著者
山田 健太
出版者
専修大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

2014年には特定秘密保護法が施行、2015年には安保関連法制の制定により有事法制もより法整備が進み、これに伴い言論の自由に関する規定も盛り込まれるなどした。また2015年末から2016年にかけて、放送法の解釈及びいわゆる公権力とメディアの関係が問われることとなった。そこで本研究においては、第1に特定秘密保護法の法構造と運用監視システム、同法と取材・報道の自由の関係について、アメリカやイギリスの状況を比較検討しつつ研究を実施した。第2に放送法の法解釈と行政指導等の行政機関の対応について歴史的考察を行い、併せて放送局の現場における対応について、ドイツの状況を比較検討しつつ研究を実施した。
著者
本村 浩之
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

フサカサゴ科魚類363名義種の原記載を調べたところ,18名義種がマツバラカサゴ属に帰属することが明らかになった.18名義種の原記載とタイプ標本,および多くの一般標本を調査した結果,9種が有効種であること,さらに2未記載種の存在が明らかになった.本研究によって,マツバラカサゴ属の種レベルの分類学的再検討から,各種の地理的変異,成長による形態変化,および分布域も明らかにすることができた.
著者
後藤 幸弘 日高 正博
出版者
宝塚医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

ハードな身体接触を伴う運動(「組ずもう」「カバディー」)は、身体接触を避けるように企図した運動(「棒ずもう」「タグカバディ」)よりも児童の攻撃的な感情の表出を押さえ、身体への気づきを高め得ることが認められた。また、「筋出力の制御力」の向上には、身体接触よりも大きな力を発揮するこの影響が示唆された。さらに、「組ずもう」と「カバディ」の学習効果は、量的に見た場合いずれの側面においても3・4年生よりも2年生で大きいと評価された。
著者
永井 善之
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

児童ポルノの刑事規制根拠の明確化を目的とする本研究では、その規制の伝統に伴う法的議論の蓄積の豊富なアメリカにおける理論状況に係る比較法的な分析も踏まえて、その規制利益の個人的法益性の基本的妥当性を確認すると共に、この個人的法益を被写体児童の人格的利益、より具体的に自由の一種たる自己の性的姿態に係る情報権と構成する可能性について検証した。
著者
長瀬 健一
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究課題では、再生医療への応用を目的とし、細胞治療に用いる細胞を温度変化のみで分離するインテリジェント型分離基材の設計を行なった。ガラス基板、微細加工基板、マイクロファイバーの表面に温度応答性高分子であるポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PIPAAm)を修飾し、37℃で細胞を接着させて20℃で細胞を脱着させる基板表面を作製した。この際、細胞種ごとの接着性の差を大きくする基材設計を行なう事で細胞の分離効率の向上を試みた。
著者
西本 哲 三村 護 中川 征樹
出版者
神戸医療福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

ファイバー束の性質を知るための方法として特性類を計算することがある.ファイバー束の中で最も重要なのが普遍束であり, その特性類を決定することは構造群の分類空間のコホモロジーを計算することにあたる.それを計算するための道具としてスペクトル系列があり, 今回は例外リー群E_7, E_8の分類空間のmod 3コホモロジーへ収束するスペクトル系列のE_2-項の代数構造を計算した.それから分類空間のコホモロジーと密接に関係している, Weyl群の極大トーラスの分類空間のmod 3コホモロジーへの作用による不変式環をE_7の場合に計算した.
著者
梅津 郁朗 吉田 岳人 稲田 貢 香野 淳
出版者
甲南大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

シリコンに深い順位を持つ不純物の過飽和ドープすることができれば中間バンドを形成し太陽電池効率を向上させる可能性がある。本研究ではパルスレーザーを用いて結晶性を保ちながら不純物の偏析を抑制する試料作製法の指針を提示した。不純物として硫黄を用い電気的・光学的測定を行った結果、これまでに議論されていたように金属的振る舞いと中赤外光吸収の原因が共に中間バンドによるものであると考えると矛盾が生じることを明らかにした。そこで実験結果をもとに、それらの原因の新たな可能性を指摘した。
著者
竹中 康将
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、高効率触媒反応を利用した非可食性バイオマスから有用なオレフィン系モノマーを高選択的に合成する技術開発を行い、得られるバイオマス由来のオレフィン系モノマーを精密に重合する新規触媒を開拓し、バイオマス度の高い新規バイオベースポリマーを合成する技術の確立を目的とした。本研究の成果として、非可食性バイオマスを原料に用いたバイオマス度の高いバイオベースアクリル樹脂合成を達成し、各種測定機器を用いた物性評価を行うと同時に、β位にアルキル基およびアリール基を有する新規なアクリル樹脂合成を達成し、各種測定機器を用いた物性評価を行った。
著者
多賀谷 昭 深山 智代 深山 智代 北山 秋雄 那須 裕 野坂 俊弥 多賀谷 昭 吉村 隆
出版者
長野県看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

中山間地域の里山における女性高齢者のグループ農業の実態を調査し,人々の健康と地域社会に及ぼす影響とグループ農業が成立するための諸条件を検討した。その結果,グループ農業の活動は,地域アイデンティティの表出としてとらえることができ,相互扶助ネットワークの強化,共同体の維持,文化の伝承など,その多面的な機能により,地域住民の心身の健康を増進し保障すると考えられる。グループ農業の成立には,表出すべき地域アイデンティティおよびそれを認知する者の存在が必須と考えられる。
著者
酒井 昇 福岡 美香
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

肉や魚を調理する過程においては、加熱されると同時に水分の移動と蒸発、タンパク変性に伴う収縮、さらに呈未成分の変化などが起こり、その過程は極めて複雑であるため、最適な条件を設定することは容易ではない。そこで本研究は、これを支援するために、調理・加工過程で進行する伝熱、それに伴う素材の変化を、定量的に記述するとともに、その結果を、コンピュータを用いて可視化する手法を開発した。具体的な調理としては、ローストビーフおよび焼き魚を取り扱った。ローストビーフ調理においては、反応速度論に基づいて加熱に伴うタンパク質および呈味成分の変化予測と可視化を行った。また、焼き魚過程においては、加熱に伴うタンパク質変性、呈色反応を定量化し、表面温度変化との関係を明らかとした。
著者
早岡 英介 三上 直之 杉山 滋郎 藤吉 亮子 鳥羽 妙 川本 思心 郡 伸子 滝沢 麻理 池田 貴子 添田 孝史
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

福島第一原子力発電所の事故以降,主に放射能リスクをテーマとしたリスクコミュニケーションの取り組みが各地で進められてきた.だが,多くは啓蒙的な説明会にとどまっており,専門家と一般市民との間に十分な双方向の対話の場を生み出せていない.こうした状況を克服するためには,リスク情報を正確かつ受け手側に配慮しながら発信できるリスクコミュニケーターの育成が急務である.北海道大学CoSTEPにおける2014年度の実践から,リスクコミュニケーター人材育成においては「伝え方を工夫できるコンテンツの制作能力」「対話の場を生み出す能力」「問題設定を適切に設計できるフレーミング能力」の3つの能力が重要だと考察した.
著者
大瀧 仁志 小堤 和彦 坂上 成美
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

2種の溶媒が混合している媒体中に電解質を溶解させると、生成したそれぞれの陽イオンや陰イオンは2種の溶媒により溶媒和される。これらのイオンに溶媒和している溶媒の組成は、一般にイオンによって異なるし、またバルクの溶媒組成とも異なる。溶媒和圏の溶媒組成がバルクの組成と異なる時、イオンはある一方の溶媒と好んで結合しようとする性質があることを示し、このとき、イオンは一方の溶媒により選択的に溶媒和されているという。われわれは溶液X線回折法により第1溶媒和圏の溶媒組成を直接決定し、選択溶媒和の程度を定量的に表現する量として、選択溶媒和指数K_<PSO>=[X^^-_A(1-X^^-_A)]/[X_A/(1-X_A)]を新たに導入した。A、Bは混合溶媒において、イオンの溶媒和圏における溶媒AおよびBの濃度(モル分率X^^-_AおよびX_B=1-X^^-_A)とバルク層における溶媒AおよびBの濃度(モル分率X_AおよびX_B=1-X_A)である。-RT1nK_<PSQ>は当該イオンの溶媒AおよびBの溶媒和ギブズエネルギーの差ΔΔG^O_<solv>と密接に関連していることが示された。また溶媒和圏における溶媒分子間の相互作用、とくに立体的障害に起因する反発力は選択溶媒和に大きな影響を与えることが示された。ここで得られた-RT1nK_<PSQ>の値と熱力学的考察から、溶媒和圏における分子間立体障害のエネルギーを推定することが可能であると考えられる。溶媒分子Aがイオンばかりでなくもう一方の溶媒分子Bとも強く相互作用する場合には、遊離の溶媒分子Aの濃度が低下するため、溶媒Aの選択溶媒和性が著しく低下する現象が観察された。これらのことから、選択溶媒和の主な原因は1)主として溶媒分子のドナー性(対陽イオン)やアクセプタ-性(対陰イオン)に基づくイオン-溶煤相互作用(引力的相互作用)2)双極子間、四極子間相互作用などの溶媒相における溶媒分子間相互作用(引力的相互作用)3)主として立体障害に基づく溶媒和圏における分子間相互作用(反発的相互作用)であることが示された。
著者
下原 美保 髙岸 輝 江村 知子 佐藤 公則 山崎 剛
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、科学的手法によって住吉派作品における古典編集の在り方を解明することである。その第一ステップとして、ハフ変換による画像のパターン分析方法を確立し、絵巻に登場する建築物の斜角を検出した。対象とした作品は「石山寺縁起絵巻」(鎌倉時代・室町時代・江戸時代)、「春日権現験記絵」(高階隆兼 鎌倉時代)、「元三大師縁起絵巻」(住吉具慶 江戸時代)等である。三者を比較した結果、「元三大師縁起絵巻」は、前二者より斜角に大きな差が見られた。同絵巻が古典作品の様々な場面を引用し、編集して制作されたことに起因すると考えられる。
著者
松井 理直
出版者
大阪保健医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

関連性理論の中心的な概念である関連性の認知原理および関連性の伝達原理のうち、認知的関連性の数学的性質について研究を行った。その結果、回帰係数の特性を持った多値論理の枠組みが適切であり、情報の既定性と関連性が日常推論や日本語の様々な条件文の理解過程に重要な影響を与えていること、また各種認知バイアスが特に否定情報のフレームの大きさに強く影響されていることを明らかにした。また、この主観的確率の生成過程に関する数学的性質から、先入観や固定観念といった誤りの信念形成や、事実であっても信じられない現象について、その事実を排除してしまう数学的な性質の一部も解明できた。
著者
祐伯 敦史 浜岡 隆文 栗原 俊之 藤田 聡 黒澤 裕子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

3カ年にわたる本研究プロジェクト実施により、以下の点が明らかとなった。(1)若年者と比較し、高齢者では、短期記憶および長期記憶は低値を示した(p<0.05, p<0.01)。(2)80歳代高齢者(被験者3名)の左脳・帯状回前部のクレアチン濃度は、若年者と比較し、9.6%低値を示した。(3)年齢と脳萎縮指数の間には、有意な相関関係が認められた(r=-0.89)
著者
大久保 貢 田上 秀一 谷口 秀次 森 幹男
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、これまでの高大連携活動で実践した経験を基に、高校教員と大学教員との連携により「学びの基盤」を育てる高大接続教育を創造する課題探求型の実践を行うことを目的に平成21年度~23年度の3年間で実施した。平成21年度~平成22年度は高校生と高校教員を対象として大学研究室(物理系研究室と化学系研究室)への体験入学を実践した。この体験入学により課題研究活動に関する知的好奇心の喚起や問題解決能力、論理的思考力、プレゼンテーション能力などの重要性について感じ取ったことが明らかになった。
著者
小出 慶一
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

日本語学習者の発話に現れるフィラーについて発話コーパスを分析し、その結果、一定の出現順序があり、それは概ね、母音の長音形フィラー、指示詞からの派生形フィラー、副詞からの派生フィラー、そして最上級段階に指示詞の一部(「このー」)が現れることを跡付けた。これは、習得の深化に伴って起きる現象であることを述べた。
著者
田中 礼 小林 富貴子 伊藤 寿介 小山 純市 平 周三 田中 礼 小林 富貴子
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、顎顔面領域へのMD-CTの臨床応用に際し、その至適撮影条件を明らかにすることを主な目的とした。具体的には、顎関節症症例、顎変形症や顎顔面形成不全症例などにおける顎関節部の骨の診断への応用を考え、顎関節部の撮影条件について検討した,撮影時間の短縮と被曝量の低減が可能であり、かつ、読影のためのより良好な画像データを得るために、ビーム幅を一定にしたときにテーブル移動速度(ピッチ)、再構成間隔、再構成関数の組み合わせを最適化することに主眼をおいた。研究成果は以下のとおりである。顎関節部のMD-CT至適撮影条件は、管電圧;120kV、ビーム幅;1.25mmの条件で、頭部ファントムを撮影し次のとおりと考えられた。ヘリカルピッチ;3(High Quality)、再構成関数;bone、管電流;80mA、再構成間隔;0.25mm。撮影時間と被曝量:撮影時間;14.8秒、CTDIw, eff;25.08mGy、DLPw;139.15mGycm。顎関節部の冠状断、および矢状断の再構築画像において、骨を中心に評価をする場合、観察しやすい画像の条件は、再構成間隔に大きく影響されると考えられた。今回、1.25mmのビーム幅に対して、1.25mm、1.0mm、0.5mm、0.25mmの4とおりの間隔で画像データを再構成し、冠状断、および矢状断のMPR画像を作成したが、それらのうち、最小の0.25mm間隔による再構成が有効であった。再構成間隔を一定にして、管電流による比較を行ったが、画像の観察しやすさは、管電流の大きさに必ずしも依存しない可能性が考えられた。ヘリカルピッチ3とヘリカルピッチ6では、同一の被曝量を示す条件での比較で、ヘリカルピッチ3の方が、より観察しやすい画像が得られた。再構成関数は、骨を中心に観察する場合、硬組織表示に適した「bone」が最も有効であった。
著者
野尻 伸一
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

F(R)、ガリレオン模型、重力子が質量を持つ模型、スピン2の場が重力と相互作用する模型、ドメインウォール模型、ボルン=インフェルト重力、マイメティック模型やユニモジュラー重力など様々な修正重力理論とその拡張を考え、宇宙の発展を記述する模型の構築、また、その検証可能性、理論としての矛盾のなさ等について詳しく調べ、模型に対する制限等を与えた。その結果、ある程度拡張された模型を考え、更にパラメーター等に制限を課すと、ほとんどの模型で宇宙の膨張の歴史を再現することが分かった。ただし、模型としての不自然さを完全に解消する模型はなく、また、量子論的な整合性がそのままでは不十分な模型が多いことも分かった。
著者
垣本 直人
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、リチウムイオン電池を組み込んだ太陽光発電のHEMSを開発した。まず、過去30年間の日射量データを解析することにより太陽光発電の信頼性を検討した。一日の供給量と電池の容量から供給が不足する日数が1年に10日くらいになるよう設定した。解析にはマルコフモデルを用いた。つぎに実験を2年間行い、1年目の不足日数が7日、2年目は2日であることを確かめた。また、電池の劣化特性を測定した。使用した電池では約750回の充放電が可能であった。電池のモデル化を行い、充放電の電荷量によって劣化が進行することを示した。