著者
木原 高治
出版者
東京農業大学
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.68-92, 2011 (Released:2012-12-06)

本稿では,地域社会における地方企業の役割や存立意義を明らかにするために,清酒製造業4社による地域活性化のための具体的な取り組みについて分析を行った。同族企業が多い地方企業の場合,その特徴として,有機的組織の積極面を生かした従業員志向の経営,顧客満足を目指した技術,販売,組織面でのイノベイティブな取り組みに見られる消費者志向の経営,株主への配慮を必要としない長期的な経営志向と地域社会への積極的な貢献意欲などをあげることができる。地方企業は地域社会との共生を基盤として共存共栄をしているが,そのガバナンスの基礎は地域社会を基礎とした多様な信頼関係に求めることができる。また,地方企業の諸活動は,地域社会の人々の生活実体を財やサービスの供給,雇用の受け入れ,地域貢献活動等の多様な側面から支えており,逆に地方企業は地域社会に存在している様々な資源や人間関係により支えられている。その相互のコミュニケーションを支える信頼関係の構築こそが,地域社会における地方企業の役割や存立意義につながるものである。
著者
岩下 明生 小川 博 安藤 元一 Iwashita Akio Hiroshi Ogawa Motokazu Ando
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.69-76, 2015-09

アライグマ(Procyon lotor)の密度指標として捕獲効率(CPUE)が有効であることはすでに知られているが,このデータは捕獲作業を実施しなければ得られない。そこで,自動撮影データから得られた諸指標[撮影効率,撮影するのに要した期間(LTD),撮影メッシュ率]を捕獲効率と比較することによって,自動撮影データの密度指標として有効性を検討した。アライグマの生息状況が異なる神奈川県内の3地域の林地を主な調査地として,2010-2011年に自動撮影調査を行った。捕獲効率,捕獲するのに要した期間(LTC)および捕獲メッシュ率は,行政による防除事業データから算出した。これら指標を地域間で比較すると,撮影効率,撮影メッシュ率,捕獲メッシュ率は,捕獲効率と同様の傾向を示したが,LTDとLTCはそうではなかった。一般化線形混合モデルにより解析したところ,撮影効率は捕獲効率に対して有意な正の関係がみられたが,LTCにおいてはみられなかった。これらのことからアライグマの密度指標として,撮影効率は有効であった。
著者
関岡 東生 南橋 友香
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.205-215, 2012-12-14

群馬県川場村は,1975年から「農業プラス観光」を地域振興の基本理念として種々の地域振興策を講じてきた山村である。その結果として,過疎地域指定(1971年)も2000年には解除される等の成果を生んでいる。本稿では,この「農業プラス観光」を支える基盤である民間宿泊業のうち特に民宿に注目し,現状の分析と若干の考察を行った。その結果,民宿業の現下の優越性として,[◯!1]総じて高いリピート率を誇ること,[◯!2]各民宿毎に特徴ある客層を対象とした経営を実現していること,[◯!3]多くにおいて後継者を有していること,等を確認することができた。一方で,解決を要する点として,[◯!1]スキー客への依存,[◯!2]地域社会への経済的貢献度の低さ,[◯!3]他機関・他組織との連携の弱さ,[◯!4]交流事業との連携の弱さ等も明らかとなった。
著者
飯嶋 一浩 竹内 将俊 Kazuhiro Iijima Takeuchi Masatoshi
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.89-96, 2007-09

シロテンハナムグリの生活史を、屋外飼育実験の結果を基に推定した。飼育実験の結果、本種の生活史型は、年1化・幼虫越冬・多回繁殖型であった。成虫の寿命は約1年で、活動期間は5月から9月であるが、夏季に羽化した新成虫は摂食活動の後に地中で越冬して、翌年も再び活動を行った。なお、新成虫の多くは初年度には繁殖活動を行わないが、一部は初年度と次年度の2回、繁殖を行った。幼虫は3齢が終齢であり、初年度の冬季は終齢幼虫の状態で休眠室を形成し、この中で越冬した。成虫の餌資源植物について調査した結果、餌資源植物は3綱18目25科42種であった。このうち訪花植物は2綱14目19科30種、樹液利用植物は2綱3目3科5種、果実利用植物は1綱4目5科8種であった。本研究の結果から、季節を通じ成虫が花粉・花蜜食と樹液食や果実食への切替えを行っていることが、餌資源の枯渇時期を回避することに繋がり、このことが同じハナムグリ亜科の他種に比べて成虫の活動期間と寿命が長い一因であると考えられた。
著者
竹井 かおり 星野 大地 市村 匡史 Kaori TAKEI HOSHINO Daichi ICHIMURA Masashi
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.98-103, 2012-09

本試験では養液栽培において,育枯病の発病抑制効果が期待できるスイートバジル,オレガノ,ローマンカモミールを用いて,ハーブの栽植密度を変えてトマトとの混植試験を行い,ハーブの混植が青枯病発病ならびに培養液中の青枯病菌密度に及ぼす影響を調査した。その結果,対照区と比べて,スイートバジル混植区では青枯病発病が4日遅れ,オレガノ,ローマンカモミール混植区では,青枯病の進行が5~8日抑制された。さらに,スイートバジル,オレガノ混植区では培養液中の青枯病菌密度が検出限界以下(約10 2cfu/mL以下)に減少した。以上のことから,ハーブの混植により,青枯病発病抑制,青枯病進行抑制,培養液内の青枯病菌密度低下効果などが得られる可能性が示唆された。
著者
徳田 宏晴 本間 裕人 中西 載慶
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.126-137, 2012-09-21

我が国の地ビールの一般成分分析を,カテゴリー(上面発酵濃色・淡色,下面発酵濃色・淡色)・醸造期間別(1999-2002年および2008-2010年)に行った。その結果,いずれのカテゴリーのビールにおいても,醸造年度により成分組成(品質)に若干の変動が見られた。近年の地ビールでは,10年ほど前ものと比較して,ビール中のリンゴ酸濃度の低下とクエン酸濃度の増加が認められた。また,ポリフェノール含量が低下していた。さらに,近年その数が増加傾向にあるオリジナル・スタイルビールでは,有機酸と糖質の風味バランスが保たれつつ,両者の濃度が増量されたビールが多かった。小規模醸造によって生産される地ビールに関するこの様な特性を消費者に認識していただき,地ビール業界が今後とも継続的に発展することに期待したい。
著者
新堀 左智 日高 文子 上地 由朗 Niihori Sachi Ayako Hidaka Yoshiaki Kamiji
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.18-27, 2015-06

本研究は2013年に世田谷区立松ヶ丘幼稚園5歳児年長組を対象として実施した。幼稚園園庭のプランターを用いた「イネ栽培体験」を基軸に,園児や保護者を対象に「ポットイネの観察」を合わせた2つの活動を展開した。イネを通じた食育活動から,子どもが示した反応の記録と保護者に実施したアンケート結果を絡めて,本活動の効果や役割を検討した。子どもは,イネ栽培の導入として位置づけられる概要説明時から栽培期間,調整作業を終えるまで,イネに興味を持って積極的に向き合っていた。このことは,イネ栽培を通じた他者との関わりを含めて「楽しさ」の芽生えが作業を「遊び」にしていることに加え,植物栽培および食べ物つくりにとって格好の場である幼稚園で実施したことが要因になっていると考えられた。また,本活動によって子どもが興味を持ってイネと関わることにより植物を育てる面白さを感じ,自分のおコメを得るという目的意識の中で,責任感や連帯感,思いやりを育むといった多岐にわたる効果が得られた。
著者
足達 太郎 石川 忠 岡島 秀治 Taro Adati Ishikawa Tadashi Shuji Okajima
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.267-276, 2010-03

上越市の西部中山間地域の二つの集落において,慣行農法および有機農法を実施している水田から,はらいおとし法によって節足動物を捕獲し,害虫・天敵・その他に区分したうえで,種(種群)ごとの生息密度と種多様度を調査した。捕獲した全サンプルのうち,害虫は個体数比率で70%を占めたのに対し,天敵とその他の節足動物はそれぞれ16%および14%にとどまった。類別にみると,害虫のなかではウンカ・ヨコバイ類が大多数をしめ,そのほかにガ類やコウチュウ類が捕獲された。天敵のなかではクモ類が大多数をしめた。その他の節足動物ではトビムシ類が大半をしめ,ほかにユスリカ類が捕獲された。集落別・農法別にみた害虫および天敵の生息密度は,年次や季節によって変化がみられた。このような発生消長はウンカ・ヨコバイ類,フタオビコヤガ,クモ類でも顕著だった。二元分散分析の結果,集落のちがいが生息密度に有意な影響をおよぼすのは,セジロウンカなどをふくむ5種および8種群の節足動物であることがわかった。いっぽう,農法のちがいが生息密度に有意な影響をおよぼすのは,クモ類などをふくむ2種および6種群であり,そのうち1種群以外はすべて生息密度が慣行区よりも有機区で高かった。各調査区について種の多様度指数(H′)をもとめたところ,吉浦よりも大渕で害虫の種多様度が高く,また慣行区よりも有機区のほうが高かった。天敵では集落間・農法間とも種多様度に顕著な差はみられなかった。本研究の結果,有機区での生息密度が高く,年次ごとに比較的安定した密度推移を示すことがわかったクモ類については,今後,さまざまな種類の農法が水田生態系におよぼすインパクトを評価するための指標生物として活用できる可能性がある。
著者
松林 尚志 石坂 真悟 中川 徹 中村 幸人
出版者
東京農業大学
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.110-115, 2009 (Released:2011-07-26)

多摩川源流域山梨県小菅村の奥山2地域と里山2地域の計4地域において、2008年4月から12月までの9ケ月間、6台のセンサーカメラによって、げっ歯目と翼手目を除く中大型哺乳類相の調査を実施した(1,130カメラ日)。その結果、11種の中大型哺乳類が確認され、撮影頻度(100カメラ日あたりの撮影枚数)が高い種は、上位からニホンジカ(Cervus nippon;12.9)、イノシシ(Sus scrofa;5.4)、テン(Martes melampus;4.5)、ニホンザル(Macaca fuscata;3.3)、そしてタヌキ(Nyctereutes procyonoides;3.1)であった。1位のニホンジカの撮影頻度の割合(32.7%)は、2位のイノシシ(13.7%)に比べ2.4倍高く、4地域すべてにおいて相対的に高い値を示した。また、調査4地域において、対象種の撮影頻度の合計が最も高い傾向を示したのは、湧水域を対象とした奥山地域B(120.2;8種)で、続いて里山地域A(46.0;9種)、里山地域B(44.5;10種)、奥山地域A(17.3;10種)の順であった。湧水域の撮影頻度の高さは、この地域の個体数あるいは利用頻度の高さを反映したものであり、この地域が野生生物管理にとって鍵となる環境であることが示唆された。
著者
矢野 顕子 本橋 慶一 Akiko Yano Keiichi Motohashi
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.100-105, 2016-12

ハナノキはカエデ属の日本固有種で,愛知県,岐阜県および長野県の限られた地域に自生している。本樹木は,個体数が減少していることから環境省レッドリストの絶滅危惧II類に選定され,その種の存続が危ぶまれている。植物病原菌Phyllosticta minimaによって引き起こされる褐色円斑病は,ハナノキに深刻な被害を与え,天然更新の阻害要因となっていることが考えられている。本研究では,ハナノキ罹病組織から病原菌を特異的に検出し,病害防除の上で重要となる感染経路を特定する目的で,種特異的プライマーを設計した。種特異的プライマーPmiFおよびPmiRは,P. minimaのrDNA ITS領域の塩基配列から設計され,分離菌株由来の全DNAを用いたPCR法で,その特異性が確認された。愛知県名古屋市で採集されたハナノキ組織から病原菌の検出を試みたところ,罹病葉のみならず潜在的に感染している無病徴の葉からも病原菌の検出が確認された。さらに,東京都八王子市に植栽されたハナノキの葉,葉柄,小枝,冬芽および腋芽について調査した結果,それぞれの組織から病原菌が検出された。P. minimaは6月から7月頃に罹病葉から腋芽(冬芽)へ感染,潜伏して,翌年の第一次感染源となることが明らかとなった。Acer pycnanthum is a maple tree indigenous to Japan, which grows in limited areas of the Aichi, Gifu, and Nagano Prefectures. A. pycnanthum is currently an endangered species, with a declining population. This tree is considered to be a vulnerable species according to the Red List of the Ministry of the Environment. Leaf spot disease caused by Phyllosticta minima, a phytopathogenic fungus, inflict severe damage on A. pycnanthum. These fungi secrete inhibitory factors, which have been suggested to repress natural regeneration. In the present study, we designed species-specific primers with the aim of specifically detecting pathogens in tissue samples of A. pycnanthum, thereby identifying infection routes crucial for disease control. The species-specific primers PmiF and PmiR, which were designed based on the sequence of the P. minima rDNA Internal Transcribed Spacer region, were verified for their specificity in PCR tests using the total DNA of isolated strains. In A. pycnanthum tissue samples from Hachioji, Tokyo and Nagoya, Aichi Prefecture, pathogenic fungi were isolated not only from affected but also asymptomatic leaves. Furthermore, in trees planted at Hachioji, Tokyo, pathogens were observed in tissue samples of leaves, petioles, twigs, winter buds, and axillary buds. These results suggest that P. minima infects axillary (winter) buds from June to July via previously infected leaves, thus becoming latent and finally triggering primary infections in the following year.
著者
君島 利治
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.152-159, 2008-09-16

この拙論は,フィリップ・ラーキンの詩「かなり悪い事態」の三つの読み方を提示し,この詩の解釈の可能性,その広がりについて論考したものである。一般的に,この詩は日常的な失敗から自分の運のなさ,敗北感を感じるというごくありふれた内容によって,ラーキン的な運命論や宿命論を導き出している。しかしその奥には,詩作に行き詰まり癇癪を起こした詩人が,ふと我に帰り詩作の可能性を見出し,自分を鼓舞する詩とも解釈できる。さらにメタファやイメージを最大限に生かして拡大解釈すると,この詩は性的な内容に溢れ,自分の恋人達との性交の場面を描写している詩とも解釈できる。これら三つの解釈のどれが最もふさわしいかは,やはり読み手に委ねられてしまうわけではあるが,既述した読み方が進むに連れ,詩人の真意に近づいているのではないかと考えられる。
著者
スウィト アノタイシンタウェー チャイヤワン ワッタナチャント 野村 こう 大石 孝雄 天野 卓 Anothaisinthawee Suwit Chaiyawan Wattanachant Koh Nomura Takao Oishi Takashi Amano
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.63-70,

濃厚飼料給与量を体重の1パーセントとした給餌条件下で飼育したタイ産肉用ヤギ3集団の屠体成績を得ることを本研究の目的とした。南部タイ在来種,2元交雑(50%アングロヌビアン種×50%在来種),3元交雑(50%ボアー種×25%アングロヌビアン種×25%在来種)から健康な1歳雄18頭を無作為に選び,24時間絶食後,屠殺した。3元交雑は2元交雑および在来種に比べ,屠殺前生体重,枝肉重量,枝肉長の値が有意(P<0.01)に大きかった。枝肉歩留は50.20~54.28%で,3元交雑が有意(P<0.01)に低かった。3元交雑のロース心面積は,2元交雑や在来種に比して有意(P<0.01)に大きかった(それぞれ16.97,11.19,8.13cm^2)。屠体の物理学的特性,肉の化学組成と微細構造は,骨と肉の比率を除いて3集団に差はなかった。在来種の骨量は他集団に比べ有意(P<0.01)に低く,筋肉─骨比はほかの2集団に比べて有意(P<0.01)に高かった。また可食肉(筋肉+脂肪)─骨比も有意(P<0.05)に高かった。肉のタンパク含量は3元交雑(22.4%)が有意(P<0.05)に高く,脂肪も同様(P<0.01)であった。肉の剪断力価と肉色は集団により有意(P<0.05)に異なった。胸最長筋の剪断力価は大腿二頭筋や上腕三頭筋より低く(P<0.05),国際標準照度値による肉色測定では大腿二頭筋と上腕三頭筋の肉色は胸最長筋よりも暗かった(P<0.05)。The objective of this study was to assess the carcass characteristics of three genotypes of meat goats in Thailand, kept in a semi-intensive system with concentrated feed at 1% of body weight. Eighteen healthy male yearlings, including Southern Thai native, two-way crosses (50% Anglo-Nubian ×50% native) and three-way crosses (50% Boer ×25% Anglo-Nubian ×25% native) goats were randomly selected and slaughtered after being starved for 24 h. Three-way crosses had greater (P<0.01) fasted live weight, carcass weight and carcass length than two-way crosses and native goats in the same environment. The dressing percentage (based on empty body weight) ranged from 50.20% to 54.28%, with highly significant differences between genotypes. Three-way crosses had greater (P<0.01) loin eye area than two-way crosses and native goats (16.97, 11.19, and 8.13cm^2, respectively). Physical properties, chemical composition of meat, and muscle microstructure of the three genotypes were determined. There were no differences in physical properties between genotypes, except for bone percentage. Native goats had lower (P<0.01) bone content than two-way and three-way crosses. The muscle-bone ratio was higher (P<0.01) in native goats than in other goats, even using the criterion of edible meat (muscle+fat-bone ratio, P<0.05). The protein percentage of muscles was significantly higher in three-way crosses (22.4%) than in two-way crosses and native goats (P<0.05). The fat percentage of three-way crosses was higher (P<0.01) than that of two-way crosses and native goats. Genotype had a significant (P<0.05) influence on meat quality in regard to shear force and lightness. The longissimus dorsi had a lower shear force value than the biceps femoris and triceps brachii (P<0.05). The International Commission on Illumination system values for the biceps femoris and triceps brachii were lower (P<0.05) than those for the longissimus dorsi.
著者
吉田 光司 亀山 慶晃 根本 正之
出版者
東京農業大学
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.10-14, 2009 (Released:2011-07-26)

ナガミヒナゲシが日本国内で生育地を拡大している原因を解明するため、1961年に日本で初めて帰化が報告された東京都世田谷区と、1990年代以降急速に生育地が増加した東京都稲城市で生育地調査を行った。ナガミヒナゲシの生育地数は、世田谷地区と稲城地区の双方とも道路植桝で最も多く、次いで駐車場や道路に面した住宅地となり、自動車の通過する道路周辺に多いことが判明した。ナガミヒナゲシの生育地は道路植桝から周辺の駐車場へと自動車の移動に伴って拡大したと考えられる。この過程を検証するため、ナガミヒナゲシの在・不在データを応答変数として、道路植桝から駐車場までの距離と舗装の有無、それらの交互作用を説明変数とするロジスティック回帰分析を行った。AICによるモデル選択の結果、世田谷地区ではいずれの説明変数(距離、舗装の有無、それらの交互作用)も選択されなかったのに対し、稲城地区では距離(P=0.07)および距離と舗装の有無の交互作用(P=0.04)がナガミヒナゲシの存在に負の影響を及ぼしていた。これらの結果から、(1)帰化年代の古い世田谷地区では生育地拡大が完了しており、主要道路からの距離や舗装の有無とは無関係にナガミヒナゲシが生育していること、(2)稲城地区では生育地拡大の途上であり、その過程は道路植桝からの距離だけでなく、距離と舗装の有無との交互作用によって影響されることが示唆された。
著者
横濱 道成
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.189-204, 2016-03-15

エミューは環境適応性に優れた走鳥類で,北海道・網走市では新規家禽として,そのオイル(機能性物質)生産を目的に飼育・増殖されている。しかし,本鳥に関する情報は内外とも少ないことから,筆者は新規産業鳥として,その生産向上に関わる事項について独自に調査してきた。本稿では,文献を参考にしながらその内容をまとめた。ペアリング後,交尾は早いペアーで14日目,遅いのは74日目で確認された。産卵期間は,11〜翌年5月までの7ヶ月間であった。産卵数は2〜3月に多く,全体の56.73%であった。雌・雄同比率繁殖群の産卵数(雌1羽当たりの産卵数が18.50個)は,10羽以上の集団および雌・雄異比率繁殖群(それぞれ雌1羽当たり6.55個と9.51個)に比べ有意に高かった(p<0.01)。ペアリングでは,産卵数20個の個体が翌年に1個に激減した例,同一ペン内で,雌が同一雄とのペアリングを解消するためペンからの移動を試み事故死した3例,また2頭の雄と交尾した1例が観察された。雌には,同一雄とペアリングを継続するタイプと産卵後に雄を交換するタイプが存在すると推察され,飼育下では前者のタイプが多く認められた。受精率は,2009〜2010年と2010〜2011年で,それぞれ89.64%と86.14%で,孵化率はそれぞれ67.34%と64.64%であった。受精率は産卵数の増加に伴って高くなる傾向にあった。交尾は1〜3月に集中し,その割合は80.23%であった。また,交尾時間帯は午前3〜9時に集中し75%を占め,特に,午前5〜9時の間に52.04%であった。交尾持続時間は22〜74秒間が多く72.23%であった。最長時間は3分50秒 (230秒)であった。交尾回数はペアーによってバラツキが大きく10〜59回の間に分布した。産卵数が多いペアーは交尾時間も長い傾向にあった。4〜5歳齢(雌・雄)の平均体重は約40kgになるが,脂肪重量は雄(9.42±0.40kg)が雌(7.34±0.64kg)に比べ有意に高かった(p<0.01)。体重(♂)が30〜35kg区の脂肪重量は5.99±0.35kgで,50〜55kg区では15.33±0.85kgで有意差が認められた(p<0.01)。体重と脂肪重量間には強い正の相関(r=0.785)が認められた。雄の脂肪重量に関して,下半期が9.94±0.47kgで,上半期(7.75±0.64kg)に比べ有意に高い値であった(p<0.01)。
著者
富高 弥一平 狩俣 貴清 野口 有里紗 Yaichibe Tomitaka Karimata Atsukiyo Noguchi Arisa 東京農業大学農学部農学科 東京農業大学農学部農学科 東京農業大学農学研究科農学 Department of Agriculture Faculty of Agriculture Tokyo University of Agriculture Department of Agriculture Faculty of Agriculture Tokyo University of Agriculture Department of Agricultural Science Graduate School of Agriculture Tokyo University of Agriculture
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.196-200,

コリアンダーの花芽分化と発育に及ぼす日長の影響について検討した。日長は8,12,14,16時間及び自然日長とした。草丈は長日ほど大きくなったが,葉数は日長の影響をあまり受けなかった。播種から花芽分化までの所要日数は,16時間日長が最も短く49日であった。一方,8時間日長は最も長く73日であった。また,花芽分化から開花までの所要日数は長日ほど短くなった。花芽分化時の展開葉数は長日ほど少なかった。花芽分化は8時間日長でも見られたが,長日ほど早くなかった。したがって,コリアンダーは花芽分化に関しては,量的長日植物と考えられる。花芽の発育過程は次のように分けることができる。1.未分化,2.分化初期,3.花房分化期,4.側花房分化期,5.小花形成期,6.小花増加期,7.花弁形成期,8.雄ずい形成期,9.雌ずい形成期This study examined the influence of daylength on the flower bud differentiation and development of coriander. Daylength of 8, 12, 14, 16-h and natural daylength were afforded the plants. The plant height of longer daylength was greater, while daylength had little influence on the number of leaves. The number of days from sowing to flower bud differentiation was the smallest for the 16-h daylength (49 days) and the greatest for the 8-h daylength (73 days). On the other hand, the longer the daylength, the smaller the number of days from flower bud differentiation to flowering. The number of expanded leaves was smaller for longer daylength. Flower bud differentiation was observed even in the 8-h daylength, although it was earlier in the longer daylength. Therefore, coriander can be regarded as a quantitative long day plant as regards the flower bud differentiation. The stage of flower bud development can be classified into the following nine stages : 1) vegetative stage ; 2) predifferentiation stage ; 3) cluster differentiation stage ; 4) lateral cluster differentiation stage ; 5) early stage of floret formation ; 6) later stage of floret formation ; 7) petal development stage ; 8) stamen development stage ; 9) carpel development stage.
著者
高橋 久光
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.179-188, 2016-03-15

化学肥料や農薬を多投し,農業機械を駆使した近代化農業は飛躍的な生産性の向上とともに食料の増産をもたらしてきたが,その反面では地下水の汚染,塩類の集積,生態系の喪失等の環境負荷を招くこととなった。このため,有機物を代替投入する低投入・持続型農業への関心が世界的に高まっており,中でも有機農業は持続可能な農業の一つの形態として注目されている。我が国において,農薬の危険性が認識され始めた1970年代初めから,有機農業が脚光を浴びるようになり,現在では,アレルギー体質者の増加や,O-157,ダイオキシン,さらにはBSE等,食の安全性への不安増大を背景に有機農産物の需要が拡大している。ここでは,色々な有機質肥料と化学肥料とを比較し,それらが野菜の生育および品質に及ぼす影響,並びに土壌の理化学性について調査・実験し,有機質肥料が化学肥料の代替になるかを検討した。
著者
寺本 明子 Akiko TERAMOTO 東京農業大学応用生物科学部教養分野 Foreign language studies(English) Faculty of Applied Bio-Science Tokyo University of Agriculture
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.368-377,

英国が,進歩と繁栄の時代として誇るヴィクトリア朝は,一方で,工場の生産性至上主義,子供の奴隷,貧困者からの搾取の時代でもあった。そして当然のことながら,次の四半世紀にかけて,良い面を伝えるだけでなく,暗い影も落とした。当時の英国の知識人達は,社会にとって有害なこうした負の性質に恐れを抱いたが,そのうちの一人が,同郷のオスカー・ワイルドより2歳下の,ダブリン出身のジョージ・バーナード・ショーであった。ショーは,彼のやり方,つまり劇作を通して,社会を改良したいと強く願っていた。彼がギリシャ神話から題材を取り,1912年に書いた『ピグマリオン』は,そうした作品の一つである。主人公は,ロンドンの花売り娘イライザ・ドゥーリトルで,音声学者ヒギンズ教授の指導で,上品なレディーに変身する。この劇は,英国の階級社会への風刺であるように言われるが,私は,男女の性質の差に関するショーの見方を表すものと考える。『ピグマリオン』の登場人物を分析し,彼等を二つのタイプに分けることにする。一つは,ヒギンズ教授(敵役),ピッカリング大佐,アルフレッド・ドゥーリトル(イライザの父親)を含む男性のグループで,もう一つは,イライザ,ヒギンズ夫人,ピアス夫人(家政婦)を含む女性グループである。前者は,仕事や階級を表し,競争や独立独行を象徴する。後者は,協力的でありながら,それぞれ個を確立している。ショーは何を我々に教えているのだろうか。彼は,「偉大な芸術は,社会改良の情熱を持ち教訓的でなくてはならない」と考えていた。この論文では,ドラマツルギーの一つの要素である演繹法を解明することによって,『ピグマリオン』におけるショーのメッセージに迫った。The Victorian Age in England, so often boasted of as an age of progress and prosperity, was also an age of factories, of child slavery, and of exploitation of the poor, which was naturally followed not just by positive phases but by negative ones in the country over the first quarter of the next century. In those days the English intelligentsia was afraid of negative qualities which were harmful to society. Among them was George Bernard SHAW from Dublin, two years junior to Oscar WILDE. SHAW strongly desired to reform society in his own way, through his ability as a dramatist. One of his best examples was Pygmalion, written in 1912, whose title was taken from an old Greek myth. Its protagonist is Eliza Doolittle, who is transformed from a London street vendor who hawks flowers into a charming lady by Professor Higgins, a phonetician. Many have said that the play presents a satirical view of the English class system ; however, I see the play as an expression of SHAW's view of the gender gap. Analyzing the characters of Pygmalion, I divide them into two types : the male group which includes Professor Higgins (an antagonist), Colonel Pickering and Alfred Doolittle (Eliza's father), and the female group which includes Eliza, Mrs Higgins and Mrs Pearce (housekeeper). The male group represents a profession or class and symbolizes competition and self-dependence. The female group indicates individuality combined with a cooperative nature. What does SHAW teach us? He says that great art must be didactic with a passion for reforming the world. I clarify his messages in Pygmalion by elucidating his deductive style, an element of dramaturgy.
著者
多田 由紀 川野 因 田中 越郎 前田 良之 高橋 英一 古庄 律 上岡 美保 日田 安寿美 新村 洋一 貝沼 章子 高野 克己 Yuki Tada Kawano Yukari Tanaka Etsuro Maeda Yoshiyuki Takahashi Eiichi Furusho Tadasu kamioka Miho Hida Azumi Niimura Youichi Kainuma Akiko Takano Katsumi 東京農業大学応用生物科学部栄養科学科 東京農業大学応用生物科学部栄養科学科 東京農業大学応用生物科学部栄養科学科 東京農業大学応用生物科学部生物応用化学科 東京農業大学応用生物科学部教養分野 東京農業大学短期大学部栄養学科 東京農業大学国際食料情報学部食料環境経済学科 東京農業大学応用生物科学部栄養科学科 東京農業大学応用生物科学部バイオサイエンス学科 東京農業大学応用生物科学部醸造科学科 東京農業大学応用生物科学部生物応用化学科 Department of Nutritional Science Faculty of Applied Bio Science Tokyo University of Agriculture Department of Nutritional Science Faculty of Applied Bio Science Tokyo University of Agriculture Department of Nutritional Science Faculty of Applied Bio Science Tokyo University of Agriculture Department of Applied Biology and Chemistry Faculty of Applied Bio Science Tokyo University of Agriculture Fundamental Arts and Science Faculty of Applied Bio Science Tokyo University of Agriculture Department of Nutrition Junior College of Tokyo University of Agriculture Department of Food Environment Economics Faculty of International Agriculture and Food Studies Tokyo University of Agriculture Department of Nutritional Science Faculty of Applied Bio Science Tokyo University of Agriculture Department of Bio-Science Faculty of Applied Bio Science Tokyo University of Agriculture Department of Fermentation Sciences Faculty of Applied Bio Science Tokyo University of Agriculture Fundamental Arts and Science Faculty of Applied Bio Science Tokyo University of Agriculture
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.322-329,

応用生物科学部1年生を対象に,食育トライアル授業として,食の生産,安全管理,健康管理などに関する10回の講義と2回の農業体験(種まき,収穫作業等)を実施し,学生の授業への出席状況及び授業前後のアンケートによって,プログラムの内容および学生の食育に対する知識,意欲等の変化を評価した。応用生物科学部全学科の学生に授業への参加を呼びかけた結果,授業の出席者は27名であり,栄養科学科の学生が20名と最も多く,参加学生の学科構成に偏りがみられた。授業の初回に行ったアンケートの回答者は24名,最終回に行ったアンケートの回答者は11名であった。授業後のアンケートでは,「食育活動への興味は深まったか」「知りたい情報は得られたか」「参加後,農業と食の関連に対する考えが変わったか」「授業として開講された場合受講するか」という問いに対し,それぞれ73~91%が「はい」と回答し,「授業への総合的な満足度」についても73%が「(非常に)満足である」と回答した。「農業」に原点をおいた食育トライアル授業によって,食べ物の成長を通した気づきと感動,生産者への感謝の気持ち,環境への配慮,栄養と健康との関連知識の習得等に寄与することができたと考えられる。今後は授業への参加者数を増やし,結果の一般化可能性について検討するとともに,授業の実現に向けた人的・物的資源の問題について検討する必要がある。We aimed to evaluate changes in both knowledge of dietary education (Shokuiku) and in motivation, in first-year students of the Faculty of Applied Biosciences who attended a voluntary Shokuiku program in 2008. The program comprised 10 lectures on food production, safety management, and health management, as well as 2 farming practicum classes (seed sowing, harvesting, etc.). Twenty of the 27 students who attended the courses belonged to the Department of Nutritional Sciences. We received responses from 24 and 11 students to questionnaires administered before and after the program, respectively. We obtained a "yes" answer 73-91% of the time in response to the following questions : 1) Was your interest in dietary education activities enhanced? 2) Were you able to obtain the information you sought? 3) After attending these courses, did your understanding of the relationship between farming and diet change? and 4) Would you take this course if it were officially offered as a class? Seventy-three percent of students replied that they were very satisfied with the courses. By placing "farming" as the central principle, these courses contributed to food awareness and appreciation, feelings of gratitude toward producers, consideration for the environment, and knowledge acquisition about the relationship between nutrition and health. Future studies should address the generalizability by examining a larger pool of participants. In addition, other issues such as human and material resources should be considered in realization of the Shokuiku program curriculum.
著者
Iglesias Fernando 進士 五十八 Fernando Iglesias Shinji Isoya 東京農業大学農学研究科農学 東京農業大学地域環境科学部造園科学科 Tokyo University of Agriculture Graduate School of Agriculture Department of Agricultural Science Tokyo University of Agriculture Faculty of Regional Environment Science Department of Landscape Architecture Science
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.250-264,

西新宿は高層ビルとオープンスペースを特徴とする街区により新宿副都心を構成している。これは,東京の都心構造の再編戦略として1960年代前半に超高層ビルのビジネスセンター建設として構想されたものである。その内容は従来の丸の内を中心とした単一都心の都市構造を変えて,池袋,渋谷と共に3つの副都心として位置づけられた。本論は,そのような新宿副都心を対象に,その中核をなす西新宿・高層ビル街区とオープンスペースの形成過程を,その創出から現在までの展開として歴史的観点から分析し,都市構造上の特徴や問題点を導き,今後の都市計画の知見を得ることを主眼としている。 分析の結果,新宿副都心計画の焦点は,東京及び日本,広くはアジアにおける経済拠点の構築にあり,そのため様々なオフィスビル機能と共に都市交通ネットワークの利便性を高めることが重要課題であったこと。また高層ビル街区の公共オープンスペースとして計画された新宿中央公園は,この地区の顔となり,都市民の憩いの場として建設された。しかし,中心街区とこの公園との相互関係が十分でない。また従来の日本型都市空間には見られないセミパブリックなオープンスペースが多数計画されたものの,建物階数に見合った公開空地が十分に確保されておらず,そのデザインも街区毎に相違があるため,全体的な統一感が希薄であり,確保した量の効果が十分発揮されていないこと。更に街路空間の一部である歩行者空間とこれらセミパブリックな空間との「係わりの計画」に重要な課題が残されていることを指摘した。In the early 1960's a new concept in Japanese urban planning appeared, the fukutoshin (sub center). This concept aimed to change the single centered structure of the city that was located in the Marunouchi area. Due to this three sub-centers were proposed ; Ikebukuro, Shibuya and Shinjuku. The intention of this paper is to understand the conception and composition of the public open space in Nishi Shinjuku, and its final results. To achieve this understanding an analysis from a historical point of view of the creation and evolution of the fukutoshin in West Shinjuku is conducted as well as a study of the environmental particularities of the urban traffic network changing process, which is associated with the development of the area. The main idea of the structure for the plan of the fukutoshin was focused on creating an economical and administrative capital for Tokyo, Japan and Asia, based on the total restructure of the Nishi Shinjuku area. One of the key points of the plan was the separation between cars and pedestrians as well as the increase of the percentage of open space in the area, with the intention of expanding the access of such areas to the general population. For this reason it is important to understand the function and plan of the different open spaces of each block, which were created surrounding the construction of the buildings. This was possible under the process of transference of volume in a way to allow, in exchange for the extension in the height limits of the buildings, a higher percentage of open space areas in each block. Besides the advance planning of the general project, this study finds that the original proposal of the plan for the management of the fukutoshin was not totally fulfilled in its conception of the open spaces, since there exists a considerable variation between the percentage ratios of the open space areas at each one of the eleven central blocks as well as an absence of agreement in the design and the network connection of the areas. Through a detailed analysis of the area and the contraposition of the data, it is possible to achieve an understanding of the reasons that influenced in obtaining that result.
著者
小野 晃一 勝又 達也 菅原 泉 上原 巌 佐藤 明 Kouichi Ono Katsumata Tatsuya Sugawara Izumi UEHARA Iwao Sato Akira
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.60-67, 2011-06

森林施業に関わる野ネズミ類の役割を明らかにする一環として,林相の異なる針葉樹人工林と広葉樹二次林を跨ぐ形で林内に生息する野ネズミ類を捕獲・放獣する方法により2006年から2009年まで個体群の変動を調査した。その結果,調査対象としたアカネズミ(Apodemus speciosus),ヒメネズミ(Apodemus argenteus)の捕獲個体数は2006年9月には延べワナ数675個で157個体,422回と最高の高密度状態を記録したが,11月から急激な減少が認められ,その後は1年以上ひと月の捕獲個体が数頭という低密度で推移したことから,野ネズミ類個体群にクラッシュが生じたものと判断した。アカネズミとヒメネズミの捕獲個体数の変動を比較すると,それぞれの生息特性を反映して急減の時期に3か月の時間的差異が見られた。しかし,全体的な変動の傾向は両種とも同様の推移を示した。針葉樹林と広葉樹林での生息状況を見ると,アカネズミでは広葉樹林の利用頻度が高く,秋季から冬季にかけて針葉樹林の依存度が増す傾向にあった。ヒメネズミでは針葉樹林のみの利用個体が多いものの,年によっては夏季に広葉樹林のみ利用する個体が増加した。また,いずれの種とも両方の林分を同時に利用している個体は少ないという傾向を得た。行動範囲に関しては,高密度下では大きく,ランダムに分布し,低密度下では小さく,限定的になる傾向が見られた。