著者
村上 敬宜 町田 尚 宮川 進 髙城 壽雄
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.853, pp.17-00231-17-00231, 2017 (Released:2017-09-25)
参考文献数
29
被引用文献数
4

Recently, recalls for mass production products such as car components have been frequently reported even for the case that the rate of defects is only of the order of ppm or less. The objective of this paper is to propose the solution to avoid the recall problem of the order of ppm for mass production products. Even if the defect rate is of the order of ppm or less, most of remaining safe products have to be recalled and be replaced by new components. Such a recall causes a great cost deficit if the very rare defect is possibly related to fatal accident. However, it is very difficult by the conventional quality control methods to find the defects of the order of ppm or less at the stage of design and production. This paper proposes a new practical quality control method to avoid the defects of the order of ppm or less for mass production products based on the statistics of extremes which has been successfully applied to fatigue strength evaluation of defective materials. First, several examples of the quality control method to avoid the troubles mainly caused by failures and damages of components will be presented. Next, it will be shown that the same approach also can be applied to other problems such as the optimum control of operational parameters and the selection of optimum materials through the index based on the statistics of extremes. It will be also shown that the same method can be applied not only mass production components but also to avoid the troubles and failure accidents for large machine components of small number production. The stress-strength model approach will be reviewed from the viewpoint of the statistics of extremes.
著者
髙橋 晋一
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.193, pp.221-237, 2015-02

本稿の目的は,阿波踊りにおける「企業連」の誕生の経緯を阿波踊りの観光化の過程と関連づけながら検討することにある。とくに,阿波踊りの観光化が進み,現代の阿波踊りの基盤が作られるに至る大正期~戦後(昭和20年代)に注目して分析を行う。大正時代には,すでに工場などの職縁団体による連が存在していた。またこの頃から阿波踊りの観光化が始まり,阿波踊りを会社,商品等の宣伝に利用する動きが出てきた。昭和(戦前)に入ると阿波踊りの観光化が進み,観光客の増加,審査場の整備などを通して「見せる」祭りとしての性格が定着してくる。小規模な個人商店・工場などが踊りを通じて積極的に自店・自社PRを行うケースも出てきた。戦後になるとさらに阿波踊りの観光化・商品化が進み,祭りの規模も拡大。大規模な競演場の建設と踊り子の競演場への集中は,阿波踊りの「ステージ芸」化を促進した。祭りの肥大化にともない小規模商店・工場などの連が激減,その一方で地元の大会社(企業)・事業所の連が急激に勃興・増加し,競演場を主な舞台として「見せる」連(PR連)としての性格を強めていった。こうした連の多くは,企業PRを目的とした大規模連という点で基本的に現在の企業連につながる性格を有しており,この時期(昭和20年代)を企業連の誕生・萌芽期とみてよいと思われる。なお,阿波踊りの観光化がさらに進む高度経済成長期には,職縁連(職縁で結びついた連)の中心は地元有名企業から全国的な大企業へと移っていく。阿波踊りの観光化の進展とともに,職縁連は,個人商店や中小の会社,工場中心→県内の有力企業中心→県内外の大企業中心というように変化していく。こうした過程は,阿波踊りが市民主体のローカルな祭り(コミュニティ・イベント)から,県内,関西圏,さらには全国の観光客に「見せる」マス・イベントへと変容(肥大化)していくプロセスに対応していると言える。This article aims to reveal how company-based Awa Dance groups were born by examining the progression in relation to the process of developing the Awa Dance Festival as a tourist event. As more and more tourists were involved in the festival, workplace-based dance groups (dance groups based on workplace relationships) were changing; such a group originally consisted of colleagues of a private-run shop, small or medium-sized company, or plant (from the Taisho to the pre-World War II period), then colleagues of a leading company in the prefecture (in the post-World War II period), and in the end colleagues of a large company inside or outside the prefecture (after the high economic growth period). This development corresponded with the change (growth) of the festival from a local festival mainly for residents (a community event) to a mass event to put on a show for visitors from within the prefecture, within the region, and around Japan. The first dance group formed by a local large company/business since the end of World War II had a similar characteristic with current company-based dance groups in that it was a large group organized for the purpose of corporate public relations; therefore, it is considered that company-based dance groups were born and began to develop at that time (from the late 1940s to the early 1950s).
著者
髙橋 祐介
出版者
有斐閣
雑誌
法学教室 (ISSN:03892220)
巻号頁・発行日
no.398, pp.38-44, 2013-11
著者
髙田 和生
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.12, pp.2498-2508, 2015-12-10 (Released:2016-12-10)
参考文献数
8

アクティブラーニングとは,大人数講義と対照をなす教育アプローチであり,後者が教育者側の情報伝授効率を高めるのに対して,前者は学習者が新たに受領した情報について何らかの活動に従事することにより,それら情報の高次レベルでの修得を可能にする.大人数講義とは排他的ではなく相補的関係にあり,大人数講義を数分間中断して個人やペアで何らかの認知タスクに取り組ませるという小規模なものから始められる.その有効性は実証研究でも証明されつつあり,膨大な医学情報量と過密化するカリキュラムの中で学ぶ医学生の学習支援のために,今後導入拡大が求められている.
著者
三宅 定明 吉田 栄充 野本 かほる 浦辺 研一 柴田 穣 髙野 真理子 杉山 英男
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.563-569, 2015-09-15 (Released:2015-09-29)
参考文献数
15

埼玉県住民の食品からの放射性物質の摂取量及び内部被ばく線量を推定するため,日常食(陰膳食)の放射能調査を実施した。134Cs及び137Csの平均値は,2011年度は0.43及び0.48Bq/人・日,2012年度は0.065及び0.15Bq/人・日であった。成人の預託実効線量は,2011年度は5.5μSv,2012年度は1.1μSvであった。2011年度の値は,福島第一原子力発電所事故以前の値と比べると,約80倍高い値であったが,一般公衆の線量限度1mSv/年の1%以下であった。
著者
虫明 淑子 髙橋 敏之
出版者
一般社団法人 日本保育学会
雑誌
保育学研究 (ISSN:13409808)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.20-31, 2016 (Released:2017-03-22)
参考文献数
21

本論では就園と同時期に子どもの発達障害の診断告知を受けた母親と教師との間で行った交換日記の記述から,1 年間の母親の障害受容の過程を明らかにした。量的分析の結果から,母親が肯定感情を高めた時期は,1 学期と 2 学期後半であると特定した。さらに質的検討を加えると,母親の障害受容が促進した要因は,①ペアレントメンターの効果,②子どもの目に見える成長,③子ども理解と問題行動への対応力,④非言語のやりとりにおける成長の確認,等が確認できた。母親が主体的に障害受容を進められるようになるためには,障害受容初期に接見した支援者の役割は最重要である。
著者
髙木 直
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, 2012

<目的> 家庭科では,適量で栄養バランスのよい食事を摂取するために栄養所要量や栄養素の種類と食品との関係などを指導してきている。しかし,これらの学習内容を日々の食生活に活かすには難しい生徒も多く,実践に活かすために,概量を知る上で,針谷・足立が提唱した「3・1・2弁当箱ダイエット法」(以下,「3・1・2弁当箱法」と称す。)が有効であると考えられる。 「3・1・2弁当箱法」は,5つのルールに従って,主食・主菜・副菜を弁当箱に詰めることにより,1食に必要なエネルギーや栄養素を適量かつバランスよく摂取できるとされている方法である。また,弁当箱の容量(ml)とエネルギー量(kcal)がほぼ同値となる点も1食の食事の全体量が掴みやすく,どれ位食べればよいかの理解にとても有効だと考えられる。 しかし,実際には弁当の詰め方には個人差があることが予想され,5つのルールのうちの1つである「料理が動かないようにしっかり詰める」ということが,実際にどのように受け止められどのように詰めることができるのかを明らかにし,授業に活用する際の注意点として押さえることが大切である。 そこで,本研究では,弁当の詰め方に着目し,ばらつきの程度を明らかにすることを目的とする。<方法>  調査対象者は山形市内のY大学の学生36名(男女各18名)で,調査時期は2011年9~11月。調査方法は,630mlの弁当箱を用意し,1メニューに対し男女6人ずつ計12人,3メニューについて弁当詰めを実施させる。その際の指示内容は以下の3点である。①主菜・副菜は全種類使う。②主食・主菜・副菜を投影面積比で3:1:2にする。ただし,同グループ内での詰め方は自由とする。(例えば,主菜のスペースにハンバーグ4つと卵焼き1つでも,ハンバーグ2つと卵焼き3つでもよい。)③ふたを閉めてもつぶれない程度の高さまで,料理が動かないよう隙間なくしっかり詰める。なお,各メニューの内容は次のとおりである。メニューA:主食=米飯,主菜=豚の生姜焼き,卵焼き,副菜=きんぴらごぼう,小松菜とえのきのお浸し,ミニトマト,ブロッコリーメニューB:主食=米飯,主菜=ハンバーグ,卵焼き,副菜=ポテトサラダ,ほうれん草のごま和え,ミニトマト,ブロッコリー,メニューC:主食=米飯,主菜=サンマの竜田揚げ,ウインナソーセージ,副菜=ひじき煮,カボチャの煮物,ミニトマト,ブロッコリー<結果及び考察>  3メニューの全重量の平均と標準偏差は,メニューAが338±32g,メニューBが349±38g,メニューCが315±39gであった。足立らが「しっかり詰める」確認方法として弁当の重量(g)が弁当の容量(ml)の約7割程度としていることと比較してかなり少なく50%~55%であった。エネルギー量についてはメニューAは526±75kcal,メニューBは538±66kcal,メニューCは533±84kcalであり,630kcalに及ばない者が大半であった。主食,主菜,副菜の投影面積比率が3:1:2(50%:17%:33%)になっているかどうかについては,誤差を±5%とし,その範囲内に収まった者は主食30名(85.7%),主菜26人(74.3%),副菜23名(65.7%)であった。範囲未満者は主食5人(14.3%),主菜0人,副菜7人(20%)であり,範囲超過者は主食0人,主菜9人(25.7%),副菜5人(14.3%)であった。このことから主食は少なめに,主菜は多めに入れる傾向が見られた。主菜の米飯は3メニュー通してみると,男女で有意差が見られ,男子(174±31g)のほうが女子(150±31g)に対して多く詰めていた。弁当の容量(ml)=熱量(kcal)にするためには,いくつかの指示を与える必要のあることが明らかとなった。
著者
青山 弘之 末近 浩太 錦田 愛子 山尾 大 髙岡 豊 浜中 新吾 高橋 理枝 溝渕 正季
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は「アラブの春」が中東地域にもたらした混乱に着目し、そのなかで台頭を遂げた非国家主体と、「弱い国家」となった各国の主要な政治主体が織りなす政治構造の実態を解明することを目的とした。具体的には、東アラブ地域諸国の政治の動静に焦点を当て、既存の国家枠組みのなかで政治を主導してきた軍、治安機関、政党・政治組織、NGOなどと非国家主体の関係、そしてその関係が政治や社会の安定性に及ぼす影響を明らかにした。
著者
髙田 明
出版者
日経BP社
雑誌
日経トップリーダー
巻号頁・発行日
no.343, pp.50-53, 2013-04

過去に、売り上げや利益の数値目標を掲げたことは一度もないので、私にとっては異例のことです。これまでは「前年を下回らないこと」だけを自分と社員に求めてきました。数字を目標にすると数字に気を取られ、身の丈に合わないことをしたり、お客様の存在を…
著者
髙野 陽太郎 伊藤 言
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.86, no.6, pp.584-588, 2016 (Released:2016-02-25)
参考文献数
42

Volpi (2004) pointed out that Alessandro Valignano, a 16th century Christian missionary, had considered the Japanese extreme collectivists. According to Volpi, his remark was based on Valignano’s reports (1583, 1592) edited by Alvares-Taladriz (1954). However, it is highly questionable whether Volpi examined these texts directly because the information about them provided by Volpi involved many serious errors. A thorough inspection of Valignano’s translated reports found no mention of Japanese collectivism. On the contrary, he had actually reported exceedingly individualistic behaviors of Japanese warriors. Such behaviors are consistent with what is widely known about the 16th century Civil Wars in Japan. It has thus turned out that no reliable evidence is present for the alleged observation by Valignano.
著者
髙鳥 真 韮澤 力 橋本 尚幸 小林 麻衣 一ノ本 隆史
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.G0936-G0936, 2006

【目的】今回,2年次,3年次の臨床実習終了後のエゴグラム特性について調査し,学生の自我状態の変化と臨床実習成績の関連について検討した.本学では,2年次に3週間の臨床実習(いわゆる評価実習)と3年次に8週間の臨床実習を二期行っている.成績はいずれも優・良・可・不可または保留の総合判定として判断される. <BR>【方法】対象は,平成16年度に晴陵リハビリテーション学院理学療法学科3学年に在学した学生40名(男性18名,女性22名)で,調査は,2年次実習終了後(平成16年2月)と3年次二期目の実習終了後(平成16年12月)に行った.調査用紙は新版東大式エゴグラム(以下,TEG)を用い,学生には調査主旨を説明し了解を得た上で全員一斉に行い,38名(95.2%:3年次)の有効回答を得た.<BR> データ処理は,3年次臨床実習成績から成績上位群(二期間の一方で総合判定が優の10名)と成績下位群(二期間の一方で総合判定が可または保留の9名)の2群に分け,TEGの5項目(批判的親:CP,養育的親:NP,成人:A,自由な子供:FC,従順な子供:AC)について各々の平均値から各群のTEGパターンをみた.さらに両群の同一学生について,後方視的に2年次のTEG項目と3年次のTEG項目について対応のあるt検定(有意水準5%未満)を用いて比較した.<BR>【結果】成績上位群では,2年次でNPとFCが高い「M型:優しく世話好きで他者からかわいがられる」,3年次ではNPを頂点とし次いでAが高く,他が低い「台形型:自己偽性をしても他人に尽くす指導者的」を示し,群内比較においてACで有意に3年次が低かった(p<0.05).成績下位群では両学年ともにNPとACが高く,CPとAが低い「N型:依存的で現実に即した行動が出来ない」を示し,いずれの項目でも学年間での有意な変化はなかった.<BR> 【考察】医療職に求められるTEGパターンは「台形型」と言われている.今回,成績上位群の3年次でこのパターンがみられた.NPは親身になって世話をするという自我を示し,Aはその値が高いと物事を論理的に判断でき,低いと合理的に判断することが困難となる.また,ACが相対的に低位を示すと行動力があるとされる.つまり,成績上位群では,より医療職に適した自我へと変化しうる背景が2年次に現れており,3年次の臨床経験によって自己概念の形成が適切に行われたと言える.<BR> 一方,成績下位群では学年間に変化がなく,ともに「N型」を示した.AC高位では主体性に欠け,さらにA低位を伴うと依存的傾向が強まり,問題解決が難しくなると言われている.故に成績下位群では,学年間においても自己概念の形成が行えず,臨床実習成績に影響を及ぼしたと考えられる.以上のことから,ACが相対的に低位になる(行動力を身に付ける)ようにNPとAを伸ばす(思いやりや計画性を身に付ける)という,自己概念の形成を学生自らが認識するとともに,教員が共有して関わっていくことの必要性が示唆された.<BR>