著者
山口 千仁 高橋 智紀 加藤 邦彦 新良 力也
出版者
一般社団法人 日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.92, no.2, pp.174-181, 2021-04-05 (Released:2021-04-13)
参考文献数
19

アブラナ科根こぶ病などの土壌病害の防除には弱アルカリ性(pH 7.5程度)への土壌pHの矯正が有効である.土壌によってアルカリ資材添加に応じたpH上昇程度は異なるため,矯正に必要なアルカリ資材添加量の把握は煩雑で,より簡易な推定法が求められる.本研究では,東日本および北海道の水田土壌約230点にアルカリ資材として転炉スラグまたは消石灰を加え,土壌pH緩衝曲線を描いた.そして,この曲線を簡易なシグモイド曲線として数式化し,土壌pH緩衝能の指標である定数部分を,土壌調査によって知ることができるパラメータで表すことを試みた.定数部分を粘土含有量と全炭素含有量で表した回帰式の決定係数は転炉スラグで0.333, 消石灰で0.429だった.両含有量から推定したpH緩衝曲線に資材添加量を代入し算出されるpH値と実測値との関係を調べた.転炉スラグの場合,資材投入量がアルカリ分換算量で0.025~0.25 g/10 g乾土のとき,回帰式の決定係数は0.609–0.810と高く,この時のpHは酸性~弱アルカリ性に相当した.消石灰の場合,回帰式の決定係数が0.5より高いのは資材投入量がアルカリ分換算量で0.025~0.05 g/10 g乾土のときであり,pHは酸性~弱アルカリ性に相当した.このことから,作成した推定式は酸性改良や弱アルカリ性への土壌pH矯正に用いることができると考えられた.
著者
王 俊貞 大月 翔平 高橋 智一 鈴木 昌人 青柳 誠司 大野 泰史 川尻 由美 神崎 務
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2014年度精密工学会秋季大会
巻号頁・発行日
pp.113-114, 2014-09-01 (Released:2015-03-01)

蚊を模倣した低侵襲性のマイクロニードルを開発するため,蚊の穿刺行動および吸血動作を観察した.本研究では蚊の穿刺対象として、マイクロ流路を有する透明な人工皮膚の開発を行った.この人工皮膚はアガロースとグルコマンナンを主材料とする.
著者
横山 理英 林 聡 岩田 知之 高橋 智紀 高田 潤
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第18回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.128, 2007 (Released:2007-11-23)

ヒノキチップをCa溶液に浸漬したのち炭化、酸処理すると硝酸性窒素及びフッ素イオンを吸着する炭素材料を作ることができる。本研究では原料として各種植物系廃棄物を用い、同様な手法で炭化物を作成し硝酸性窒素吸着能を調べた。その結果いずれの原料でも吸着能は発現することがわかり、特にコーヒーかすを原料とした場合、木質原料よりもさらに高い吸着能があることがわかった。吸着は塩化物イオンとのイオン交換であり、リン酸イオン、硫酸イオンはほとんど吸着せず、硝酸性窒素とフッ素イオンに対して吸着選択性を有する。金魚水槽を用いた簡易な水質浄化試験では硝酸性窒素を吸着してアオコの発生を抑制することがわかった。そのため、水質浄化材料として利用できることが示唆された。
著者
高橋 智弘 照井 克俊 及川 浩平 青木 英彦 遠藤 重厚 小松 隆 中村 元行
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.44, no.SUPPL.2, pp.S2_36-S2_40, 2012 (Released:2013-09-18)
参考文献数
12

背景:早期の電気的除細動が院外心肺停止(CPA)患者の生存率改善に有用であると報告されている.当院救命救急センターへ搬送されたCPA症例の現状を調査したので報告する.方法:2007年4月から2010年3月まで当院救命救急センターの外来診療記録をもとにCPAの病名のある270名のうち,救急隊により直接当センターへ搬入された院外CPA 223例を後ろ向きに調査した.結果:CPA患者の原疾患のうち心血管疾患は136例(61.0%)で,そのうち一般市民の目撃のある症例は60例(自宅内発生が70%)であった.60例のうち心室細動(VF)は20例であり,その予後をみると生存退院例が8例(40%),社会復帰例が5例(25%)であった.対象の中に一般市民による自動体外式除細動器(AED)使用例(public-access AED:PAD)はなかったが,院外で救急隊員による除細動が成功した3症例は全例神経学的後遺症を残さず社会復帰していた.無脈性電気活動(PEA)または,心静止(asystole)は合計40例であり,生存退院例が3例(8%)あったものの,社会復帰した例はなかった.内因性CPA症例への一般市民の心肺蘇生法(CPR)実施率は42.1%であり,過去の当院での成績に比べてやや増加していた.考察:院外心肺停止患者の救命率向上には,一般市民へのCPRのさらなる普及と,AED設置の充実が重要と考えられた.
著者
高橋 智也
出版者
一般社団法人 電気設備学会
雑誌
電気設備学会誌 (ISSN:09100350)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.412-415, 2007-06-10 (Released:2015-04-09)
参考文献数
4
著者
長屋 好昭 村上 瑞文 垂井 清治 高橋 周太郎 八木 里子 森田 直 高橋 智香子
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.32-35, 2003-01-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
9

顔面腫脹を主訴とした4カ月齢, 雌ウェルシュ・コーギーが各種検査およびX線CT検査により, 頭蓋下顎骨症と診断された. ステロイド療法により臨床症状の改善がみられた. 本症は, ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアを含むテリア種に多いと言われているが, コーギー種における発症はきわめてまれであると思われた.
著者
大須賀 彰子 岩崎 裕子 高橋 智子 大越 ひろ
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.15-22, 2013 (Released:2013-11-22)
参考文献数
18
被引用文献数
5

本研究では,油脂の性状がマッシュポテトの飲み込みやすさに及ぼす影響を力学的特性と官能評価の観点から検討した。試料は性状の異なる3種の油脂,すなわち液状油O,固形脂F(ゲル状油脂),固形脂S(ショートニング),また対照として水をマッシュポテトに添加し,調製した。その結果,固形脂のテクスチャー特性の硬さと降伏応力がマッシュポテト試料に影響していた。水平方向の抵抗力の測定により得られた平均抵抗力はマッシュポテト試料のなめらかさやすべりやすさの指標となり,この測定法の有効性が示唆された。マッシュポテト試料中の副材料を顕微鏡で観察したところ,水と油脂では分散が異なり,力学的特性にも影響することが示された。官能評価では,水添加試料が硬く,なめらかさに欠ける傾向を示した。また,水と液状油Oを添加した試料が固形脂F添加試料に比べ,有意にべたつき感と残留感が少なく,飲み込みやすいと評価された。
著者
門廻 充侍 高橋 智幸
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_545-I_550, 2015
被引用文献数
1

2011 年東北地方太平洋沖地震津波(以下,東北津波)により我が国は甚大な被害を受けた.想定が過小評価であったことを踏まえ,新たに大すべり域および超大すべり域を考慮した断層モデルが様々発表されているが,位置や形状に関する標準的な考え方は定まっていない.門廻・高橋<sup>1)</sup>は大すべり域および超大すべり域の不確かさを多数津波シナリオに導入する汎用的なモデルを提案しているが,破壊開始点や複数の大すべり域および超大すべり域,地震規模の不確かさが考慮されていない.そこで本研究では,これらを考慮した新たなモデルを提案した.そして,南海トラフの巨大地震津波を例として,具体的なシナリオの設定手順を示した.また,多数津波シナリオの防災への適用例として,湾内での津波増幅や津波警報解除に関係する津波波源に起因する卓越周期を検討した.
著者
高橋 智
出版者
慶應義塾大学
雑誌
斯道文庫論集 (ISSN:05597927)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.107-277, 1996-01-31

序編 第一章 研究前史 第一節 七経孟子考文 第二節 論語集解考異 第三節 阮氏挍勘記 第二章 研究と展望第一編 版本論 第一章 版種総説 第一節 古活字版の版種 一、有刊記本 二、無刊記本(慶長八年以前刊) 三、無刊記本(〔下村生蔵〕刊) 第二節 整版〔覆古活字版〕の版種 一、乙種(無刊記本)の初印・後印 二、甲種(有刊記本)について 三、甲種と乙種の関係 四、整版(甲・乙)の底本 五、整版拠慶長八年以前刊本の反証 六、整版甲種と乙種の前後 七、慶長一四年刊古活字版と整版との関係 八、総論 第三節 乱版の版種 第二章 現存本解説 第一節 古活字版の現存本 一、有刊記本 二、無刊記本(慶長八年以前刊本) 三、無刊記本(〔下村生蔵〕刊本) 第二節 整版〔覆古活字版〕の現存本 一、有刊記本(甲種本) 二、無刊記本(乙種本) 第三節乱版の現存太第二編 図版編第三編 校勘編 第一章 補阮氏挍勘記 第二章 慶長刊本の性格(次号)第四編 訓読編(次号)
著者
高橋 智昭
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.11, pp.1160-1164, 2011-11-01

多くの抄紙機が旧式のドライヤー部ドライブの問題により生産性の限界に到達しつつある。抄速を上げる為の弊害として,騒音,オイル飛散,マシン振動,ギアの損傷,フラッタリングなどのシート走行性における問題などが挙げられ,その解決にはドライブの見直しが必要とされる。本稿では,AS Drives & Services GmbH社(ドイツ,レケン)による効率の良いサイレントギアボックス,フレキソギア&reg;,周辺設備として効率的に潤滑油の脱気を行う潤滑油ユニット,ルーブリフレックス&reg;,潤滑油の流量を自動制御するインテリジェントフローメーター,フレキソフロー&reg;の紹介を行う。<BR>フレキソギア&reg;はオイル切れ,オイル飛散,マシン振動,ギアトラブルなどオープンギアや密閉ギアでの諸問題を解決し,既設マシンで1,000m/分に対応する増速も可能とする。特殊設計の密閉型スリップオンギアボックスの構造により,消音設計で騒音の抑制も行える。また,駆動側を塞いでいたギアが小さくなり,断紙の際,損紙の取り除きが容易になり,操業性の向上にも貢献する。又,オイル飛散がなくなり,製品オイル汚れや駆動周りのオイル汚れが無くなる。<BR>ルーブリフレックス&reg;は省スペース,メンテナンス性に優れており,オイル流量を自動制御する機能を持つフレキソフロー&reg;との併設により操業コストを抑制することが可能である。<BR>日本市場においても,これらASの製品群を導入することにより,中・小型マシンの操業性の向上に大きく貢献するものと考える。
著者
高橋 智子 園田 明日佳 古宇田 恵美子 中村 彩子 大越 ひろ
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.231-240, 2008-10-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
11
被引用文献数
2 1

The physical properties of gel samples of varied hardness were examined and the intake quantity per mouthful investigated in healthy subjects for its effect on the swallowing characteristics, mastication method, and swallowing frequency. The samples were prepared from gelatin and an agar-derived gelling agent of varied molecular weight. The subjects, regardless of the quantity per mouthful of the sample, recognized the difference in such oral senses as stickiness and ease of swallowing. Gel samples, taken in small portions, that were soft, highly adhesive, and with a high tan δ value (viscosity element divided by elasticity element) were squashed between the tongue and palate by most of the subjects before swallowing, rather than masticated with the teeth. It was also found that the greater the adhesiveness, elasticity element G′ in the linear region, torque and viscosity element G″ in the non-linear region, the higher was the frequency of swallowing until the gel sample had been completely swallowed. The overall results demonstrate that humans alter the mastication method and frequency of swallowing until the food has been completely swallowed according to the physical properties of the food.
著者
冨岡 展行 高橋 智幸 今井 健太郎 越村 俊一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
no.52, pp.266-270, 2005

2004年9月5日23時57分にM7.4の地震が紀伊半島南東沖で発生した. 震源は南海トラフ沿いに位置しているが, 東南海地震の想定震源域とは異なっていた. この海域で想定されているのはプレート境界型地震であり, これによる津波被害は既に調査済みであるが, 今回のような南海トラフ沿いで発生するプレート内部型の中規模地震による津波は未想定である. よって, 今後の津波防災において今回のような地震津波をどのように取扱うのか検討するため, 各研究機関から発表された断層パラメータを参考にして, 津波の数値計算を実施した. その結果, 大部分の地域でプレート境界型地震による津波の方がプレート内部型によるものより大きくなることが確認された.
著者
松田 真希子 高橋 智恵 湯川 高志 三上 喜貴
出版者
Japanese Society for Engineering Education
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.5_56-5_60, 2009 (Released:2009-10-05)
参考文献数
7

In this paper, we analyzed the features of the adoption strategy in creating Japanese technological terms, by comparing with those of other Asian countries. In addition, we investigated how those technological terms are used differently in each engineering field. As a result, in adopting technological terms, phonetic adoption is found more often in Japan (especially in the new research fields like IT) . In contrast, semantic adoption is found more often in China and Vietnam. It is also found that architecture field shares many terms with civil engineering, and electrical field shares many terms with communication. Those findings are quite useful to the engineering education for foreign students.
著者
王 俊貞 大月 翔平 高橋 智一 鈴木 昌人 青柳 誠司 神崎 務 大野 泰史
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2014年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.611-612, 2014-03-01 (Released:2014-09-01)

蚊の穿刺動作を模倣した低侵襲性の微細針を開発するため,蚊の針の穿刺行動及び吸血行動を観察した.本研究では蚊の口針が皮膚内部へ侵入していく様子と吸血動作をより詳細に観察するため,側面方向から穿刺動作を観察可能な特殊な人工皮膚を開発した.この人工皮膚は食用寒天を主材料とし,内部に人間の血液が仕込まれている.結果,蚊の口針がこの人工皮膚へ侵入し,血液を吸引する様子を観察することに成功した.
著者
鈴木 進吾 河田 恵昭 高橋 智幸
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.I_1346-I_1350, 2013 (Released:2013-11-12)
参考文献数
11

This research aims to analyze the characteristics of the tsunami that had stricken Osaka Bay Area in the initial Jomon period. The bathymetry of Osaka Bay and topography of Osaka Plain of 11,000 years before present are reproduced rigorously from boring data and acoustic profiling data for tsunami numerical simulation. Tsunami numerical simulations assuming ordinary level and maximum level of Nankai Trough earthquake tsunami are carried out with the water levels of every 1,000 years of initial Jomon period. It is found that tsunamis in early initial Jomon period were relatively low, and by contrast, tsunamis in late initial Jomon period were high. The area where high tsunami struck in the initial Jomon period were found from the simulation results.