著者
高島 尚美 村田 洋章 北 素子
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本邦におけるICU入室患者のストレス経験を明らかにすることを目的とし、12時間以上人工呼吸器管理を受けICU入室患者にICU退室前に34項目のICU Stressful Experiences Questionnaire日本語版(ICU-SEQJ)を作成し調査をした。96名のストレス経験は、8割近くが口渇を、7割近くが動きの制限、会話困難、気管チューブによる苦痛、痛みや緊張を経験していた。関連要因は、挿管時間、鎮痛鎮静剤投与量、抜管前のCRP値、痛みの訴え、および既往歴のなさ、緊急入室であった。入室患者の多くが苦痛を体験していることを看護師は推測しながら関わりニーズを充足する必要がある。
著者
廣井 孝弘 小島 秀康 海田 博司 佐々木 晶 中村 智樹
出版者
国立極地研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

国立極地研究所が南極から回収してきた隕石試料片を、そのまま非破壊の状態で可視から赤外領域の反射光の分光をすることで、それらの鉱物組成を推定する試みをした。貴重な火星や月からの隕石、そして大部分が小惑星ベスタから来ていると考えられるHED隕石、そして水や有機物を含む炭素質コンドライト隕石の合計130個余りの試料について、反射スペクトルの測定を各試料片に1点以上行った。それらのスペクトルに線形外挿・修正ガウス関数分解・主成分解析などを施すことにより、各隕石の岩石種や鉱物・化学組成などを理解することができ、はやぶさ2などの探査ミッションへの応用方法も提案できた。
著者
愛甲 正 小櫃 邦夫 宮嶋 公夫
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

実Finsler幾何学は多様体の点でパラメータ付けされたHesse多様体の族の微分幾何学であり,複素Finsler幾何学は多様体の点でパラメータ付けされたKahler多様体の滑らかな族の微分幾何学であり,本研究では,特に各ファイバー上で計量と接続を積分して得られる底空間の計量と接続の役割が大きい.本研究では,実Finsler幾何学では共形的理論を研究し,特に,共形的平坦性の新しい特徴付けを得た.また,複素Finsler幾何学の場合,Rizza-negativityの概念を導入し,正則ベクトル束のnegaivityやamplenessをRizza計量の曲率を用いて議論した.
著者
久保 博子
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

高齢者の睡眠環境に関するアンケート.調査を行い、高齢者が日常的におかれている睡眠環境・寝室の空調等と睡眠の実態を把握し、比較対照として、青年・中年群との年代的な比較考察を行った。調査内容は、(1)日常生活行動(2)睡眠状況、(3)寝室実態、(4)寝具状況とし、回収率は84%、有効回収率は83%で、20歳代から80歳代までの男女の冬期627票、夏期1447票の有効回答を得た。その結果、年齢により全体に朝型の者が増加するが、中途覚醒の増加などの睡眠様態も変化していることがわかった。また高齢であるほど、女性の方が寝床内暖房を使用し、寝室を暖房しなくても寝床内が暖かいと評価しており、満足感も高かった。しかし、中途覚醒等への影響は明らかでなく、必ずしも暖めていることが、睡眠に好影響を与えているとは言えなかった。中年群の方が、仕事や家事育児により睡眠の充足感が得られておらず、余裕のない生活が睡眠にまで影響を及ぼしていることが伺われた。実際の住宅での温熱環境および睡眠時の寝床気候の実測調査を行い、アンケート調査や人工気候室実験や実測調査の結果と比較検討し、睡眠度を推定した。その結果、寝床内温度は、足部皮膚温の上昇にともない上昇し、睡眠中は33℃〜36℃程度である。電気毛布を使用している者は、体動や心拍数より寝付きは速いと判断されるが、睡眠中に寝床内温度が36℃を越え、体動が増えて腕等を布団から出して寝床内温度を調節しているのが観察された。また、靴下を着用している被験者も、足部の皮膚温が他の部位より高い状況が観察された。
著者
酒井 浩
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、ラフ集合理論の概念に基づくデータ解析処理ツールを構築し、アンケートデータ解析への応用を進めた。数値表データに対する多変量解析、特に回帰分析では回帰式により今後の動向を予測する。そして、平均や分散を定義できない数値以外の離散値表データでは回帰式に代わる手法が望まれる。我々は、興味深い含意式(一般にはルールとよばれることが多い)によって離散値表データから今後の動向を予測できると考え、実際の処理ツールの実現を進めた。実際の支援ツールはC言語とProlog言語を利用して記述しており、(A)集合の定義可能性判定ツール、(B)可能同値関係抽出ツール、(C)属性間における依存性判定ツール、(D)被覆度や正確度計算ツール、(E)ルール抽出ツールなどから出発し、種々のプログラムを実現した。また、授業評価アンケートからの興味深い含意式の取り出しも行った。学生による授業の5段階評価では含意式:『教員に好感をもてた⇒5段階評価値は高い』の傾向が認められた。授業における教員の印象は授業の5段階評価に強く影響すると考えられる。本研究の成果は、ラフ集合の概念に基づいて計算機上で処理を実現するための種々のアルゴリズムを提案したこと、さらに提案したアルゴリズムによるプログラム群を作成し、データ解析処理ツールを構築したことである。回帰式と含意式を相互に利用する新たな表データ解析法は今後重要な研究分野になると考えている。
著者
上條 勇
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

オーストリア第一共和国の歴史で重要な役割を果たしたオットー・バウアーとオーストロ・マルクス主義について、主としてSPOリンツ綱領(1926年)と翌年に生じた7月15日事件について詳細に調べ、その研究発表を行った。そして、バウアー達が、マルクス主義の教条主義に捉われてかたくなに妥協を拒んだとか日常的な改良活動を軽視したとかいう影響力のある評価に対して史実にそくして批判をおこなった。
著者
末木 文美士 阿部 泰郎 司馬 春英
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、日本中世仏教の思惟方法を検討し、それを他の諸思想と比較し、現代的意味を探ることを目的とした。具体的には、(1)真福寺などに写本で伝えられる文献を調査し、その思想内容を分析した。(2)平成24年度には研究会を開催し、仏教研究者のみならず、現代哲学研究者も出席して、広い視野からの比較研究を進めた。(3)平成25年度には、中日仏学会議(北京)、世界哲学会議(アテネ)に出席して、成果を発表した。(4)比較研究を進めるために、Bernard Faureの著作Unmasking Buddhismを和訳するとともに、拙著『浄土思想論』の中国語訳、『仏教vs.倫理』の英訳を作成した。
著者
鈴木 貞夫 徳留 信寛
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

メタボリックシンドローム(MS)について,その成因の肥満とインスリン抵抗性が,MS関連疾患の脂肪肝とどう関連しているかなどを検討した.その結果,(1)肥満がなくともそれ以外のMS要素が多いと脂肪肝は増加し,現在のMS診断基準に問題があること,(2)肥満情報があればインスリン抵抗性はMS診断に大きな情報を付加しないこと,(3)BMIと腹囲は肥満の質の判別能力は低く,いずれをMSの診断基準にしても有病者の違いはほとんど認められないことが判明した.
著者
多木 誠一郎
出版者
小樽商科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009-04-01

伝統的な協同組合法理論によると協同組合では、組合員は利用者であり、利用者は組合員でなければならない(同一性の原則)。わが国の協同組合諸法は同一性の原則に忠実である。しかし同一性の原則は協同組合にとって本質的であろうか。本研究では同原則の相対化を目指した。これによりわが国の協同組合諸法では実現が不可能な新たな協同組合の制度設計が可能になるからである。この疑問を解くための手がかりとすべく、協同組合の利用を目的としない組合員(非利用組合員)を主として考察対象にした。考察の結果同一性の原則の相対化は可能であるが、より基礎的な協同組合の特質である助成目的との整合性を取ることは容易ではないと考える。
著者
星 守 小早川 倫広
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究課題では, MPEG-4 audioの圧縮過程から算出されるパラメータ,あるいは楽曲圧縮データのビットストリームに格納されているパラメータを用いた楽曲アノテーションに関する研究を実施した.本研究課題の成果として, 1)圧縮過程で算出される自己相関係数系列を用いた楽曲の構造分析手法, 2)ビットストリームに格納されたLSPパラメータから算出されるLPCケプストラム系列を用いた楽曲のジャンル分類手法, 3)ビットストリームに格納されたLSPパラメータ系列を用いた楽曲に対する印象語付与手法の提案を行った.
著者
高科 豊 丸山 久一 Jacobsen Stefan
出版者
神戸市立工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

凍害深さ評価の開発として、コンクリ-ト表層部の剥離量や目視評価を改め、劣化部位の非接触デジタル写真による凹凸形状把握、赤外線法(サ-モグラフィ-)、超音波法の結果統合による凍害深さの3次元把握技術を検討した。階層型ニューラルネットワークを利用することから、複合劣化の自然環境下の凍害局所部位を対象とするコンクリ-ト3次元の劣化予測の推論モデル開発の基礎的な素材の各検討が行なわれた。
著者
田村 紘基
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

ダイオキシン,ハロメタン,その他環境ホルモンなどの有機物質による環境水の汚染が大きな問題になっている.これらの有機汚染物質は一般に水への溶解度が小さく濃度は低いが,その毒性は大きい.したがって,希薄溶液についてそれらを検出定量し,除去処理を実施するために高効率の濃縮,捕集が必要になる.近年,細孔材料のナノ空間が活性の大きい特異な反応場であることが明らかにされ,表面ポテンシャルの重畳場であることによるものとされている.本研究では,細孔材料の反応活性なナノ空間に有機分子を取り込み,電荷を持たない有機分子鎖間に働く水素結合やvan der Waals力などの引力相互作用を利用して吸着を促進,増幅することを着想した.ナノ細孔材料としては層状金属酸化物に着目した.この物質の酸化物相は,金属イオンによる正電荷と酸化物イオンによる負電荷が均衡しないため電荷を持ち,層として二次元的に発達する.層間には反対符号のイオンが位置して層電荷を中和し三次元結晶を形成する.層間イオンはイオン交換可能で,固体バルク成分として多量に存在するため交換容量がきわめて大きい.陽イオンを層間イオンとする層状酸化物として四チタン酸塩,バーネサイト,亜鉄酸塩,陰イオンを層間イオンとする層状酸化物としてハイドロタルサイトを選び,その合成条件を確立した.汚染有機物分子のモデルとしては,陽イオン性官能基を持つアルキルアミンと陰イオン性官能基を持つアデノシン三リン酸(ATP)を選び,イオン交換によるこれらの取り込み反応と反応生成物の性状について調べた.サイズの大きな有機分子が飽和容量まで取り込まれたことから,ナノ空間の活性の高いこと,ならびに取り込まれた有機分子間の引力相互作用により取り込み反応の増幅が起こることが確かめられた.また,層間距離が分子鎖長に相当する増加を示したことから,有機分子は吸着層面に対し直立していることが示唆された.荷電基は両層には接触しないので,層間に整列する分子鎖間の引力相互作用によって層構造が維持されるものと考えられた.
著者
安藤 昭一
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

1 Bacillus circulans MH-K1キトサナーゼの立体構造の解明本キトサナーゼの遺伝子を大量発現系に組み込んで生産・精製した酵素を用いて結晶化実験を行なった結果、硫安を沈澱剤として用いたときに直方体の結晶が得られた。その空間群はP21212でユニットセル・パラメーターはa=57.7,b=43.3,c=128.0Aであった。このnative結晶の解析を進めると同時に重金属置換体の取得を試みた結果白金の置換体が最も解析に良好であった。この置換体を用いてMAD法により回折データを取得し解析を行なった所、3.0Aの解像度で電子密度地図が得られた。現在α-helixの特定が可能となり、β-sheetの特定を行なっている。これにnative結晶の電子密度地図を重ねて精密化してゆく予定である。2 部位特異性変異による変異キトサナーゼの生産と触媒アミノ酸の特定MH-K1キトサナーゼの触媒アミノ酸部位を一次構造の保存性とリゾチームとの相同性から推定し、そのアミノ酸を改変した変異体酵素を生産させ酵素活性を測定した。合計10個のアミノ酸の改変を行なった結果、37番目のGluと55番目のAspが触媒アミノ酸として可能性が高い事が示された。また52番目のAspが触媒活性に関与しているらしい。3 その他の由来のキトサナーゼのクローニング等Nocardioides sp. K-01株のキトサナーゼ遺伝子のクローニングを試みた結果、部位遺伝子が取れた。これと蛋白から決定された一次構造により、本キトサナーゼの一次構造が決定された。
著者
明石 行生 安倍 博 仲嶌 亜弓
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

実務環境において日常生活をおくるヒトにLEDを用いた光制御を施したときに生体リズムに及ぼす影響を調べるために合計10名の被験者が参加したフィールド実験を行った.実験の結果,朝と夜の光制御を行った場合の方がそうでない場合に比べて,ヒトの生体リズムの位相は前進し,振幅は増幅すること,朝の覚醒度が向上することを明らかにした.これらの実験結果と体内時計の光受容機構に関する最新の知見に基づき,生体リズム障害を予防・緩和し,学習・就業時の覚醒度を向上する光制御システムを構築した.
著者
山内 健 坪川 紀夫
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

カーボンナノチューブ(CNT)は機械的強度に優れ、高い導電性と熱伝導性を有しているため、LSI配線への応用が期待されている。しかし、CNTは分子間力により凝集するため分散性に乏しく、ハンドリングが困難である。そこで、熱応答性高分子に着目して、熱応答性高分子をCNTにグラフトすることで、CNTへ熱応答性を付与でき、水中において低温では親水性により分散、高温では疎水性相互作用により凝集するスマートナノ材料の合成を検討した。得られた複合ナノ粒子は体温と同様の40℃程度の熱に応答して、溶媒中で分散と凝集を繰り返すことを見出した。さらにCNTは赤外光照射により発熱する性質を持つことを利用して、赤外光レーザーを照射してCNTを加熱することで、集積体の形成について検討した。その結果、赤外光レーザーによる局所加熱で、CNTを集積して、さらに2次元に配列することに成功した。
著者
三宅 尚
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

広島県江田島市において,山火事や植生の歴史記録と,水源地堆積物の微粒炭や花粉の記録との対応関係を調べることで,微粒炭や花粉の堆積様式を明らかにした.大きな微粒炭の堆積様式は山火事の大きさとそこからの距離によって説明でき,大きな微粒炭は近隣で起きた山火事の指標になることが分かった.山火事を契機とする植生変化は,集水域が山火事で焼けた水源地でのみ,花粉情報として記録されていた.本研究は,微粒炭・花粉記録から過去の山火事やそれに起因する植生変化を復元する際の基礎情報となるだろう
著者
松尾 ひとみ
出版者
静岡県立大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

先天性心疾患の手術後に水分制限を受けたこどものストラテジーの構造を明確化し、口渇の苦痛を緩和するケアモデルの開発を目指して、6〜12歳の先天性心疾患で手術をうけたこどもを対象にグランデッドセオリーを用いて行った。その結果、水分制限を受けたこどものストラテジーの構造は、2つの次元「飲みたい-飲みたくない」、「飲める-飲めない」に沿って、6つのコアカテゴリーが点在する構造と、その構造を統合し<ちょうどいい飲水量の感覚>のコアカテゴリーが出来るという構造であった。ストリーラインは、こどもは術後、早期から<飲みたい時・飲みたくない時がある>と常に口渇が発生する訳ではないと気づいていた。同時に、<病院だと喉が渇かない>と、口渇の原因に環境温や活動量が関与すると冷静に分析できるまでに至っていた。やがて、食事の開始時に医療者から水分制限の説明をうけ、<測らないと飲めない>と飲水量を測定する未経験の飲水方法に困惑していた。こどもは、限定された範囲に飲水量を納める様々な試行錯誤の過程から、<大切に飲む>という口渇をコントロールし飲水する独自の戦略を開発していた。しかし、水分制限が緩和していく段階毎に、医療者と保護者に<飲むと悪いことが起こる>というメッセージを送られ、こどもは<飲みたいけどガマンする>と恐れ、少な目に飲水を自粛していた。こどもは、このような水分制限のある生活体験を約2週間経過すると、体験が蓄積し、こどもに<ちょうどいい飲水量の感覚>が芽生え、身体に必要な飲水量の目安が感覚で掴めるようになっていた。
著者
荻原 理 神崎 繁 納富 信留 FERRARI Giovanni BRISSON Luc
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

G. Ferrari, S. Obdrzalekを招き、東北大学にてシンポジウム「プラトンの神話」を開催した。『国家』第10巻の「エルの神話」における<あの世での、これから生きる生の選択>についての英語論文を国際プラトン学会大会(慶應義塾)で発表し(審査有)、改訂版を電子ジャーナル誌PLATOに掲載した(査読有)。『法律』第10巻の、死後の魂の再配置の話についての日本語論文をギリシャ哲学セミナー大会(専修大学)で発表し、同セミナー『論集』に掲載した。『法律』のこの話が置かれた文脈(宗教法)についての英語論文をシンポジウム「自由と国家―プラトンと古典的伝統」(オクスフォード大学)で発表した。
著者
丁 志映
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

1990年代から、家賃の高い都心部において、若年単身者を中心にシェアハウスが注目を浴びている。しかし、シェアハウスの急激な増加に伴い、法整備が追い付いていないことから、違法シェアハウスや脱法ハウスなどが社会問題になっている。そこで、本研究では、既存の建物を単身者向けのシェアハウスとして利活用している、フランス、ベルギー、スペイン、韓国における国際比較を通して、今後日本における「ストック型社会システム」の重要な構成要素としてシェアハウスを解明し、これらの制度や条件などの結果を踏まえて、最終的には単身者向けの「ストック型社会システムのモデル」の構築を行った。
著者
野坂 昭雄
出版者
大分県立芸術文化短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、パノラマや写真、映画など、明治から昭和期にかけて発達した視覚的メディアに注目し、特に太平洋戦争の開戦から終戦までに書かれた戦争詩が、詩の表現として視覚的な様相を含み込んでいたことの意味を考察した。丸山薫の戦争詩は、その視覚的な表現において特徴的であるが、一方でそれは他の詩人、批評家たちにも共有された視覚的メディアの影響の結果であり、他方で「戦争」において要請された銃後の情報戦、あるいは兵站術の産物でもあったと考え、詩の表現を通じて戦争詩における視覚性のあり方を明らかにした。