著者
馬場 幸大 西尾 正輝 山崎 裕治
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.61-66, 2016 (Released:2016-10-03)
参考文献数
34

要旨 国指定天然記念物であるイタセンパラについて小規模水槽飼育を実施し、飼育条件の違いが成長や生残に与える影響を調査した。実験条件として、1日あたりの給餌の頻度(1回、3回)、個体の密度(5匹、20匹)そして日当たり(日なた、日陰)の3つの項目に注目した。これらの条件を組み合わせた8通りの実験群を3組ずつ用意し、1か月ごとに生残率を算出し、標準体長および体重を計測した。さらに、本種の繁殖期とされる9月および10月における計測については、性成熟の判定を行った。飼育実験の結果、豊富な餌量の供給および低密度における飼育によって、良好な成長が期待できることが示唆された。一方で、残餌や高水温に起因する水質悪化が、摂餌活性および生残率の低下をもたらす可能性が示された。また、すべての実験群において性成熟する個体が出現した。これらのことから、保護池のような広大な土地が確保できない場所においても、効果的な条件を整えた小規模水槽において本種の飼育は可能であり、有効な保全方策の1つとなることが明らかとなった。
著者
船登 雅彦 小野 康寛 馬場 一美
出版者
昭和大学・昭和歯学会
雑誌
Dental Medicine Research (ISSN:18820719)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.209-213, 2013

覚醒時の上下歯列接触癖(Tooth Contacting Habit; TCH)は顎関節症の原因因子として注目されてきている.TCH の評価は質問票や問診に基づくため信頼性が低く,TCH を客観的に評価することができなかった.著者らはTCH を客観的に定量化するために「TCH 測定システム」を開発し,臨床への導入をすすめている.<br/>このTCH 測定システムはコンピューターと専用ソフトウェアからなり,E メール機能を有する市販の携帯電話さえあれば,ランダムに送信されるE メールを受信した時にTCH の有無を確認し,空メールを返信するだけで,データが蓄積され,TCH の出現頻度や出現状況を自動分析することができる.<br/>本稿ではTCH 測定システムの概要と初期の運用実績および今後の発展性について紹介する.
著者
石上 俊一 北口 和彦 崎久保 守人 上村 良 浦 克明 大江 秀明 吉川 明 田村 淳 馬場 信雄 坂梨 四郎
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.475-480, 2008-05-01

はじめに:直腸切断術には,従来の腹会陰式(Miles手術)以外に,体位変換を伴う仙骨腹式,腹仙骨式,腹仙骨腹式などの術式がある.腹会陰式では,術中の体位変換が不要だが,前立腺背側や腔後壁の止血に難渋する場合がある.今回,体位変換を伴う直腸切断術式の有用性につき検討した.方法:当院で1988年4月から2007年3月までの19年間に,直腸癌に対し腹会陰式直腸切断術を施行された70例と,仙骨腹式直腸切断術を施行された64例を対象として,両者における手術時間と術中出血量を比較した.結果:手術時間は,腹会陰式365.6±10.5分,仙骨腹式315.1±8.6分と,腹会陰式に比べ,体位変換が必要な仙骨腹式で有意に短かかった(p=0.0004).ただ,側方郭清は両群とも約半数の症例で施行されており,側方郭清症例の多寡が手術時間に影響しているわけではなかった.術中出血量は,腹会陰式1,338.0±164.1ml,仙骨腹式790.9±69.4mlで,腹会陰式に比べ仙骨腹式で有意に少なかった(p=0.0035).考察:直腸切断術での体位変換は,出血量減少や手術時間短縮を図るうえで有用であった.今後,症例を選別して,積極的にこれら体位変換術式を導入していくとともに,後進の外科医に教育・伝達していきたいと考える.
著者
馬場 未希
出版者
日経BP社
雑誌
日経エコロジー (ISSN:13449001)
巻号頁・発行日
no.115, pp.98-100, 2009-01

麻生太郎首相が閣僚を集めて10月21日に開催した地球温暖化対策推進本部の会議で、「試行」という形ながら、日本で始まる国内排出量取引制度の内容が決まった。同時にこの日、政府は参加企業を募集し始めた。 今回の国内排出量取引制度の試行(以下、試行制度)は、政府から参加を強制されたり義務づけられる制度ではない。
著者
澤田 伸一 坂東 宏和 馬場 康宏 小野 和
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. コンピュータと教育研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.123, pp.9-16, 2003-12-15
参考文献数
6
被引用文献数
3

近年,小中学校でパソコンを使った授業が行われ始めており,幼稚園でも創造性を豊かにする道具として,パソコンは注目され始めている.しかし,現在のパソコンはキーボードとマウスで操作するため,文字を習う前の幼児のパソコン操作は困難である.我々はパソコンの操作をペン入力デバイスで行うことを考え,幼児が簡単に楽しく遊べるソフトウェアの試作を行った.ペン入力デバイスとして,画面の表面にタッチパネルを張った大型のプラズマディスプレイとタブレットPCを用意し,試作したソフトウェアを評価した.そのとき,同じソフトウェアでも,プラズマディスプレイの環境とタブレットPCの環境で操作に違いが見られた.本論文では試作したソフトウェアの試用から得られた見地のうち,主にひっぱる操作(ドラッグ)とつっつく操作(タップ)に注目し,それぞれの環境で幼児が多用する操作を調査し,その操作と発達段階やハードウェア環境との関係について考察する.
著者
村主 大輔 馬場 隆 森勢 将雅 片寄 晴弘
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2012-MUS-94, no.3, pp.1-8, 2012-01-27

日本ではカラオケや DTM の普及によって音楽活動がますます一般化され,年間 200 組以上のアーティストがメジャーデビューしている.それに伴い,新たなジャンルや歌唱スタイルが生まれることは少なくない.その一つの例として,ポピュラーソングに沖縄や奄美大島などアーティスト出生地の特色を出した音楽表現のスタイルが近年注目されるようになっている.そこで本研究は,歌唱スタイルが特徴的な奄美大島出身歌唱者の歌い回しに注目し,一般歌唱を奄美大島出身の歌唱者の歌い回しにするシステムの開発を目指す.具体的には,「グイン」 と呼ばれる奄美大島出身歌手の歌唱音声を歌唱特徴の定量的な分析を実施し,その分析結果に基づいて,一般歌唱に 「グイン」 を付加するシステムの概要と,その動作結果について報告する.
著者
疋田 遼太郎 武田 峻 市川 輝雄 田辺 哲夫 馬場 敏治 檜山 斉雄 得能 健次郎
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.2, no.10, pp.255-263, 1954-10-31 (Released:2009-07-09)

The aircraft Model FD-25 A is a trainer manufactured by the TOYO-KOKU-KOGYO Ltd., with the design of the Fletcher Aircraft Corp. To demonstrate the strength of this aircraft, the load was applied under a system of forces simulating as closely as possible those required in the regulation of C.A.A. of Japan. In this paper, the result of tests, the method of load calculation and the loading apparatus were reported and discussed.
著者
杉尾 孝 川添 大輔 清水 明彦 神野 寧 横山 昭一 嘉久 和孝 本田 公康 佐野 光宏 中川 英明 馬場 雅浩 久保 次雄 坂本 尚希
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.102-109, 2007

当社は, 現在, 「エコも, 使いやすさも」をコンセプトに商品を提供している.すなわち, 「環境・家計にやさしい」, かつユニバーサルデザイン (Universal Design: UD) として, 「使う人に優しい」商品の開発・販売に取り組んでいる.このような背景の中で, 筆者らは, フィルター掃除の自動化に取り組み, 世界初「フィルターお掃除ロボット」搭載エアコンを開発し, 市場から高い評価を得た.今回, UDの更なる進化として, 新開発の空気清浄ユニット, 除菌熱交換器, 脱臭フィルターを「フィルターお掃除ロボット」と組み合わせることで, 従来, 半年ごと (脱臭フィルター) や3年ごと (空気清浄ユニット) に必要としていたお手入れや, 熱交換器クリーニングなどのメンテナンスを不要とした「10年間手間なしで清潔・省エネ・パワフルなメンテナンスフリーエアコン」を開発した.
著者
石原 修 中川 正裕 久保 隆太郎 馬場 敬之
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.117, pp.29-36, 2006-12-05
被引用文献数
2

猛暑が続くと電力需要が伸び、冷夏では減少する。逆に暖冬ではガス消費量が減少し、寒い冬には増大することが良く知られている。近年、電力各社の販売電力量は増加しているが、ピークデマンドはここ数年最大量の更新はない。本研究は、九州地方において、外気温の変動に伴う電力負荷量を定量化するために、福岡市及び熊本市の電力供給量と気温変動に関して詳細な分析を行った。また、福岡市及び熊本市の各電力供給エリアにおける建物延べ床面積のデータベースを基に、福岡市及び熊本市の電力供給量の気温感応度の原単位を算出した結果について報告する。
著者
馬場敏幸
出版者
財団法人 素形材センター
雑誌
素形材 (ISSN:09101985)
巻号頁・発行日
vol.46, no.11, pp.13-14, 2005-11-20
被引用文献数
1
著者
馬場 千恵 村山 洋史 田口 敦子 村嶋 幸代
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.727-737, 2013

<b>目的</b> 社会とのつながりの欠如から孤独感を持ちやすい状況にある育児中の母親へ効果的な支援を行うため,ソーシャルネットワーク(接触頻度)とソーシャルサポートの状況を把握し,それらと孤独感との関連を明らかにする。<br/><b>方法</b> 2008年 8~11月に,東京都 A 区の 4 つの保健センターで行われた 3~4 か月児健康診査に来所した母親978人を対象に,無記名自記式質問紙を配布した。調査項目は,改訂版 UCLA 孤独感尺度,母親と子どもの基本属性,育児環境,夫(パートナー)•実父母•ママ友達•友人の有無,およびそれらとのソーシャルネットワーク(接触頻度)とソーシャルサポートであった。接触頻度は,直接会うこととそれ以外に分けて測定した。分析は,まず,孤独感尺度を従属変数とし,夫(パートナー)•実父母•ママ友達•友人の有無を独立変数とした重回帰分析を行った。次に,孤独感と夫(パートナー)•実父母•ママ友達•友人との接触頻度とソーシャルサポートとの関連を検討するため,孤独感得点を従属変数とした重回帰分析を行った。接触相手やサポート提供者等がなく欠損値があった者は分析から除外されたが,ママ友達がいない者の分析は追加し,副解析として重回帰分析を行った。<br/><b>結果</b> 配布した963票のうち432票を回収し,417票を有効回答とした(有効回答率43.3%)。母親の孤独感の平均得点は34.4±9.0点であった。重回帰分析の結果,ママ友達および友人がいない者ほど,孤独感得点が高かった。すべての接触相手•サポート提供者がいる者(ママ友達もいる者)は,夫(パートナー)との会話時間が長いほど,ママ友達,友人との会う頻度が少ないほど,また,実父母やママ友達,友人からのソーシャルサポートが低いほど,孤独感得点が高かった。一方,ママ友達以外の接触相手•サポート提供者がいる者(ママ友達がいない者)では,孤独感得点と接触頻度,ソーシャルサポートとの関連はなく,対人態度や母親意識が関連していた。<br/><b>結論</b> 母親の孤独感の予防•軽減には,ママ友達や友人の有無,実父母•ママ友達•友人との関係,対人態度,母親意識等をアセスメントし,その上で,母親役割の肯定感を高められるような介入や,ママ友達•友人と直接会う機会および実父母•ママ友達•友人からソーシャルサポートを得られるような働きかけを行うことが重要であると考えられた。
著者
馬場 敬次
出版者
国立科学博物館
雑誌
Bulletin of the National Science Museum. Series A, Zoology (ISSN:03852423)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.103-"118-3", 1982-09

This is the second part of the report on the galatheidean Crustacea taken by the R/V Soyo-Maru in the deeper parts of the Japanese waters. The collection of the Galatheidae comprises 9 species, two of which are new and five of which are recorded for the first time from the Japanese waters. The reader is referred to the introduction of the previous article (BABA, 1981) for the source of material and the brief notes on the distribution of the Japanese deep-sea Galatheidae as well as the Chirostylidae. I thank Dr. T. OKUTANI and Dr. M. TAKEDA of the National Science Museum, Tokyo, for making this collection available to me; Dr. F. A. CHACE, Jr. of the Smithsonian Institution, Washington, D. C., for kindly allowing me to have access to the identified specimens deposited in the Crustacea Division of the National Museum of Natural History; Dr. R. B. MANNING of the same Institution, for arranging at my request the loan of the Atlantic specimens of Munida microphthalma, providing me with copies of the paper by FILHOL (1884), and suggesting to me the correct original citation of Munidopsis antonii; Dr. L. B. HOLTHUIS of the Rijksmuseum van Natuurlike Historie, Leiden, for answering my inquiry about the original citation of M. antonii.
著者
的場達矢 馬場隆 成山隆一 松本秀一 森勢将雅 片寄晴弘
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2014-MUS-102, no.12, pp.1-5, 2014-02-16

VOCALOID などの音声合成技術の普及に伴い,歌声に関連する研究は活性化し,歌声情報処理と呼ばれる研究領域が定着した.また,歌声のうまさを自動採点する技術が実用化され,プロ歌手が 「うた」 の上手さを競う TV 番組が制作されるなど,歌のうまさについて興味が高まっている.Pops 歌唱の主要な表現対象の一つに 「グルーブ感」 が存在するが,その構成要因については明らかになっていない.本稿では,プロ歌唱者による 「グルーブ歌唱」 と 「非グルーブ歌唱」 の比較に基づいて,聴取者が 「グルーブ感」 を感じる要因が何であるのかについて検討した結果について報告する.分析の結果,子音長が 「グルーブ感」 の重要な構成要因であることが見いだされた.
著者
馬場守次 著
出版者
珊々社
巻号頁・発行日
1926