著者
武田 亘弘
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

新規三脚型四座配位子 [o-RSC_6H_4]_3P (R = i-Pr, t-Bu) を用いて二価10族金属 (Ni, Pd, Pt) 錯体を合成し,置換基Rおよび金属の違いが錯体の構造に与える影響を明らかにした。さらに,新規三脚型四座配位子(o-RSCH_2C_6H_4)_3Si- (R = i-Pr, t-Bu) を有するIr(III)およびPt(II)錯体の合成と構造決定に成功した。
著者
渡邊 知佳子
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

不妊症女性の冷えの特徴を出産した女性との比較により明らかにした。出産女性の方が不妊症女性よりも末梢体温が低く、躯幹と末梢の体温差も開いていた。つまり不妊症女性の方が冷えは強くないが、冷えをつらいと感じている者は多かった。不妊症女性10名を対象に、冷えの改善に向けた生活行動の教育プログラム(服装、睡眠、運動、食事、入浴等)を行い、検討した。その結果、末梢体温の上昇や冷えの改善だけでなく、「発汗しやすい」「寝つきが良い」という意見や、基礎体温の上昇、月経痛の緩和が見られ、6ヵ月間で2名の妊娠が判明した。本研究の教育プログラムは不妊症女性のセルフケアを促し、健康感や妊孕性の向上に繋がると示唆された。
著者
高尾 総司 谷原 真一 浜田 淳 Ichiro KAWACHI
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、企業における運動イベントの機会を介入とみなし、ソーシャル・キャピタル(SC)が醸成されるかどうかを評価した。なお、対照群の設定が困難であったことから、デザイン上の工夫を行い、擬似的に比較を行った。結果の概要は、天井効果により運動イベントへの参加に伴う明確なSC醸成は観察できなかった。基盤整備に関しては、フィンランドの公務員コホートとのデータ・ハーモナイズ等について研究者間で意見交換した。
著者
能見 勇人 東 治人
出版者
大阪医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

マウス腹腔に同種異型(アロ)であるMeth A繊維肉腫細胞を移植し、Meth Aが拒絶される。次に二次移植を行い抗体関連型急性拒絶反応をおこし、腹腔に浸潤する免疫担当細胞(PEC)の細胞障害活性を調査。抗体関連型拒絶反応では補体経路も存在するが、今回は補体による影響を避けるため添加牛血清に含まれる補体は非動化して使用。PECのうちアロ活性化マクロファージ(AIM)が作用することをPECの各細胞分画セルソーターで分離し評価。AIMの細胞障害活性は非特異的IgG抗体により有意に減弱することが判明した。今後、補体を非動化しない状態でIVIGのAIMに対する抑制効果も含め評価する必要性もある。
著者
中曽根 祐司
出版者
東京理科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

研究代表者は、Zr基バルクアモルファス合金の疲労特性及び強変形部における結晶化等、このアモルファス合金に特有な破壊現象を解明してきた。本研究では、その過程で発見した同合金の破壊時の発光現象機構の解明を目的として、同合金のせん断試験および疲労試験を行い、デジタル画像相関(DIC)法による破断時のひずみ分布の測定、発光現象起点の同定を行った。その結果、せん断破壊の起点のせん断ひずみは3.5%に達し、最大ひずみが生じた箇所から発光現象が開始、せん断破壊の進行とともに破面のシェアリップ部の摩擦により順次発光が生じたものと推察された
著者
渡辺 俊 坂本 淳二 藤川 昌樹 谷村 秀彦
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

平成13年度には、渡辺が筑波大学のワークステーション上にインターネットマップサーバーを立ち上げた。これに谷村・藤川らが1999年度、2000年度に関連研究で実施した中国国内の類例となる伝統的都市の現地調査データに基づくデジタルアーカイブスの移植を行った。アーカイブスの内容は、調査対象地区の平面図・立断面図のベクトルデータ、住民アンケート調査データベース、QuickTime VRによるパノラマ映像、三次元ヴォリュームモデル、景観写真のフォトアルバムなどである。これらの基盤をもとに、2月に北京清華大学にて研究会を実施し、現段階における国際リモートコラボレーションの有効性について検討を行った。平成14年度には、まず谷村がこれまでの研究成果を、「北京四合院住区の現状とその再生」として論文にまとめた。渡辺は、住民アンケート調査データベースをGISの空間データにマップすることで、空間分析を可能とした。これらのデータを下に、藤川・上北らが、それぞれの視点から日本建築学会の論文としてまとめた。一方、現在の日本・中国間の回線速度では、十分なパフォーマンスを得ることが困難であることも確認された。最後に、2月末に藤川が北京清華大学にて海外共同研究者である譚副教授と共同研究の総括を行った。
著者
石原 亨 手林 慎一
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

スワインソニンなどのインドリジジンアルカロイドは、マメ科植物に感染するエンドファイトや病原菌が生産する二次代謝産物である。本研究では、その生理・生態学的役割を明らかにすることを目的とした。まず、新たな分析法を確立した上で、生物活性について調べた。その結果、スワインソニンは鱗翅目昆虫の生育を抑制することを見出した。スワインソニンはムラサキツメクサの防御応答も抑制することがわかった。したがって、スワインソニンは、植物への感染や共生において多面的な役割を果たしていることが示唆された。加えて、スワインソニンの生合成は前駆物質のリジンの生合成と協調的に制御されていることも明らかにした。
著者
芳賀 猛 後藤 義孝 上間 亜希子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

牛属はパピローマ(乳頭腫)が最も多く見られる家畜で、その病原体であるパピローマウイルス(PV)のゲノム型と病態との関係を解析した。本研究により、以下の成果が得られた。[1]牛属のヤクの皮膚乳頭腫から新規のPV型を発見し、ヤクの学名 (Bos grunniens)にちなみ、BgPV-1と命名された。[2] これまで皮膚の乳頭腫病変からしか見つからなかったBPV-10を舌病変部から発見し、BPV-10 の新たな病態を明らかにした。[3]我々が発見したBPV-12の感染病変部に、全長ゲノムにあわせて欠損ゲノムが存在していることを発見し、BPV病変に見られる欠損ゲノムの初めての報告がなされた。
著者
水田 惠三 清水 裕 西道 実 田中 優 堀 洋元
出版者
尚絅学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

仙台市、新潟中越両地区に防災意識に関するアンケート調査を行い、両地区の比較を行った。ランダムサンプリングにもかかわらず仙台、新潟中越両地区の回収率は5割近く、両地区ともに防災への意識は高い。両地区とも防災の主体は50歳代以上の方である。両地区においては災害伝言ダイヤルへの関心は少なく、さらに携帯電話が通じない場合の家族との連絡方法、集合場所を確認していない。発災後の情報源のほとんどはテレビであり、停電した場合(ワンセグは除いて)のことがほとんど想定されていない。仙台市民は家具の安定や自宅の耐震強度など防災のハード面に力を入れていたのに対して、新潟中越は地震に関する情報、家族での話し合いなど防災のソフト面に力を入れていた。仙台市民は地震による津波の被害はほとんど想定していなかった。
著者
山田 昌弘 開内 文乃
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

国内での結婚が減少する中、海外で日本人女性と外国人男性、特にアジア人男性との結婚が増加している。その理由と実態を明らかにするため、国際結婚をしている日本人女性約79人にインテンシブなインタビュー調査を行った。グローバル化している中、海外に出ていく日本人が増えることが背景にある。そして、彼女たちの語りの中で、日本企業での女性差別体験、そして、日本人男性が恋愛に消極的であることが、繰り返し述べられた。日本社会での女性が活躍できない環境、そして、日本の不活発な恋愛状況が、女性を海外に活路をもとめさせ、そして、国際結婚を増加させる要因となっていることが推定できる。
著者
本村 裕之 今西 衞
出版者
日本文理大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

既存研究においては、海外旅行の準備期間において数次のプロセスを経るものとの考えがあった。しかし今回の研究において、東アジア、特に中国から九州エリアへの渡航観光客に関しては即時性を伴った意思決定・行動が行われ、従来型の観光需要モデリングがそのままでは適応しづらい状況を発見することが出来た。この現象が、東アジア・九州間で特有の現象なのか、他地域にも適応できる現象なのか、新たな視点の提供を行うことが出来た。
著者
赤松 利恵
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は,行動科学の観点を取入れた子どもの食育の確立と普及を目指し,発達段階に応じた子どもの食行動の検討と食育の教育内容および教材の開発を目的に研究を進めてきた。特に,本研究の主目的である行動科学を取り入れた食育プログラムについては,幼児を対象とした偏食の改善プログラムと小学生を対象とした給食の食べ残しに関するプログラムを教材と共に開発し,研修会等を通じ,教材およびプログラムの普及啓発も行った。
著者
齋藤 彬夫 大河 誠司 熊野 寛之
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

ダイナミック型氷蓄熱システムにおける,細氷貯蔵時の氷充填層の透過率変化と圧縮に伴う特性変化について検討を行った.試料には,削氷機で細かくした後,ふるいで選定した氷粒子を使用した.0.5〜1.0mm,1.0〜1.7mm,1.7〜2.8mm,2.8〜4.0mmの4種類の氷粒子を,円筒管に充填し,0℃の貯蔵層内に24時間保持し,貯蔵前後での充填層の透過率の測定を行った.貯蔵前の空隙率と透過率の関係は,Kozeny-Carmanの式により表されること,また,貯蔵後の空隙率は減少するものの,透過率は逆に増加する傾向にあることを明らかとした.これらの傾向を評価することを目的として細氷形状の顕微鏡観察を行うことにより,貯蔵により透過率が増加した原因は,Kozeny-Carmanの式中に使用される試料層中の流路のねじれに関係する係数であるKozeny-Carman定数が減少したためであることが分かった。さらに,氷水充填層では浮力に伴う圧縮力が氷に作用することから,細氷充填層に荷重をかけることにより,その充填層の圧縮特性と透過率変化について検討を行った.その結果,荷重有無に関わらず,いずれの粒子径においても,空隙率に違いはあるものの空隙率と透過率の関係が同じ係数を用いたKozeny-Carmanの式と良い一致を示していることから,貯蔵後の透過率は,荷重の有無に依存せず,空隙率で決定されることがわかった.以上の結果を踏まえ,荷重の大きさによる空隙率の変化と,その空隙率から貯蔵前後の透過率変化が予測可能であることがわかり,貯蔵直後では空隙率の減少により透過率が減少するものの,貯蔵後半に氷粒子の形状変化などに伴い透過率が増加する特徴的な現象を把握することができた.さらに,実機における貯氷タンクを想定してシミュレーションを行い,貯蔵に伴う細氷充填層の特性を把握を行った.
著者
椙村 益久 大磯 ユタカ 笹井 芳樹 長崎 弘
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

申請者は最近、プロテオミクス解析などの手法を用いて病態の詳細が未だ不詳であるリンパ球性漏斗下垂体後葉炎(LINH)の新規病因自己抗原候補76kD蛋白を同定した。本研究では、LINH における76kD蛋白の自己免疫機序への関与、及び76kD蛋白のバゾプレシン(AVP)分泌機構障害への関与を検討した。76kD蛋白をマウスに免疫し、下垂体の炎症を示唆する所見が得られた。また、マウスES細胞よりAVP産生細胞(ES-AVP細胞)を選択的に分化誘導し、ES-AVP細胞で76kD蛋白を発現が認められ、76kD蛋白のAVP分泌への関与が考えられた。
著者
荻野 弘之 早川 正祐 佐良土 茂樹 波多野 知子 三浦 太一 荒幡 智佳 桑原 司 赤堀 愛美 ロウ クリストファー チャールズ デイヴィド ヴォルフ フランシス フェラーリ ジョン ロング アンソニー
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

1980年代の「徳倫理学」の復興以来注目されているアリストテレス倫理学を、従来のように、単に『ニコマコス倫理学』だけで解釈するのではなく、『エウデモス倫理学』『大道徳学』『徳と悪徳について』といった(参照される機会が殆どなかった)複数の著作やヘレニズム時代の偽作との比較検討を含めて、成立史、影響史を立体的に考察する。この作業を通じて、「善美」「思慮」「幸福」「友愛」などの諸概念をめぐるアリストテレス倫理学を単なる一枚岩の体系としてではなく、複雑な可能性の芽を孕んだ思想の培養基として理解する道を開く。これによって最近の英米でのアリストテレス研究の水準に追いつくことが可能になった。
著者
彭 國義 清水 誠二 TRYGGVASON Greater 小熊 靖之 西方 博紀 石﨑 賢至 岡田 邦宏 伊藤 隆之 和久井 彩香
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

福島第一原発など廃炉に決まった原子炉の解体作業に水中構造物の切断工法が不可欠となるが,強力なアブレシブ・サスペンション・ジェット(以下,ASJ)を水中切断に用いた場合,スタンドオフ距離の増加に伴ってその加工能力が急激に衰えることが課題になっている。水中ASJ の性能向上を図るため,本研究では,通気鞘付きノズルを用いて気泡流被覆水中ASJの生成手法を確立し,流れの構造解析および水中切断実験によって通気鞘の寸法と通気流量等の使用条件を検討した。
著者
庄司 達也 片山 宏行 掛野 剛史
出版者
東京成徳大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究課題の成果は、倉敷市が所蔵する「薄田泣菫文庫」の資料群の調査と分析を、倉敷市、薄田泣菫顕彰会、就実大学吉備地方文化研究所等の協力を得て、飛躍的に進めたことにある。その資料群が有する文学研究に於ける価値を明らかにし、倉敷市が計画し進めた『薄田泣菫宛書簡集』の刊行に大きく寄与した。また、研究者グループと地方自治体とで行う研究活動に於いて、協働の意義とその有する可能性について考究し実践する機会となった。
著者
藤浪 良仁
出版者
科学警察研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、微生物のMALDI質量分析法が細菌芽胞・栄養型細菌・真菌およびウイルス(バクテリオファージ)などの微生物の種類にかかわらず、生物学的因子を迅速にスクリーニングするための強力な方法であることを確認した。さらに微生物培養液の不純物や賦形剤を含むことの認識は、生物剤の生産方法の認識に役立つ可能性がある。微生物種を識別して同定する能力は、生物学的因子、食物媒介性病原体の同定、および感染性微生物の臨床分析を含む多くの潜在的な応用の可能性を有する。法科学において、未知物質の取り扱いは最も困難であるが、この方法は迅速な微生物スクリーニングを可能にする。
著者
岩城 敏 谷口 和弘 池田 徹志
出版者
広島市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

生活・介護支援ロボットへの応用を念頭に、PC内アイコンと実物体両者へアクセス可能なインタフェースを開発した.頭部動作でパンチルトアクチュエータ上に搭載されたレーザポインタの方向を制御することで実物体ポインティングするシステムを開発した.さらに,TOF(Time Of Flight)型レーザセンサを用いて,実物体を「クリック(3D位置測定)」「ドラッグアンドドロップ」する方式を開発した.最後に,PC画面上レーザスポット位置に人工的なマーカを重畳表示することで,その視認性を改善する方式を開発した.以上3つの方式に対して,複数被験者による性能評価実験を行った結果,提案手法の有効性を確認した.
著者
佐藤 実
出版者
大妻女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

金天柱が著した『清真釈疑』の内容を分析した結果、以下のことがわかった。イスラーム教徒である金天柱から見ると、漢民族は儒教の教義にしたがっておらず、仏教や道教の習慣に染まっている。それに比べるとイスラーム教徒は日々の礼拝を実践している。神に祈りを捧げることは、儒教の最高神である上帝に祈りを捧げることと同じであり、イスラーム教徒のほうが漢民族よりよっぽど真摯に儒教の教義に忠実ししたがっている。金天柱はそう述べることで、漢民族からイスラーム教徒にむけられた疑いの目を払拭しようとした。