著者
小清水 実 津田 大介 馬場 和夫
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.25, no.10, pp.19-24, 2001-02-08
被引用文献数
6

紙とディスプレイの長所を融合した新規なドキュメント表示媒体「電子ペーパー」に求められる形態的特性を検討した。既存ディスプレイ、紙、電子ペーパー試作品及び重さ、厚さ、硬さの違うモックアップ媒体を用いて、複数ページ文書の比較、判断を伴う2種類の解読の読解タスクをのべ76人の被験者に実施した。被験者の行動観察やパフォーマンス測定、主観評価値の因子分析により、表示媒体の複数ページ閲覧性が画質因子と独立して重要であり、タスクのやりやすさと相関が高いこと、手持ち可能な表示媒体はユーザの姿勢と媒体配置の自由度を高め、適度な剛性感(コシ)と軽薄感を両立したモックアップ媒体が読みやすさの点で紙を上回ること、を示した。
著者
小見山 幸男 馬場 俊介
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.385-394, 1992

ペリーの黒船来航を機に造られた歴史的建造物である品川台場は、土木技術的に見ても、河口州という軟弱地盤に築かれたわが国最初の大規模海上構造物として価値が高い。この品川台場は、建設後130年余を経過して沈下・変形等が大きく進行しており、公園として開放されていることも関係して、安全を確保するためにも早急な保全対策が待たれている。<BR>軟弱地盤上の構造物は、長期間に渡って沈下・変形が継続するだけでなく、近辺で行われる造成工事等による影響を受けやすい特性があり、支持基盤となっている軟弱土層の沈下・変形性状を抜きにした保全対策は考えられない条件にある。また、地震の影響を大きく受ける。<BR>今回、品川台場に対して歴史的な土木構造物として保存するための総合的な調査・検討が行なわれた。その作業の一部として、今後大きく変貌しようとしている都心部の軟弱地盤に支持された土木構造物という特殊な条件を考慮して、特に地盤土の沈下・変形性状を適確に把握し、これらの特性をふまえた保全計画の検討を行なったものである。
著者
馬場 健一
出版者
東京大学
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.5-38, 2007-02-20

近年連続的に実施された, 戦後初めての日本の裁判官報酬の減額は, デフレ状況下における国家公務員給与の引き下げに連動した施策であった.憲法は在任中の裁判官の報酬の減額を無条件に禁じており, 憲法違反の可能性があったにもかかわらず, この減額措置はそれほど大きな抵抗を受けることなく実現し, この問題に対する社会的関心も低い.しかし, 明白な禁止規定をもちながら裁判官報酬の引き下げが簡単に認められる, 日本の法律解釈と実務は, 比較法的にみてかなり特異なものである.またこうした現実の背景には, 最高法規として英米法型の憲法を戴きつつ, 現実の司法機構においては憲法の理念とは必ずしも一致しない大陸法型の運用が続いているという統治体制のねじれの問題がある.この事件は, 日本における裁判官制度や司法のかかえる課題や, 法の支配の脆弱さを示す事例であるといえる.しかしそこからは逆に, 改革の時代における可能性の萌芽や長期的展望をも見いだすことができるように思われる.
著者
田頭 章徳 久慈 達也 見明 暢 佐久間 華 馬場田 研吾 松本 雄樹 金子 晋也 Akinori TAGASHIRA Tatsuya KUJI Nobu MIAKE Hana SAKUMA Kengo BABATA Yuki MATSUMOTO Shinya KANEKO
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2012
巻号頁・発行日
2012-11-30

優秀な学生、より上を目指す学生をさらに高いレベルに引き上げる目的で立ち上げたデザインチーム DESIGN SOIL は、教員と学生がともにデザイナーとして参加し、質の高い展示会への出展を軸に活動している。DESIGN SOIL では、参加学生に学生としてではなくプロのデザイナーとして作品を発表し、展示会に臨むことを要求している。2011年度は、家具産業が抱える輸送コストの問題に取り組むべく、「SOUVENIR.機内持ち込みができるパッケージサイズの家具、インテリアエレメント.」をテーマとして作品制作を行い、Salone Satellite 2011 やTIDE EXHIBITION 2011 などの最高峰の選抜展に出展を果たした。展示会では、多くの批評、賞賛を得ることができた。多数の先鋭的な雑誌媒体などに掲載されたのも、純粋に作品が評価されたということであり、大きな成果である。最高峰の展示会への出展を目標としているため、参加学生たちの作品の質は概ね向上した。展示会への参加を通して、大学のカリキュラムだけでは経験を積むことが難しい、展示会でのプレゼンテーションの仕方、取り組む姿勢を目の当たりにし、意識改革ができたことは非常に重要な成果である。次年度以降も活動を継続し、教育の方法論の確立を目指したい。"DESIGN SOIL" is a design team which has launched with the aim of raising talented or ambitious students to higher level. The selected students and young teachers participate as a designer to it and the activities is based on exhibiting in high-quality exhibitions. We require the students to make a design and participate in exhibitions as not just a student, but a professional designer.We developed theme of "SOUVENIR . furniture or interior elements which could be dismantled and stored in a package within the hand-luggage size limit allowed by airlines .", and we have participated in top-level exhibitions 'Salone Satellite 2011' and 'TIDE EXHIBITION 2011'.
著者
川上 光彦 馬場先 恵子 堀 徹也 村田 康裕
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.727-735, 1997

金沢市では、地区交通計画のモデル地区として長町地区で整備を進めている。本研究では、整備の一環として同地区の街路において実験的に2種類のシケインを設置し、交通環境の整備効果を調査研究するとともに、実験の有効性について検討した。その結果、シケインの設置により自動車速度の減速効果は確認されたが、歩行空間が十分に確保できず、歩行者の安全感を向上させることができなかった。原因として、現状の対面通行を前提にシケインを設置したことに加えて、実験方法に問題があったことが考えられる。今後、交通規制の検討と実験方法の確立が急務である。
著者
川上 雅彦 中村 清一 金子 日和 滝沢 潤 馬場 美智子 三上 正志
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.467-471, 1998
被引用文献数
1

医院と総合病院医師の禁煙指導に違いがあるであろうか。アンケートにより都内の医院医師245人(C群)と総合病院医師366人(G群)を比較した。その結果喫煙率は両群とも本邦の一般市民より低率であり, 年齢による傾向は見られなかった。診療中患者に喫煙状態を聞いている医師の割合に差がなかったが, 聞いている医師の間では, 疾患により必要があれば聞く医師に比し, 全員/ほとんど全員に聞く医師はG群で多かった。喫煙患者に禁煙アドバイスをしている医師はC群で多かったが, している医師の間では積極的にしている医師がG群で多かった。C群では医師自身の喫煙状態や喫煙に対する態度が禁煙指導の熱意と関連したが, G群ではこの関連を認めなかった。以上より, C群の医師は患者に禁煙アドバイスを行いやすい環境にあること, G群には専門診療分野の性格上これを行いにくい医師と禁煙指導に積極的な医師がいることが推測された。
著者
三宅 二郎 國信 茂郎 馬場 孝明
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.1853-1859, 2009-12-01 (Released:2010-05-01)
参考文献数
9

An architecture of a programmable systolic array processor is proposed for the discrete wavelet transform (DWT). This transform requires a huge amount of data to be filtered. To achieve this, many processor elements (PEs) are implemented. However, the hardware of a multiplier for multiply-accumulate operations is large, and complicated connections among PEs lower flexibility and scalability. By using the time-divided multiple-operation method, the execution unit with a simple structure of shifters and a three-input adder achieved 50% of hardware size and the same performance of that achieved with a multiplier and an adder. The unique network mechanism among PEs and the systolic array architecture provided a high level of data transfer, flexibility, and scalability. Using this architecture enables a processor with ten PEs to execute DWT for 1024×1024 image pixels in 26.3 ms.
著者
梶野 洸 馬場 雪乃 鹿島 久嗣
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

クラウドソーシングでは写真のタグ付けや音声書き起こしなど様々なデータ処理の仕事が依頼できる。しかしワーカーに渡すデータに不特定多数に公開すべきでない情報が含まれる場合はプライバシの問題が生じるため、クラウドソーシングを用いるのは不適切となる。本発表では写真中の顔を隠す仕事を題材とし、この仕事におけるプライバシ定義を行うと共に、プライバシを保護しつつデータ処理を行う手法の提案及び実験的な評価を行う。
著者
小泉 忠史 古家 乾 馬場 英 定岡 邦昌 関谷 千尋 服部 淳夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.6, pp.1167-1174, 2015-06-10 (Released:2016-06-10)
参考文献数
6
被引用文献数
2 3

症例は60歳代,インド国籍の男性.2カ月前からの水様性下痢で12 kgの体重減少を認めたため,当科を初診した.初診5日後には脱水による腎機能の悪化を認め,入院となった.血液検査,検便検査,大腸内視鏡検査では特記すべき所見はなく,CT検査では膵の軽度の萎縮を認めた.薬剤等によるcollagenous colitisやceliac spurue,膵外分泌機能不全による下痢を考え加療するも,症状の改善を認めなかった.下痢が出現する約1年半前にオルメサルタンの内服が開始となっていたため,同剤によるenteropathyを疑い,同剤を休薬したところ,水様性下痢は速やかな改善を認めた.重症の下痢症の原因の1つとして記銘すべき疾患と思われた.
著者
来代 誠仁 齋藤 恵 蜂谷 大翼 中川 正樹 馬場 基 渡邊 晃宏
雑誌
じんもんこん2004論文集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.215-220, 2004-12-09

本論文では,手書き文字認識技術,及び画像処理技術を用いて,平城京跡から出土する木簡の解読を支援するシステムの基本設計と試作について述べる.木簡に記された文字を解読するためには,木簡の汚れ,破損,経年変化などを考慮しながら,文字を表す墨の部分を抽出し,記された文字を推定する必要がある.我々は,判別分析法を応用して,木目を含む背景から墨の部分だけを分離,抽出するための手法を実現した.また,墨の部分が欠損している場合に,ユーザが簡単な操作で情報を補足できる文字認識の手法を開発した.さらに,これらの機能をユーザと対話的に結び付けることで,木簡の解読を支援するユーザインタフェースを作成した.これらに加えて,本論文ではネットワークを用いたシステムの拡張について述べる.
著者
片岡 勝子 洲崎 悦子 安嶋 紀昭 馬場 悠男
出版者
広島大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2004

江戸時代に医学教育研究のために10体余の木製人体骨格模型(木骨)が制作された。現存するのは星野木骨(身幹儀,1792年制作),各務木骨(1810年頃),奥田木骨2体(1820年頃),及び各務小木骨である。私たちは科研費により前4者と関連事項について調査研究した。真骨は全て刑死人のものであり,全ての木骨で舌骨が欠損している。星野木骨は医師,星野良悦が工人,原田孝次に制作させた等身大の成人男性骨格模型で,全ての模骨が揃っている。各骨は原則として別々に作られ,〓と〓孔で結合できる。骨は薄い茶色に,軟骨は白く塗られている。頭蓋冠は切っていないが,X線撮影及び内視鏡観察により,頭蓋内の構造も作られ,ほとんどが正確に頭蓋内外を連絡していた。各務木骨は医師,各務文献が田中某に作らせた等身大の成人男性骨格であるが,かなりの骨が欠損している。各骨は〓と〓孔で連結する。頭蓋は木片を繋ぎ合わせて作り,表面に和紙を張って薄茶色に彩色している。頭蓋冠は斜めに切られ,頭蓋内構造を観察できる。奥田木骨2体は同じ骨をモデルとし,奥田万里が細工師・池内某(またはその工房)に彫らせた等身大の成人女性骨格である。桧材を精巧に彫って形作り,一部の軟骨のみを白または褐色に彩色している。頭蓋は頭蓋冠を水平断し,内部構造が見える。奥田木骨は椅座位で展示できるように専用の台座や支柱があり,胸郭や骨盤は一体化し,組み立ての装具に工夫が見られる。各部の精粗については,それぞれの木骨で長短があるが,当時の日本にあった解剖学書の図に比べて極めて正確である。木骨は人骨を座右において観察できなかった江戸時代の医師が作らせた我国特有の医学資料で,正確・精巧に作られており,当時の医師の探究心,工人の観察眼の確かさ,技術の高さを伝える貴重な資料である。
著者
田崎 和江 馬場 奈緒子 佐藤 和也 奥野 正幸 福士 圭介
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.281-292, 2007-07-25
被引用文献数
3

2007年3月25日9時41分にマグニチュード6.9の地震が石川県能登半島を襲った.その折,水道が断水し,住民は周囲の井戸水,湧き水,山水を生活水として使用した.その水は地震直後から白色,灰色,茶色に濁り,2-3日から2週間続いた.本研究は被害地の住民からの聞き取り調査,現地における水質検査,採水試料を実験室に持ち帰り,蛍光X線分析,イオンクロマト分析,走査型電子顕微鏡観察を行った.地震前は中性であった井戸水が地震後にpH5.4-5.9と酸性になり,かつ, SO_4が非常に高くなり飲料不可となった.一方,中性であった温泉水がpH8とアルカリ性に変化し, NaCl含有量が高くなり,海水の浸入を示唆した.また,飲料水の6項目についての検査を行政に依頼したところ, 2箇所の水から基準以上の一般細菌と大腸菌が見つかり飲料不可となった.なお,この検査項目にはpHが含まれていないので,今後,災害時にはいち早く生活水についてpHや集落形成単位(CFU)を含めた水質検査が必要である.さらに,避難所における生活水はノロウィルスなどによる病気と直結しているため,行政による迅速な措置と指導が必要である.
著者
馬場籍生 著
出版者
珊珊社
巻号頁・発行日
1921
著者
村上 準 下澤 楯夫 馬場 欣哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.96, no.113, pp.25-32, 1996-06-20
被引用文献数
6

Stochastic Resonance (SR)とは、通常は検出できない雑音に埋れた弱い周期信号を、非線形な素子を用いることで、むしろ雑音の助けを借りて検出する現象である。神経学の分野でもF.Moss等によって、ザリガニの水流感覚器に小さな周期信号とともに閾値に近い大きい雑音を人工的に加えて、SRの起こることが報告されている。実際の感覚神経が小さな周期信号を検出するとき、外部にこのように大きな雑音が共存するとは限らない。今回私達は、コオロギの気流感覚器では感覚神経細胞内部に雑音源を持ち、内部雑音のみで外部の周期信号とSRを起こして、検出感度を高めていることを、Hodgkin-Huxley方程式を用いたシミュレーションとともに示す。
著者
名部 正彦 馬場 健一 村田 正幸 宮原 秀夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-1, 通信1-情報通信システム・理論 (ISSN:09151877)
巻号頁・発行日
vol.80, no.6, pp.pp.428-437, 1997-06-25
参考文献数
12
被引用文献数
107

インターネット・インフラの高品質化を目指すためには, インターネット・トラヒックの特性を考慮した容量設計が重要であるにもかかわらず, 十分に明らかにされていなかったのが現状である. 本論文では, インターネット・アクセスネットワークにおけるWWWトラヒックの分析とモデル化を行い, アクセスネットワークの遅延特性について検討している. まず複数の組織のサーバの利用記録を分析し, モデルの作成に必要となるWWWのトラヒック特性を明らかにしている. 次いで分析結果に基づき, アクセスネットワークをM/G/1/PS (プロセッサシェアリング) システムでモデル化しネットワーク設計に必要な遅延時間特性について検討している.