著者
小林 江里香 植田 拓也 高橋 淳太 清野 諭 野藤 悠 根本 裕太 倉岡 正高 藤原 佳典
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.544-553, 2022-07-15 (Released:2022-07-13)
参考文献数
10

目的 介護保険施策では,近年,介護予防に資する住民活動として,体操など機能訓練中心の「通いの場」だけではなく,多様な「通いの場」の推進が期待されている。本研究では高齢者が参加する自主グループを通いの場として,その類型別の特徴を「参加者の多様性」と「住民の主体性」の点から比較検討した。方法 東京都内の38自治体の介護予防事業関連担当課より,1)3人以上の住民が月に1回以上集まって活動,2)高齢者の参加が多い,または高齢者を含む多世代の住民が参加,3)活動の運営に住民が参加の3条件を満たす175の自主グループの推薦を受け,うち165グループの代表者等よりアンケートの回答を得た。グループの類型化は,活動目的と活動内容により潜在クラス分析を用いて行った。参加者の多様性は,年齢,性別,健康状態等,住民の主体性は,グループの運営や活動実施の支援を行う住民の人数と,活動において住民が果たしている役割から評価した。結果 グループは,体操・運動を中心とした「体操・運動型」,活動目的や実施する活動内容が多い「多目的型」,参加者との交流を目的とし,体操・運動は行わない「交流重視型」,参加者との交流を目的としない「非交流型」の4類型に分かれた。多目的型は,体操・運動型や交流重視型に比べ,幅広い年齢層の参加があり,「移動に介助が必要」「認知症」「虚弱・病弱」など健康に問題を抱える人も参加する傾向があった。また,運営・支援者数も多く,住民が担う役割も多様であった。結論 参加者の多様性,住民の主体性とも多目的型が最も高かった。しかしながら,通いの場の類型は固定的なものではなく,住民のニーズや状況に応じて新たな活動を追加するなどの柔軟な変化を支援する体制も必要と考えられる。
著者
齋藤 義正 高橋 宏和 若尾 文彦
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.527-535, 2022-07-15 (Released:2022-07-13)
参考文献数
7

目的 国立がん研究センター(当センター)は地域のがん医療の質を向上させる取り組みを支援するための手段の一つとしてがん化学療法医療チーム研修会を開催してきた。がん対策基本法が施行されてから15年が過ぎ,これまでの活動を振り返り,今後のがん医療体制の整備の充実を図るための一助とすることとした。方法 2006年度から2020年度までに当センターが主催した研修会のうち,がん薬物療法に携わる多職種が受講対象となる研修会(緩和ケアの研修会は除く)を調査した。研修会ごとに開催年度,受講対象,研修目的,受講施設数を調査し,第1期から第3期までのがん対策推進基本計画の取組むべき施策の中でこれまで開催した研修会の位置づけを考察した。活動内容 すべての研修会の共通目標は,がん薬物療法の医療水準の向上に貢献し,がん医療の均てん化につなげることだが,研修会ごとに行動目標が異なっている。第1期がん対策推進基本計画は,2007年度から5年間を対象とし,化学療法を専門的に行う医師の養成とともに専門的にがん治療を行う薬剤師や看護師等の医療従事者が協力して治療に当たる体制を構築していく必要性が示されている。この目標を達成するために,がん化学療法チーム養成にかかる研修(2006~2008年度)およびがん化学療法医療チーム養成にかかる指導者研修(2009~2018年度)が開催され,それぞれ103施設および143施設が受講し,各都道府県内のがん化学療法医療チームが少なくとも1回はどちらかの研修会を受講したことになる。この間,がん対策推進基本計画は2012年6月および2018年3月に改定され,がん診療連携拠点病院は,わが国のがん医療の中心的な担い手として位置づけられている。その過程で,受講対象を都道府県がん診療連携拠点病院のがん化学療法チームとし,2014年度からは地域におけるがん化学療法研修実施にかかる指導者養成研修を開催している。さらに,2017年度からは都道府県指導者養成研修を開催し,受講者を対象としたアンケート調査では,研修受講後にすべての職種で地域のがん医療の質を向上させるための取り組みを行う自信の向上がみられた。結論 当センターが主催したがん薬物療法に携わる多職種を対象とした研修会は,がん対策推進基本計画の改定とともに目的に合致した研修会を開催し,人材育成の一翼を担ってきたことが推察された。
著者
高橋 知世 北神 慎司
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第13回大会
巻号頁・発行日
pp.136, 2015 (Released:2015-10-21)

本研究ではインフォグラフィックスを対象として、美しいものほど使いやすそうだと思ってしまう現象である美的ユーザビリティ効果の抑制に、実際の利用経験が与える影響を検討した。参加者はインフォグラフィックスから情報を読み取る読解群と、数独に取り組む数独群に分けられ、両群とも課題の前後にインフォグラフィックスの美しさと使いやすさを2 回評定した。その結果、美しさと理解しやすさの相関は、どちらの群でも2 回目の評定の方が 1 回目の評定より強いことが明らかになった。この結果は、接触回数の増加によって流暢性が上昇したためであると考えられる。ただし、1 回目の評定から 2 回目の評定への相関係数の増加分は、数独群より読解群の方が小さかった。これは接触回数の増加による流暢性の上昇が読解によって抑制されたためだと考えられる。したがって、実際の利用経験は美的ユーザビリティ効果の抑制に一定の効果を持つと言える。
著者
高橋 朋也 渡邉 英伸 西村 浩二
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2022-IOT-58, no.6, pp.1-7, 2022-07-05

音声認識技術や自然言語処理技術の向上により,スマートスピーカを利用して音声による家電の操作やショッピングが可能となっている.現在のスマートスピーカは,1 名あるいは特定の数名がプライベートな空間で利用されることを前提としており,音声プロフィールや確認コードによる発話者の識別やスキル・アプリと呼ばれる機能を用いた音声操作を制御することが可能である.一方で,利用者が多数になる場合や利用者の申請を責任者が許可する承認プロセスなど,関係者の上下関係を考慮した操作を可能とするには不十分である.今後パブリックな空間への利用拡大が見込まれることも考慮し,音声アシスタントの認証認可機能を高度化する必要がある.本研究では,スマートスピーカが置かれている環境やその他のシステムから得られる情報との連携を行う外部連携システムの開発を行っている.本稿では,買い物スキルを対象に利用者の認証や関係者の上下関係を考慮した承認プロセスを追加する手法を提案する.評価結果より,提案手法を追加することによる処理時間の増加が数秒程度で実現できることを示す.
著者
田山 邦昭 藤谷 知子 坂本 義光 安藤 弘 久保 喜一 高橋 博 長澤 明道 矢野 範男 湯澤 勝廣 大橋 則雄 中江 大 小縣 昭夫
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第36回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.4034, 2009 (Released:2009-07-17)

【目的】蔓延する違法(脱法)ドラッグについて、行動・中枢神経系以外への影響はあまり調べられていない.今回、違法ドラッグの雄性生殖器系への障害性をみるためにスクリーニング的に施行した投与試験において、薬事法指定薬物となったtryptamine系薬剤が、精巣・精子への障害性を認めたので報告する. 【方法】薬物:5-methoxy-N,N-dimethyltryptamine(5MeO-DMT). 投与法:薬物はプロピレングリコールに溶解し、0(対照), 100, 250 mg/kg/day投与量で11週齢の雄性マウス(Crlj:CD-1)5匹に5日間連続経口投与後、1, 5週目で剖検し、生殖器系の臓器重量計測後, 機器による精子ハ゜ラメータ検査をし、さらに固定標本の組織学的検討を行った.機器:精子数計測および形態異常検出(粒度分布曲線係数MODALの比較)にはCDA-500を、運動性計測にはSQA-IICを用いた.測定法:既報(Repro Toxicol, 2006)により行った. 【結果・考察】臓器重量:1, 5週共に、いずれの用量も対照群と差はなかったが、精巣・精巣上体などで低下傾向がみられた.精子ハ゜ラメータ:精子数・運動性は、1週目の250 mg/kg群では、有意に低下し、形態異常マーカーのMODALは低下傾向を示した.5週目では両用量共に精子数・MODALで低下傾向を示した.組織学的観察:1週目の250 mg/kg群で、精巣では精上皮の変性・壊死、精巣上体では、管腔内の精子数が減少し、細胞残屑が認められ、体部で管腔が拡張していた.5週目ではこれらの変化の回復がみられた.以上より、5Meo-DMTは、精巣・精子障害性を有することが明らかとなり、本薬物連用の危険性が示された.現在、投与量を4用量設定し再度実験を実施しており、この結果と合わせて報告する.
著者
吉田 亜由美 松本 博之 飯田 康人 高橋 啓 藤田 結花 辻 忠克 藤兼 俊明 清水 哲雄 小笠原 英紀 斉藤 義徳
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR TB AND NTM
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.415-421, 1996-06-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
10

The patient was 69-year-old male. He had a history of treatment for tuberculosis by artificial pneumothorax about 47 years ago. He was admitted an another hospital under the diagnosis of tuberculous pyothorax. He was transferred to our hospital because of chest pain and fever. Laboratory findings on the admission were as follows: ESR was 120 mm/hr, CRP was 20.22mg/dl and other data were almost within normal limits. Chest X-ray showed a massive shadow in the right lower lung field, adjacent to the chest wall. Computed tomography (CT) showed tumor shadow with low density and invasions into the adjacent chest wall. Histological examination of surgically excised tumor biopsy revealed malignant lymphoma. The patient's condition improved and the size of tumor decreased temporarily by chemotherapy. Then, he began to complain of chest pain and high fever, and tumor in the chest wall invaded into the whole chest wall. He died of disseminated. intravascular coagulation despite continuing chemotherapy. Postmortem examination re vealed the following findings: the tumor existed mainly in the parietal pleura or the chest wall, adjacent to the lesion of pyothorax, and immunohistochemical examination showed that tumor was malignant lymphoma, diffuse, large B-cell type. Recent studies have shown a close association between EBV infection and pyothorax-associated lymphoma. We have to keep in mind the possible development of malignant lymphoma following tuberculous pyothorax, when we see patients complaining of fever or chest pain with tuberculous pyothorax.
著者
島田 千穂 高橋 龍太郎
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.221-226, 2011 (Released:2011-07-15)
参考文献数
10
被引用文献数
2 3

高齢者終末期ケアでは,一律に治癒を目標にすることはできず,より安楽にすること,本人や家族の希望に沿うことが求められる.多元的な価値観が必要となり,多職種間で関わる意義を生かすため,ケア目標を共有し,目標に沿って役割を果たすことになる.医師の役割も,医療的なアセスメントと医療提供,家族の意向確認,家族への説明など多岐にわたる.終末期ケアは,地域や施設の多職種連携が試されるケアであるともいえる.
著者
西須 孝 高橋 謙二 藤田 耕司 三橋 繁 森石 丈二
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.293-296, 1999-07-30 (Released:2012-11-20)
参考文献数
6
被引用文献数
1

The purpose of this study is to evaluate the effects of extracorporeal shockwaves on chronic calcific tendinitis of the shoulder. We studied 4 patients with chronic calcific tendinitis of the shoulder. Extracorporeal shock wave therapy was applied using Dornier Epos (Dornier Company, Germany). The JOA score, the VAS score (resting pain, night pain and tenderness) and plain radiographs before and after the shock wave treatments were studied in 4 shoulders.The average JOA score was 55.5 points (range,37-70 points) just before the start of the shock wave application. At the end of this study and over-three months after the shock wave application, it was 75.5 points (range,57-98 points). The VAS scores were decreased in all 4 patients after the shock wave application. The areas of calcification were reduced in 3 out of 4 shoulders. We concluded that extracorporeal shock wave therapy was useful for chronic calcific tendinitis of the shoulder.

1 0 0 0 平家物語

著者
高橋 掬太郎[作詞]
出版者
キング
巻号頁・発行日
1952-10
著者
高橋 知也 村山 陽 山﨑 幸子 長谷部 雅美 山口 淳 小林 江里香
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PC-160, 2021 (Released:2022-03-30)

社会的孤立には健康リスクがあることが示されており,特に中高齢者では孤立死のリスクにもなり得るが,「周囲からの孤立」の認識に着目した研究は乏しい。そこで,単身中高齢者において主観的な孤立を感じやすい者の特徴を検討した。方法:東京都A区の台帳上の単身者50-70代から無作為抽出した4000名に郵送調査を実施し(有効票1829),実際は同居人がいる者や分析項目に欠損のある者を除く1290名を分析対象とした。分析項目は周囲からの主観的な孤立感尺度(1因子4項目,4-16点,点数が高いほど孤立を感じやすい)(高橋ら,2020),基本属性(性別・年代・暮らし向き等5項目),主観的健康感,精神的健康度,客観的な社会的孤立(別居親族や友人との接触頻度),外出頻度,参加グループの有無,相談相手の有無とし,主観的な孤立感を従属変数,その他を独立変数とする重回帰分析を行った。結果:暮らし向き,主観的健康感,精神的健康度が良好でない単身中高齢者は周囲からの主観的な孤立感を深めやすいことが示唆された。他方,客観指標に基づく社会的孤立や参加グループおよび相談相手の有無等との間に有意な関連はみられなかった。
著者
高橋 易資 野村 友和 石間 経章 小保方 富夫
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.71, no.706, pp.1694-1701, 2005-06-25 (Released:2011-03-03)
参考文献数
17
被引用文献数
2 4

A computational fluid dynamics (CFD) code with partial cells in Cartesian coordinate (PCC) method has been developed. The merit of this method is that input data preparation time is extremely short because computational mesh data are separated from geometry data. However, a general Cartesian coordinate method has a big subject in calculation accuracy. One of the factors is precision in geometry expression around the complicated shape, and another is a turbulence model near the wall because mesh is independent from the boundary and not fitted with it. Therefore, discretization equations were derived based on Finite Volumetric Method, and a combination of the wall function and a low Reynolds number k-ε turbulence model was proposed here. This paper describes implementation of this method and shows the results compared with experimental data by particle image velocimetry (PIV) at the steady flow in the cylinder of a 4-valves S.I. engine. The comparison results of velocity vector maps show good agreement between CFD and PIV.
著者
齊藤 諒介 海保 邦夫 高橋 聡
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究では、大量絶滅時の気候変動を決めるメカニズムと陸海環境応答の解明を目的として、堆積有機分子、水銀分析、1次生産性に係るリンや鉄などの微量元素分析を行う。堆積有機分子の中でもコロネンは、通常の森林火災よりも高温で生成する芳香族炭化水素で、有機物から大規模火山噴火と小惑星衝突により多く生成される。オルドビス紀末大量絶滅についてコロネンの分布を確かめ、大量絶滅の大元の原因を確定する。さらに、寒冷化と同時の大量絶滅と温暖化と同時の大量絶滅を記録した地層中のコロネン含有比からマグマによる加熱温度を推定して気候制御ガス発生比率を推定し、それから気候変動を推定して表面海水温変化値との整合性を検証する。
著者
佐佐木茂索, 高橋邦太郎 訳
出版者
随筆社
巻号頁・発行日
vol.第5 (水晶の栓), 1924