用いて,まず,祖父母世代の貧困と親の貧困による4つの貧困タイプに分類し,BMIと抑うつの値の差を検証した。次に,祖父母世代の貧困が親世代の貧困と親世代のBMIと抑うつと関連し,それらを介して孫のBMIと抑うつと関連するといった関係に加え,直接的にも孫のBMI・抑うつに関連するというモデルを仮定し,モデルの適合性と変数間の関連を,構造方程式モデリング(SEM)を用いて分析した。分析に用いたのは,保護者票の回答者が母親であった小学5年生2,407票,中学2年生2,415票であった。指標には,孫にはBMIとバールソン児童用抑うつ尺度(DSRS-C),親にはBMIおよびK6を用いた。結果 抑うつについては,祖父母世代では貧困であったが,現在貧困でない層は非貧困層に比べ統計的に有意に抑うつ指標が高かった。しかし,BMIについては統計的な有意差はなかった。また,SEM分析の適合度は,BMIの場合はCFI=0.907,RMSEA=0.036,抑うつ指標の場合はCFI=0.810,RMSEA=0.037であった。祖父母の貧困は,BMIについては親のBMIを介して子のBMIと正に関連しているものの,直接的な関連や親の貧困を介した関連は見られなかった。しかし,抑うつについては,親の貧困,親の抑うつを介した正の関連に加え,直接的な正の関連が認められた。結論 抑うつについては,祖父母世代の貧困は,親の貧困と抑うつを介さない祖父母世代からの不利の蓄積が孫の抑うつと正に関連しており,その対策には,現時点の親と子の状況の改善のみならず,将来,子が親となる時に不利を孫に伝承しない「3世代アプローチ」が必要である。一方,BMIについては,親と子の2世代の現時点のBMIに対する政策が有効であると考えられる。
著者
阿部 拓三 佐藤 長明
出版者
日本魚學振興會
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.159-163, 2009

ダンゴウオは、標準体長18mm程度で成熟する小型のダンゴウオ科魚類である。熊本県天草、長崎県野母岬から青森県下北半島までの日本各地、および東シナ海北部から黄海に至る広範囲から採集記録があり、日本周辺の浅海域に広く分布すると考えられる。しかし、本種の繁殖に関する知見はUenoによる成熟雌の卵巣卵の数およびサイズなどに関する若干の記述に限られ、詳しい生態は不明であった。本研究では、宮城県南三陸町志津川湾から得られた繁殖個体をもとに、野外における卵保護習性、産卵基質、一腹卵数、卵径および産卵頻度など、本種の繁殖生態の特徴を報告する。
著者
小林 俊秀 村手 源英 石塚 玲子 阿部 充宏 岸本 拓磨
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

生体膜に於いて脂質はランダムに配列しているのではなく、脂質二重層の内層と外層の脂質組成は異なり、内層のみ、外層のみをとっても特定の脂質がドメインを形成している。しかし生体膜における脂質の詳細な分布状態はほとんど明らかになっていない。私たちは特定の脂質、あるいは脂質複合体や脂質構造体に特異的に結合するプローブを開発するとともに、それらのプローブを用い、超高解像蛍光顕微鏡、免疫電子顕微鏡法等さまざまな顕微鏡手法を用いて、脂質ラフトをはじめとする脂質ドメインの超微細構造を解析し、また細胞分裂や細胞接着等や種々の病態における脂質ドメインの動態を併せて観測することにより脂質ドメインの機能の解明を試みた。
著者
森 桂 及川 恵美子 阿部 幸喜 中山 佳保里
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.434-442, 2018-12-28 (Released:2019-02-16)
参考文献数
10

「疾病及び関連保健問題の国際統計分類:International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems(以下「ICD」と略)」とは,異なる国や地域から,異なる時点で集計された死亡や疾病のデータの体系的な記録,分析,解釈及び比較を行うため,世界保健機関憲章に基づき,世界保健機関(WHO)が作成した分類であり,WHO国際分類ファミリーにおける「中心分類」の一つである.ICDは1900年(明治33年)に国際会議で初めて採択され,当初は死亡統計の分類として使用されていたが,時代のニーズに応えて疾病統計等へ視野を拡大して改訂を重ねてきた.我が国でも1900年からICDを採用し運用を行っており,現在では,ICD-10(2013年版)に準拠した「疾病,傷害及び死因の統計分類」を作成し,統計法に基づく統計基準として告示改正を行い,2016年より人口動態統計や患者調査等の公的統計に使用しているほか,医療機関における診療録の管理等に活用されている.厚生労働省では有識者による審議会を設置して,ICDの国内適用や専門分野の議論を行うとともに,国立保健医療科学院,日本病院会日本診療情報管理学会, 日本東洋医学サミット会議等とともに 8 機関で構成されるWHO国際統計分類協力センターとして指定を受け,多くの専門家とともにWHO関連会議に参加してきた.こうした中,ICD-10改訂から約30年経ち,時代が要請する様々なニーズに応えていくため,2007年からICD-11の開発が開始された.改訂作業には日本病院会による財政的支援とともに,多くの日本の医学の専門家,団体も積極的に議論に参加し,多大な貢献をしてきた.2016年に東京で開催されたICD-11改訂会議において加盟国レビュー用のICD-11案が公表,多くの診療情報管理士の協力も得ながらフィールドテストを進め,2018年 6 月のICD-11公表を迎えた.この公表を受けて,加盟国は自国の適用へ向けた準備を開始することを期待されており,2019年 5 月世界保健総会へ提出される予定となっている.世界的に高齢化が進み,特に我が国では多死社会を迎えようとする中,持続可能な保健医療システムを構築し,効果的な対応を図っていくことが重要である.そのために統計や情報基盤の整備と活用が一層求められており,ICDはその一助として役割を果たすことが期待されている.2018年 8 月審議会において,我が国におけるICD-11の公的統計への適用に向けた本格的な議論を開始したところであり,今後,速やかな適用に向けて,法制度上の取り扱いや利用環境等,関係者と連携しながら具体的な検証や整備を進める予定である.
著者
阿部 隆夫
出版者
日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.452-457, 2003-10-25
参考文献数
7

デジタルプリンタは, 今日カラー画像をプリントするとき, ごく普通に使われている.種々のデジタル画像プリント技術の中で, 染料インクを用いるインクジェット記録方式と染料熱転写記録方式は, 特に画質に優れており, 従来の写真と比べて一見ほぼ同じに見える画像を作り出す.しかし, これらの方式でプリントした画像の保存性は, まだ写真より劣つていて, 重大な改善課題となつている.今後, 画像保存性が改良されたとき, デジタル画像プリント方式はますます現在の写真市場を奪つていくことになろう.本稿では, デジタルプリント技術の現状について述べ, さらに, 写真調デジタルカラー画像市場の広がりを考えてみる.
著者
中井 泉 由井 宏治 阿部 善也 木島 隆康 星野 真人
出版者
東京理科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

色材の分析で最も信頼できる物質情報を与える、絵画分析に適した世界最先端のポータブル粉末X線回折計と、日本画の染料の分析に有用な光分析装置を開発した。その応用として小布施の北斎館に収蔵の葛飾北斎の浮世絵、男浪、女浪の実地分析を行って、色材の概要を明らかにし、成果はNHKでTV放映された。優れた回折計の開発により、ノルウエーのオスロ国立美術館に招待され、開発した回折計を用いて、世界的な名画、ムンクの「叫び」を分析しムンクが用いた色材について、重要な知見をえることができた。さらに放射光を使った絵画の透過イメージング法を開発し、大原美術館のマティスの絵を分析し、塗り込められた下絵を解き明かした。
著者
赤城 沙紀 阿部 善也 和泉 亜理沙 平山 愛里 村串 まどか 中井 泉 下山 進
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.519-525, 2019-07-05 (Released:2019-08-03)
参考文献数
26

A portable spectrometer capable of measuring both an ultraviolet-visible absorption (UV-vis) and a fluorescence emission spectrum was developed with the aim of nondestructive onsite analysis of be the cultural heritage and artwork. To demonstrate the availability of the spectrometer, we brought it to Hokusai Museum to carry out the analysis of original drawings by Katsushika Hokusai (1760-1849), a Japanese Ukiyo-e painter and printmaker of the Edo period. His two drawings, “Waves” and “Chrysanthemums”, were investigated by means of the UV-vis/fluorescence spectrometer together with portable instruments of other analytical techniques (X-ray fluorescence spectrometry, X-ray powder diffractometry, and micro Raman spectroscopy), in the nondestructive manner. As the results, UV-vis and fluorescence emission spectra revealed that Hokusai had used several kinds of organic pigments and dyes in these two paintings. Generally, it is difficult to identify these organic painting materials by X-ray analytical techniques. Our analytical results demonstrated that Hokusai had created beautiful and deep colors in drawings by a mixing or a recoating of various pigments and dyes such as indigo, laccaic acid, safflower.
著者
吉次 なぎ 阿部 真也 山本 佳世子
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.425-426, 2018-03-13

日本における自然災害の多さや昨今の国際情勢を鑑みるに, 避難経路の導出に適した手法の開発が必要である. しかし, 避難者が経路長や安全性を考慮して最適な避難先と避難経路を直感的に判断することは難しい. さらに, 非常時には避難場所や避難経路の環境が時々刻々と変化するため, 複数の避難先と避難経路を優先度付きで求める必要がある. 既存の経路探索アルゴリズムは始点と終点を結ぶ最短経路を導くが, 粘菌アルゴリズムは始点と終点を複数設定できる点, 複数の経路を同時に計算できる点で, 前者より優れている. 我々は, 地理情報システム(GIS)を用いて地理データを加工し, 粘菌アルゴリズムを用いた避難経路の導出手法を開発した.
著者
小峯 健一 浅井 健一 板垣 昌志 小峯 優美子 黒石 智誠 阿部 省吾 阿部 榮 齋藤 博水 熊谷 勝男
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.9, pp.169-176, 1999-08-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
36
被引用文献数
1

健康な乳牛の泌乳期から乾乳,分娩期に及ぶ各ステージの乳房総計68例から乳汁を採取し,それぞれの体細胞数(SCC)とこれらの細胞が中心的に産生する生理活性タンパク分子である,ラクトフェリン(Lf),αl酸性糖タンパク(α1AG),フィブロネクチン(FN)の各濃度を測定した.さらには乳腺内リンパ球の産生するIgG1とIgG2を中心とした,免疫グロブリン(Ig)サブクラスの濃度を測定し,それぞれの変動を追跡した.その結果,SCCは泌乳期の間は低値を示したが,乾乳導入後いち早く増加した.このSCCの上昇に伴って,最も早期にLfの産生が起こり,これに続いて,αlAGやFN値も上昇し,いずれも乾乳期中期までには最高値に達した.一方,乳汁中のIg濃度は,泌乳期を通じて乾乳初期まで低値を示していたが,乾乳中期に移行するに及びIgG1を主とした濃度の急速な増加を示し,初乳分泌期である乾乳後期には極めて高値のG1/G2比(60-7)と共に,最高濃度を示した.以上の成績は,乾乳導入に伴う乳腺分泌液へのSCの集積と,それに続く生理活性タンパク分子の急速な産生は,泌乳期乳腺上皮細胞の退行と新しい乳腺組織の増殖分化を営むために必須で,また,次回分娩に備えたIgG1を主体とした乳腺内での初乳形成を促進する生理的変化であることを示唆した.
著者
吉田 司 渡邉 大輝 中潟 崇 山田 陽介 黒谷 佳代 澤田 奈緒美 田中 健司 岡林 恵 島田 秀和 瀧本 秀美 西 信雄 宮地 元彦 阿部 圭一
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
pp.20-111, (Released:2021-05-14)
参考文献数
34

目的 本研究は,大阪府北部の摂津市および南部の阪南市における40歳以上の中高齢者のフレイル該当割合と2市で共通してフレイルと関連する要因を明らかにすることを目的とした。方法 2018年度に摂津市,2019年度に阪南市において無記名式郵送調査を行った。対象者は,小学校区ごとの40歳以上の性・年齢階級別の人口構成に応じて各小学校区から1,000人ずつ無作為に抽出した(摂津市10小学校区,阪南市8小学校区)。分析対象者は摂津市が5,134人,阪南市が3,939人であった。フレイル評価は,基本チェックリスト(KCL)および簡易フレイル指標(SFI)を用いた。フレイルを目的変数とし,年齢,性,BMI,家族構成,主観的健康感,経済状況,主観的体力,睡眠,喫煙,飲酒,食事回数,用語「フレイル」認知度を説明変数として多変量ロジスティック回帰分析を適用した。すべての分析は,摂津市と阪南市に分けて行った。結果 対象者の平均年齢と標準偏差は,摂津市が62.7±12.5歳および阪南市が63.4±12.2歳であった。KCLによるフレイル該当割合は,摂津市と阪南市でそれぞれ40歳代が18.7%と17.9%,50歳代が18.2%と14.6%,60歳代が17.0%と15.7%,70歳代が25.4%と20.8%,80歳以上が39.7%と36.1%であった。SFIによるフレイル該当割合は,摂津市と阪南市でそれぞれ40歳代が16.2%と13.5%,50歳代が15.0%と11.9%,60歳代が12.5%と10.0%,70歳代が14.6%と12.3%,80歳以上が24.7%と22.3%であった。摂津市および阪南市で共通し,かつKCLとSFIで共通してフレイルと関連した要因は,高年齢,主観的健康感の低さ,経済状況の不良,主観的体力の低さ,睡眠が不十分,およびフレイル認知度の低さであった。結論 大阪府の2市における調査により,40歳代や50歳代であっても一定数のフレイル該当者がいることが明らかになり,より早期の働く世代からのフレイル予防の取り組みが必要であることが示唆された。また,フレイルと関連する6つの要因が抽出されたが,因果関係や公衆衛生的意義について縦断研究や介入研究による検討が求められる。
著者
阿部 嘉昭
巻号頁・発行日
2019-03-25

北海道大学. 博士(文学)
著者
阿部 斉
出版者
国土社
雑誌
政治経済論叢
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.93-104, 1965-06
著者
永井 成美 亀田 菜央子 小橋 理代 西田 美奈子 堀川 千賀 江川 香 吉村 麻紀子 北川 義徳 阿部 圭一 木曽 良信 坂根 直樹 小谷 和彦 森谷 敏夫
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.257-264, 2007-10-10 (Released:2009-01-30)
参考文献数
22

L-カルニチンがヒトの空腹感に及ぼす影響を明らかにするために, 若年健常女性12名 (21.3±0.3歳) を対象として, L-カルニチン300mgを含有するフォーミュラ食と通常のフォーミュラ食を用いた二重盲検プラセボ対照試験による検証を行った (ウォッシュアウト : 1週間)。前夜からの絶食の後, フォーミュラ食を朝食として摂取させ, 食前および食後6時間まで満腹感スコア (ビジュアルアナログスケールズ ; VASs), 唾液コルチゾール, 血清カルニチン濃度, 血糖値, および心拍変動パワースペクトル解析を用いた自律神経活動指標を経時的に測定した。実験結果から, L-カルニチン摂取により主観的空腹感が軽減される可能性があること, および, 空腹感の軽減には血清総カルニチン濃度が関連していることが示唆された。さらに, 唾液コルチゾールはL-カルニチン摂取30分後, 2時間後には低値を示したが, 空腹感軽減との明確な関連は明らかではなかった。
著者
阿部 誠 新沼 大樹 吉澤 誠 杉田 典大 本間 経康 山家 智之 仁田 新一
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.11-17, 2014-02-10 (Released:2014-05-22)
参考文献数
22

Because of simplicity, subjective evaluation methods with questionnaires have been used conventionally to assess biological effects of viewing visual images. However, these methods have low objectivity and low reproducibility, and it is difficult to evaluate the effects as a time series. On the other hand, physiological indices based on such as electrocardiography, photoplethysmography, and electroencephalography have commonly been used to evaluate the effects objectively and continuously. However, physiological indices may include psychological effects as well as physiological effects, which have been considered little in the conventional studies. In this study, therefore, in order to remove the psychological effects from the physiological indices as much as possible and to extract the physiological effects such as eye strain or visually induced motion sickness, we performed the experiment in which the same video was shown multiple times to subjects with an expectation of attenuation of the psychological effects by adapting to the experiment. From the experimental result, a physiological index related to correlativity of the baroreflex system was increased significantly with the repeat count of the experiment. The comparison between the physiological index and the questionnaire on psychological state has suggested that this fact was caused by a decrease in not only stress or anxiety to the experiment but also a decrease in concentration or a reduction of interests in the video image.
著者
新井 祐未 石田 裕美 中西 明美 野末 みほ 阿部 彩 山本 妙子 村山 伸子
出版者
日本栄養・食糧学会
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.139-146, 2017 (Released:2017-11-16)

世帯収入別の児童の栄養素等摂取量に対する学校給食の寄与の違いを明らかにすることを目的とし,小学5年生の児童とその保護者を対象に調査を実施した。世帯収入は保護者への質問紙調査,児童の栄養素等摂取量は平日2日と休日2日の計4日間の食事調査(秤量・目安量記録法)により把握した。低収入群と低収入以外群に分け,摂取量および摂取量に占める学校給食の割合について共分散分析により比較した。低収入群は平日より休日に摂取量が有意に少ない栄養素が多く,特に昼食で有意な差が認められる栄養素が多かった。また平日,休日ともにたんぱく質摂取量が有意に少なかった。平日1日あたりの摂取量に占める学校給食の割合には有意な差が認められなかった。休日を含めた4日間の総摂取量に占める学校給食の割合は,たんぱく質,ビタミンA,食塩相当量で有意な差が認められ,いずれも低収入群の割合が低収入以外群の割合より高かった。4日間の摂取量に対する学校給食の寄与は,低収入以外群より低収入群の方が高いことが明らかとなった。