著者
阿部 恵子
出版者
一般社団法人 室内環境学会
雑誌
室内環境学会誌 (ISSN:21864314)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.41-50, 1998-12-25 (Released:2012-10-29)
参考文献数
14
被引用文献数
3

冷房時のエアコンおよび住宅内部環境のカビ指数を調査した。カビ指数とは, カビをバイオセンサーに用いることにより調査箇所におけるカビ発生の可能性を評価するものである。冷房期間中, 室内はカビの育ちにくい環境になったが, エアコン吹出口は常に高いカビ指数が検出されカビの育つ環境であった。エアコン内部は吹出口よりもさらに高いカビ指数を示し, 著しくカビが成長しやすい環境になった。そこで, 住宅で使用していたエアコンを汚染するカビについて調査した。エアコン内部はカビ汚染が肉眼で観察できる状態で, クラドスポリウムが寡占種になっていた。汚染されたエアコンを通過した空気中から高頻度でクラドスポリウムが分離されたが, 新しいエアコンから吹き出される空気中にはカビがほとんど含まれなかった。冷房時にエアコン内部がカビの育ちやすい環境を保つことによりエアコン内部でカビが増殖し, その胞子がエアコン通過空気に載って室内に飛6散し, エアコンが室内空気の汚染源になることが明らかである。
著者
江木 盛時 小倉 裕司 矢田部 智昭 安宅 一晃 井上 茂亮 射場 敏明 垣花 泰之 川崎 達也 久志本 成樹 黒田 泰弘 小谷 穣治 志馬 伸朗 谷口 巧 鶴田 良介 土井 研人 土井 松幸 中田 孝明 中根 正樹 藤島 清太郎 細川 直登 升田 好樹 松嶋 麻子 松田 直之 山川 一馬 原 嘉孝 大下 慎一郎 青木 善孝 稲田 麻衣 梅村 穣 河合 佑亮 近藤 豊 斎藤 浩輝 櫻谷 正明 對東 俊介 武田 親宗 寺山 毅郎 東平 日出夫 橋本 英樹 林田 敬 一二三 亨 廣瀬 智也 福田 龍将 藤井 智子 三浦 慎也 安田 英人 阿部 智一 安藤 幸吉 飯田 有輝 石原 唯史 井手 健太郎 伊藤 健太 伊藤 雄介 稲田 雄 宇都宮 明美 卯野木 健 遠藤 功二 大内 玲 尾崎 将之 小野 聡 桂 守弘 川口 敦 川村 雄介 工藤 大介 久保 健児 倉橋 清泰 櫻本 秀明 下山 哲 鈴木 武志 関根 秀介 関野 元裕 高橋 希 高橋 世 高橋 弘 田上 隆 田島 吾郎 巽 博臣 谷 昌憲 土谷 飛鳥 堤 悠介 内藤 貴基 長江 正晴 長澤 俊郎 中村 謙介 西村 哲郎 布宮 伸 則末 泰博 橋本 悟 長谷川 大祐 畠山 淳司 原 直己 東別府 直紀 古島 夏奈 古薗 弘隆 松石 雄二朗 松山 匡 峰松 佑輔 宮下 亮一 宮武 祐士 森安 恵実 山田 亨 山田 博之 山元 良 吉田 健史 吉田 悠平 吉村 旬平 四本 竜一 米倉 寛 和田 剛志 渡邉 栄三 青木 誠 浅井 英樹 安部 隆国 五十嵐 豊 井口 直也 石川 雅巳 石丸 剛 磯川 修太郎 板倉 隆太 今長谷 尚史 井村 春樹 入野田 崇 上原 健司 生塩 典敬 梅垣 岳志 江川 裕子 榎本 有希 太田 浩平 大地 嘉史 大野 孝則 大邉 寛幸 岡 和幸 岡田 信長 岡田 遥平 岡野 弘 岡本 潤 奥田 拓史 小倉 崇以 小野寺 悠 小山 雄太 貝沼 関志 加古 英介 柏浦 正広 加藤 弘美 金谷 明浩 金子 唯 金畑 圭太 狩野 謙一 河野 浩幸 菊谷 知也 菊地 斉 城戸 崇裕 木村 翔 小網 博之 小橋 大輔 齊木 巌 堺 正仁 坂本 彩香 佐藤 哲哉 志賀 康浩 下戸 学 下山 伸哉 庄古 知久 菅原 陽 杉田 篤紀 鈴木 聡 鈴木 祐二 壽原 朋宏 其田 健司 高氏 修平 高島 光平 高橋 生 高橋 洋子 竹下 淳 田中 裕記 丹保 亜希仁 角山 泰一朗 鉄原 健一 徳永 健太郎 富岡 義裕 冨田 健太朗 富永 直樹 豊﨑 光信 豊田 幸樹年 内藤 宏道 永田 功 長門 直 中村 嘉 中森 裕毅 名原 功 奈良場 啓 成田 知大 西岡 典宏 西村 朋也 西山 慶 野村 智久 芳賀 大樹 萩原 祥弘 橋本 克彦 旗智 武志 浜崎 俊明 林 拓也 林 実 速水 宏樹 原口 剛 平野 洋平 藤井 遼 藤田 基 藤村 直幸 舩越 拓 堀口 真仁 牧 盾 増永 直久 松村 洋輔 真弓 卓也 南 啓介 宮崎 裕也 宮本 和幸 村田 哲平 柳井 真知 矢野 隆郎 山田 浩平 山田 直樹 山本 朋納 吉廣 尚大 田中 裕 西田 修 日本版敗血症診療ガイドライン2020特別委員会
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.28, no.Supplement, pp.27S0001, 2020 (Released:2021-02-25)
被引用文献数
2

日本集中治療医学会と日本救急医学会は,合同の特別委員会を組織し,2016 年に発表した日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG) 2016 の改訂を行った。本ガイドライン(J-SSCG 2020)の目的は,J-SSCG 2016 と同様に,敗血症・敗血症性ショックの診療において,医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことである。改訂に際し,一般臨床家だけでなく多職種医療者にも理解しやすく,かつ質の高いガイドラインとすることによって,広い普及を目指した。J-SSCG 2016 ではSSCG 2016 にない新しい領域[ICU-acquired weakness( ICU-AW)と post-intensive care syndrome(PICS),体温管理など]を取り上げたが,J-SSCG 2020 では新たに注目すべき4 領域(Patient-and Family-Centered Care,sepsis treatment system,神経集中治療,ストレス潰瘍)を追加し,計22 領域とした。重要な118 の臨床課題(clinical question:CQ)をエビデンスの有無にかかわらず抽出した。これらのCQ には,本邦で特に注目されているCQ も含まれる。多領域にわたる大規模ガイドラインであることから,委員25 名を中心に,多職種(看護師,理学療法士,臨床工学技士,薬剤師)および患者経験者も含めたワーキンググループメンバー,両学会の公募によるシステマティックレビューメンバーによる総勢226 名の参加・協力を得た。また,中立的な立場で横断的に活躍するアカデミックガイドライン推進班をJ-SSCG 2016 に引き続き組織した。将来への橋渡しとなることを企図して,多くの若手医師をシステマティックレビューチーム・ワーキンググループに登用し,学会や施設の垣根を越えたネットワーク構築も進めた。作成工程においては,質の担保と作業過程の透明化を図るために様々な工夫を行い,パブリックコメント募集は計2 回行った。推奨作成にはGRADE方式を取り入れ,修正Delphi 法を用いて全委員の投票により推奨を決定した。結果,118CQ に対する回答として,79 個のGRADE による推奨,5 個のGPS(good practice statement),18 個のエキスパートコンセンサス,27 個のBQ(background question)の解説,および敗血症の定義と診断を示した。新たな試みとして,CQ ごとに診療フローなど時間軸に沿った視覚的情報を取り入れた。J-SSCG 2020 は,多職種が関わる国内外の敗血症診療の現場において,ベッドサイドで役立つガイドラインとして広く活用されることが期待される。なお,本ガイドラインは,日本集中治療医学会と日本救急医学会の両機関誌のガイドライン増刊号として同時掲載するものである。
著者
阿部 寛 中西 紀元 三上 直子
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.396-401, 1996
被引用文献数
1

石鹸は古来, その安価さと使用時の泡立ちの豊かさ, 洗い上がり時のさっぱり感から, もっとも手軽に用いられてきた身体洗浄料基材であった。しかしながら, 近年の素材のマイルド化の流れの中で, すすぎ時のきしみ感や洗い上がりのつっぱり感等が指摘されることもあった。<br>そこで石鹸の優れた特性を保ちつつ, マイルド感のある界面活性剤の探索を行ったところ, 脂肪酸のリジン塩が, 以下の特性を有する優れた洗浄料基材となることを見いだした。<br>(1) 皮膚一次刺激性, 眼粘膜一次刺激性ともに, 一般のマイルド系界面活性剤と同等以上の低刺激性である。<br>(2) 他の脂肪酸塩類に比べ速やかに生分解される。<br>(3) 低濃度から高濃度にいたるまで良好な起泡力を示し, また適合pH領域が広く, 弱アルカリ性でも使用可能である。<br>(4) 官能面では, 洗浄時には泡立ちの早さ, 泡量, 泡保ちに優れ, 使用後にはさっぱりしながら, しっとり, すべすべした感触を感じさせる。
著者
宇髙 麻子 吉岡 靖雄 吉田 徳幸 宇治 美由紀 三里 一貴 森 宣瑛 平井 敏郎 長野 一也 阿部 康弘 鎌田 春彦 角田 慎一 鍋師 裕美 吉川 友章 堤 康央
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第39回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.O-39, 2012 (Released:2012-11-24)

抗原を粘膜面から接種する粘膜ワクチンは、全身面と初発感染部位である粘膜面に二段構えの防御を誘導できる優れたワクチンとなり得る可能性を秘めている。しかし抗原蛋白質は体内安定性に乏しく、単独接種ではワクチン効果が期待できない。そのため、免疫賦活剤(アジュバント)の併用が有効とされており、既に我々はTNF-αやIL-1α等のサイトカインが優れたアジュバント活性を有することを先駆けて見出してきた(J.Virology, 2010)。しかしサイトカインは吸収性にも乏しく、アジュバントの標的である免疫担当細胞への到達効率が極めて低い。そのため十分なワクチン効果を得るには大量投与を避け得ず、予期せぬ副作用が懸念される。言うまでも無く、現代のワクチン開発研究においては、有効性のみを追求するのではなく、安全性を加味して剤型を設計せねばならない。そこで本発表では、ナノ粒子と蛋白質の相互作用により形成されるプロテインコロナ(PC)を利用することで、サイトカイン投与量の低減に成功したので報告する。PCとは、ナノ粒子表面に蛋白質が吸着して形成する層のことを指す。近年、PC化した蛋白質は体内安定性や細胞内移行効率が向上することが報告されている。まず粒子径30 nmの非晶質ナノシリカ(nSP30)を用いてPC化したTNF-α(TNF-α/nSP30)を、ニワトリ卵白アルブミン(OVA)と共にBALB/cマウスに経鼻免疫し、OVA特異的抗体誘導能を評価した。その結果、有害事象を観察することなく、0.1 µgのTNF-αを単独で投与した群と比べ、TNF-α/nSP30投与群においてOVA特異的IgG・IgAの産生が顕著に上昇していた。以上、PCがTNF-αアジュバントの有効性と安全性を向上できる基盤技術となる可能性を見出した。現在、体内吸収性の観点からPC化サイトカインのワクチン効果増強機構やナノ安全性を解析すると共に、最適なPC創製法の確立を推進している。
著者
会田 久仁子 阿部 純子 角野 幸子 山塙 圭子 遠藤 英子 角野 猛 山田 幸二
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.70-74, 1999
被引用文献数
1

We analyzed the various component and bacteria of Home-made Izushi in Hokkaido Area.<BR>The results were as follows:<BR>1. The averages of contents of salt and potassium, and water activity of Home-made Izushi were 2.3%, 121mg/100g and 0.941, respectively.<BR>2. The total amounts of free amino acids of Izushi were 540mg/100g-2522mg/100g.<BR>The major free amino acids of Izushi were glutamic acid, alanine, leucine, anseline and lysine.<BR>3. Major fatty acids composition of Izushi were C18:1, C16:0 and C18:3.<BR>4. Mean bacterial counts and lactic acid bacteria of Izushi were 6.168/log/g and 6. 598/log/g, respectively.Coliform organisms, E.coli, Staphylococcus aureus and Salmonella were not detected from Izushi.
著者
佐藤 千代子 加藤 元嗣 西川 有佳 今村 佳奈 松本 健太郎 松本 和加子 福原 直美 阿部 千里 井川 敬子 間部 克裕
出版者
道南医学会
雑誌
道南医学会ジャーナル
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.35-37, 2018

上部消化管内視鏡検査では、苦痛なく検査が施行できるよう咽頭麻酔が行われる。咽頭麻酔の方法はキシロカインビスカス法、アイスドロップ法、スプレー法等があるが、今回効率的かつ患者満足度の高い咽頭麻酔導入を目的として、当院の従来法(アイスドロップ法)とスプレー法を比較検討したため、報告する。
著者
阿部 亮
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 = Sustainable livestock production and human welfare (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.69, no.12, pp.995-998, 2015-12

今回の酪肉近において飼料に関しては,「国産飼料生産基盤の確立」という項目の中で,次の6課題を掲げている。(1) 国産粗飼料の生産・利用の拡大,(2) 放牧活用の推進,(3) 飼料用米等国産飼料穀物の生産・利用の拡大,(4) エコフイードの生産・利用の促進,(5) 飼料の流通基盤の強化,(6) 肉用牛生産における肥育期間の短縮,である。本稿では国産飼料用穀類の利用に関して,飼料用米とイアコーンサイレージについて,生産利用と研究・技術開発の現状を見,今後を考えたい。飼料として国内で使われている穀類は,トウモロコシ,こうりゃん(マイロ),小麦,大裸麦,米,ライ麦,エンバク等である。ほとんどが輸入であるといってよい,平成26年度の飼料穀類の輸入量は約1,205万トンでその83%がトウモロコシである。この年のトウモロコシの輸入量は約996万トンであるが,その82%は米国からのものである。次に乳牛と肉用牛の配合飼料の中の穀類の配合割合(2015年6月)を見ると,乳牛用では50.3%,肉用牛用では60.4%と共に過半を穀類が占めており,穀類の中ではトウモロコシが乳牛用では83.5%,肉用牛用では64.9%とデンプン給与の主体を担っている。
著者
藤原 誠 関根 康介 山本 義治 阿部 知子 佐藤 直樹 伊藤 竜一
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.362, 2010

葉緑体は植物細胞内で対称二分裂によって増殖する。葉緑体分裂の初期イベントはチューブリン様タンパク質FtsZが重合して出来るZリング形成であると考えられており、我々はこれまでにZリング形成の空間的制御にはストロマタンパク質MinDとMinEの活性のバランスが重要であることを示してきた。しかし、FtsZタンパク質が葉緑体内の特定の位置で凝集、重合し、さらに高次リング構造を形成する<I>in vivo</I>の過程については、未だ不明な点が多い。今回、我々はFtsZ1とGFPとの融合タンパク質(FtsZ1-GFP)を発現するシロイヌナズナ<I>MinE</I>(<I>AtMinE1</I>)過剰発現体及び変異体を用いて、生体葉緑体内におけるFtsZ1の構造と挙動を詳細に観察した。<br> 経時観察の結果、<I>AtMinE1</I>過剰発現体及び変異体いずれにおいても、ドット状及び短いフィラメント状のFtsZ1構造が存在し、無秩序な運動性を示すことが明らかになった。短いフィラメント状のFtsZはしばしばドット状のFtsZから伸張しており、別のフィラメントに組み込まれ太いフィラメントを形成した。<I>AtMinE1</I>過剰発現体では伸張した葉緑体を巻く螺旋状のFtsZが観察されたほか、<I>atminE1</I>変異体では巨大葉緑体のストロマ中に浮かぶ直径2μm以下のリングが検出された。
著者
阿部 学 藤川 大祐 山本 恭輔 谷山 大三郎 青山 郁子 五十嵐 哲也
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.67-72, 2018-12-01 (Released:2019-06-01)

本研究では,脱・傍観者の視点を取り入れたいじめ防止授業プログラム「私たちの選択肢」の開発を行った。授業においては,クラスの雰囲気といじめ抑止の関係について学んでもらうことをねらい,選択と分岐という工夫を取り入れた動画教材を活用した。実践結果についての考察から,本授業の有効性が概ね示された。

1 0 0 0 基本的人権

著者
阿部照哉 池田政章編
出版者
有斐閣
巻号頁・発行日
1975
著者
三浦 勝 森 隆太郎 高橋 徹也 小尾 芳郎 山中 研 阿部 哲夫 小林 大輔 中村 恭一
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.159-164, 2004
被引用文献数
2

内分泌細胞癌は悪性カルチノイド腫瘍ともいわれ, 従来の古典的カルチノイドとは区別されている. 今回, まれな十二指腸Vater乳頭部原発の内分泌細胞癌を経験したので報告する. 症例は66歳の女性で, 発熱, 腹痛を主訴に来院し, 血中アミラーゼ高値および肝機能異常を認めた. CT膵頭部に腫瘤形成を呈し, 上部消化管内視鏡ではVater乳頭部に, 中心に陥凹を有する隆起性病変を認め, 生検でVater乳頭部未分化癌または内分泌細胞癌の診断にて, 幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した. 術後病理学的にグリメリウス染色およびクロモグラニン染色陽性で, 内分泌細胞癌と診断した.術後早期にリンパ節再発, 肝転移を認め, 術後75病日に死亡した. Vater乳頭部原発の内分泌細胞癌は会議録を含め本邦報告17例とまれであるが, 予後は極めて不良とされている. 本症例も腫瘍部でのKi-67染色が約50%陽性と, 高頻度の細胞増殖を認め, 内分泌細胞癌の悪性度を裏付ける症例であった.
著者
阿部 健一郎 鈴木 穣 青木 不学
出版者
公益社団法人 日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集 第109回日本繁殖生物学会大会
巻号頁・発行日
pp.P-13, 2016 (Released:2016-09-16)

【目的】受精後の最初期に生じる遺伝子発現はzygotic gene activation(ZGA)と呼ばれている。マウスにおいてはまず1細胞期のS期にminor ZGAと呼ばれる遺伝子発現が生じ,この発現パターンは2細胞期のG1期まで維持される。その後,2細胞期のS期の進行に伴いminor ZGAとは大きく発現パターンが異なるmajor ZGAと呼ばれる遺伝子発現が生じる。これまでにmajor ZGAの特徴およびその機能については詳細に調べられているが,minor ZGAについては十分に明らかにされていない。そこで,受精後の最初の遺伝子発現であるminor ZGAの胚発生における役割を明らかにすることを目的として研究を行った。【方法】minor ZGAが開始される前に,RNA polymerase II(Pol II)のリン酸化酵素を可逆的に阻害する,5,6-dichloro-1-β- ribofuranosyl-benzimidazole(DRB)を培地に添加し,その後major ZGAが生じる2細胞期のS期にDRBを培地から除去し,転写を再活性化させた。これによりminor ZGAのみを時期特異的に阻害した。この条件下で胚発生を観察し,さらにRNAシーケンス解析によりDRB処理胚と未処理胚の遺伝子発現パターンを比較した。【結果】通常の胚は受精後96時間で95%が胚盤胞に到達するのに対し,DRB処理した胚では僅か7%しか胚盤胞に到達せず,65%の胚が2細胞期胚で発生を停止していた。さらに胚発生が停止した原因を究明するために,RNAシーケンス解析によりDRB処理した2細胞期胚と未処理の2細胞期胚の遺伝子発現パターンを比較したところ,本来2細胞期で発現が大幅に上昇するはずの,M期の進行に必要な3つの遺伝子が抑制されていた。これらの結果によりminor ZGAは胚発生の進行に必須なmajor ZGAを引き起こす役割があることが明らかになった。
著者
小倉 能理子 阿部 テル子 齋藤 久美子 石岡 薫 一戸 とも子 工藤 せい子 西沢 義子 會津 桂子 安杖 優子 小林 朱実
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.2_75-2_83, 2009-06-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
25

看護職者の患者指導に関する教育的機能を高めるための教育プログラムおよび教育・指導技能評価ツール開発にむけて,その基礎資料を得るために看護職者の患者指導に対する考えと実施の実態を調査した。その結果,看護職者は,患者指導を重要と考えているが実施は十分ではないことが示された。中でも,患者とともに指導を進めること,指導を計画的に行うために事前に調整が必要なことが行動につながっていなかった。指導形態では,指導計画の立案が不十分であることが把握された。それは,学習理論をふくむ教育方法に関する知識・技術が不十分であることが一因と考えられた。以上のことから,現職看護職者の患者指導に関する教育的機能を高めるためには,教育方法の理論・技術に関する基礎知識,教育の基本原理などの項目を看護基礎教育あるいは新人教育プログラムに盛り込む必要があると考えられた。
著者
阿部 優子 石川 雅子 会田 久仁子 小林 睦子 菊池 節子 半澤 明子 角野 猛 石村 由美子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.17, pp.153, 2005

<BR>目的 福島県は地理的環境などから山間部の会津地方、平野部の中通り地方、海岸部の浜通り地方の3地域に区分される。これらの地域は気候風土が異なり、それぞれの食生活にも強い地域性が存在することが知られている。しかし、近年の高速交通網の発達、人的交流などによって、その地域性も解消しつつあることも考えられる。本調査は、近年の福島県内の食生活、食文化の地域性を魚介類の種類とその調理方法において、調査・考察することを目的として実施し、先に会津地方の魚介類調査結果について報告した。今回、いわき市での食生活の特徴、魚介類の調理・加工の特徴、更に、本地方独特の魚介類の料理・加工方法などの調査結果を報告する。<BR>方法 平成15年2_から_3月にアンケート調査及び聞き取り調査を併行して行なった。調査は福島県いわき市内に10年以上居住している18世帯で、調査対象者は各世帯の主たる調理担当者に対して行った。<BR>結果 いわき市は太平洋に面した地域で、小名浜漁港をはじめとして、多くの漁港が存在し、日々多種類の魚が水揚げされている。従って、日常食としては、多種の魚介類が刺身、煮魚、焼き魚などで食されていた。また、大量に水揚げされた魚介類は塩漬け、干物、みりん干しなどに加工して販売されており、各家庭において保存食として日常的に用いられていた。行事食としては正月・祭事時に「鮟鱇鍋」、「鯛の塩焼き」「喜知次の煮付け」などが食されていた。また、土用の丑の日に「鰻の蒲焼き」が食されていた。本地方独特の料理・加工法として、「秋刀魚のぽうぽう焼き」、「秋刀魚鍋」、「秋刀魚のみりん干し」、「秋刀魚のなめろう」、「鮟鱇鍋(鮟鱇のどぶ汁)」、「鮟鱇の供酢」、「どんこ汁」、「メヒカリの天ぷら」などが食されていることがわかった。なお、本地域では一世帯あたり年間平均42種類の魚介類を食し、平均78種類の魚介類調理法が存在した。