著者
草部 雄太 竹島 明 清野 あずさ 西田 茉那 髙橋 真実 山田 翔太 新保 淳輔 佐藤 晶 岡本 浩一郎 五十嵐 修一
出版者
医学書院
雑誌
BRAIN and NERVE-神経研究の進歩 (ISSN:18816096)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.957-961, 2017-08-01

呼吸器感染症の原因ウイルスの1つであるエンテロウイルスD68型による,稀な成人の脳脊髄炎の1例を報告する。患者は33歳男性。発熱,咽頭痛,頭痛で,5日後に両側顔面神経麻痺,嚥下障害,頸部・傍脊柱筋の筋力低下を呈した。頭部MRIのT2強調画像にて脳幹(橋)背側と上位頸髄腹側に高信号病変を有する特徴的な画像所見を認めた。血清PCRにより当時流行していたエンテロウイルスD68型が検出された。両側末梢性顔面神経麻痺を急性にきたす疾患の鑑別としてエンテロウイルスD68型脳脊髄炎も考慮すべきである。
著者
髙嶺 潮 遠藤 聡志 Kolodziejczyk Jakub 西銘 大喜
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.4I2J204, 2019

<p>機械が現実世界の空間情報を獲得するための重要な手段の一つが単眼深度推定である。人間は深度推定に使用できる情報の種類を増やし、問題領域を分割することで精度の高い深度推定を実現している。これを受け、深度以外の情報をRGB画像から獲得することによって単眼深度推定を改善しようとする試みが幾つか存在する。Semanticラベルを用いた実験では、解釈可能な意味の種類が多いラベルが入力画像の幅を制限することがわかり、人間の主観によって定義された情報の欠点を浮き彫りにした。対して、深度勾配を扱った実験は、推定結果の外れ値の削減に大きく貢献している。これらの結果は、数値的に定義可能なオブジェクト情報が、人間が深度推定を行う際に獲得する冗長性の再現に繋がることを示唆している。本研究は、物体の前後関係情報の推定を行うことで深度推定を分類問題の分野に落とし込み、単眼深度推定の精度向上を狙うものである。Multi-Scale Modelを用いた対照実験により、重なり情報の有効性が証明された。</p>
著者
鈴木 慶昭 加納 学 曽我 朗 柳町 武志 村尾 了 髙木 雅哉
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

多工程生産設備の生産性向上を目指して,装置組合せに依存する良品率の推定方法と良品率を考慮した生産スケジューリング方法を開発した.良品率推定にはField-aware Factorization Machines (FFM)が極めて有効であり,良品率を高 精度で推定できることに加えて,良品率に影響する特別な装置組合せを正確に特定できた.さらに,メイクスパン最小化と最終製品良品率最大化を同時に考慮した多目的生産スケジューリング問題をMILP問題として定式化し,NSGA-II と新しいディスパッチングルールを組み合わせることで,優れたパレート最適解を導出できた. ディスパッチングルールとしてFIFOを用いる場合,メイクスパンのみを目的関数とする従来法に比べて,単位時間あたりの良品数を12%向上できた.
著者
安田 万里子 中川 一美 中川 高志 鈴木 絢子 髙橋 麻美 梶川 歩美 西舘 美音子 野老 由美子 松澤 範子 齋藤 晃 森山 優
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
日健診誌 (ISSN:13470086)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.385-391, 2015
被引用文献数
3

日本では、禁煙治療として2006年からニコチン依存管理料が保険適用となり、2008年から禁煙補助薬であるバレニクリン(チャンピックス)が保険適用となった。喫煙率低下に向け、禁煙治療も大きく影響しており、定期的な禁煙治療の評価を行い、有効な禁煙治療を行っていく必要がある。今回我々は、2009年10月1日から2012年3月31日までに禁煙外来にて治療を行った130名(男性97名、女性33名)を対象に、禁煙成功群と禁煙失敗群に分類し、年齢、性別、ブリンクマン指数、TDS、初診時CO濃度値について両者の差異を比較した。有意差が認められたものはブリンクマン指数のみであり、禁煙成功群の方が高い値となった。<br> また、禁煙治療の5回受診を完了した者(5回通院者)は、禁煙成功群93名のうち69名であり、禁煙失敗群では、37名のうち5名であった。禁煙成功率と通院中断の有無に有意差が認められ、禁煙治療5回のプログラムを最後まで通院することが、禁煙の成功を有意に高めていた。<br> 禁煙成功群を対象にし、計5回の禁煙治療終了時点で4週間以上の禁煙に成功している者を完全成功群と定義し、計5回の禁煙治療を中止した者のうち、中断時期から4週間以上の禁煙に成功している者を中断成功群と定義した。禁煙成功群93名のうち、完全成功群は69名、中断成功群は24名であった。完全成功群と中断成功群の1年後の禁煙継続率は完全成功群が73.1%に対し、中断成功群は65.2%であったが、これらの有意差は認められなかった。しかし、2年後の禁煙継続率を見ると、完全成功群が51.1%、中断成功群は31.7%であり、長期的に見ると完全成功群の方が高い値であった。<br> これらのことから、禁煙治療プログラム5回全てに来院することが禁煙治療成功に繋がりやすく、また、長期的な禁煙継続にも影響していると考えられた。
著者
還田 悠平 髙山 茜 成川 衛
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
臨床薬理 (ISSN:03881601)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.9-14, 2017-01-31 (Released:2017-02-17)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

Background: In Japan, delay in marketing approval of new drugs, known as “drug lag”, was believed to hinder patient access to innovative treatments. The Japanese government took several corrective measures, and the median review time for new drugs was shortened. However, in many cases, new drugs are developed in the United States (US) and European Union (EU) , and these drugs are usually approved first in the US and EU prior to approval in Japan. Increase of drugs approved in Japan before the rest of the world or simultaneous with other countries is expected to further improve patient access to innovative drugs.Method: For all New Active Substances (NASs)that were approved in Japan between January 2008 and December 2014 , detailed information including the regions where the new drugs were developed and the countries of first global approval were identified. We also collected information about safety concerns that were identified before approval.Result: Two hundred and thirty-nine NASs obtained Japanese approval during the study period. Of the 239 NASs, 44 (18.4%) were approved in Japan before the rest of the world. Drugs that obtained Japanese approval first in the world were more often developed in Japan from the early stage. Furthermore, the data suggested that these drugs were launched with relatively limited safety information. Conclusion: For better patient access to new drugs, it is important to facilitate early development of new drugs in Japan and at the same time to ensure further strengthening of post-marketing safety measures.
著者
藤林 紀枝 山上 遥那 高橋 洋子 髙清水 康博 齋藤 暁史 Fujibayashi Norie Yamakami Haruna Takahashi Yoko Takashimizu Yasuhiro Saitoh Akifumi
出版者
新潟大学教育学部
雑誌
新潟大学教育学部研究紀要 自然科学編
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.113-123, 2019-03

月の高度簡易測定器「ツクヨミ」を作成し,方位磁石とともに用いて月の形と移動経路を測定する実習を実施した.小・中学校の学習内容である「月の満ち欠け」,「地球から見た月の動き」,「月と太陽と地球の位置関係」,および「月の運動(公転)と見え方」は,小学校理科の学習項目の中で「教える自信」のない項目の1つである.本研究では,教育学部理科教育専修の2年次学生の授業で,月の高度簡易測定器「ツクヨミ」を新たに作成し,それを用いて1ヶ月間のうち6日の月の観測をさせた.そのデータを基に,月と太陽と地球の位置関係と月の運動(公転)について図示させたところ,系統的に高めの数値を記録した者が数名あったが,測定者ごとの月の移動経路はほぼ弧を描き,有益な結果を得ることができた.授業では他に,ボールとライトを用いた月の満ち欠け実験と,月齢カレンダーを用いた月の形と月の出・入時刻の規則性の調べ等を行った.その結果,授業前は位置関係と地球から見た月の形と出入り時刻の相関性が分かっていた学生が18.2%だったのに対し,授業後は理解度が大きく上昇し81.8%となった.記述からは,月と太陽と地球の位置関係の理解において,視点の転換だけでなく,地球の自転による時刻の変化と,北から俯瞰した時の(観察者にとっての)方角の概念が欠けやすいことが明らかになった.そして,特に中学生以降の観察や観測の機会の少なさが,理解度を減少させる原因の1つとなっている可能性が指摘される.「ツクヨミ」のような簡易測定器を用いて月の位置を数値化し,科学的思考に発展させることが今後重要となるであろう.
著者
髙橋 啓治 柴田 洋輔 手塚 夏音 丹羽 麻里子 平島 諭
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.128-133, 2019-03-01 (Released:2019-03-01)

先端技術トピックにおける技術動向予測を目的として,印刷技術を例に,現時点では製品化されていないが,将来印刷技術が応用されそうな新しい製品分野を探索した。分析手法として,まず,製品化に近い技術情報である特許文献と,科学的事象に基づく基礎的な研究結果を多く含み,今後発明および製品開発に繋がる可能性がある学術論文の性質の違いに着目し,「近年論文発行件数が増加傾向にありながら,特許出願が低調である分野」を「今後製品化に発展しそうな分野」として抽出した。次に,抽出した分野の特許情報と論文情報のテキストマイニング解析と目視解析を併用し,より細分化された分野に絞り込むことで,目的とする製品分野を見出した。
著者
髙坂 康雅
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
2018

<p>This study investigates how many university students who do not desire a steady romantic relationship become involved in a steady relationship or want to have a romantic relationship in 1 year. A total of 96 students who did not desire a steady romantic relationship at Time 1 were asked about the status of their romantic relationship at Time 2. Those who had the highest score for "the influence of past romantic relationships" were identified, and 29 were found to desire a romantic relationship. The reasons for entering into or desiring a romantic relationship were categorized into seven groups.</p>
著者
髙橋 裕子
出版者
ジェンダー史学会
雑誌
ジェンダー史学 (ISSN:18804357)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.5-18, 2016

<p>本稿では、2015年12月に開催されたジェンダー史学会年次大会シンポジウム「制度のなかのLGBT- 教育・結婚・軍隊」での報告を纏めるとともに、セブンシスターズの5女子大学が女子大学としての大学アイデンティティを重視しながらも、もはや「女性」という「性別」を一枚岩的に捉えることができなくなってきた現状を紹介する。さらに、とりわけ誰に出願資格があるのかを決定する判断の背景にある、女子大学自体の大学アイデンティティの問題を考察しつつ、2014年から15年にかけて発表された新たなアドミッションポリシーを概観した。この問題は、いわば21世紀に女子大学が直面しているもう一つの「共学」論争とも言える。20世紀後半に経験した「共学」論争との違いはどこにあるのか、その点にも着目しながら、性別二元論が女子大学における入学資格というきわめて現実的な問題としてゆらぎをみせていることとともに、米国における今日の女子大学の特色をあぶり出すことを試みた。</p><p>トランスジェンダーの学生や、ノンバイナリーあるいはジェンダー・ノンコンフォーミングというアイデンティティを選び取る学生が増えていることは、女子大学が、「常に女性として生活し、女性と自認している者を対象とする」高等教育機関であるとあえて明示しなければならなくなったことに反映されている。それにも拘わらず女子大学のミッションが、すなわちその必要性や存在意義がよりいっそう強く再確認されていることに注目した。女性が社会で、そして世界で、多様な分野で参画できる力と自信を、大学時代に身に付ける場として、女性がセンターに位置づく経験をする教育の必要性が、このトランスジェンダーの学生の受け入れを巡ってのディスカッションを通していっそうクリティカルに再確認されたとも言える。</p><p>大学教育という実践の場において、ジェンダー的に周縁に位置するセクシュアルマイノリティの学生をめぐって、アドミッションポリシーを文書化し、具体的に「女子大学」と名乗るのかどうか、さらには「よくある質問(FAQ)」で「女性とは誰のことなのか」という質問に詳細にわたって回答し、ジェンダー的に流動的な(gender fluid) 学生に対応しているこの局面に、21世紀のアメリカにおけるセブンシスターズの女子大学が果たしている新たな先駆的役割を見て取れる。</p>
著者
髙石 雅樹 大嶋 宏誌 浅野 哲
出版者
国際医療福祉大学学会
雑誌
国際医療福祉大学学会誌 (ISSN:21863652)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.59-69, 2015

足尾銅山における「足尾鉱毒事件」は日本最初の公害であり,採掘技術の近代化および大規模化により鉱害は拡大した.鉱害は,製錬所から出る亜硫酸ガス等の有害物質や過剰な伐採による森林の荒廃および農作物の枯死,選鉱排水や鉱石堆積場から漏れ出る銅等の重金属を含んだ水による魚類の斃死および農作物被害であった.また,衛生環境の悪化が原因と思われる出生率の低下や死亡率および死産率の増加が起こっていた.鉱害対策は明治期から行われていたが,煙害は自熔炉精錬法導入まで解決せず,鉱毒水問題は精錬事業停止まで解決しなかった.現在,国や栃木県,NPO,市民ボランティア等が協力して植林活動を行っている.しかしながら,膨大な土地改良事業費用や治山活動費用を費やしても,かつての姿は取り戻せていない.近年は我が国で大規模な公害が発生する状況にはないが,東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故のように,通常とは異なる条件により発生する可能性は否定できない.したがって,過去の公害による知識を利用して十分な予防措置をとることが重要である.
著者
髙井 寿文
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2015, 2015

<b>1.研究の目的<br></b>2006年の総務省『地域における多文化共生推進プラン』により,外国籍住民に対する防災情報の提供が推奨されている.多くの自治体で外国籍住民向けのハザードマップが作成されてきたものの,地名を多言語で表記しただけの地図で彼らが読図できるのか疑問である.そこで本研究では,外国籍住民の事例として日系ブラジル人を対象とした読図実験を行った.そして,彼らにとって分かりやすいハザードマップの地図表現について考える.<br><b>2.研究の方法</b><br>1)調査対象者<br>名古屋市港区の九番団地に居住する日系ブラジル人10名(男性5名,女性5名)を対象とした.調査を実施した2006年2月~2007年1月時点での年齢は20~60歳代,在日年数は1~8年間であり,多くは自動車関連工場で働く労働者である.<br>2)使用した地図<br>ハザードマップの基図の1つに用いられる都市計画基本図(平成12年度版)を用いた.個々の建物の家形枠が表示されているため,地図上で自宅を定位できる.都市計画基本図をベースに要素を追加し,表現の異なる3種類の地図を作成した.いずれも大きさはA2版で,縮尺は2万6千818分の1である.3種類の地図に表記した要素の内容は,それぞれ以下の通りである. 地図A:区の境界線. 地図B:地図Aの要素に加えて,学区の境界線,学区名,鉄道線路,鉄道駅,路線名,駅名. 地図C:地図Aと地図Bの要素に加えて,コンビニエンスストア,ガソリンスタンド,スーパーマーケットのロゴマーク.信号機,国道番号. 地図Bは,現行のハザードマップに合わせた地図表現である.地図Cで追加した要素は,髙井(2004)で明らかにされた,日系ブラジル人がナヴィゲーションの際に用いるランドマークの特徴に基づいている.<br>3)実験の手続き<br>調査対象者の自宅である九番団地と,彼らにとって身近な施設である港区役所および協立総合病院の位置をたずねた.地図A,地図B,地図Cの順番で提示し,九番団地に続けて港区役所と協立総合病院の位置を探し出してもらった.このとき読図しながら頭の中で考えたり思ったりしたことを,意識的に発話してもらった. 地図の紙面全体が収まる画角で8mmビデオカメラを設定し,調査対象者10名の読図の過程を録画した.読図中の発話プロトコルでは,彼らが手がかりとして用いた地図の要素に着目し,地名やサインの時系列での出現のしかたを検討した.また,録画した映像には調査対象者の地図上での手の動きが記録されている.この動作は定量的に把握できないものの,指示した場所は読図中の手がかりとして扱った.<br><b></b><b>3.分析結果</b><br>1)定位した位置の正誤<br>地図Aでは,全ての調査対象者が九番団地を定位できなかった.団地を示す家形枠に類似している工場や倉庫を間違えて定位した者が多かった.地図Bでは,大きく離れて定位した者は減少した.それに対して,地図Cでは10名中8名が正確に定位できた.定位した九番団地の位置と本来の位置との距離のずれは,地図Aで最も大きく,次いで地図B,Cの順に小さくなった.地図Bでは大体の位置に定位できたものの,地図Cの方が,より正しく定位しやすくなることが分かった.一方,地図Cで港区役所または協立総合病院を定位する課題では,いずれも正しく定位できた者は少なかった.<br>2)発話プロトコルの内容と読図中に指示した場所<br>地図Aでは,名古屋港や幹線道路を発話しながら探し出そうとしたが,地図上で指示した場所は,そのほとんどが間違っていた.地図Bでは,最初に名古屋港駅を見つけた後に,地下鉄の線路をたどりながら,次々に駅名の注記や幹線道路を指示した.地図Cでは,全員が九番団地の向かい側にある『サークルK』を発話しながら指示した.この『サークルK』が,九番団地の定位を容易にするサインであることがわかった. しかし,同じコンビニエンスストアのロゴマークがたくさん表記されているために,かえって定位するのに混同した者もいた.このことは,ランドマークを機械的に表記すれば良い訳ではないことを示唆している. 以上の分析から,日系ブラジル人にとって自宅を定位しやすいハザードマップの地図表現が明らかとなった.適切なランドマークを現行のハザードマップに加えると,読図の精度が飛躍的に向上する.たとえばコンビニエンスストアのロゴマークのような絵記号を表記した地図表現が効果的である.<br><b>参考文献</b><br>髙井寿文2004.日本の都市空間における日系ブラジル人の空間認知.地理学評論77(8):523-543.
著者
寺尾 尚大 髙橋 麻衣子 清河 幸子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.89.17312, (Released:2018-11-15)
参考文献数
21

When reading orally, we produce the auditory information of the text through articulatory movements. We investigated the roles of articulatory movements and speech feedback in Japanese text comprehension. Previous studies of Japanese sentence comprehension showed that articulatory movements provide a function to retain word order information and that speech feedback facilitates complementary information processing. We predicted an effect of articulatory movements on verbatim memory and a limited influence of speech feedback on passage comprehension. Twenty-four undergraduates were asked to read 12 Japanese passages with or without articulatory movements and speech feedback. They then performed two types of tasks: verbatim memory and passage comprehension. The results showed that verbatim memory task performance improved with articulatory movements, whereas speech feedback had little effect on either task performance. We concluded that articulatory movements support the memory process and that speech feedback has little contribution to text memory and comprehension among adult readers.
著者
髙坂 康雅 小塩 真司
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.225-236, 2015 (Released:2017-09-20)
参考文献数
29
被引用文献数
1

本研究の目的は,髙坂(2011)が提示した青年期における恋愛様相モデルにもとづいた恋愛様相尺度を作成し,信頼性・妥当性を検証することであった。18~34歳の未婚異性愛者750名を対象に,恋愛様相尺度暫定項目,アイデンティティ,親密性,恋愛関係満足度,結婚願望,恋愛関係の影響などについて,インターネット調査を実施し,回答を求めた。高次因子分析モデルによる確証的因子分析を行ったところ,高次因子「愛」から「相対性―絶対性」因子,「所有性―開放性」因子,「埋没性―飛躍性」因子にパスを引き,各因子から該当する項目へのパスを引いたモデルで,許容できる範囲の適合度が得られた。また,ある程度の内的一貫性も確認された。「恋―愛」得点について,アイデンティティや親密性,恋愛関係満足度,結婚願望,恋愛関係のポジティブな影響と正の相関が,恋愛関係のネガティブな影響と負の相関が確認され,また年齢や交際期間とは有意な相関がみられなかった。これらの結果はこれまでの論究からの推測と一致し,妥当性が検証された。また,3下位尺度得点には,それぞれ関連する特性が異なることも示唆された。