著者
青木 正博
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集. 人文科学系列 (ISSN:02879727)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.153-180, 2013-03

ロシア語のу нас в университете“私たちの大学で”の構文(「у +生格の構文」)とв нашем университете“私たちの大学で”の構文(「生格の構文」)の選択に影響を与える要因 について調べるために,文学作品や会話の教科書の例とインフォーマント調査の回答を分析し た結果,以下のような要因が見つかった。 A)「у +生格の構文」が選択される傾向がある要因: 1)会話の部分 2)場所を表す固有名詞 3)指示代名詞が場所を表す名詞を修飾 B)「生格の構文」が選択される傾向がある要因: 1)性質形容詞が場所を表す名詞を修飾 「動詞が表す動作」,「活動体性の階層」,「関係形容詞が場所を表す名詞を修飾」,「「場 所の所有構文」がテーマ(あるいはレーマ)の部分に入る」という項目は2 つの構文の選 択に影響を与える要因とは認められなかった。 実際の使用においては,「場所の所有構文」は上に挙げた要因の影響を受けずに使われ ことが多く,2 つの構文がともに使われる文脈がかなりの割合で存在すると考えられる。
著者
青木 宏史 岸 国平 山川 邦夫
出版者
千葉県農業試験場
雑誌
千葉県農業試験場研究報告 (ISSN:05776880)
巻号頁・発行日
no.20, pp.p79-88, 1979-03

1. トマトの斑点病抵抗性育種を行うために,基本的に必要な胞子の大量獲得技術を人工培養基を使用して,輪紋病と比較し乍ら検討した。2.人工培地の種類と胞子形成の関係は斑点病にはトマトジュース寒天,V-8ジュース寒天,ジャガイモ煎汁寒天で胞子形成が少量みられ,乾アンズ寒天,トマト茎葉煎汁寒天では全くみられなかった。輪紋病は各培地で胞子形成がみられたが,V-8ジュース寒天はとくに多く,トマト茎葉煎汁寒天,乾アンズ寒天は少なかった。3. BL-B光源下での胞子形成は輪紋病では光源に近いほど多く,とくに15cmで多かった。斑点病は同様な傾向は認められるものの明らかでなかった。4. 被覆材質と胞子形成は,輪紋病ではプラスチックが最も多く,軟質および硬質ガラスでもかなり多かった。斑点病は硬質ガラスおよびプラスチックで胞子形成がみられたが少なく,実用性は低かった。5. 斑点病の胞子形成と温度との関係は20~25℃で胞子形成が盛んであり,昼夜温の変温の効果はなかった。6. 斑点病の胞子形成と光質の関係は自然光およびPlant-Luxが有効であり,実用的な多量の胞子形成がみられた。さらに,単色光照射により適波長域をみると675nm附近で胞子形成が最も多かった。7. 斑点病の胞子形成と湿度の関係は湿度が低いほど好適であり,とくに空中湿度を低下させることが実用上効果的であった。8. 斑点病の胞子形成を促進するためには気中菌糸の除去および培地の切断が有効であった。9. 以上の条件を総合して各菌の胞子形成に好適な条件は輪紋病にはBL-B光源,V-8ジュース寒天培地,高湿が適し,斑点病には自然光,V-8ジュース寒天培地,低湿条件の組合わせが有効であった。培養温度は20~25℃が各々に適していた。10. 人工培養して得られた斑点病菌はトマト品種の抵抗性検定に十分な病原性を示し,実用上有効であった。
著者
青木 香保理
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.97, 2008

【目的】<br> 城戸幡太郎は1951~1954年に小山書店(後に、生活百科刊行会)から刊行された『私たちの生活百科事典』(全20巻)の編集を行っている。同事典は、城戸による家庭科教科書である『わたしたちの生活設計』と連動する著作であり、「大項目、中項目、小項目等に分類し、小・中学校の教科内容を全部包含する」新しい《事典》で、家庭科のみならず教育課程の全体を視野に入れた新しい構想の具体化として編集された。 本報告では、_丸1_小山書店と『私たちの生活百科事典』の刊行に纏わる経緯、_丸2_事典としての特色と、事典の内容・記述の特長を中心に行い、城戸が構想した『私たちの生活百科事典』の構造をもとに、城戸の生活把握について述べる。<br>【方法】<br>文献研究による。<br>【結果】<br>_丸1_小山書店と『私たちの生活百科事典』の刊行に纏わる経緯<br> 『私たちの生活百科事典』(小山書店)の刊行の経緯は、小山久二郎(おやまひさじろう、1905-1984)著『ひとつの時代-小山書店私史-』(六興出版、1982)に詳しい。同事典刊行後の1955~1956年に、『わたくしたちの生活百科事典 学生普及版』が出されている。『私たちの生活百科事典』は、1951年に第5回毎日出版文化賞(毎日出版文化賞は1947年に創設)企画部門賞を受けている。同事典は、書店・読者・出版社の三者をつなぐ、書物の選定購入に関する読者の便宜の増進と販売をめぐる合理化と共同化により刊行される。_丸2_事典としての特色と、事典の内容・記述の特長『私たちの生活百科事典』は大項目式の事典である。事典は日常生活の必要から誕生し、社会の進展に伴いその形態は多様化した。知識の膨大化と知識を表す言葉の増加によって、言葉をアルファベット順に並べて説明する単語引きの事典(小項目式事典)のボリュームは増す一方だった。近代になると、事典に入れる内容は一層増大したため、事典は字引(dictionary)と百科事典(encyclopedia)に分化する。百科事典の多くは小項目式か中項目式の事典で、項目をアルファベット順や五十音順など単語で引く仕組みになっていた。これらの事典は、わからない事柄を単語で引くことができる点で便利である。しかし、複雑化する現代の生活にあって、知ろうとする事柄を事典で引くことができたとしても、膨大な知識の寄せ集めに終始しかねない。そこで、城戸は現代の生活に対応する「新しい内容と構成をもつ事典」が必要と考えた。「新しい内容と構成をもつ事典」の目的と概略について、城戸は以下のように述べている。<br> われわれは、生活が複雑になればなるほど、その複雑な知識を、一貫した思想で系統づけ、しっかりした理論で分類し、新しい知識の価値を自分の力で判断する力をもたなければならない。そのためには、知識の整理統合および判断の基礎を、つねに'生活'におかなければ、自分のものとはならない。こう考えてくると、これまでにあらわれた事典のほかに、まったく新しい内容と構成をもつ事典の出現が、どうしても必要になってくる。 城戸は、知識の整理統合および判断の基礎を「生活」において知識の系統化・価値化をはかるためには、知識をばらばらに並べる小項目式ではなく、ひとつの問題を項目として設定した大項目式が妥当と考えた。大項目式を採用した事典(第1巻~第16巻)では、生活と切り離すことのできない問題を取りあげ、各巻の題目とする。編集にあたっては、知識や情報の体系性、事柄の関連性などが総合的に把握できるように内容と構成を組織化する。一方、最終巻(第17巻『百科の使い方:総索引』)は特定の事柄について調べることができる小項目式を採用する。「どの巻のどのページには、どんな事項がのっているか、一目でみつけられる」ように工夫されている。子どもの生活経験に基づき、子どもの関心や疑問を出発点として、単語・単元・問題を関連づける索引により分析と総合が繰り返され、調査の方法を身につけることが目指された。
著者
清水 孝一 塩田 智美 仲谷 善彰 坂本 匡一 岩瀬 彰彦 青木 茂行 松岡 緑郎 永山 剛久 河端 美則
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.35, no.10, pp.1099-1103, 1997-10-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
5
被引用文献数
1

26歳女性が感冒様症状に対して投薬された薬剤を内服後約1日の経過で呼吸困難を呈して来院した. 入院時の胸部レントゲン写真では両側上肺野を中心とした不規則な浸潤影を認め, 胸部CT写真でも汎小葉性の肺野濃度の上昇を認めた. BALより総細胞数の増加, 好酸球分画の著増を認めTBLBで胞隔の肥厚と間質への好酸球の浸潤が見られた. 前医で投与されたバッファリン®に対するリンパ球芽球化反応試験が陽性であったために本剤の投与が関与する薬剤誘起性肺障害と考えた. 薬剤の中止により自覚症状, 血液ガス所見, 胸部レントゲン写真は速やかに改善し, その経過は急性好酸球性肺炎様であった. 治療に際してステロイド剤の投与は不要であった.
著者
青木 義彦 岩清水 隆 山田 佳博 永野 浩一
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 = Concrete journal (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.683-688, 2012-08-01
参考文献数
6
被引用文献数
1 8

高さ300mと日本で最も高いビルとなる「あべのハルカス」では,設計基準強度(<i>F<sub>c</sub></i>)が150 N/mm<sup>2</sup>の高強度コンクートと降伏応力度が440N/mm<sup>2</sup>の高強度鋼材を組合せた超高強度CFT柱を採用している。地上22階,高さ112 mまでの圧入が必要であった<i>F<sub>c</sub></i>=150 N/mm<sup>2</sup>の超高強度コンクリートについては,圧送性向上のためにセメントとして低熱ポルトランドセメントをベースにシリカフュームをプレミックスしたセメント(SFCS)<sup>1)</sup>を使用した。本稿では先立って実施した実大施工実験と実施工の結果について報告する。
著者
青木 啓将 AOKI Hiroyuki
出版者
名古屋大学大学院文学研究科
雑誌
名古屋大学人文科学研究 (ISSN:09109803)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.109-116, 2009-02

刀匠とは日本刀の刀身を鍛造する制作者である。刀匠たちの多くは材料鉄を購入しているが、岐阜県関市のA刀匠はこれを購入することなく、自家製鉄をおこなう数少ない刀匠の一人である。A刀匠がこだわる自家製鉄は、材料鉄を購入するよりも手間がかかるが、A刀匠のウリになりつつある。筆者は本稿を、A刀匠の自家製鉄について報告するものであるとともに、民俗学の生業研究において提起される、人びとが生業から得る楽しみに着目する生業研究に向かうための布石としたい。
著者
徳田 安春 矢吹 拓 青木 洋介 綿貫 聡
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.576-583, 2019-04-10

日常診療においてすべての患者の診断が適切になされることが期待されますが,実際の医療現場では常にそうとは限りません.診断のプロセスにおいてさまざまなエラーが生じ,診断の遅れや誤りが治療や患者アウトカムに影響することもあります.今回は診断エラーの全体像やエラーに関係する認知バイアスについて議論を深めつつ,最終的にどのように診断エラーを克服していくか,エキスパートの先生方と熱くディスカッションしていきたいと思います.(矢吹)
著者
木村 剛英 金子 文成 長畑 啓太 柴田 恵理子 青木 信裕
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100461, 2013

【はじめに、目的】二重課題とは,同時に複数のことを行う課題である。この二重課題では,単一の課題を行う一重課題よりも各課題において巧緻性や反応時間などの精度が低下する。これは,ヒトが一度に遂行出来る課題量には限界があることを示している。そして,この限界を規定する因子として,ワーキングメモリが挙げられる。ワーキングメモリとは,目標に向かって情報を処理しつつ,一時的に必要な事柄の保持を行う脳の一領域であり,保持出来る情報量に限界を持つ。また,ワーキングメモリが保持できる情報量は,トレーニングによって増加する。このことから,ワーキングメモリのトレーニングを行うことで同時に遂行出来る課題量が増え,二重課題条件下での各課題の精度低下を防げる可能性があると考えた。そこで本研究では,運動課題を用いた二重課題に焦点を当て,ワーキングメモリ容量の増加が二重課題条件下での運動精度にどのような影響を及ぼすか明らかにすることを目的とした。【方法】対象は健康な男子大学生24 名とした。初期評価として,二重課題条件下での運動課題,ワーキングメモリ容量の測定を行った。その後「ワーキングメモリトレーニング群」「二重課題条件下運動トレーニング群」「コントロール群」に割付け,2 週間の介入後,初期評価と同様の最終評価を行った。ワーキングメモリトレーニング群は,パソコンに次々と表示される円の位置と順番を記憶し,のちに再生する方法を用いた介入を行った。二重課題条件下運動トレーニング群は,評価で用いた二重課題条件下での運動課題を介入として行った。二重課題条件下での運動課題は,右下肢の等尺性収縮と左上肢の肘屈曲運動を同時に行う課題とした。第一課題は,事前に測定した右下肢伸展ピークトルクの20%及び40%を目標トルクとし,等尺性収縮にて目標トルクを維持させる課題とした。同時に行う第二課題として,前方のスクリーンに表示された合図に反応して,肘関節を出来るだけ速く強く屈曲方向へ等尺性収縮する運動を行わせた。下肢運動能力の評価には,実際に測定された下肢伸展トルクと目標トルクとの差の積分値を用いた。上肢運動能力の評価には,上腕二頭筋の表面筋電図より算出したpre motor time(PMT)と整流平滑化筋電図(ARV)を用い,得られたPMTの逆数とARVの積を評価指標とした。さらに,介入前後の二重課題能力の変化を評価するために,上肢と下肢の運動能力評価値から散布図を描き,分布の変化をカイ2 乗検定にて検定した。ワーキングメモリ容量の測定は,パソコン画面に表示される複数個の正方形の色判別課題を行い,結果を点数化した。得られた結果から各群および介入前後の2 つを要因とした二元配置分散分析を実施し,2 つの要因間で交互作用があった場合,多重比較として単純主効果の検定を行った。いずれも有意水準は5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言に基づき,事前に研究目的や測定内容等を明記した書面を用いて十分な説明を行った。その上で被験者より同意を得られた場合のみ測定を行った。【結果】ワーキングメモリ容量は,全ての群において介入前後で有意に変化しなかったものの,ワーキングメモリトレーニング群において平均値が高値を示した。また,介入前後における散布図の分布の偏りは20%条件で全ての群で有意に変化した。一方,40%条件ではワーキングメモリトレーニング群,運動トレーニング群において分布の偏りが有意に変化した。【考察】下肢40%条件コントロール群のみ二重課題条件下での運動能力改善を認めなかった。これは40%条件では20%条件より負荷量が多く,必要とする注意量が増えたため各運動へ十分な注意を配分出来ず学習が進みにくかったことが原因であると考える。一方,ワーキングメモリトレーニングを行うことで,実際の運動を行っていないにも関わらず20%条件,40% 条件いずれも二重課題条件下の運動能力に改善を認めた。これは,ワーキングメモリトレーニングに伴うワーキングメモリ容量の増加が,上肢,下肢の各運動に十分な注意を配分することが出来たためであると考える。本研究結果より,ワーキングメモリトレーニングによるワーキングメモリ容量の増加は二重課題条件下の運動精度を改善する可能性が示唆された。【理学療法学研究としての意義】日常生活の動作や運動は,複数の動作を同時に行うことで成立している。今回,ワーキングメモリトレーニングにより二重課題条件下の運動が改善した。この結果は,認知課題を行うことで,運動の改善が得られることを表している。この事実から,長期臥床の患者様やケガからのスポーツ復帰を目指すアスリートなど,運動を十分に行えない環境にいる者に対し,従来の運動療法に加えて認知面からも運動機能を改善できる可能性が示唆された。
著者
廣野 育生 青木 宙
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.257-258, 2002-06-20
著者
三橋 敬憲 青木 文男 高梨 睦 奥井 隆雄
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第16回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.7-12, 2019 (Released:2019-06-14)

本研究では、特許出願を戦略的に行っていると考えられる中小企業を選択し当該企業により形成された特許出願網が同業他社にどのような影響を与えたのかを検討した。介護入浴装置業界のマーケットリーダーであるO社を分析対象として選定した。O社を含む主要3社は介護入浴装置市場において市場シェアを伸ばし、現在では寡占市場を形成している。このような状況を形成する上で3社の特許出願網が寄与していると仮定し、主要3社の出願が他社出願の権利化阻止、つまり拒絶査定での引用として挙げられた件数を確認した。そのうえで主要3社の引用文献群の中でのO社の占有率を評価した。さらに、O社の出願の特徴及び知財戦略の関係について検討した。
著者
中根 久志 青木 早苗 野浪 亨 田中 一彦 森 勝伸 幸本 和人 刀根 如人 亀山 哲也
出版者
日本セラミックス協会
雑誌
Journal of the Ceramic Society of Japan (日本セラミックス協会学術論文誌) (ISSN:09145400)
巻号頁・発行日
vol.115, no.1338, pp.151-155, 2007
被引用文献数
2

An acid resistant fluoroapatite coated titanium dioxide (FAp-TiO_2) was synthesized by adding a fluoride ion (F^-) to hydroxyapatite (HAp), in order to avoid dissolution of the HAp at an acidic atmosphere. In this study, the optimization of synthetic conditions of FAp-TiO_2 was investigated in terms of the amount of the fluorine (F^-) added to the simulated body fluid, the reaction temperature and the time. The addition of F^- to simulated body fluid was performed after coating HAp on the surface of TiO_2 surface. The crystallinity of FAp phase generated on the TiO_2 was strongly affected by changing the reaction conditions. The optimized synthetic conditions of FAp-TiO_2 as photocatalyst were the addition of 0.25mM-0.5mM F^- in the fluid and then the reaction time for 3h at 60℃. The adsorptivity and the photocatalytic activity of the FAp-TiO_2 in the optimum conditions were investigated using the butyric acid and trimethylamine as model solutions. Consequently, the FAp-TiO_2 could obtain higher adsorptivity and photocatalytic activity for trimethylamine, rather than the uncoated TiO_2.
著者
中根 久志 青木 早苗 野浪 亨 田中 一彦 森 勝伸 刀根 如人 亀山 哲也
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会学術論文誌 : Nippon Seramikkusu Kyokai gakujutsu ronbunshi (ISSN:18821022)
巻号頁・発行日
vol.114, no.1334, pp.838-843, 2006-10-01
被引用文献数
5 11

An acid resistant fluoroapatite (FAp) coated titanium dioxide (TiO_2) was synthesized by adding a fluoride ion (F^-) to hydroxyapatite (HAp), in order to avoid dissolution of the HAp at an acidic atmosphere. In this study, different methods of adding F^- to the apatite in a simulated body fluid were tested; one was synthesized by coating a simulated body fluid including Ca^<2+>, PO_4^<3-> and F^- to the TiO_2 (method 1), and another method was by mixing the F^- after coating a simulated body fluid without the F^- to the TiO_2 (method 2). The apatite crystalline phase of the coated TiO_2 was found to increase with F^-, by using a XRD and a FT-IR. The size of crystalline apatite was strongly affected by the method of adding F^-. The size of the crystalline synthesized by method 1 was larger than that by method 2. The photocatalytic activities of the apatite coated photocatalysts to organic substrates such as propionic acid were evaluated using an ion chromatography. The deterioration of FAp coating during photooxidation of the propionic acid with an UV-irradiation was largely suppressed compared with that of the HAp coating.
著者
青木 幸子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.11, 2010

【目的】<BR> 男女平等は世界共通の課題である。今年度は、1979年の「女子差別撤廃条約」の採択から31年、85年の批准から25年とちょうど節目の年に当たり、しかも国連女子差別撤廃委員会への第6回報告書に対する最終見解の受理等と併せて、我が国の今後の取り組み課題について見直しを図っていく時期でもある。<BR> 政府においても第3次男女共同参画基本計画の策定準備が進められており、「男女共同参画社会基本法」に謳われた21世紀社会の喫緊の課題としての男女共同参画の新たな方針を検討中である。<BR> 固定化された男女の役割分担への意識や行動は、以前に比べると薄らいできたが、経済状況の悪化による環境整備は難しい局面を迎えており、男女平等への道のりは険しい状況にある。<BR> 一方、平成生まれの子どもが大学生となり、彼らは小学校から高等学校まで男女共学で家庭科を学んできた。家庭科に男女別学の時代があったことを知り驚いている状況があり、それほどまでに男女平等は彼らにとっては「当たり前」のことである。<BR> 1998年の教育職員免許法の改正により「総合演習」が大学の教職科目として新設された。爾来、「ジェンダーと教育」講座を開講してきたが、そのうち2年間をかけて『男女平等を考える教育カルタ』を製作した。<BR> 昨年度の大会において、このカルタを家庭科の授業で活用し、女子中学生のジェンダー観の涵養に果たすカルタ教材の効果を分析した。その結果、カルタ教材を使用した授業は、生徒の性差意識に揺さぶりをかけ、自らのジェンダー観をリセットする契機としての効果が確認された。<BR> 今回は、この「教育カルタ」を活用し、男女平等を当たり前と認識している教員を目指す大学生のジェンダー意識を分析し、「教育カルタ」の教材としての汎用性について検討することを目的とする。<BR>【方法】<BR>1.対象者;T大学「家庭科教育法_I_」履修者(大学2年)81名<BR>2.調査時期;平成21年12月~平成22年1月<BR>3.研究方法<BR> * 「家庭科教育法_I_」の授業中にカルタ大会を実施し、学生はワークシー トを作成する。<BR> * 授業後にジェンダーチェックを行なう。<BR> * ワークシートの記述内容とジェンダーチェックシートの得点から大学生の ジェンダー意識の涵養に果たすカルタの効果を分析する。さらに、中学生 の結果との比較分析を行ないカルタ教材の汎用性について検討する。<BR>【結果と考察】<BR>1.気になったカルタは、44枚中33枚とカルタ全体の75%に及んだ。選ばれ たカルタは、中学生の結果に比べると分散傾向にあることが確認され た。<BR>2.授業のワークシートの分析から、大学生は、考える>意思表示>分かる >気づく、の順で学びとっていることが確認された。これは、意思表示 > 気づく>分かる>考える、の順で学びとった中学生の学びとは明らか に異なり、学び手の発達段階や経験から多様な学びとりができることを 期待させる結果となった。<BR>3.ジェンダーチェックシートの分析から、固定的な性別役割分担の考え方 には反対する傾向が強いが、身体的・生理的特性に関する項目について は、固定的な性差観にとらわれる傾向が強い。<BR>4.本カルタ教材について汎用性が期待できるが、より多くの学びを提供で きる多角的な視点を持ったカルタの必要性が確認された。
著者
三木 文雄 生野 善康 INOUE Eiji 村田 哲人 谷澤 伸一 坂元 一夫 田原 旭 斎藤 玲 富沢 磨須美 平賀 洋明 菊地 弘毅 山本 朝子 武部 和夫 中村 光男 宮沢 正 田村 豊一 遠藤 勝美 米田 政志 井戸 康夫 上原 修 岡本 勝博 相楽 衛男 滝島 任 井田 士朗 今野 淳 大泉 耕太郎 青沼 清一 渡辺 彰 佐藤 和男 林 泉 勝 正孝 奥井 津二 河合 美枝子 福井 俊夫 荒川 正昭 和田 光一 森本 隆夫 蒲沢 知子 武田 元 関根 理 薄田 芳丸 青木 信樹 宮原 正 斎藤 篤 嶋田 甚五郎 柴 孝也 池本 秀雄 渡辺 一功 小林 宏行 高村 研二 吉田 雅彦 真下 啓明 山根 至二 富 俊明 可部 順三郎 石橋 弘義 工藤 宏一郎 太田 健 谷本 普一 中谷 龍王 吉村 邦彦 中森 祥隆 蝶名林 直彦 中田 紘一郎 渡辺 健太郎 小山 優 飯島 福生 稲松 孝思 浦山 京子 東 冬彦 船津 雄三 藤森 一平 小林 芳夫 安達 正則 深谷 一太 大久保 隆男 伊藤 章 松本 裕 鈴木 淳一 吉池 保博 綿貫 裕司 小田切 繁樹 千場 純 鈴木 周雄 室橋 光宇 福田 勉 木内 充世 芦刈 靖彦 下方 薫 吉井 才司 高納 修 酒井 秀造 西脇 敬祐 竹浦 茂樹 岸本 広次 佐竹 辰夫 高木 健三 山木 健市 笹本 基秀 佐々木 智康 武内 俊彦 加藤 政仁 加藤 錠一 伊藤 剛 山本 俊幸 鈴木 幹三 山本 和英 足立 暁 大山 馨 鈴木 国功 大谷 信夫 早瀬 満 久世 文幸 辻野 弘之 稲葉 宣雄 池田 宣昭 松原 恒雄 牛田 伸一 網谷 良一 中西 通泰 大久保 滉 上田 良弘 成田 亘啓 澤木 政好 三笠 桂一 安永 幸二郎 米津 精文 飯田 夕 榊原 嘉彦 螺良 英郎 濱田 朝夫 福山 興一 福岡 正博 伊藤 正己 平尾 文男 小松 孝 前川 暢夫 西山 秀樹 鈴木 雄二郎 堀川 禎夫 田村 正和 副島 林造 二木 芳人 安達 倫文 中川 義久 角 優 栗村 統 佐々木 英夫 福原 弘文 森本 忠雄 澤江 義郎 岡田 薫 熊谷 幸雄 重松 信昭 相沢 久道 瀧井 昌英 大堂 孝文 品川 知明 原 耕平 斎藤 厚 広田 正毅 山口 恵三 河野 茂 古賀 宏延 渡辺 講一 藤田 紀代 植田 保子 河野 浩太 松本 慶蔵 永武 毅 力富 直人 那須 勝 後藤 純 後藤 陽一郎 重野 秀昭 田代 隆良
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.914-943, 1987
被引用文献数
2

Clavulanic acid (以下CVAと略す) とticarcillin (以下TIPCと略す) の1: 15の配合剤, BRL28500 (以下BRLと略す) の呼吸器感染症に対する有効性と安全性をpiperacillin (以下PIPCと略す) を対照薬剤として, welI-controlled studyひこより比較検討した.<BR>感染症状明確な15歳以上の慢性呼吸器感染症 (慢性気管支炎, びまん性汎細気管支炎, 感染を伴った気管支拡張症・肺気腫・肺線維症・気管支喘息など) およびその急性増悪, 細菌性肺炎, 肺化膿症を対象とし, BRLは1回1.6g (TIPC1.5g+CVA0.1g) 宛, PIPCは1回2.0g宛, いずれも1日2回, 原則として14日間点滴静注により投与し, 臨床効果, 症状改善度, 細菌学的効果, 副作用・臨床検査値異常化の有無, 有用性について両薬剤投与群間で比較を行い, 以下の成績を得た.<BR>1. 薬剤投与314例 (BRL投与161例, PIPC投与153例) 中, 45例を除外した269例 (BRL投与138例, PIPC投与131例) について有効性の解析を行い, 副作用は293例 (BRL投与148例, PIPC投与145例) について, 臨床検査値異常化は286例 (BRL投与141例, PIPC投与145例) について解析を実施した.<BR>2. 小委員会判定による臨床効果は, 全症例ではBRL投与群78.8%, PIPC投与群79.4%, 肺炎・肺化膿症症例ではBRL投与群 (79例) 82.1%, PIPC投与群 (73例) 79.5%, 慢性気道感染症症例ではBRL投与群 (59例) 74.6%, PIPC投与群 (58例) 79.3%の有効率で, いずれも両薬剤投与群間に有意差を認めなかった.<BR>3. 症状改善度は, 肺炎・肺化膿症症例では赤沈値の14日後の改善度に関してPIPC投与群よりBRL投与群がすぐれ, 慢性気道感染症症例では胸部ラ音, 白血球数, CRPの3日後の改善度に関してBRL投与群よりPIPC投与群がすぐれ, それぞれ両薬剤投与群間に有意差が認められた.<BR>4. 細菌学的効果はBRL投与群68例, PIPC投与群57例について検討を実施し, 全体の除菌率はBRL投与群75.0%, PIPC投与群71.9%と両薬剤投与群間に有意差は認められないが, Klebsiella spp. 感染症においては, BRL投与群の除菌率87.5%, PIPC投与群の除菌率16.7%と両薬剤群間に有意差が認められた. また, 起炎菌のPIPCに対する感受性をMIC50μg/ml以上と50μg/ml未満に層別すると, MIC50μg/ml未満の感性菌感染例ではBRL投与群の除菌率69.6%に対してPIPC投与群の除菌率94.7%とPIPCがすぐれる傾向がみられ, 一方, MIC50μg/ml以上の耐性菌感染例ではPIPC投与群の除菌率12.5%に対して, BRL投与群の除菌率は66.7%と高く, 両薬剤間に有意差が認められた.<BR>5. 副作用解析対象293例中, 何らかの自他覚的副作用の出現例はBRL投与群5例, PIPC投与群11例で, 両薬剤投与群間に有意差は認められなかった.<BR>6. 臨床検査値異常化解析対象286例中, 何らかの異常化が認められた症例は, BRL投与141例中45例 (31.9%), PIPC投与145例中28例 (19.3%) で, 両薬剤投与群間に有意差が認められた. 臨床検査項目別にみると, GPT上昇がBRL投与140例中26例 (18.6%), PIPC投与140例中14例 (10.0%), BUN上昇がBRL投与128例中0, PIPC投与127例中4例 (3.1%) と, それぞれ両薬剤投与群間での異常化率の差に有意傾向が認められた.<BR>7. 有効性と安全性を勘案して判定した有用性は, 全症例ではBRL投与群の有用率 (極めて有用+有用) 76.3%, PIPC投与群の有用率の74.8%, 肺炎・肺化膿症症例における有用率はBRL投与群81.0%, PIPC投与群75.3%, 慢性気道感染症症例における有用率はBRL投与群70.0%, PIPC投与群74.1%と, いずれも両薬剤投与群間に有意差は認められなかった.<BR>以上の成績より, BRL1日3.2gの投与はPIPC1日4gの投与と略同等の呼吸器感染症に対する有効性と安全性を示し, とくにβ-lactamase産生菌感染症に対しても有効性を示すことが確認され, BRLが呼吸器感染症の治療上有用性の高い薬剤であると考えられた.
著者
大谷 聡一郎 青木 伸 池北 雅彦 森田 明典 モハマド ズルキフリ 伊石 安里 王 冰 田中 薫 岡崎 遥奈 吉野 美那子 細井 義夫
出版者
Journal of Radiation Research 編集委員会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.106, 2011

我々は、オルトバナジン酸ナトリウム(バナデート)が、p53転写依存性・非依存性の両経路を抑制する阻害剤として機能し、腸死を克服できる初めてのp53阻害剤であることを明らかにしている。放射線防護効果が報告されている他のp53阻害剤としては、ピフィスリンαやピフィスリンµが知られているが、これら3つの阻害剤の内、防護効果の最も高いバナデートのみがp53変性作用を有していることを見出した。我々は、このp53変性作用をバナデートの特徴と捉え、p53変性作用を有する新しい阻害剤の探索を進めた。一方、p53変性作用は、p53分子内に存在する金属イオン結合部位に配位する亜鉛イオンの解離によって生じることが報告されていた。 そこで本研究では、p53依存性の放射線誘発アポトーシスを引き起こすMOLT-4細胞を用いて、亜鉛キレート化剤のp53阻害剤としての有効性評価を行った。その結果、検討した5種のキレート化剤の内、2種がアポトーシス抑制効果を示した。アポトーシス抑制効果が最も高かったBispicenは、バナデートと同様にp53変性作用を示し、転写依存性・非依存性両経路のアポトーシス過程を抑制した。さらに、p53ノックダウン細胞株やp53変異体株、p53欠損細胞株での比較から、Bispicenのアポトーシス抑制効果がp53特異的であることも明らかとなった。現在、p53特異性の向上を目指し、Bispicenにp53特異的ペプチドを付加したハイブリッド化合物の活性評価を進めているところである。