著者
馬場 悠男
出版者
日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.116, no.2, pp.184-187, 2008 (Released:2008-12-27)
参考文献数
3
被引用文献数
1 1

小中高の生徒たちは,ヒトの成長期間が長いのは多くを学習するためであることを具体的に認識してはいない。個体成長曲線で知られるように,幼児期に急速な脳の成長があり,思春期以降に性的成熟がある。身体全体は,児童期に長い成長遅滞があり,その間に教育効果が上がるようになっている。教育の要素をこのような成長パターンに当てはめてみると,脳成長と身体成長とのズレは知育のため,身体成長と性的成熟のズレは徳育のためである。この二つのズレを実際の教育・学習によって適切に充填しないと,まともな自己実現は出来ない。このように手間はかかるが最終的に優れた適応力を発揮するライフヒストリーこそ人間性の中核であり,それが人類進化の過程でいかに獲得されたかを普及させるのは,人類学研究者の責務であろう。
著者
馬場 謙治 荻野 敏 松本 達始 石田 稔 柴田 忠良
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.563-571, 1993-10-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
36
被引用文献数
1

ラット腹腔肥満細胞を用いて, ヒスタミン遊離に対する温熱の影響について検討した。ヒスタミン遊離刺激物質としては, DNP-Asを抗原とする特異的刺激とcompound 48/80, substance-Pなどの非特異的刺激を用いた。43℃, 10分から15分問の温熱処理により, ラット肥満細胞からの特異的および非特異的刺激によるヒスタミン遊離は抑制され, その効果は5時間以上持続する結果が得られた。
著者
馬場 正次 岩佐 賢二 大江 昭三
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.591-593, 1955-09-01

まえがき ビタミンB6は家鼠の抗皮膚炎性因子として発見されて以来,皮膚科領域に於て,湿疹及びその類似性疾患に単独に,或はビタミンB1,B2等と共に内服,注射の形で広く用いられて来たが,その相当量の使用にも,あまり効果の見られない場合も屡々経験される処である。殊に有効とされている脂漏性皮膚炎に於いてこの感が深い。 1952年Schreiner & Slingerは23例の脂漏性皮満炎患者を2グループに別ち,第1グループの11例に対しては毎日Pyridoxine 300mgを4週間経口投与,第2グループ12例中6例は最初1日600〜1000mgのPyridoxineを3週間注射し,次いで1%Pyridoxine軟膏を局所に塗布せしめ,他の6例は終始1%Pyridoxine軟膏の塗布のみを継続した。その結果第1グループに於ては脂漏性の局面が2例に於いて僅かに好転,5例は変化なく,4例は悪化し,第2グループに於いては,注射のみの継続中には2例に僅かな好転を見たのみであつたのが,Pyridoxine軟膏塗布後は全例に於いて5〜12日で著効を得たことを記載している。
著者
耒代 誠仁 中川 正樹 馬場 基 渡辺 晃宏
雑誌
じんもんこん2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.8, pp.93-98, 2011-12-03

本稿では古代木簡解読を支援する画像処理および字体検索の高度化に関する我々の研究について述べる.画像処理の改善は,汚損・破損した古代木簡の可読性を高め,高精度な字体抽出を実現するために重要である.我々はカラーチャネルおよび周波数に関する分析結果を踏まえ,木目,腐食に有効な画像処理を実現した.また,木簡解読支援システムのユーザインタフェースを改良し,画像処理の実施に必要な操作を簡素化した.字体検索については,テンプレートを増やすと共に形状特徴抽出の改善を行い,検索精度の改善を実現した.
著者
松岡 勝彦 佐藤 晋治 武藤 崇 馬場 傑
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.25-34, 2000-09-25 (Released:2017-06-28)

研究の目的 行動コミュニティ心理学による身体障害者用駐車スペースの違法駐車の軽減を実証的に取り扱った研究知見を応用し、点字ブロックに近接して置かれた迷惑車両(自転車とバイク)に対して、注意を促すポスターを掲示することの効果を検討することを目的とした。研究計画 場面間マルチ・ベースライン・デザインを用い、ベースライン、介入、プローブを実施した。場面 A大学図書館、講義棟、研究棟駐輪場付近の点字ブロック周辺であった。対象者 主に上記の場所を利用する学生、職員(教官含む)であった。介入 不適切駐輪の定義とその防止を呼びかける内容のポスターを、図書館と講義棟に掲示した。図書館では北側入口ドアおよび南側入口ドアの2か所に、講義棟では南側入口ドアおよび西側入口ドアの2か所に掲示した。ただし、研究棟(統制用)には掲示しなかった。行動の指標 点字ブロックに近接して置かれた迷惑車両(台数)を従属変数とした。結果 講義棟では、ベースラインにおける不適切駐輪台数は、平均11.6台であった。ポスターを掲示した介入条件での平均台数は7.3台となり、プローブでのそれは平均3.8台であった。介入を行わなかった研究棟(統制条件)では、全期間での平均不適切駐輪台数は4.3台であった。ポスターを掲示した2か所(図書館と講義棟)のうち、講義棟については効果が見られたが、図書館については、さほど効果は見られなかった。結論 不適切駐輪の防止を呼びかけるポスターを掲示することにより、不適切な駐輪台数が減少した。ただし、このことはポスターを貼付した場所(建造物の機能)によって効果が異なっており、今後はより効果的な介入方略について検討する必要がある。
著者
馬場 靖人
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
pp.4-249, 2017

早大学位記番号:新7586
著者
石橋 正信 馬場 俊孝 高橋 成実 今井 健太郎
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.125-142, 2019 (Released:2020-02-29)
参考文献数
12

南海トラフの沈み込み帯において,M9クラス巨大地震とそれにともなう巨大津波の発生の可能性が内閣府により指摘されて久しい。この津波被害想定によると,地震域近傍の沿岸地域では地震発生から数分後に巨大な津波が到達してしまうため,津波防災に向けた行動計画の再構築や人的被害軽減のための迅速な対応策の検討が極めて重要になる。その対応策のひとつとして,高速かつ高精度な即時津波予測が有効と考えられる。本研究では,地震と津波観測に向けた稠密海底観測網(DONET)による沖合観測網を利用した即時津波予測システムを構築し,和歌山県沿岸6地域において実装を行い,その有効性の検討を行った。本システムにより,地震と津波の初動到達時間を即時評価できること,沿岸津波高や浸水域の即時予測が可能であることを示した。さらに,1944年昭和東南海地震の事例と内閣府のM9クラス巨大地震の波源シナリオを用いて本システムの予測精度を検証した。本システムで即時予測される沿岸津波高や浸水域面積はやや過大評価傾向にあるものの,おおむね安全側の予測結果となり,津波防災上有効なシステムであることを示した。
著者
馬場 正之 村上 千恵子 小川 吉司
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.497-501, 2016-12-01 (Released:2017-12-27)
参考文献数
13
被引用文献数
1

原因不明の突然死を来した糖尿病患者3例の神経伝導検査所見と突然死に至るまでの臨床経過を報告し, 糖尿病性神経障害が突然死の基盤となった可能性を論じる。いずれの患者も2007年~2009年に神経伝導検査によって重度~廃絶性神経障害と診断された41名中に属し, その後の足病変イベント発生の前向き調査中に突然死を来したもので, 死亡直前の血糖コントロールは安定し, 低血糖や致死的な心・脳血管障害を思わせる症状・徴候はなかった。同時期に神経障害なしあるいは軽度・中等度障害としてフォロー中の糖尿病患者189名に突然死は5年間全く出ていない。神経伝導検査による神経障害重症度の客観的評価法の有用性と, 神経伝導検査専門検査技師養成の意義についても述べた。
著者
馬場 智一
出版者
日本フランス語フランス文学会
雑誌
フランス語フランス文学研究 (ISSN:04254929)
巻号頁・発行日
vol.100, pp.255-272, 2012-03-14 (Released:2017-03-31)

Grand neo-kantien, historien de la philosophie et de la mathematique, editeur des oeuvres de Pascal, Leon Brunschvicg semble avoir peu attire l'attention des commentateurs de Levinas. Il a pourtant consacre deux articles a ce philosophe juif, dreyfusard qui <<ignorait le judaisme>>. Dans cette etude, nous nous interesserons an point de convergence entre l'<<atheisme>> de Brunschvicg et la <<religion d'adulte>> de Levinas. Representant du courant idealiste intellectuel, Brunschvicg caracterise le progres de l'esprit scientifique de l'Occident par le depassement de l'egoisme biologique de l'etre humain. Ii souligne en outre que les religions positives restent encore prisonnieres de cet egoisme, car leur notion du salut, promesse d'une vie eternelle, atteste d'un penchant au conatus essendi. Le progres scientifique de l'esprit humain a travers l'histoire permet en revanche a l'humanite d'atteindre une morale veritable, sans aucun egoisme dissimule. Ce progres est une sorte de developpement de l'humanite, depuis l'enfance jusqu'a la maturite, que Brunschvicg appelle la conversion a l'atheisme. Finalement, le philosophe, a travers ce spiritualisme <<athee>>, travaille a la realisation d'une societe universelle juste. C'est cette idee d'attitude desinteressee du philosophe que Levinas reprend dans son interpretation du judaisme comme <<religion d'adulte>> nourrie par la tradition de la science talmudique. En raison de la preeminence de la science philologique au XIX^e siecle, ce judaisme a pendant longtemps ete oublie. Directeur de Fecole normale israelite orientale, Levinas fut l'un des principaux acteurs de son retablissement. Pour lui, le messianisme juif, a l'oppose de l'egoisme, n'est rien d'autre que ce desinteressement qui porte en lui l'aspiration du philosophe a forger un monde parfaitement juste.
著者
弓指 恵一 福原 志東 赤星 正二郎 有田 忍 馬場 賢治 村上 忠誌 沖本 信和
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.325-327, 2015-03-25 (Released:2015-05-22)
参考文献数
7

偽痛風発作により発熱を伴う急性腰痛を生じた1例を経験したので報告する.症例は70歳男性,3日前より誘因なく腰痛が出現し,徐々に悪化し発熱を伴ったため当科初診.単純X線像で変形性腰椎症を認めた.CTでは椎間関節包の石灰化,MRIではL4/5の両側椎間関節の液体貯留,傍脊柱筋内の異常信号を認めた.採血結果では炎症データ高値を認めた.椎間関節液1.5ml穿刺吸引した後,1日後に解熱し3日後に腰痛は改善した.穿刺液からピロリン酸カルシウム結晶と考えられる結晶が証明され,培養検査は陰性であった.発熱を伴う急性腰痛症に対してはまず化膿性脊椎疾患を疑うべきだが,偽痛風発作によるものも念頭に置く必要があると考えられた.
著者
馬場 美智子
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文集 (ISSN:13452088)
巻号頁・発行日
no.5, pp.327-334, 2003-11
参考文献数
10
被引用文献数
2

Land use planning and management is not utilized in Japan for disaster management although it is considered one of the countermeasures and under the investigation of its applicability. Also, risk management is a rising framework for disaster management in these years. In this paper, land use planning and management method is studied to extract essential factors through the case study of Wellington City of New Zealand from the risk management perspective. Then, the land use planning method incorporating management point of view and applicable for the municipal government is developed based on the foundlings from the case study.
著者
馬場 美智子 岡井 有佳
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.610-616, 2017-10-25 (Released:2017-10-25)
参考文献数
15
被引用文献数
2 3

近年、水害が頻発、激甚化する可能性がある中、河川の氾濫による水害リスクの高まりが懸念され、水害対策へのより一層の取組みが求められている。河川整備による限界がある中、土地利用・建築規制などのソフトな対策も合わせた複合的な水害対策が求められている。そのような状況の中、滋賀県は流域治水条例を制定し、総合的な治水対策に取り組んでいる。本論文では、土地利用・建築規制に焦点をあて、滋賀県の流域治水条例について都市計画制度の側面から分析を行った。また、フランスの水害対策に関わる都市計画と比較し、制度と運用面から(1)適用地域の範囲、(2)一貫した都市計画制度、(3)国と自治体の役割と責務の3点から課題を明らかにした。
著者
大内 浩子 馬場 護 馬場 護
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

比較的高い線量を照射したイメージングプレートでは、消去不全現象及び浮き出し現象が生じる。消去不全現象で観察される光は光輝尽発光であることを確認し、従来考えられてきた600nm近傍の光で励起される準位の電子の他に、より短波長側の光によって励起される深い準位(290nm付近)に電子が局在することを示した。この電子がこれら二つの現象の原因であると推論し、UV光と白色蛍光灯とを同時照射する新消去法を開発した。本法により、未照射レベルまで完全に消去することができた。
著者
馬場 康維
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第25回ファジィ システム シンポジウム
巻号頁・発行日
pp.145, 2009 (Released:2009-12-15)

連続型の変数の観測値を離散化することにより大量データを圧縮することができるが、圧縮により情報が失われる。圧縮したデータによる情報の損失が多変量解析においてどれだけの損失になるか評価し、最適な圧縮について考察する。
著者
馬場 みちえ 板並 智子 一木 真澄 畝 博
出版者
The Japanese Association for Cerebro-cardiovascular Disease Control
雑誌
日本循環器病予防学会誌 (ISSN:13466267)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.75-80, 2007

目的 : 要介護4・5の重度の要介護状態になるリスク要因を明らかにすることである。<BR>対象と方法 : 福岡県Y町において症例対照研究を実施した。症例群は介護保険の要介護4と5の高齢者 (以下、要介護者群) 62人、対照者群は健常高齢者あるいは要支援の高齢者から性、年齢をマッチさせ、1 : 1の割合で無作為に抽出した。2001-2002年に聞き取り面接調査を行い、要介護状態になった原因疾患、既往歴・治療歴、基本健康診査受診回数、生活習慣、性格、趣味などの情報を得た。さらに、過去の血圧値と降圧薬服用状況、および実際の基本健康診査受診歴について、1989年~1993年の基本健康診査データを参照した。<BR>結果 : 要介護状態になった原因疾患は、脳血管疾患が41.9%、認知症27.4%、大腿骨骨折12.9%の順であった。要介護に関連する要因では、糖尿病治療歴のある者ではオッズ比は3.54 (95%CI : 1.07-11.76, p<0.05) と有意に高く、高血圧治療歴のある者ではオッズ比が0.82とリスクの上昇がみられなかった。そこで、要介護者群と対照者群の高血圧症の頻度およびその治療状況を過去の基本健康診査データ (1989-1993年) に遡って22ペアについて比較した。既に治療中である者も含めた高血圧症の数は、要介護者群が14人 (63.6%) 、対照群が8人 (36.4%) であり、要介護者群に高血圧症が多かった (p<0.05) 。そのうち降圧薬を服用している者は、要介護者群では4人 (28.6%) 、対照者群では4人 (50.0%) であり、要介護者群に高血圧症でありながら治療を受けている者が少なかった。また実際の基本健康診査受診歴 (45ペア) では、要介護者群に受診回数が少なかった。<BR>結論 : 要介護者群では、高血圧症の者が多いにもかかわらず、高血圧症への認識や治療へのコンプライアンスが悪く、また基本健康診査の受診回数も少なかった。定期的に健康診査を受けることは、人々の高一血圧への認識や治療へのコンプライアンスを高めることにつながり、重度の要介護状態になることを予防していることが示唆された。
著者
馬場 宣良
出版者
社団法人 腐食防食協会
雑誌
防蝕技術 (ISSN:00109355)
巻号頁・発行日
vol.18, no.8, pp.367-376, 1969-08-15 (Released:2009-11-25)
参考文献数
6
被引用文献数
1
著者
馬場 靖雄
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大学教養部紀要. 人文科学篇 (ISSN:02871300)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.133-165, 1996-10
被引用文献数
3