著者
渡辺 秀俊 安藤 正雄 高橋 鷹志
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.60, no.474, pp.107-114, 1995-08-30 (Released:2017-01-27)
参考文献数
19
被引用文献数
2 2

A man sitting for an extended period changes positions both consciously and subconsciously. This study, premised on the transactive relation between man and his environment, analyzed through observation the sitting behaviour of theater audience and train passengers, with the aim of understanding the dynamics of sitting posture. The findings show that the number of times a change of posture took place is affected by attire, condition of neighboring seats, and the differences of spacial features and its location. Moreover, they point out to the existence of multiple basic postures such as those determined by the design standard of the seats, as well as seat types. The result of the analysis with Marcov Chain Model indicates irreducible, non periodic pattern of posture transition. The existence of multiple basic postures was confirmed using the stationary distribution method, while the computation of average time intervals shows short interval for the postural change. This analysis of postural transition provides a fundamental understanding that can be utilized as index for the evaluation of seats.
著者
高橋 卓也 内田 由紀子 石橋 弘之 奥田 昇
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.103, no.2, pp.122-133, 2021-04-01 (Released:2021-06-26)
参考文献数
48
被引用文献数
3

森林に関わる主観的幸福度を測定し,得られた結果とその要因について検討した。滋賀県野洲川上流域を対象として,2018年に一般世帯を対象とするアンケート調査を実施した。因子分析の結果を踏まえ,森林に関する幸福度を満足度,充実感,プラスの感情,マイナスの感情の4種類に分類し,森林との関わりについての説明変数等による回帰分析を行った。農業,林業への従事は森林充実感と,個人所有林およびボランティアでの森林管理は森林満足度や充実感と正の相関が見られた。一方,地元の山の森林管理はプラスの感情と負の相関を示した。居住地域の森林比率と幸福度との間の相関は特定できなかった。森林所有は4種類すべての森林幸福度と負の関係が見られたが,これは森林の資産価値が低下し,森林管理の負担感が大きくなっていることを示すものと推測される。森林資源の量的な再生がある程度達成され,質的な面での改善が求められている日本の現状において,個々人が森林とどのように関わり,個人およびコミュニティの幸福度をいかに促進するか検討する上で,森林幸福度の構造的な(種類別の)把握が政策課題としても必要とされることを論じる。
著者
井戸田 一朗 日台 裕子 菊池 賢 山浦 常 戸塚 恭一 高橋 純生 長田 広司 清水 勝
出版者
日本エイズ学会
雑誌
日本エイズ学会誌 (ISSN:13449478)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.17-22, 2002

目的: 当院で経験したHIV感染症例の臨床像および背景について検討する.<BR>対象及び方法: 1988年から2000年の間に, 当院にてHIV抗体陽性が判明した26症例を対象とし, 保存されている22症例の病歴を中心に調査した.<BR>結果: 患者背景として, 全例男性であり, 判明時の平均年齢は42歳 (n=26) であった. 日本人が22名, 外国人は4名で, 外国人のうち1名は行旅病人法の適用を申請した. 感染経路では異性間接触が8例, 同性間接触が8例, 両性間接触が2例であった. 初診時のCD4値は平均193/μl (n=22) で, AIDS発症は9例, ARCは9例に認め, 食道/口腔カンジダ症が10例と最も多かった. 性感染症の合併として, 活動性の梅毒を7例, アメーバ赤痢を4例, 急性A型肝炎を2例認め, その多くはMSM (Men who have Sex with Men) であった. HIV陽性判明のきっかけとして, 検査や術前のスクリーニングでの判明が4例, 他疾患にて通院中にARCを発症して判明した例が3例, また救急外来搬送後に判明した例が3例あった.<BR>考察: 当院は1997年12月にエイズ拠点病院に選定された. 当院の特徴として1日の平均外来患者数4,270名, ベッド数1,423床と病院全体としての患者数が多く, 日常診療の延長におけるHIV抗体陽性例が増加している. 一般病院においても, 救急外来や性感染症担当科での陽性発生を想定した準備が必要と考えられた.
著者
窪田 智之 中嶋 浩平 高橋 宏知
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.140, no.7, pp.723-729, 2020-07-01 (Released:2020-07-01)
参考文献数
29

Neuronal systems are dynamical. In the dynamical system, the externally-driven responses, called transient dynamics, are stimulus-specific but reproducible. Under the assumption that the neuronal system is deterministic, we here hypothesized that such reproducible transient activities could produce computational capability in a chaotic dynamical system. To test this hypothesis, we estimated the maximal Lyapunov exponent of neuronal activities in the primary visual cortex (V1) of mice, and quantified their information processing capacity in the transient dynamics. Consequently, V1 was characterized as a chaotic system, where almost identical input time-series led to different trajectories. We also demonstrated that, when mice were visually stimulated with drifting gratings, the trajectories contained the input time-series information for at least 5.2 s after stimulation. These results suggest that computational capability in V1 emerges from reproducible transient activities in the chaotic system. Yet, the estimate information processing capacities in V1 were much lower than those in theoretical studies. Further verification is still required to elucidate the discrepancy between theoretical and experimental results.
著者
高橋 昭好 藤井 理行 成田 英器 田中 洋一 本山 秀明 新堀 邦夫 宮原 盛厚 東 信彦 中山 芳樹 渡辺 興亜 Akiyoshi Takahashi Yoshiyuki Fujii Hideki Narita Yoichi Tanaka Hideaki Motoyama Kunio Shinbori Morihiro Miyahara Nobuhiko Azuma Yoshiki Nakayama Okitsugu Watanabe
雑誌
南極資料 = Antarctic Record (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.25-42, 1996-03

南極氷床の深層掘削を行うため, 国立極地研究所は掘削装置開発小委員会等を設け, 1988年以来開発研究を行ってきた。開発の経緯については, 中間報告, 深層掘削ドリルの最終仕様, その完成までの経過にわけて, それぞれ報告してある。本報告では開発した深層掘削システムとその周辺装置について, ドームふじ観測拠点の掘削場の配置, 掘削作業の流れを説明したのち, 各論において, ウインチ, ケーブル, マスト, 操作盤, チップ回収器等の開発の経緯を設計基準, 具体的設計, 製作の流れに準じて説明した。
著者
小澤 応子 黒田 麻衣 島田 美穂子 高橋 波企 植田 寛
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会研究会講演予稿
巻号頁・発行日
vol.5, pp.77-78, 2006

今日、映像はテレビや映画ばかりでなく広く多岐に使用されるに至っている。しかし、いまだ私達のような映像作りの初心者が映像を作る場合、様々な技術を習得したうえで、さらに多くの時間が必要である。また、初心者の作った、十分な完成度に至らない作品を多くの人に観ていただく機会は皆無に等しい。そこで今回、基本的にはスクリプト記述のみで映像制作が可能なTVML(TV program making language: NHK放送技術研究所開発)を用いて、世間に広く知られている"白雪姫"の映像化を試みた。TVMLのオリジナルキャラクターBOB等を使用し、不幸な運命を自らの力で次々に変えていく白雪姫をコメディタッチで描こうと考えた。さらに、今回の作品の発表の場をホームページで配信することに求めた。
著者
高橋 謙 大久保 利晃
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.237-243, 1995

本稿は,特に安全衛生に関連した最近の国際労働条約を取り上げ,その特徴を明らかにした上で,総括を試みた.同分野に関連し, 1960-93年の期間中に採択された条約数は13である.これらの条約は,異なる目的をもって安全衛生分野の各領域を網羅しているため,対比的に記述した.条約は批准される必要があるため,日本の批准状況をILOおよびOECD加盟諸国と統計的に比較した.日本は, 1993年6月現在,このうちの3条約を批准したが,この水準はILO加盟国平均をわずかに上回るが, 24のOECD加盟国中11位の批准割合であった. ILO条約のうち,日本の批准割合の相対的水準は,安全衛生分野の方がそれ以外の分野よりも高かった. ILO条約は,引用や参照によって相互に関連しているため, 155号(労働安全衛生)や148号(作業環境)条約などの基本的条約の批准努力が安全衛生分野における他条約の批准を容易にすることが考えられる.
著者
高橋 菜奈子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.8, pp.376-381, 2021-08-01 (Released:2021-08-01)

小倉百人一首LODは,かるたゲームの情報と和歌の情報を整理し,Linked Open Dataにまとめたデータセットである。本稿ではデータのモデルと語彙の設計を解説する。全国各地の図書館に所蔵され,オープンデータとして公開されている古典籍の画像データをLODでつなぐことにより,オープンデータ画像の活用事例を示す狙いがある。画像データは,IIIFを使って,正確に領域を特定してリンクし,画像の比較が容易にできるようにした。翻訳本も対象に追加し,多言語に対応したモデル設計を行った。文化情報資源を組織化し,精緻にLOD化することで,人文学研究や文化的な利用にデータを活用できることを示した。
著者
高橋 大輔 戸田 敏行
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.99, 2009

県境地域づくりは自治体施策が都道府県境界で分断されることから、多様な分野の調整が必要となっている。その調整には県境地域を対象とした地域計画の立案が有効と考えられる。本研究は、三遠南信地域の事例から県境地域計画の策定プロセスと評価を明らかにすることで、県境地域計画の立案について知見を得ることを目的とする。1.三遠南信地域では「三遠南信地域連携ビジョン」が策定された。計画策定の枠組みとプロセスの分析から、多様な分野の調整が必要となる県境地域づくりは、県境を越えて多様な主体が参加できる場の形成と県境地域計画を持つことが重要である。2.計画内容の評価分析では、個別事業の差が認められるものの計画への期待度と満足度は高い傾向にある。県境地域計画は、地域の総体として地域計画の全般が描かれること、国土形成計画など広域計画への対応も含む地域計画となることが重要である。3.計画推進組織「三遠南信地域連携ビジョン推進会議」の設置が定められた。同組織が持つ機能への評価も一定になされていることが確認され、事務局の固定化により計画の推進、進捗管理のほか、地域差が認められる事業の調整が期待される。
著者
渡辺 研一 高橋 誠 中川 雅弘 太田 健吾 佐藤 純 堀田 卓朗
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.255-263, 2006-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
17

2-フェノキシエタノールの麻酔剤としての効果を, 9種の主要な増養殖対象種 (ブリ, マダイ, マアジ, カンパチ, シマアジ, ヒラメ, トラフグ, メバル, クロソイ) について, 水産用医薬品であるFA100と比較, 検討した。網で掬っても魚が暴れない程度に麻酔が罹り, 麻酔後清水に移して一晩経過後に死亡個体が認められない2-フェノキシエタノール濃度は, おおむね200~1, 000μl/lであった。一方, FA100の効果的で安全な濃度はおおむね100~500μl/lであり, 2-フェノキシエタノールの場合と比較して範囲が狭かった。2-フェノキシエタノールで麻酔すると, FA100の場合より麻酔からの覚醒時間が短く, 麻酔翌日の生残状況が優れた。さらに, 2-フェノキシエタノールでは観察されなかった麻酔液表面の泡立ちがFA100で観察された。以上のことから, 2-フェノキシエタノールは増養殖における麻酔剤として優れていることが示唆された。