著者
五十嵐 陽介 馬塚 れい子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.443, pp.31-35, 2006-12-14
被引用文献数
2

乳幼児は母親や周囲の人間の話し言葉を聞くことにより言語を獲得する。言語獲得の入力となるこのような話し言葉は、「マザリーズ」(motherese)あるいは"Infant-Directed Speech"(IDS)と呼ばれる。IDSは大人に向けて話される言葉と異なることが知られているが、言語発達の研究のためには、IDSの性質を理解することが不可欠となる。本講演では、我々が言語発達の研究目的で構築した『理研日本語母子会話コーパス』を紹介する。この音声データベースは、母親22人による自分の子供(17〜24ヶ月)に向けた発話、および大人に向けた発話を格納している。このコーパスは、約14時間の音声信号とともに、転記テキスト、分節音情報、形態論情報、韻律情報を検索可能な形で与えている。講演の最後では、コーパス使用法の例としてIDSの発話速度の分析結果を示す。
著者
クシュタ タラス 安元 清俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OPE, 光エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.544, pp.85-90, 2000-01-19

誘電体スラブの中に埋め込まれた柱状物体の周期的アレイによる電磁波の散乱問題を解析する新しい方法を提案している。この方法は、層状構造の散乱問題に対する漸化的T-マトリックス法と自由空間中に配置された周期的アレイに関する格子和を用いている。その結果、柱状物体の周期的アレイを内部に含んだ誘電体スラブの一般化された散乱パラメータが伝搬波及び消滅波となる空間高調波を考慮に入れて計算される。数値計算例として、誘電体スラブの中に埋め込まれた誘電体円柱アレイ及び磁化フェライト円柱アレイによる反射特性を示し、これらのアレイが自由空間中にある場合の結果と比較している。
著者
辻 智博 本間 潤一郎 清水 翔 荒川 豊 山中 直明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PN, フォトニックネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.667, pp.115-119, 2006-03-09

Webアクセス待ち時間を短縮する有効な技術に「プリフェッチ(先読み)」がある.本研究では,ダウンロードに膨大な時間を要するリッチコンテンツの転送にプリフェッチを適用し,体感ダウンロード時間を短縮する.また,複数のミラーサーバを持つリッチコンテンツの実ダウンロード時間短縮を目的とし,応答時間が最短のミラーサーバを自動的に選択する手法を提案する.さらに,最適なネットワークリソース選択やプロトコル変換を用いることで,光バースト転送によるダウンロードなどを実現し,実ダウンロード時間のさらなる向上を目指す.実装システムを用いて評価実験を行い,通常の人間によるミラー選択と比較して,提案方式のミラーサーバ選択時間,ダウンロード時間を約70%改善できることを示す.
著者
福田 永 植杉 克弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPM, 電子部品・材料 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.178, pp.19-22, 2008-07-28

スピンコート法を用い、位置規則性を持つポリ3ヘキシルチオフェン(P3HT)膜の形成を試みた。P3HT膜は、適度な条件下での成膜後、安定な結晶構造を示した。薄膜トランジスタ(TFT)において、pチャネルモード動作を示し、最大キャリア移動度において、1.2×10^<-3>cm^2/Vsを有する性能が得られた。さらに、8638ppmのH_2ガスに応答することが確認できた。
著者
北澤 仁志 李 竹 藪田 顕一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIP, 信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.3, pp.49-54, 2008-04-10

各部分の対応が分かるような正確な移動物体の抽出と追跡は,行動の解析などのために重要である.本研究では,時空間中でのブロックの排他的対応に基づく移動物体の抽出と追跡手法を提案する.現在のフレームと前フレームの全ブロック間の類似度をコストとして,ブロック間の排他的マッチングを"部分的割当問題"として解き,ブロック間の対応を求める.また,複数フレームを同時に扱うことでオクルージョンがあっても正確な追跡が継続できることを示す.
著者
北田 悟史 田中 敦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.50, pp.1-4, 2005-05-11

個々人の要求(デマンド)に応じて巡回ルートを柔軟に変更するデマンド方式のバスが各地で導入をされている。しかし、デマンド方式に切り替える際の設備の費用などのコストは高く、予定通りにいかずに採算をとれない場合のリスクがある。リスクを軽減させるためには、事前に現行のシステムとデマンド方式をシミュレーションし、比較、考察する事が求められる。そこで今回、GISを用いて米沢の道路を仮想的に再現させ、デマンド方式を適応させた場合の効果を従来の巡回バスと比較し、シミュレーションした。
著者
羽多野 裕之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WBS, ワイドバンドシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.166, pp.31-36, 2008-07-18
被引用文献数
1

高度交通システム(ITS:Intelligent Transport System)実現のための要素技術の一つである近距離障害物検出システムとして,駐車支援のためのレーダネットワークの構築を検討している.特に測距装置として,安価で信号処理が簡単な超音波レーダを利用した構築を行う.本稿では,この要素技術である超音波アレイエミッタと位置推定アルゴリズムについて述べる.超音波アレイエミッタは,一般的な超音波エミッタが問題として抱える送信出力の不足を,複数のエミッタ素子を用いることで解決を図る.特に,提案手法では各エミッタ素子への信号を制御することにより駐車支援で必要とされる領域に隈なく出力の増幅が可能となる.位置推定アルゴリズムでは,高精度な位置推定と複数障害物の検出とを実現するために,確率演算に基づくアルゴリズムを述べる.本アルゴリズムでは,測距値と各センサの測距誤差特性,各センサの位置を利用した確率演算から導かれた障害物の存在確率分布によって障害物の位置を推定する.また,以上の要素技術を実装した試作機を通した特性評価についても述べる.
著者
Noji Suma Saito Takashi Nagata Akira
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.411, pp.77-80, 2007-12-31

This paper proposes a simple method for realizing a multi-screen immersive display using one PC with dual graphic cards and workflow on which CG creators can create animation movie. This method realizes a multi-screen immersive display without any special hard ware and engineering technology. We implement the non-interactive, non-stereo projection system which projects the integrated movie consisting of front, right, left, and bottom screen. The camera setting technique for each image sequences using multipurpose CG application "maya" is also realized. So creators can easily create animation on this multi-screen immersive display. In this paper, we also discuss the creation of effective animation movies.
著者
Kanai Taiki Makino Mitsunori
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.411, pp.65-70, 2007-12-31

This paper presents a visualization and interactive manipulation system of 3D digital map, formally provided for 2D display systems, on immersive display such as CAVE. There have been many 3D digital maps, which contain information on elevation of ground, shape of roads and buildings, etc. Visualizing such information clearly helps us understand the whole information in the maps. However, 3D representation has been displayed on 2D display. Although the representation may impress us photo-realistically at most, it can not immerse us in the CG-generated world. Therefore in this paper, extending features of 3D digital map, a visualization system of such maps on immersive display is presented. Calculating and displaying binocular vision for the maps in real-time, the system can give us stereoscopic sense from any viewpoint. Furthermore, the proposed system equips a pointing interface, which can grab, move, delete and add obj ects (buildings) in a virtual scene in consideration of "Level of Detail".
著者
竹田 仰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.433, pp.1-6, 2005-11-17

長崎ソフトウェアセンター内にIPTと呼ばれる没入型の多面スクリーン投影システムを開発して納めた.このIPTは, 4面もしくは5面のスクリーンにプロジェクタで映像が投影される.この3D映像と音響効果により仮想環境を生成する仕組みで, もし, この仮想世界を現実世界と見紛うほど上手に生成できれば, 人間の生理的心理的な振る舞いが詳細に観察される可能性がある.本稿では, これまでの実験結果について報告する.
著者
岩崎 勤 北島 律之 竹田 仰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.106, pp.47-52, 2005-05-27

We developed a large scale three-dimensional-immersive display that is bent the center of the screen and the bending angle can be changed variably. This display was built very cost effectively and portability. However, because the line for the breaking bend enters the center of the screen, it becomes difficult to obtain the absorption feeling. Then, the new type screen that curved naturally and gradually has been developed. This paper describes the feature and the design method of the new screen.
著者
朝倉 義晴 本田 篤史 樋口 直志 才田 好則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.162, pp.125-132, 2008-07-17

本稿では,サーバ上に作成するリソースに,リソース作成者の意図を反映させたアクセス制御設定を適用するために,RBAC (Role-based access control)をベースとする自己拡張型RBAC (Self expandable RBAC:SERBAC)を提案する.SERBACでは,リソース作成者の意図をサーバに伝え,サーバはリソース作成者の意図に基づくアクセス制御設定を定義し,作成するリソースに適用する.SERBACは,アクセス制御設定を動的に定義することで,管理者不在の環境においても柔軟性の高いアクセス制御を実現できる.
著者
妻木 俊彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.157, pp.35-40, 2008-07-17
被引用文献数
1

ビジネス活動の構造的な変化に伴う要求の変化と多様化は,生産性と堅牢性を重視したこれまでのソフトウェア開発では対応が困難になりつつある.多視点分散システムとは,多様化と変化の根源である視点の複合性に対応するための情報システムである.本稿では,多視点分散システムの基本的な概念と,それを実現するための主要な技術要素であるソフトウェアの構成要素と相互理解,及び,多視点分散システムの中心的課題である自律的な自己変革と社会システム化について報告する.
著者
関口 大陸 坂部 啓 川上 直樹 舘 ★
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.165, pp.7-11, 2003-06-26

遠隔ロボットの操作を行うコックピットにおいて,遠隔のロボットが取得した視覚情報を提示するディスプレイシステムは,重要な構成要素の一つである.従来,遠隔操作型ロボットのコックピットでは,視覚情報提示装置としてImmersive Projection Technology (IPT)によるシステムに比べて視野角や解像度の面で不利なHMD(Head Mounted Projector)を利用もしくは併用することが多かった.本研究では,IPTによるシステムを遠隔ロボットの操作コックピットに適応する際に問題となる自己遮蔽を解決する方法を示し,コックピットで利用可能な小型で広視野かつ高解像度な4面包囲型ディスプレイシステムの設計と実装について述べる.
著者
鈴木 雅洋 上平 員丈 安部川 卓也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.538, pp.83-86, 2007-02-15

広い空間を高い速度によって移動する観察者の奥行き知覚を,条件を厳密に統制した実験によって検討することは,現時点においてはそう容易ではない.そこで,本研究においては,広い空間を高い速度によって移動する観察者の奥行き知覚に関して,観察者の接近に伴う網膜像の拡大運動の影響を,まずは条件の厳密な統制にはこだわらずに検討した.その結果,(a)観察者が広い空間を高い速度によって移動する事態においても,観察者の接近に伴う網膜像の拡大によって奥行きを知覚することを確認し,(b)知覚した奥行きの確度は,速度が低い条件よりも高い条件において,また,対象が近い条件よりも速い条件において増加することを示した.
著者
松本 慎也 山本 裕紹 早崎 芳夫 西田 信夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.593, pp.33-36, 2004-01-16

屋外で不特定多数の観衆が同時に観察可能な大画面立体ディスプレイの研究を進めている.大画面LED立体ディスプレイを見る観察者がどのような経路で観察領域内に移動するのか調べるために,観察者位置をリアルタイムで測定するシステムを構築した.異なる設計のパララックスバリア式立体ディスプレイを用いて,立体画像を見るために移動する観察者の軌跡を記録した.観察者の移動経路を解析することで数種類の設計法を評価する.多眼表示設計と逆立体視防止設計により左右の移動時間が短縮される効果を実験により明らかにした.
著者
北原 格 大田 友一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.532, pp.43-48, 2002-12-13
被引用文献数
1

大規模空間における自由視点映像生成では,広大な範囲を移動する観察者に対して適切な見え方を再現・提示する必要がある.十分に高精細な3次元形状モデルが用意されていれば,この変化に対応することは可能であるが,大規模空間中に存在する対象物体全てを記述するためには,膨大な計算コストとデータ量が必要であり,実時間処理実現の問題となる.一方,処理速度向上のために3次元形状モデルの解像度を必要以上に低下させることは,生成映像の画質劣化の原因となる.我々は,断面の集合によって自由視点映像を生成するために必要な3次元形状データを効率的に表現する手法を提案し,生成画質と計算コストやデータ量の問題を解決している.さらに,本手法は,対象物体の3次元形状を復元する自由視点映像生成手法と,復元しない手法の特長を併せ持つという長所があり,表現力の高い自由視点映像提示の実現が可能である.本稿では,この大規模空間に適した3次元形状表現手法を用いた自由視点映像生成処理の実時間化と高画質化への取り組みついて述べる.実際に1台のPC上で実時間生成提示システムを構築し,提案手法の有効性を確認する.
著者
西島 幹博 山口 孝之 森 晃徳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.542, pp.115-120, 2008-03-05
被引用文献数
1

注視点移動の基本的特性に関する従来の心理物理的実験を調べ、現象論的法則群の相違点、実験手法・条件の相違点などを明らかにした。相違点は、実験条件にあるとし、適切と思われる新しい実験条件を設定して心理物理学的現象の確定を試みた。次に、サッカードに関する神経生理学的研究を調べ、サッカード決定の概略的仮説の設定を試みた。最後に、高次過程の例として漢字の崩壊現象と注視点移動の関係に関する仮説設定と漢字の崩壊現象を用いた検証実験を試みた。
著者
千歳 雄大 小川 正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.130, pp.1-6, 2008-07-08

周囲刺激と色や形などの基本的な特徴次元で異なる刺激は目立ち(visual saliency、視覚的顕在性)、我々の注意を自動的に惹きつける。視覚情報は各特徴次元ごとに用意された二次元脳内地図(feature map)で処理され、それらの信号が統合されることによって特徴次元に依らない視覚的顕在性の地図表現(saliency map)が形成されると考えられている。この統合過程における計算様式を明らかにするため、色次元のみ、形次元のみ、もしくは色・形次元の両方で目標刺激が妨害刺激と異なる視覚探索課題をヒト被験者に行わせ、特徴次元の組合せによって目標刺激の視覚的顕在性がどのように変化するのかを調べた。視覚的顕在性の強さは、目標刺激へのサッカード眼球運動が開始されるまでの潜時を指標として評価した。その結果、色次元のみで異なる目標刺激と形次元のみで異なる目標刺激への潜時が同程度のときは、潜時の絶対的な大きさにかかわらず、2つの次元を組合せることによってサッカード潜時が短縮した。しかしながら、組合せ前の潜時が色と形次元で大きく異なっているときはそのような短縮効果が生じなかった。この結果は、複数のfeature mapからの情報がsaliency mapで統合される従来の注意モデルに、feature map間の相互抑制回路による競合過程を新たに付加すると上手く説明することができた。
著者
渡邊 淳司 坂本 憲久 則武 厚 前田 太郎 舘 〓
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.168, pp.69-73, 2004-07-01

遊園地等のテーマパークにおいては,ディズニーランドの「スターツアーズ」に代表される没入型アトラクションやジェットコースターに代表される急激な身体移動感覚体験型アトラクションが特に大きな人気を博している.しかし,これまで,没入感と急激な移動感覚を同時に体験するアトラクションを実現することは困難であると考えられていた.本論文では,没入感と移動感覚を同時に提示するアトラクションの実現方法として,これまで筆者らが研究を行ってきた眼球運動を利用して情報提示を行うデバイス(Saccade-based Display)を利用した方法について検討する.具体的には,高速で移動している観察者に対してSDを利用して映像提示を行った際に,観察者がサッカード中に知覚した像に対して観察者自身が近づく,通り抜けることが可能であるかを検証する.