著者
王 暁葵
出版者
愛知県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、中国における日本関連の遺跡及び記念物の調査を通して、中国の日本に対する記憶とイメージの形成において、記憶の表象物としての役割を明らかにするものである。具体的には、南京・広東・広西などを調査対象地域にして、文献調査・フィールドワークなどの手法を取り、南京大虐殺記念館・広西桂林の月嶺村などの日本関連の遺跡や記念物の現状及び変遷について包括的に調査を行った。これによって、現在の中国人の日本に対する記憶の特徴を明らかにした。
著者
重田 勝介 中澤 明子 田口 真奈 松河 秀哉
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、高等教育初任者のキャリア形成を促し不安感を緩和するハイブリッド型対話支援システムを開発し評価するものである。そのために、オンラインで教員が普段の研究・教育活動を共有し語り合う教員用ソーシャル・ポートフォリオシステムを開発した。さらに、大学院生がプレFDの一環として反転授業を実施する知識や技能を身につけ、将来教員となるにあたってのスキル育成や不安感の低減を狙う研修プログラムを開発し実施した。評価の結果、参加者は教材内容に関する知識や実習における評価方法のほか、教材と授業双方に渡って学習目標の一貫性を保つことの重要性と難しさについて学んだことが明らかとなった。
著者
永井 典子 綾野 誠紀 岡田 圭子 中西 貴行
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

大学入学前教育における英語読解教育の在り方を入学前教育の特徴、対象学生の英語能力レベル、及びヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)の「情報及び議論の為の読解能力記述文」を基に検討し、教材を開発した。教材は、自律的学習を支援するためのポートフォリオと、語彙・文法レベルはCEFRのA2(初級上)に限定しながらも大学教育で必要となるB1(中級下)の読解法力が育成できる読解テキストを一体化したものとした。
著者
下川 哲矢
出版者
東京理科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

近年、限定合理性をモデル化しようとする研究が進展している。本研究では、このような研究成果をさらに発展させ、意思決定モデルと市場価格形成との関係を明らかにする。具体的には、金融資産収益に関してよく知られたいくつかの事実と我々の意思決定モデルを組み込んだ均衡モデルとの整合性を多角的に検証した。これは、限定合理的な意思決定を扱う「学習理論」と市場価格の性質を扱う「ファイナンス統計学」を結びつける貢献であるとともに、リスク下の意思決定モデルをさらに精緻化する試みである。
著者
ハーティング アクセル 吉満 たか子 岩崎 克己
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は,ドイツ語と日本語の依頼のEメールの構造を比較することである。本研究のために,ドイツ人と日本人の学習者によって書かれた200のEメールを実験デザインによって収集した。そして形式的,構造的,言語的特性に基づきEメールを分析した。本研究の質的な結果に基づいて,ドイツ語学習者が目標言語においてより適切に依頼を書く手助けとなる教材を作成した。
著者
西堀 すき江 並木 和子
出版者
東海学園大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

焙焼したココア,コーヒー,ピーナッツ,ポップコーン,ローストビーフ,チキン等を加熱すると,それらの食品中の糖とアミノ酸が反応し、褐変と同時に芳ばしい香気が発生する.この中にはきわめて多種多様の揮発性物質が存在するが,これらはNH3・H2S・CH3SCH3・CH3SHのような常温でガス状のもの,ストレッカー分解により生成するアルデヒド類,N・Sを含むヘテロ環化合物に大別することができる.ピラジンはN・Sを含むヘテロ環化合物の一種で,焙焼によって生成するフレーバーの主なものはピラジン誘導体である.焙焼した食品からは70種以上のピラジンが同定されている.これはストレッカー分解の結果生成したエナミノール,またはアミノケトン誘導体の縮合により生成するもので,アルキル置換基C1〜C3が普通であるが,アセチル基,シクロペンタン環,フラン環を有するものも存在する.12年度はピラジン標品の生理活性と構造相関に関して検討した.今年度は実際の食品であるコーヒーと胡麻について検討した.胡麻は水蒸気蒸留の変法でLickens-Nickerson型の改良でSimultaneous distillation extraction(SDE)法と称される連続水蒸気蒸留法により抽出した.抽出溶媒により,血小板凝集阻害率が異なり,エーテル抽出の方が抗血栓効果が高くなった.コーヒーの焙煎における抗血栓効果は焙煎度の高いイタリアンローストがノーマルローストより高いことが分かった.また,抽出液を酸性,中性,塩基性の3種類に分類し検討すると,塩基性区分の抽出液が最も高い抗血栓効果を示すことが分かった.ピラジンは塩基性の物質であるため,コーヒーの揮発性抽出物の中でピラジンが抗血栓効果に関与することが示唆された.ガスクロマトグラフィーによるピラジンの生成量に関するピークの検出で,イタリアンローストがノーマルローストより多くのピークが認められたことは,コーヒーの抗血栓効果におよぼすピラジンの寄与が考えられた.
著者
若松 正志 加茂 正典
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、江戸時代に「神祇管領長上」として全国の神社・神職を支配した吉田神社において、その実務を担当し、また大嘗祭・新嘗祭など朝廷祭祀にも直接関与した、鈴鹿家について、現在ご当主のもとに伝来している資料(以下、鈴鹿家文書とする。文書以外に、絵図・モノもある)の整理・目録化を行い、内容を分析・検討することにより、鈴鹿家文書の史料的位置、吉田神社・鈴鹿家が果たした役割を明らかにすることを目的とした。研究代表者の若松は、数名の研究協力者と、鈴鹿家文書のうち、鈴鹿家の「江戸下り」(毎年2〜3月頃江戸に行き将軍に拝謁)関係史料約2000点と、幕末〜明治期の資料約450点について、整理と調査を行った。中性紙封筒への袋詰めは完了したが、目録化は約1000点にとどまり、残りの作業は今後の課題となった。また、鈴鹿家文書の伝来などについて各地に出張調査を行い、およその状況を把握することができた。研究分担者の加茂は、研究協力者の岡田芳幸と共に、鈴鹿家の宮廷祭祀関係資料について、月1回のペースで所蔵者宅を訪れ、一点毎の資料調書作成とデジタルカメラによる撮影、中性紙封筒への整理・保管という基礎作業を行い、全554点の資料調査を終了させ、「鈴鹿家所蔵大嘗祭・新嘗祭資料目録(第一次)」(平成17年8月。A4判126頁)をまとめた。これにより、かつて鳥越憲三郎・有坂隆道・島田竜雄編『大嘗祭史料 鈴鹿家文書』(柏書房、平成2年)において紹介された96点を大きく超える数の学界初見資料の伝襲が確認され、鈴鹿家宮廷祭祀関係資料(大嘗祭・新嘗祭・神嘗祭など)の全貌が初めて明らかになったのである。また、資料調査にもとづく論考も数編発表した。なお、上記の目録作成後、所蔵者の鈴鹿長雄氏から、加茂の本務校である皇學館大学神道博物館へ同家所蔵資料の寄託申し入れをいただき、平成17年12月、鈴鹿家文書が皇學館大学に寄託された。
著者
杉内 友理子
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

これまで明らかにされていなかった、輻輳性眼球運動に関与する神経機構を解析した。従来、急速眼球運動の生成に関与することが知られている上丘の頭側部に、輻輳性眼球運動に関与すると考えられるニューロンが存在することが示唆された。その出力は、動眼神経核背側部の中脳灰白質から中脳網様体にかけての領域に存在する介在ニューロンを介して、内直筋および外直筋の運動ニューロンに伝えられると考えられた。
著者
金崎 良三
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

本研究の結果は、以下のように要約される。(1)スポーツを通じての人間関係の質的量的把握に基づいて作成した尺度によって対象者のスポーツ・コミットメントの測定を行ったが、男女ともコミットメントのレベルが高いほどスポーツとのかかわりが深い。したがって、本研究で用いたコミットメント尺度の有効性は検証された。(2)学校体育とスポーツ・コミットメントの関連については、性別、学歴別を問わず学校時代の体育授業の評価が高い者、体育授業に意欲的に取り組んだ者、体育授業で楽しい経験をした者、体育行事て活躍した者、体育行事で楽しい経験をした者および課外でのスポーツを実施した者ほど、スポーツ・コミットメントのレベルは高い。すなわち、学校での体育授業や体育行事の経験、課外スポーツ活動の経験は、卒業後のスポーツ・コミットメントの形成に影響を及ぼしていることが明らかになった。(3)男女の高卒者、大卒者ともに学校体育における経験は、卒業後のスポーツとのかかわりないしスポーツの継続化を規定する要因となっている。(4)生涯スポーツにつながる学校体育の在り方に関して、本研究の結果からいえることは、第1に体育授業のための場所・施設・用具などのハード面の条件を整備すること、第2に授業を行うクラスの人数が多すぎたりせず、生徒・学生の運動量が適切であること、第3に彼らの好きな運動やスポーツの種目がある程度実施できること、第4に教師は指導の仕方を工夫すること、第5に生徒・学生が意欲的に授業に取り組むように動機づけをし、楽しい経験を積ませること、第6に体育行事への参加の機会を増やし楽しい経験をさせること、第7に課外でのスポーツ活動を奨励することである。
著者
堀江 重郎
出版者
杏林大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

Pkd^<-/->マウスにおいて、腎嚢胞形成に関する遺伝子群を包括的に解析する目的で腎嚢胞形成前の胎生14.5日における、野生型およびPkd^<-/->マウスの胎児腎からmRNAを抽出し、約3,000の遺伝子を含むDNAチップで発現遺伝子を検討した。野生型及びPkd^<-/->マウスの胎児腎で3倍以上mRNAの発現が異なった遺伝子は23みられた。Pkd^<-/->マウスで増加していた遺伝子にはPOLD1(DNA polymerase delta catalytic subunit-1)が認められた。Pkd^<-/->マウスで減少していた遺伝子では、apoptosis driving genesとしてのcaspase 1、7、11およびIL-1β、Trancscription factorsであるGATA2、Lbx 1、cell cycle related genesであるjun D1が認められた。以上の結果から腎嚢胞形成には、適切なアポトーシス装置が作動していないこと、細胞周期回転の亢進が関与していることが示唆された。
著者
堀 元 秋田 次郎 三宅 充展 鴨池 治 芹澤 成弘 林山 泰久
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

1)非家父長的利他性、すなわち、他者の判断基準を尊重した上で、他者が望ましい状態にあることを自らも望ましいとする他者への配慮、に由来する効用の相互依存関係の分析を非定常モデルへ拡張した。2)最適な自己資本比率規制を分析するために、自己資本比率が銀行収益に及ぼす効果を検討し、銀行の期待自己資本収益率と銀行の破綻確率の間にはトレードオフが存在することを証明した。3)アロンソ型離散土地市場モデルを分析し、競争均衡を計算するための有限アルゴリズムを導出した。4)地球温暖化問題に対処する「京都メカニズム」が京都議定書でとりまとめられたが、京都メカニズムには先進国と発展途上国の利害対立等、多くの問題が指摘されている。京都メカニズムの問題のうち特に争点となっているCDMについて分析を行った。5)環境を利用することから生じる総価値を補償的偏差および等価的偏差の概念で定式化し、総価値が利用価値および非利用価値の加法分離形で表現できることを示し、利用価値は、直接的利用価値および純間接的利用価値に分離可能であることを示した。6)制度・経済システムといったものに付随する「本質的な不確実性」は、伝統的なリスクによる分析を越えるものとして、ナイト流不確実性として捉えることが出来る。不確実性が高まれば留保価格が低下する、というこれまでのフレームワークでは説明できなかった主張を証明した。7)所有と経営が分離している企業とオーナーが経営上の意思決定を行うことの出来る企業を比較すると、役員に対して金銭的報酬を通じて株主の利益を追求するインセンティブが与えられているのは後者であるということを実証した。8)メカニズムに戦略的虚偽表明を防止するという条件を課した場合、純粋交換経済モデルにおいて、パレート効率性と最小消費保証条件の間にトレードオフが存在することを証明した。
著者
長谷川 元洋
出版者
金城学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

学校の個人情報保護への対策の実態調査を行い、社会的に個人情報保護に関する意識が高まった後も学校の個人情報保護対策が十分ではないことを指摘した。また、児童・生徒の個人情報を適切に扱うことは、児童・生徒に対し、自分の個人情報を悪用されないための教育を行うためや、児童・生徒、保護者、学校教育への協力者と真の信頼関係を作るために必要であることを指摘した。また、ネット上の問題事例を取り上げ、それに対する学校の対応を法的側面と教育的側面から検討した。
著者
西川 芳昭 根本 和洋 大井 美知男 新海 尚子
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

農村・農家レベルの現地聞き取り調査及び実証調査,ならびに,保全・管理の実施および支援組織レベルの聞き取り調査を実施した.結果として,農家が参加して実現しているようなローカルな遺伝資源管理事業であっても,実は数多くの地域内外の関係者と水平・垂直のネットワークを構築していることが明らかにされた.カナダのNGOのように,そのような関係性を意識的に強化・発展させる活動も始まっていることが起きらかになった.今後,具体的にどのような要素が,そのような組織制度の持続性・発展性を担保するか・または制限・阻害するかについて明らかにしていくことが必要であると結論した.
著者
松下 光子 米増 直美 大井 靖子
出版者
岐阜県立看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

過疎地域において別居親族の週末介護を受け暮らす高齢者がその地域で生活し続けることを支えるために、週末介護を受けている高齢者のみ世帯の生活実態と援助ニーズを明らかにし、別居親族と高齢者という家族を支える援助システムのあり方を検討することを目的とした。本研究では、別居親族がほぼ定期的に通い生活を支援し、その支援を含め高齢者のみ世帯の生活が成立している状態を週末介護とした。一定地域に住む75歳以上高齢者のみ19世帯への訪問聞き取り調査と高齢者単独2世帯と夫婦4世帯の計6世帯への約1年間の継続家庭訪問援助を通した調査により、高齢者のみ世帯の生活および週末介護の実態と援助ニーズを明らかたし、援助システムのあり方を検討した。その結果、一定地域調査では、全世帯が別居の子どもと交流があり、子どもの訪問頻度は高齢者と子どもの状況により毎日〜盆正月連休の幅があった。子どもの支援は、経済的支援、心理的支え、地域社会の相互扶助機能維持への貢献という意味があった。高齢者世帯への支えは、子ども、兄弟、他親族、近所の人、地区役員、サービスにより其々特徴があった。継続家庭訪問調査では、子どもの通う頻度は様々だが、高齢者世帯の生活は子どもの支援を含め成り立っていた。必要な援助は、通う子どもの健康管理、サービスとのつながりを作る、地域の援助ネットワーク形成等であった。以上から、週末介護の実態として、「週末介護」よりも「通い介護」という方法を表す表現が適切、「通い家族」という家族のあり方が考えられた。「通い介護」・.「通い家族」を支える支援は、まず、ケアマネジャーによる通う子どもの健康管理への支援と別居家族を含む高齢者への支援・地域保健師と医療機関看護師による通う子どもへの支援が考えられる。介護等サービスは、生命維持、日常生活、健康管理等を担う。さらに、地域住民のネットワークによる見守り、助け合い等が考えられる。
著者
原田 憲一
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

原発性胆汁性肝硬変は中年女性の好発する自己免疫性肝疾患である。特に閉経後の女性に発症し、肝内の小型胆管が選択的に傷害を受け、消失する。胆管細胞はエストロゲン受容体を有しているため、胆管細胞に対するエストロゲンの関与について検討した結果、胆管細胞はエストロゲン受容体を介したエストロゲン作用の低下に加えて、エストロゲン関連受容体を介したエストロゲン作用の阻害も原発性胆汁性肝硬変の胆管傷害および消失に関与していることが明らかとなった。
著者
麦倉 俊司 高橋 昭喜 松本 和紀 隈部 俊宏 隈部 俊宏
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

磁気共鳴画像法撮影では、直径50 cm程度の非日常的かつ狭小な装置中で、30分間以上体動しないでいる必要がある。閉所恐怖症あるいは若年小児患者では安静が保てないため呼吸、脈拍モニター装着下で、鎮静薬、静脈麻酔薬で鎮静をはかって検査を施行されている。最近開発された密封ゴーグル型スクリーンとヘッドフォン装着下にDVDを視聴すれば、MRI装置の中にいるという視覚、聴覚情報を遮断でき、閉所恐怖症あるいは若年小児もMRI検査を完了する事が可能となった。本研究からDVDバーチャル・リアリティーによって、薬物などによる鎮静が不要な「患者にやさしいMRI検査」となりうることが検証された。
著者
津曲 隆
出版者
熊本県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、学生ボランティアと地域住民という二つの活動システムの相互作用によって地域情報化に向かう変化を地域に起こす方法としてサービスラーニングに注目したものである。効果的な相互作用が生じる条件を検討した結果、両者をつなぎ、行動に制約を与える媒介構造が重要な役割を果たしていた。また、相互作用は継続的であることが重要であった。学生の継続的な活動によって地域住民の生活を可視化していくことが地域の変革の契機へと繋がっていた。これらの過程を説明する理論モデルをトポロジーを利用して構築した。
著者
福岡 まどか
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

この研究は、インドネシアにおいて1950年代以降に創作が始まり1960-80年代にかけて人気を呼んだコミックに焦点を当てている。伝統演劇であるワヤンの物語や表現方法と密接な関連を持つこのコミックはワヤン・コミックと呼ばれている。ワヤン・コミックの先駆者でもっとも影響力を持った作家であるR.A.コサシ(1919-2012)の作品を取り上げて、物語や表現方法の分析、実際のワヤン(影絵や人形劇)上演との関連についての考察を行った。文献調査に加えて2回の現地調査を行い、芸能上演の観察と記録、インタビュー調査などを通して伝統芸能とコミック相互の関連についての検討と分析を行った。
著者
神月 紀輔 東郷 多津 吉田 智子
出版者
京都ノートルダム女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では教員を目指す学生を対象に次の研究を行った。多くの学生はICTを利活用するイメージが少なく,学習者の主体的な学びの形態にも慣れていないことが分かった。デジタルカメラを用いた模擬授業の動画撮影とその動画を利用した振り返りやLMSを利用した意見交換による学びの深化を意図した学習方法により,他者の意見をWeb上で参照でき,写真・動画や自ら作成した指導案などのリソースを他者と共有することで自らの学習の進捗を実感できるようになった。またデジタル教科書や電子黒板などを活用したICT活用を意図した授業づくりを行ったが,機器を使う程度にとどまった。しかし学習者の立場で学びを考える成果を得た。
著者
高瀬 敬一郎 重藤 寛史 鎌田 崇嗣
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

胎生18日目、胎児頭蓋に冷却プローブで傷害を加え局所皮質異形性モデルを作製した。皮質異形成モデルは両側前頭葉にそれぞれ2カ所 (group A)、両側前頭葉にそれぞれ1カ所 (group B) を作成した。出生後28日齢 (P28) に皮質と海馬に電極を設置し、P35からP77まで脳波・ビデオ同時期記録を行ったところ、group Aの68.8%から自発てんかん発作を生じ、皮質ないし海馬からてんかん発作波を認めた。組織学的には、group A に皮質異形成が認められ、さらに免疫染色ではNMDA受容体、グルタミン酸トランスポーターが上昇しており、皮質異形性でのてんかん性興奮の増大が示唆された。