著者
荒木 和秋 小糸 健太郎 清水池 義冶 井上 誠司 杉村 泰彦 淡路 和則 吉岡 徹 森 久綱
出版者
酪農学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

細断型梱包被覆機の登場は、日本の畜産業および酪農における自給飼料の生産および流通に大変革をもたらしている。本調査研究では以下のことが明らかになった。第一に、牧草や青刈りとうもろこしのサイレージおよび食品残渣を圧縮梱包することで長期保存を可能とする調製革新をもたらしている。第二に、圧縮梱包された自給飼料やTMRの広域流通を可能とする流通革新をもたらしている。第三に岩手県において青刈りとうもろこしの収穫、調製、給与の各作業の効率化による飼料構造の大変革をもたらしている。このことから細断型ロールベーラは日本畜産の競争力強化と飼料自給率の向上の有効な手段となりうることを明らかにした。
著者
北 寿郎
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、激しいビジネス環境にさらされている産業において、迅速且つ適切に事業撤退する戦略の枠組みを構築することを目的とするものある。得られた結果をまとめると以下のようになる。ほとんどの産業において、撤退事例は、事業継続による赤字拡大を防ぐ目的のものがほとんどであり、Proactiveな撤退はほとんど見られなかった。しかし、その中でも市場における企業の成長軸からのかい離を常にチェックする仕組みを有したり、過去の撤退事例を巧みに内部資源化しそれを社内で共有するとともに、オープンイノベーションを推進している企業においては、戦略的撤退と呼んでもよい事例が見られた。
著者
津江 光洋 中谷 辰爾
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

極超音速飛行を行うためのエンジンとして水素を燃料とした予冷ターボジェットがある.離陸からマッハ6に至る幅広い作動レンジで環境負荷物質の排出の少なく高効率のエンジンを実現するためには燃焼現象の理解が必要である.本研究では,予冷ターボジェットアフターバーナーにおける燃焼状態を把握するため,モデル燃焼器を用いた実験を実施した.また,同時に詳細反応モデルを使用した数値流体解析も実施した.高エンタルピ―風洞内の水素噴射において,高効率の燃焼形態の把握と窒素酸化物生成メカニズムを明らかにした.また,粒子添加二色法による非接触の水素火炎温度測定手法を提案し,有効性を示した.
著者
南部 稔
出版者
神戸商科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

平成8年度〜平成10年度科学研究費研究成果報告書は6章よりなる。中国では1979年の改革・開放以来、金融改革は他の経済分野に劣らず進められてきたが、はからずも1998年のアジア金融・通貨危機のなかでその真価が問われることになった。だが、やはりその脆弱性は否めなかったものの、そこから多くを学んでいる。こうしたことをふまえて研究成果報告書の概要を紹介すると次のようになる。第1章では、建国以来の経済発展を金融動向と照らしあわせながら、時期区分をしてその経緯をたどっている。第2章では、金融改革とともにマクロ・コントロール・システムがどのように構築されていきたのかを考察している。第3章では、中国人民銀行を中央銀行にすえて、政策銀行を配備し、その周囲に国有商業銀行、一般の商業銀行、外国銀行、ノンバンクなどが整備・拡充されてきたプロセスを紹介している。第4章では、金融市場の発展について、短期市場と長期市場に分けて考察している。第5章では、中国の外国為替市場はきわめて閉鎖的であったが、1994年から為替レートが市場レートに一本化されて、管理されたフロート制がとられることになって以来の外国為替政策の展開過程について考察している。第6章では、アジア金融・通貨危機によって中国経済はどのような影響を受けたのか、それによって人民元の切り下げの可能性があるのかについて考察している。1998年に人民元切り下げの回避に成功したが、それで問題は払拭されたわけではなく、さらにWTO加盟や国際化の深化にともなって資本自由化の外部圧力も強まってこよう。そこで、中国共産党は中央金融工作委員会を設けて、金融監視体制の強化にのりだすことにした。金融システムの崩壊は国民経済を根底から破壊する恐さをアジア金融・通貨危機から認識したからである。今後の取り組みに注目したい。
著者
西本 一志
出版者
北陸先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

近年,ピアノレッスンに連弾が採り入れられ,生徒の練習意欲向や,パートナーと呼吸を合わせることによる音楽性の育成に効果が認められている.しかし子どもが,家庭内で演奏経験の乏しい家族と連弾を行うことは難しい.本研究では,演奏初心者の親が初学者の子どもと容易にピアノ連弾できるようにするシステム"Family Ensemble"を構築した.このシステムは,子どもの親が担当する連弾のパートを,正確な音高列を出力する機能と,子供の演奏位置を追跡する機能により支援することで,全くの初心者の親が,演奏誤りの多い初学者の子どもとでも連弾できるようにしたものである.技術的な核は,従来から自動伴奏システム研究で扱われている,余分な音の挿入,音高の誤り,音の脱落,という3種の誤りのほかに,突然前の部分に大きく戻って弾き直すという子供特有の誤りに対応できるロバストな演奏位置追跡機能を実現した点である.被験者実験により,全くの初心者と初学者によるピアノ連弾が可能になることのみならず,子どもの練習意欲が増すことが示された.さらに,初心者と初学者のペアでありながら,お互いに音楽的なアイデアや演奏技術について意見をかわしている様子が見られた,さらに,演奏停止時に停止箇所を楽譜上で見いだすと共に,その停止箇所以前に誤りがあったか無かったかを判定できるようにした.そのうえで,誤りがあった場合は停止箇所までのフレーズの模範演奏映像を提示し,誤りが無かった場合は停止箇所以降のフレーズの模範演奏映像を提示するシステムを考案・実装した.また,「離鍵」動作に注目した音楽表現の構築プロセスの分析研究,歌唱と並行して行うリズムタッピングにより音の区切り情報を入力する「歌唱による音楽データ入力手法」を考案し,評価を行った.以上を通じて,初心者の音楽演奏学習を総合的に支援するための基盤技術を確立した.
著者
石原 大輔 村上 直
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

昆虫羽ばたき飛行を規範とする微小飛翔ロボットの可能性は,マルチフィジクスの複雑さと加工技術の限界から未だに十分明らかになっていない.そこで本研究では,最初に,マルチフィジクス計算力学手法を開発し,それにより昆虫羽ばたき飛行の力学を精緻化した.次に,それらを用いて,昆虫羽ばたき飛行を規範とする1mmスケールのモデル翼を2.5次元設計空間内で探索し,満足解の集合(デザインウィンドウ)が存在することを示した.最後に,MEMSプロセスに基づくマイクロマシニングを開発し,それを用いて,モデル翼を実空間で作成した.以上により,微小飛翔ロボットの可能性を明らかにした.
著者
高木 芳弘 石川 潔
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究ではパルス光の照射による磁気過程の高速応答を実時間で追究することを目指している。本補助金で購入した広帯域デジタルオシロスコープを用いて時間応答と信号処理能率の改善により、光誘起スピン偏極機構の新たな解明と、合成した化合物溶液においてスピンの歳差運動によるフリーインダクションディケー(FID)を初めて観測することができた。1)磁場存在下での誘起スピン偏極の起源の解明昨年度行った酢酸銅と鉄明礬結晶における磁場下での光の角運動量を必要としないスピン偏極の生成について、その由来を明らかにした。酢酸銅は複核錯体を形成することが研究当初不可欠であると予測されたが、一方、磁場に対して同様の振舞を示す鉄明礬は単核錯体である。さらにスピン3/2のルビーでは以前に得られていた準位交叉の磁場近傍での状態混合によるスピン偏極の信号も同様の起源で説明できることがわかった。この孤立スピン系における実験的証拠から、複核形成は誘起スピン偏極の必要条件ではなく、多重度が3以上で、かつ微細構造分裂を有するスピン系で磁場の印加により状態混合を形成することが起源であると断定した。鉄三価と同じ多重度のマンガン錯塩では信号が得られないが、鉄と異なり超微細分裂が微細構造より大きく、スピン偏極を与える状態混合の形成が十分でないことに起因するとした(投稿準備中)。2)スピンの歳差運動によるフリーインダクションディケー(FID)の観測広帯域デジタルオシロスコープにより時間応答と処理速度の向上が図られ、その結果、鉄三価キレートのアセトン溶液において、励起円偏光ビームと垂直の磁場の印加によりFIDが初めて観測された。振動の周波数は印加磁場と共に増大し、歳差運動の様子が顕著に認められた。これは希釈スピン系であるルビーで古く見出されたものと異なり、高濃度の室温凝縮系での直接検出は我々の知る限り初めてである。これによってマイクロ波を使わずに任意の磁場でのパルスESRと等価な知見が得られることになる。現在詳細な実験を進めている。
著者
新谷 尚弘 五味 勝也 藤田 翔貴 竹越 祐太郎
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

酵母はパンの製造やアルコール発酵に用いられる微生物である。酵母は環境中にグルコースが存在すると、乳酸やピルビン酸の取込みを制限する。その機構の一つにモノカルボン酸輸送体Jen1のグルコース誘導性のエンドサイトーシスを介した分解(グルコース不活性化という)が挙げられる。Jen1のグルコース不活性化はRsp5-Rod1ユビキチンリガーゼ複合体によるユビキチン化が引き金となり起こる。私たちは、Jen1のC末端の20アミノ酸の領域がRsp5-Rod1複合体によって認識され、膜輸送体のグルコース不活性化を引き起こすのに十分であることを明らかにした。
著者
加藤 茂明
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

ビタミンDはカルシウム代謝に中心的な役割を果たし、更に細胞分化・増殖、また癌化などにも深く関与することが知られている。同じビタミンであるビタミンAをリガンドとするレセプターには、RAR(α、β、γ)、RXR(α、β、γ)などがあり、リガンドに対し複数のレセプターが存在する。しかしながら、ビタミンDではそのレセプターはVDR1種のみが報告されており、数多く生体内に存在するビタミンD類緑体群を考えると、VDR1種のみでは十分その生理作用を説明することができない。本研究では、VDRと類似したオ-ファンレセプターを探す過程で見出したVDRアイソフォームVDR1の機能解析と、他のビタミンD類緑体との関連を探った。その結果、VDR1は本来のビタミンDレセプター(VDR0)mRNAのスプライシングによって生じるアイソフォームであり、いわゆるイントロンがスプライトアウトされないものであった。このイントロン中には終止コドンが存在するため、VDR1タンパクはC末端に存在するリガンド結合領域を大半失っており、活性型ビタミンD[1α、25-(OH)_2D_3]では結合せず、逆にVDR0の転写促進能を阻害するいわゆるドミナンドネガティブ型のVDRであることがわかった。そこで更にビタミンD関連化合物、また未然の類似体による転写促進能を調べたところ、いずれもVDR1による転写促進能を活性化することはできなかった。一方、VDR1の標的エンハンサー配列を各種ビタミンD応答配列を用い、VDR0に比較したところ、いずれも差異が認められず、同じ配列を認識すると考えられた。
著者
山本 清洋
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

学校週5日制が生み出した余暇空間に関する大人と子どもの意味づけの類似点と差異点を明かにし,両者の意味づけを統合する原理を明らかにすることを目的に調査分析を実施し,以下の結論を得た。1 余暇空間の特性1) 小学校,中学校,公民館は大人が用意した教育活動の空間となっていて多くの子どもが参加しているが,子どもの自由な遊び空間となってはいない。2) コンビニ,スパーマケットは子どもの生き抜きの空間,待ち合わせ空間としての居場所となりつつある。3) 砂浜,釣り場,森の公園等の自然は遊びの空間となり得ていない。自然を遊びに利用する知識・技術が欠落している。4) 身近にある公園や空き地は子どもの遊び空間として機能している。5) 温泉センターは家族団らんの機会を,JR市来駅は都市文化に触れる起点を与える空間である。6) ファミコン,TVは子どもを家という空間に強烈に拘束する文化であり,再考が迫られる。2 遊び空間への意味づけ1) 大人は子どもの居場所となりつつあるファミコンやコンビニを遊び空間として認めきれていない。2) 大人は河川,海,山等の自然での遊び空間を価値づけているが,子どもの半数は否定的な評価をする。ただ,現実には大人もそれらの空間を殆ど利用していない。3) 子どもは学校の休日利用を望み,学校の先生が自分達を信頼して欲しいと望んでいる。4) 遊び空間への意味づけを統合する原則として,(1)遊び空間の主体である子どもを大人が信頼する,(2)子どもの日常生活圏への学校教師の住民化,(3)自然遊びの知識・技術の継承する活動の実施,(4)TV,ファミコンの功罪の協議,(5)諸活動を子ども形成型から子ども自身型へ転化する,等があげられる。
著者
馬 彪
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は1989年に出土した雲夢龍崗秦簡の禁苑律令にはじめて見づけた禁苑の新史料にしたがって、秦帝国における全国に散在した禁苑群に関する研究である。研究成果は三部に分けて、1秦地禁苑研究は上林苑・渭水上流の秦旧都地・御陵周辺における禁苑群の実像を明らかにした成果。第二部の東海沿岸禁苑研究は、山東半島・渤海湾・江淮下流「呉地」・粤地における禁苑群実像を明らかにした成果。第三部の長江・黄河中流禁苑研究は、楚王城・長江中流域禁苑・「巡北辺」と最期の禁苑を明かにした成果。従って筆者はこれまでの秦帝国の研究と異なる秦帝国各地方に散在していた禁苑ネットワークの存在とその帝国の政治機能を明かにした。
著者
徳永 仁 髙村 徳人 松岡 俊和 佐藤 圭創 瀬戸口 奈央 緒方 賢次 佐藤 圭創 緒方 賢次 瀬戸口 奈央
出版者
九州保健福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

病棟、薬局、在宅およびドラッグストアを想定した薬効の評価や副作用の早期発見のトレーニングを目的とする薬学生・薬剤師のためのフィジカルアセスメント(PA)学習教材を作成した。基礎学習(スライド形式・動画形式)と症例学習からなり、基礎学習ではPAの基本解説と心音、肺音および腸音の正常または異常の聴診できる。症例学習では患者アバターに対して客観的または主観的な身体学的所見の情報、バイタルサインや臨床検査値を加えることにより、薬剤師としての受診勧奨、他医薬品への処方変更、薬効・副作用の確認もバーチャルで可能となった。患者対応から症状回復までが体験できるこれまでにない有益な教材が開発できたと考えている。
著者
堀内 功 澤井 英明 小森 慎二 赤谷 昭子 香山 浩二
出版者
兵庫医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

TNSALP遺伝子のゲノムDNAをPCR法にて増幅した。ゲノム遺伝子は12エクソンに分かれているため、PCR法に用いるプライマーはそれぞれのエクソンについて合成する必要がある。しかも細胞1個にはTNSALP遺伝子は1対(2個)しか含まれていないため、これを遺伝子増幅するためには増幅対象領域についてPCR反応を繰り返して2度行ういわゆるnested PCR法が必要となる。この方法に必要なTNSALP遺伝子のプライマーの塩基配列はすでに報告されているので、これらの情報を用いて、細胞1個より増幅可能な条件を検討した。増幅された遺伝子がTNSALPであるかどうかについてはそれぞれの増幅された遺伝子内に存在する制限酵素部位が、既知のTNSAPLの遺伝子配列と一致するかどうかで判断した。同じ増幅法であっても細胞融解の方式によって増幅の程度の差が出ることが判明した。すなわち蛋白融解酵素を用いたものよりもアルカリ溶解法を用いた方が正確な増幅が期待できることがわかった。しかし、allele drop out(ADO)と呼ばれる、2本の染色体のうちの1本がうまく増幅されない減少についての検討を次に行った。低アルカリホスファターゼ症は常染色体劣性遺伝形式をとる疾患であるので、ADOがあっても正常のalleleの増幅がみられれば、少なくとも保因者であり、罹患はしていないと診断できる。しかし、あまりにADOの頻度が高いと、正確な診断という意味では問題が生じる。文献上はいずれの方法が良いかについては相反する報告があり、増幅する遺伝子によって違いがあるものと考えられた。そこでADOの頻度を検討して、さらに増幅率を加味して検討した結果、TNSALP遺伝子の増幅についてはアルカリ溶解法を用いた方が、増幅効率とallele drop outの率から考えて、良いと考えられた。
著者
小谷 一孔
出版者
北陸先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は顔表情(可視情報)と顔温度画像(非可視情報)を用いて人の感情を推定する。このため、人の基本感情において顔画像とこれに対応する顔温度画像のデータベースを作成した。そして、顔画像、顔温度画像、顔画像と顔温度画像とを組み合わせた感情推定手法を試作し、各々の特性を評価した。その結果、いずれかのみを用いた場合、70%程度の推定精度が得られる感情クラスが見られた。更に顔画像と顔温度画像とを組み合わせることにより10ポイント程度の精度向上が得られる感情クラスが見られた。可視情報と非可視情報とを組み合わせにより感情強度の推定やより複雑な感情クラスの推定が可能であるとの知見が得られた。
著者
後藤 昌弘 岩田 惠美子 大久保 郁子 西中 未央 森 元幸 森 一幸 中尾 敬
出版者
神戸女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

北海道産5品種,長崎県産5品種2系統を用いて,化学成分分析,テクスチャー測定,官能検査を行い,品種による調理適性を明らかにすることを試みた。官能検査の総合評価から,北海道産ジャガイモの収穫直後では,「ピルカ」が揚げ加熱,「はるか」がゆで加熱に,貯蔵6ヵ月では「ピルカ」が電子レンジ加熱,「はるか」が揚げ,蒸し,電子レンジ加熱に,長崎県産春作の「西海31号」は電子レンジ加熱,「西海37号」は蒸し加熱,ゆで加熱,秋作では「アイユタカ」は揚げ加熱,「さんじゅう丸」は揚げ加熱,「西海31号」は電子レンジ加熱,「西海40号」は揚げ,電子レンジ,ゆで,焼き加熱に適していると考えられた。
著者
豊田 二美枝 前川 眞見子
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

1. 精子細胞膜におけるZP3受容体の局在:マウス卵の透明帯構成糖蛋白質ZP3は同種精子の認識、付着、先体反応の誘発に重要である。ZP3受容体の精子細胞膜上の分布を調べるために、単離ZP3を金コロイド標識し、表面レプリカ法で観察した結果、ZP3受容体は精子先体部の辺縁を被う細胞膜表面に三日月状に分布することが明かになった。2. マウス精子の56kDa蛋白質sp56の局在、分子形態、精子形成中の動態。(1), sp56の精子表面における局在:sp56はZP3と特異的親和性をもち、1.のZP3受容体と同じ局在を示すことから、ZP3受容体としての条件を満たしている。(2), sp56の分子形態:sp56は8量体を形成するが、シャドウィング法により、四葉のクローバー状に観察され、2分子づつがより緊密な関係にあることが示された。(3), sp56の精子形成中の動態:免疫組織化学的にsp56はゴルジ期には点状、頭帽期にはベレー帽状、先体胞期には髷状、成熟期には三日月状に分布し、常に精子細胞に局在していた。これはsp56が精子自身の産物であることを示している。3. Aquaporin7(AQP7)の精子形成中の動態と精子の小形化への関与:精子が小形であることは受精時の透明帯通過に不可欠である。精子形成末期に起こる精子細胞の体積減少は、大部分が水の消失により説明される。これは精子細胞が高張な精細管内腔液に曝露される時期とも一致している。AQP7は26kDaの膜貫通性蛋白質で,水Channel分子とアミノ酸配列の相同性が高く、強制発現で浸透圧による水の透過性が上昇する。ラット精巣でAQP7を免疫組織化学的に調べたところ、AQP7は先体胞期に出現し、残余細胞質とそれを被う細胞膜に強く発現していた。この結果は、細胞内からの水の流出過程にAQP7が水Channelとして機能し、精子細胞の急激な体積減少に寄与することを示唆する。
著者
前田 茂 要 真理子
出版者
京都精華大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

1920年代を通じて、英国のモダニズム批評は、新しいメディアである映画を扱い始め、それにより、文学と絵画を前提とする以前の美学と批評論は、新たに練り直されねばならなかった。この練り直しは、1930年代に入りロシア由来のフォーマリズム映画批評が紹介され、以降の映画研究における主流となっていくにつれ、ほとんど無視されてきた。こうした傾向に抗して、本研究では英国の批評動向における上記の部分に光を当て、現代の批評理論へのその有効性を検討することを目指した。その結果、ヴァ-ジニア・ウルフやウィンダム・ルイスらの言説の中に「時間感覚」と呼べるものが言及されるようになった事実を明らかにした。
著者
山内 明 栗林 太 山内 三爵子 金ヶ嵜 史朗 土屋 朋子 小日置 佳代子 板谷 益美
出版者
川崎医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

炎症性疾患の発症機構を解明するために、炎症反応で重要な好中球の走化性惹起因子に対する遊走パターンを解析した。好中球のfMLPおよびIL-8への遊走の軌跡は直線状であること、LTB4およびPAFへの遊走の軌跡は蛇行することを確認した。fMLPおよびIL-8への直線状の遊走では単極性で安定的な形態が、LTB4, およびPAFへの蛇行する遊走では多極性で不安定な形態が関連していた。また、これら4種のリガンドの強さはfMLP > IL-8 >> LTB4 = PAFであることが明らかとなった。これらの知見は今後の炎症コントロールおよび抗炎症剤の開発などに役に立つものと思われる。
著者
山家 京子 佐々木 一晋
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、少子高齢化及び人口減少を背景に、神奈川県の郊外住宅地の現状把握により、郊外住宅地の持続可能性について検討することを目的とする。まず、整備された住宅地景観を空間資源として捉え、道路境界域の特徴について定量的分析を試みた。さらに、住民意識と生活関連施設利用行動に関するアンケート調査を行い、高齢化及びアクセスを障害と捉えている点、生活関連施設と移動手段との関連性、多様な生活関連施設利用行動などを明らかにした。
著者
白石 さや
出版者
岡崎女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

グローバル化世界における若者文化は、激流を思わせる。2000年代にPCの性能が上がり、メディア状況一般が大きく変化した。マンガ本とテレビ・アニメに始まった日本発の若者の娯楽文化は、欧米やアジア諸国でのメディア網の再編に対応して、今や実質的に「デジタル文化」として、デジタル・リテラシーを獲得した世界の新世代が共有するデジタル文学という性質を帯びている。「文化のグローバル化現象」として本研究開始期に想定していた、各地におけるローカルなマンガ作家やアニメ作品の登場とそのグローバル化いう「文化現象」は、すでにその先のマンガ・アニメ・ファンによるネット共同体の成立という「社会的現象」に進化していた。