著者
青木 博史
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本年度における主な研究業績は,以下のとおりである。①図書『歴史語用論の方法』(共編著,ひつじ書房,352pp,2018年5月),②図書『日本語文法史研究4』(共編著,ひつじ書房,308pp,2018年10月),③論文「可能表現における助動詞「る」と可能動詞の競合について」(『バリエーションの中の日本語史』岡﨑友子ほか編,くろしお出版,pp.197-214,2018年4月),④論文「準体助詞「の」の発達と定着―文法化の観点から―」(『歴史語用論の方法』高田博行ほか編,ひつじ書房,pp.141-165,2018年5月),⑤論文「「ござる」の丁寧語化をめぐって」(『日本語文法史研究4』青木博史ほか編,ひつじ書房,pp.155-175,2018年10月),⑥発表「丁寧語の発達」(平成30年度九州大学国語国文学会,九州大学,2018年6月9日),⑦招待発表「「補助動詞」の文法化―「一方向性」をめぐって―」(日本語文法学会第19回大会,立命館大学,2018年12月16日),⑧招待発表「「動詞連用形+動詞」から「動詞連用形+テ+動詞」へ―「補助動詞」の歴史・再考―」(シンポジウム「日本語文法研究のフロンティア―文法史研究・通時的対照研究を中心に―」,国立国語研究所,2019年1月13日),⑨発表「「て+みせる」の文法化」(第277回筑紫日本語研究会,長崎大学,2019年3月28日)。古代語から現代語への過渡期である近代語に注目したものとして,いずれも重要な成果である。近年注目を集めている「歴史語用論」に関する図書①(論文④所収)は,様々な分野へ影響を与えるものとして重要である。現在の文法史研究の活況を反映した図書②(論文⑤所収)も,学界への多大な貢献が期待される。口頭発表⑥⑦⑧⑨は多くの反響が得られており,この成果については本科研の期間中に活字化する予定である。
著者
青木 得三
出版者
日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
no.455, pp.379-387, 1924-01
著者
青木 眞
出版者
医学書院
雑誌
medicina (ISSN:00257699)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.1939, 2010-11-10

本書は『感染症外来の帰還』と文学的なタイトルがついているが,優れた内科・小児科領域の感染症に関する外来診療マニュアルである. 自分が80年代前半に渡米し,内科専門のプログラムでインターンとして働き始めたとき,仲間が「メドゥピーズ」(英語でMed-Pedsと書く)という聞き慣れないプログラムの研修医であると聞いた.Med-Pedsとは,内科と小児科の両者の訓練を受け,2つの領域の専門医資格を4年間で取得するというプログラムである.都市部における外来診療の核となるべき2つの専門性を一度に短期間で取得できるということで,特に将来開業をめざす医師たちに人気が高い競争の激しいプログラムであった.内科と小児科,両専門領域の感染症をカバーする本書も外来の実態に即した,現場のニードにマッチした本である.

1 0 0 0 中華茶書

著者
青木正兒編譯
出版者
柴田書店
巻号頁・発行日
1982
著者
青木 正志
出版者
医学書院
雑誌
神経研究の進歩 (ISSN:00018724)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.204-211, 2000-04-10

遠位型筋ジストロフィー(三好型)は常染色体劣性遺伝形式をとる青年期発症の筋ジストロフィーであり,わが国の三好らの記載によりその臨床型が確立された。遺伝子座は2番染色体短腕2p13に存在するが,今回ポジショナルクローニングによりその原因遺伝子が同定され,dysferlinと名づけられた。Dysferlin遺伝子は6.9kbのcDNAからなり,2,080アミノ酸からなる蛋白質をコードする。Dysferlinは筋細胞膜に存在することも明らかになった。Dysferlinは遠位型筋ジストロフィー(三好型)のみならず,一部の肢帯型筋ジストロフィーならびにdiatal myopathy withanterior tibial onsetの原因遺伝子であることが判明し,dysferlin異常に伴う筋ジストロフィー群,いわゆる“dysferlinopathy”という疾患概念の提唱が必要となってきた。
著者
田中 義浩 亀高 正男 岡崎 和彦 鈴木 一成 瀬下 和芳 青木 和弘 島田 耕史 渡邊 貴央 中山 一彦
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.13-27, 2018-04-10 (Released:2019-08-26)
参考文献数
26
被引用文献数
1 5

上載地層法が適用できない断層の活動性評価に資するため,活断層と非活断層の断層露頭で断層面の形態観察を実施し,断層活動性評価の指標を検討した.活断層としては五助橋断層の五助ダム上流露頭と六甲断層の船坂西露頭を,非活断層として六甲蓬莱峡のK地点を対象に,断層面の「連続性」,「切断関係」,「平滑性」に着目した.連続性は「断面形状の連続区間率測定」,切断関係は「周辺構造の切断率測定」を行った. 平滑性については「断面形状の平面区間率測定」,「粗さ/うねり形状の測定」及び「写真解析による算術平均粗さ測定」という3種類の測定を行い,合計5つの測定手法を検討した.本研究結果から,「断面形状の連続区間率測定」,「周辺構造の切断率測定」,「断面形状の平面区間率測定」について,活断層と非活断層を見分ける識別基準値を有する可能性が示された.なお,引き続き,識別基準値の明確化とその検証のために測定事例の追加・検討,議論が必要である.
著者
青木 勝輝
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2015-04-24

ダークマター・ダークエネルギーはその存在は宇宙観測によって確かとなっているが、これらの正体は未だに明らかになっていない。本年度は昨年度に我々が提案した質量をもった重力子によって宇宙のダークマターを説明する手法を発展させ3件の論文をPhysical Review Dに発表した。1件目ではダークマター(質量をもった重力子)とダークエネルギーの結合を考え、その結果現在の宇宙のダークマターとバリオン比が初期条件によらず自然に説明されることを示したものである。一方、2件目では昨年度の手法をより一般化させ、大スケールの宇宙磁場によって生成される宇宙の僅かな非等方性(コヒーレントな重力子)によってダークマターを説明できることを示した。3件目ではこれらの手法を使うことで、重力波の有質量モードが自己重力によって安定に局在した新たな真空解を見つけることに成功した。これは一般相対論と明らかに区別可能な現象を予言するという意味で興味深い。さらに本研究課題で培った経験を使って、重力理論の拡張という大きな課題の下、現在投稿中および投稿準備中の論文として以下の研究を行っている。1つ目は一般相対論の正準形式と正準変換に注目したものである。我々は正準変換の自由度を使って全く新たな重力場と物質場の結合方法を提案した。これにより例えば一般相対論で問題となる宇宙初期特異点が回避可能であることを示した。一方で投稿準備中の内容は幾何学の拡張に基づいた一般相対論の拡張である。我々は独立量の特殊な関係を要請せず重力法則によって時空の幾何構造を決定する計量アフィン形式を用いて、インフレーション理論への応用やこれまで議論されてきたスカラーテンソル理論への新たな示唆を与えることに成功した。
著者
有田 守 青木 伸一 片岡 三枝子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.201-205, 2005-10-07 (Released:2010-06-04)
参考文献数
9

インレットの固定化という大規模な土木工事によりエスチャリーの環境が長期的にどのように変化してきたのかを詳細に調べ, 物理環境の変化と生態系の応答の因果関係を明らかにすることは, 人為的な環境インパクトの影響を検証する上で重要である. 本研究では浜名湖を対象に, 物理環境のうち最も重要な要素であると思われる潮汐に着目し, 湖の潮汐応答特性とその経年変化を明らかにするとともに, 潮汐による外洋と湖との海水交換特性の変化について検討した. その結果, インレットの固定化工事は浜名湖の長期的な環境をもたらしていることが明らかになった.
著者
佐藤 圭吾 鍋倉 義仁 青木 俊夫 金桶 光起 渡辺 健一 月岡 本
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.97, no.5, pp.377-381, 2002-05-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
14

市販の低アルコール, ソフトタイプ清酒27点について一般成分分析, 糖組成および有機酸組成の分析を行い結果を得た.1.一般成分の分析を行ったところ, 酸度, アミノ酸度, 日本酒度およびアルコール分は幅広い成分値を示していた.また, 日本酒度および酸度に直線関係がみられた.2.糖組成は, その主たる成分はグルコースであった.3.有機酸組成は, 乳酸が主体であったが, いくつかの試料はクエン酸またはリンゴ酸の含有量が比較的高いものがみられた.4.官能評価において香味の不調和を指摘する意見が多かった.また, ピルビン酸を前駆体とするダイアセチル臭やアルデヒド臭の指摘が散見された.
著者
宮崎 清 青木 弘行 田中 みなみ
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.72, pp.67-74, 1989-03-31 (Released:2017-07-25)

本小論は、「伝統的工芸品・椀の意匠に関する研究(1)」に続いて、日本における椀の発生と歴史的発展過程に注目し、室町時代までの椀の造形的展開について、遺跡資料および絵画史料を手がかりとして、観察と解析を行ったものである。その結果、筆者は次の諸点を明らかにした。(1)日本における漆塗椀の原型は縄文時代に誕生し、弥生時代の轆轤技術、鉄器の導入を経て、挽物としての基本的な椀の制作技術がほぼ完成された。(2)飛鳥・奈良・平安時代には、大陸の食様式の導入ならびに主食副食分離の発展と対応してさまざまな形状の椀が制作され、現代の椀の造形文化がほぼ形成された。(3)鎌倉・室町時代に入ると、漆の塗分けや漆絵などの装飾技術が発達し、椀形状のバリエーションも一層豊かになった。桃山時代には、大陸の造形文化から独立した、日本固有の椀の造形文化が確立された。
著者
大槻 美佳 相馬 芳明 青木 賢樹 飯塚 統 吉村 菜穂子 佐原 正起 小山 晃 小島 直之 辻 省次
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.243-248, 1998-03-01

目的:左前頭葉内側而損傷群と背外側面損傷群の視覚性呼称能力と語列挙能力を比較検討した。対象・方法:11例の超皮質性運動失語を呈する右利き脳梗塞または出血患者。病巣はCTまたはMRIにて同定した。視覚性呼称能力としてWAB失語症検査V-Aの20物品の呼称課題を,語列挙能力として同V-Bの語想起課題を用いた。結果・考察:左前頭葉内側面損傷群は視覚性呼称が良好であるのに対し語列挙が不良であった。外側面損傷群では視覚性呼称,語列挙いずれも不良であった。この結果から左前頭葉内側面は語列挙に,背外側面は視覚性呼称に重要であることが推測される。サルの実験において,前頭葉背外側面にある前頭前野は視覚誘導性の動作に,内側面にある補足運動野は記憶依存性の動作に関与することが知られている。 言語においては視覚性呼称は視覚誘導性の動作に,語列挙は記憶依存性の動作に対応すると考えられる。したがって,本結果は行為における前頭葉背外側面と内側面の機能的相違が言語機能においても当てはまることを示唆する。
著者
舘野 真奈 山本 裕美 青木 奈穂 佐藤 吉朗
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.151-153, 2019-10-25 (Released:2020-01-17)
参考文献数
8
被引用文献数
1

食品にはオフフレーバーと呼ばれるにおいが感じられることがある.これはヒトの体に直接影響を及ぼすことはないが食品の品質を著しく低下させるものであり,食品にとって重要な問題である.ある食品のにおいが他の食品に移行する場合などがよく知られた例である.われわれは,これまで紙パックオレンジジュースの香気成分であるリモネンが未開封の状態で紙パック牛乳ににおい移りするという研究を続けてきた.その際にリモネンとは全く異なる匂いが牛乳から感じられる例が確認されていた.これは,オレンジジュース由来ではないことも確認できた.匂いの質としてはハロゲン系フェノールのような匂いであった.今回は,この匂い成分を明らかにすることを目的に研究を進めた.その結果,このオフフレーバー成分が2-ヨード-4-メチルフェノールであることが判明した.