著者
青木 孝文 長谷川 晶一 佐藤 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.490, pp.53-56, 2009-03-17

本研究の目的は,プロジェクタによって投影された映像に対しハプティックインタラクションを可能にすることである.操作中の疲労感の低減や複数人の複数指での操作を考えると,両手のすべての指先にも装着可能な小型軽量な非接地型ハプティックインタフェースが必要となる.そこで本論文では,構造化光受光型位置センサと小型振動子も用いた指先装着型インタフェースを提案する.本手法の特徴として,力覚提示装置自体が即座に位置情報を取得できることが挙げられる.そのため,力覚提示の際に問題となる遅延の影響が少ない.また,高速な位置計測が可能なことからめり込み・すり抜けといった不具合を回避することが可能である.
著者
齊藤 稔 青木 孝夫 欒 竹民 幣原 映智 長田 年弘 安西 信一 原 正幸 金田 晋
出版者
広島市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究は東西の伝統的学芸の価値概念である西洋の自由学芸、日本の芸道、中国の六芸を対象とし、解釈学的に比較することを意図した比較芸術学的共同研究であり、広島市立大学をはじめ広島大学その他の大学の専門家の協力をえて推進した。ヨーロッパにおいては古代から中世を経て近世・近代に至るまで7自由学芸(septem artes liberales)、文法、修辞学、弁証術、数学、幾何学、天文学、音楽はアルス(ars)として、技術・芸術と学問の不可分の領域と見なされ、哲学とともに人間性を探究するための、また教育と教養を培うための学芸であった。古代ローマ時代のキケロはそのような教育と教養が人間存在にとって必要不可欠な徳としての気品(dignitas)を生み出すことを強調し、ルネッサンスにおいてペトラルカは人間社会のためにそのような倫理の必要を説いた。これはまた造形芸術の美質であり目的でもあった。他方レオナルド・ダ・ヴィンチは絵画を自由学芸と同列に置き、絵画は学問であるとして「絵画学」(scienza della pittura)を主張した。というのは絵画は遠近法や解剖学や光学などを本質的に必要とするからである。日本の芸道は民族的な美的意識であり、芸術の思念と実践を統合する価値概念であった。これはあらゆる美的な生活芸術を貫く芸と術の道としての芸術的営為であり、教化されるべき様式として把握された。また高い徳と美的に教育された人間存在の教養を形成するために求められた。そこでは制作や表現においても、享受や理解においても、つねに帰一すべき根源的自然、あるいは神的超越者を自覚して精進する。芸道は真・善・美を求める人にとって高徳の人間形成のための、また美的形成、美的教養として望まれる必須のアルス(学芸)であった。中国ではさらに古くから六芸として、礼、楽、射、御、書、数の教養思想があり、基本的には人間として修得すべき教養や道徳であり、技芸や学芸であった。その修得は文学や哲学から詩や書・絵画の技術的習練にも結びついた。それは絵画では書画同体、十八画法などの奥義の技法をも含んでいる。本共同研究はこれら3つの概念を比較学的に研究し、それらの類似と相違を明確にするように試みた。それによって3つの美的システムが学芸の領域に属するだけではなく、真・善・美の価値意識の普遍的理念を伴う人間生活全般に深く関わることを理解することができた。そしてこの総合研究の成果は学際的研究への貢献として、それら伝統的学芸とその解釈が美的真実への感性的理性的認識に到達するものであることを示しえたと考えている。
著者
青木 孝志 吉福 康郎 足達 義則
出版者
International Society of Life Information Science
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.385-391, 1999-09-01 (Released:2019-04-30)
参考文献数
15
被引用文献数
2

筆者は, ベクトルポテンシャル発生器により発生させたゲイジ場(ベクトルポテンシャル)は, 皮膚の電気伝導, 脈波, 皮膚表面温度等への生理学的影響を与える。すなわち、自律神経に影響を与えることを実験により導き出した。また、液体のNMR半値幅, 粘性係数にも影響を与えることを導き出した。一方, 人体中には電流があるから人体からもベクトルポテンシャルが放出される。これは生体が他の生体に生理学的影響を与える可能性を示唆しているであろう。今回はこれらのことにつき説明を加え将来を展望する。
著者
青木 孝悦
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.1-13, 1971-04-10 (Released:2010-07-16)
参考文献数
13
被引用文献数
31 33

1) About 6, 000 personality trait words were collected from a standard Japanese dictionary (Meikai Kokugo Jiten, 88th ed.), 217 students' free descriptions of other persons and 43 students' free descriptions of themselves. Of these words, 517 were classified by more than four of the six raters into the category corresponding to the first category (generalized and personalized determining tendencies-consistent and stable modes of an individual's adjustment to his environment) of Allport and Odbert's study in 1936.2) Out of these 517 words, 455 were rated concerning personal desirability by 100 male college students and by 100 male adults from 40 to 49 years old. The results were compared between two groups in the medians and quartile-ranges. The comparisons showed wider ranges of the student group in the rating of individual words than those of the adult group, and a stronger tendency of the student group to use the rating points around the neutral point of these scales. These differences seem to reflect generation gaps.3) Personality trait words were analyzed also from their frequencies of uses to describe other persons. A group of the most frequent 127 words were determined by a criterion that the words were selected by at least five members of each of two groups of 139 and 78 students.4) On the basis of their meanings, the 455 words, were classified into 10 categories.
著者
足達 義則 青木 孝志
出版者
International Society of Life Information Science
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.84-89, 2001-03-01 (Released:2019-04-30)
参考文献数
4

呼吸の仕方は、ある程度意識的に変化させることができる。これによって、他の不随意器官に影響が現れることが知られ、安静や瞑想に用いられている。本研究では、3種類の呼吸法;普通呼吸(何も意識しない通常の呼吸)、丹田呼吸(下腹部に意識を集中した腹式呼吸)、および腹筋振動呼吸(笑いと模倣した、呼気を短く強く数回に分けて行う呼吸)について、血中酸素濃度、皮膚電気抵抗、および脈波形への影響について調べた。特に、脈波形についてはフラクタル次元解析を用いて変化の様子を検証した。これらの検討により、呼吸法を変えることによって脈波形、ノイロ値、血中酸素溶存率は大きく変化し、他の器官に影響している可能性が見いだされた。
著者
青木 孝夫
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
no.8, pp.p55-70, 1993-03

近松門左衛門の『曽根崎心中』、とりわけその<道行>の場面の上演に即して、独自の他界観を検討した。それに拠れば、心中の道行には二つの位相があり、一つは相対死(あいたいじに)に到る過程、今一つは霊魂の結婚に到る死後の旅路である。 『曽根崎心中』の道行では、この二つの位相が言わば重ねられて上演される。死に極まる恋愛は、身体の死に到る過程がそのまま霊魂の一体化の過程として描写または具体化されている。「恋の手本」は死の門を通過して、「一つ蓮」と二人一緒に成仏することによって成就する。蓮の花咲く来世は単なる死者の国ではなく、仏教的に了解された浄土である。かく恋愛の理想と成仏とが、心中という情死を通して結びつき一体的に実現される。 その心中は、元来遊女の愛の誓いであるが、その真心を示すのについには命を懸ける点で、この観念は「一所二懸レケル命ヲ」武士の主従の<契り>と融合している。この<契り>は前世からの定めの約束であり、心中の道行は、この約束の成就の過程にして来世への往生の過程である。この時、情死は死に行く二人の恋心が誠であることの明かしである。
著者
青木 孝悦
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.125-136, 1972-08-10 (Released:2010-07-16)
参考文献数
10
被引用文献数
4 3

In the previous study (Aoki, 1971a) 455 personality trait words were selected and classified into 17 categories on the basis of their meanings. In the present study, in addition to the 455 trait words, 125 new trait words were added, and therefore, a total of 580 trait words were reclassified into 11 categories for the purpose of factor analysis.Subjects (Ss) were 107 male adults, aged 35 to 45. Each S was given two categories, each containing 49 to 63 words. Instructions given to the Ss were like the following: “The purpose of this study is to find out what words people commonly use to describe a characteristic of person. You will be given a list of words. Your task is to judge mutual similarities of meanings among these words and to select from the same list similar words for each word as many as you can. For example, when you were given the word “kind”, you might respond with such words as generous, friendly, tender, sympathetic, warm-hearted, and so on. The words are to be written to the right of the given word. This procedure will be continued through all the words in each category.All legible responses made by each S were tallied separately for each of the 11 categories. This procedure permitted an assessment of relative frequency of responses to the various words within each category. For each category the responses in terms of relative frequency were factor analysed by the principal axis method with geometric rotation (Kashiwagi, 1965). Four to six factors were extracted for each category, bringing the total to 57.From these results a set of 236 trait words was assembled. The set consisted of 57 trait words which had the highest loading for each obtained factor, plus 179 which did not fall into either obtained factor, having lower loadings than .15. In order to construct personality aspects from this set, the words were paired as many as possible in such a way that each word would have an antonym. 63 paired personality aspects were tentatively constructed and compared with Cattell's 42 spheres (1957) and Miyagi's 35 scales (1969). On the basis of this comparison, 66 personality aspects were finally determined.
著者
垣花 京子 渡辺 信 青木 孝子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.55-58, 2020-06-20 (Released:2020-06-17)
参考文献数
4

コロナウイルスの流行が社会変化をもたらしている.この流行によって数学教育にも大きな変化を求めていることと,今後の国民の教養の在り方を暗示したのではないかと考えられる.今まであまり重要視しなかったデータの扱い方について,数学の新しい分野「データの整理」が重要になる情報化社会の数学教育を考える.
著者
山村 周史 青木 孝 安藤寿茂
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.79(2007-ARC-174), pp.61-66, 2007-08-01

我々は,ペタスケールシステム向けのプロセッサアーキテクチャの検討を行っている.ペタスケール規模の科学技術計算アプリケーションを高速に実行するためには,大量の浮動小数点演算を高効率で処理できなければならない.これを実現するために,我々は,既存のスカラプロセッサに対して, SIMD 演算ユニットを拡張装備するアーキテクチャを提案する. HPL および PHASE の主要計算ルーチンを対象として,シミュレーションにより本アーキテクチャの性能評価を行い,その有効性について述べる.
著者
酒井 聡 青木 孝文 若生 一広 阿部 晃一 三瓶 仁寛 菅原 道晴
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.146, 2015 (Released:2015-06-11)

昨今、広告業やデザインの分野でプロジェクションマッピングが広く扱われるようになった。建築物 や自動車、人などに映像投影を行うことで、新たな映像表現として注目を集めている。しかし、広く 扱われるようになったプロジェクションマッピングの映像投影する条件として映像投影面は変形や移 動などをしないことが前提となっている。 本研究開発では、動的に形状が変化する物体に対して歪み のない映像を投影可能なスクリーン(Addressable Screen)を開発することを目標としている。本 稿では、研究開発の過程において制作・発表を行った映像投影作品Addressable Screen「9パズル」 「Magical Card」について報告する。
著者
小林 瑞樹 林 優一 本間 尚文 水木 敬明 青木 孝文 曽根 秀昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.266, pp.11-15, 2014-10-16

これまで意図的な電磁妨害については,注入する妨害波の周波数とその強度のみに着目しており,妨害波を注入するタイミングについては十分な検討が行われていない.これに対し,本稿では,タイミングを制御した数V程度の妨害波を注入し,機器内部で特定処理が実行されたタイミングで電磁妨害を行った場合,機器に発生する故障について検討する.本検討では,機器の内部で実行される処理として暗号処理に着目し,その処理に応じて機器外部に伝搬するコモンモード電流を観測することで妨害電磁波を印加するタイミングを取得し,これを基に数百MHz程度の正弦波を数V程度の強度で電源ケーブル上に印加する.実験では,評価対象機器の内部に実装された暗号モジュールにおいて暗号処理を実行し,機器に接続された電源ケーブルから暗号処理に応じて発生するコモンモード電流をカレントプローブにより観測する.この様にして得られたコモンモード電流をトリガ信号として用い,妨害波を注入するタイミングを制御する.上述の手法を用いて意図的な電磁妨害を行った結果,暗号処理が実行されるタイミングにおいて高い確率で故障が発生することを確認した.また,故障により生ずる誤り出力から,暗号化に用いる秘密鍵が漏えいすることも確認した.
著者
青木 孝志 足達 義則
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.23-29, 2007-03-01

近年、様々な芳香の活用が統合療法分野で増加しつつある。これはアロマセラピーと呼ばれているが、匂い刺激は人体の嗅覚中枢に伝わり、自律神経や脈波に影響を与える。本研究日的は、匂い刺激が脈波の構成成分の波高比(b/aおよびd/a)に対して、どのような影響をもたらすのかを調べることである。ここで、a,bおよびdは加速度脈波の構成成分であるa,bおよびd波の高さである。10人の被験者にジャスミンの匂い刺激を5分間あたえた。刺激中の5分間と、刺激前の5分間および刺激後の5分間、脈波を測定した。その結果、ジャスミンの匂い刺激中はb/aが統計的有意に減少した。この実験結果は刺激中に血管の伸展性がよくなったことを示唆している。刺激を止めると約5分以内に元の値に戻った。d/aは有意な変化を示さなかった。また刺激によって心拍数が平均3.5%増加した。
著者
敷田 麻実 青木 孝
出版者
日本地域政策学会
雑誌
日本地域政策研究 (ISSN:13485539)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.1-10, 2013

Community development through tourism has attracted much attention from both practitioners and scholars. Tourism is believed to be able to rejuvenate deteriorating local communities through positive economic effects; particularly, it has the potential to revitalize local economies. However, tourism alone cannot improve communities because many issues hamper the management of community development and evaluation of its sustainability. This study examines the strategic planning of community development through tourism in Puerto Plata, the Dominican Republic, where an international cooperation project by the Japanese International Cooperation Agency was started in November 2009. We use a tentative evaluation methodology based on the nature of balance sheet to determine the potential of communities and outcomes of the development.