著者
西原 亜矢子 佐山 光子 渡邊 登 小浦方 格
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

研究目的は「新潟大学保健学研究科『GSH(性差保健)研究実践センター』の事業展開過程を継続的に関係者と共同省察することにより、GSH研究・実践を通じた大学の地域貢献事業の意義と課題を三つの観点から抽出することである。結果は以下の通りである。①大学教員が事業参画により、住民ニーズ、研究・教育活動をとらえ直し、専門職集団へ働きかけを行う等、大学研究にも実践的還元が見出せた、②関係機関が蓄積する実践的知識の集約が事業展開に寄与する、③「研究データに基づく説明」「男性の健康問題へのアプローチ」が男女共同参画に寄与する要件となる。
著者
和田 昭盛 岡野 登志夫
出版者
神戸薬科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

レチノイドX受容体は、他の核内受容体とヘテロダイマーを形成し生理機能を発現することより、脂質代謝異常症や糖尿病など様々な疾患とも関連することが知られている。そこで、RXRのリガンドである9-cis-レチノイン酸のアナログ化合物を合成し、ヘテロダイマーの作用分離が可能なリガンド分子の開発を検討した。その結果、レチノイン酸の疎水性ユニットであるシクロヘキセン部と続く二重結合を(-)-メントンとベンゼン環で縮環した誘導体MentPhMe及びMentPhEtにおいて、それぞれヘテロダイマーであるPPARγ/RXαおよびRLXRα/RXRαに対する選択性を示す化合物を見出すことができた。
著者
若山 清香
出版者
山梨大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

地球上の生物が宇宙で生殖可能かどうかは重要なテーマであり、これまでイモリやメダカを用いて研究が進められてきた。しかし哺乳類については、飼育の難しさから宇宙での生殖実験はほとんど行われていない。我々はJAXAと共同で凍結したマウス2細胞期胚をISSへ打ち上げ、宇宙ステーション内で解凍し4日間培養を試みる実験を計画しているが、宇宙空間で受精胚を解凍培養できる実験器具は存在しない。さらに哺乳動物受精胚の実験には高度な技術が必要とされることから、本研究代表者は操作をできるだけ簡略化して宇宙飛行士に負担をかけずに、確実に胚を解凍し培養できる装置の開発を行うことにした。
著者
川平 敏文
出版者
熊本県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、江戸初期の儒学者・林羅山の徒然草注釈書『野槌』の精査するものである。羅山および当時の儒学者は、中国の思想や文学のみならず、自国の古典文学についても大きな関心を持っていた。そしてその方法論は、それまで日本で行われてきた古典学とは違って、儒教的人間観や学問観にもとづく、全く新しいものであった。これは、後代の古典学への展開を考えるうえでも注目すべき問題である。
著者
岡本 敦
出版者
東海学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

3次元コンピュータ・グラフィックス(3DCG)によるアニメーションを使用して、体育・スポーツの運動学習を行った際に、立体表示が身体動作の再現性に与える影響を検討した。エアロビクスダンスの3DCGアニメーションを作成し、その映像を2次元表示と立体表示で学習者に提示した。その時の学習者の身体動作を分析した結果、2次元表示では奥行き方向の動きが小さくなっているのに対して、立体表示では、左右方向、奥行き方向ともにより学習モデルに近い動きが再現されていた。したがって、体育・スポーツの複雑な身体動作の運動学習では、3DCGアニメーションによる立体表示が有効であることが示された。
著者
中村 裕子 森 一将 横瀬 敏志
出版者
明海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、歯髄保存と歯髄再生に有効なEnamel matrix proteinの機能を解析することが目的であった。そのためエムゲイン・ゲル(ビオラ社製)を用い、ラット臼歯の直接覆髄や脛骨穿孔後の治癒過程を検討した。また血管新生・組織誘導について検討した。結果:①ラット歯髄や脛骨穿孔後の創傷治癒に対して促進効果があることが認められた。②組織誘導効果を検討した結果、多くの血管を含んだ結合組織の誘導が観察された。③血管内皮細胞の管腔形成を促進した。これらの結果から新生血管・結合組織の誘導能を有することが示唆された。
著者
疋田 光孝
出版者
工学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

燃料電池自動車用の水素ガス漏洩等をセンシングする新弾性表面波ガス・センサーを提案した。従来の弾性表面波センサーは、圧電結晶基板が水晶に限定されていたが、自己温度補償機能の発案により結晶に対する制約を取り除いた。基本周波数と3倍周波数を用いることにより、センサーのダイナミック・レンジを大幅に拡大出来る可能性を示した。更に、2.4-GHz帯ZigBeeセンサー・ネットワークに本センサーを導入するための周辺回路との共通化等の可能性も示した。
著者
小笠原 喜康 中里 勝芳
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、科学教育を幼少期から進めるために、科学博物館で教材を貸し出すことを目的としてローンキットを作成し、それを幼稚園・保育所、小学校などで、実践試行して利用を推進するための条件などを検討することを目的として進められた。これを進めたのは、OECDの国際学習到達度調査(PISA)において、日本の子どもたちが科学に全く興味を持っていないことがあげられる。かたやまた、科学博物館をはじめ博物館があまり学校教育に利用されず、「総合的学習の時間」が始まったものの、教師達は十分な教材を準備できずに苦労をしている。そこで本研究では、なるべく早い時期から科学的現象に親しんでもらい、科学館なども利用してもらうきっかけをつくために、科学館内外で利用できる光を題材としたローンキットを作成した。キットは、全体を「杉並ゆめたまご」と命名して、「光のへや」「鏡のへや」「光と影」の三つのキットを作成した。そしてそれを、「杉並科学館」「青砥福祉保育園」「湘南学園小学校」で試行して、その活動を記録して、その開発課題を検討した。キットの試行の結果、年齢の違いによって、この教材へのアプローチに違いがあることは当然であるが、こちらの予想以上に、多くの遊びを考案することがわかった。中でも「カラーシール」は、単にガラスなどに貼って色を楽しむことから、それを様々に重ねて新たな色の光を作りだすことに多くの子どもが挑戦していたのは印象深かった。また予想外に、保育所や小学校の教員達が興味を示し、今後とも使っていきたいという意志を示していたのも収穫であった。しかし同時に、ランプ類の耐久性やテントや局面鏡の設置の問題が見つかった。費用との関係もあるが、もう少し耐久性のあるものを開発したり、修理の道具もキットに含めることが必要であることが了解された。
著者
大西 暁生 石 峰
出版者
東京都市大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、黄河流域を対象に水利権転換の導入によって引き起こされるであろう水資源への影響と、環境汚染・資源消費・社会経済への影響を総合的に検討した。具体的には、地域の経済成長と水利用との関係を把握するとともに、地表と地下の水利用の実態を解明した。さらに、効率性を考慮することで転換可能水量を算出し、水需給ギャップの把握と黄河の流出量への影響を検討した。そして、工業生産(インフラ建設投資等)の水資源に対する影響を分析することによって、最終的にはこの流域における省資源型・環境調和型社会を目指した適正な水資源配分のあり方を水利権転換といった観点から検討した。
著者
藤井 美穂 寒河江 悟 豊田 実 時野 隆至
出版者
札幌医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

MCA法による新しい遺伝子の同定:卵巣癌細胞株を用いMCA(methylated CpG island amplification)法により、正常細胞とでサブトラクションを行うことにより、卵巣癌での異常メチル化している多数の遺伝子を同定した。これは卵巣癌に抑制的に働く新たな遺伝子の発見につながるもので、現在遺伝子データベースを利用し各遺伝子について検討している。同時に各遺伝子のエピジェネティクな異常と卵巣癌での分子生物学的特徴について検討中である。TCF2遺伝子についての解析:上記のMCA法により、メチル化によりサイレンシングしている遺伝子の一つとしてTCF2遺伝子を同定した。TCF2は細胞の分化に関与する転写因子であり、各種腫瘍において発現異常が報告されている。実際卵巣癌ではTCF2遺伝子のメチル化は、卵巣癌細胞株16例中8例(50%)、卵巣癌症例68例中16例(23.5%)に認めた。メチル化を認める細胞株においては、発現の低下あるいは消失を認め、DNAメチル化阻害剤により遺伝子の再発現を認めた。また、プロモーター領域のヒストン脱アセチル化を認め、メチル化による遺伝子発現抑制にヒストン修飾が関与することが示唆された。さらに組織型別では明細胞性腺癌ではメチル化による抑制は少なく高頻度な発現が認められた。これは卵巣癌の中でも予後不良な明細胞性腺癌の生物学的解明につながる可能性がある。(投稿中)癌での細胞周期M期の制御の解析:これまで細胞周期M期に関わる遺伝子の異常と微小管阻害剤の感受性を検討してきた。ドセタキセルを暴露させたMitotic Indexの高い細胞株は抗癌剤に高い感受性を示し、CyclinBの核への集積が認められた。発現を調節している分子としてBUB1,MAD, Auroraなどの分子について検討中である。さらにCHFR遺伝子を細胞株に導入することによって、M期での分子制御機構の解明や抗癌剤の感受性の変化についても検討中である。
著者
サルカルアラニ モハメドレザ 石田 隆城 柴田 好章 中島 繁雄 深谷 孟延 石川 芳孝 坂野 久美 水野 正朗
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、授業に深く関わる文化的スクリプトを解明することであった。異なる文化的背景を有する者の“レンズ”を通すことで、文化的コード(例:誤り、雰囲気など)の抽出が可能となり、考察(討論)を通して文化的スクリプト(例:主体的・個別的・構成主義的スクリプトなど)を明らかにすることができた。比較授業分析の結果、複数の文化的スクリプトが併存しており、時にそれらが協調したり競合したりしながら、授業が成立していることが明らかにされた。また、同一文化内では気付きにくい文化的特徴が相対化されるという比較授業分析の可能性が示された。
著者
上山 直美 松尾 博哉 田中 祐子 山下 正 子安 恵子 野島 敬祐 高橋 篤信
出版者
宝塚大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

未就学児の父親の育児参加を促すことを目的とした教育プログラムの実践と,父親が育児知識、育児技術や育児情報を得られ、父親同士の交流を図れるようなインターネット上のウェブメディアの開発を行って運営することの両者を合わせ育児支援サービスシステムとして、その構築をおこなった。具体的な内容として、育児支援サービスシステムの中で、教育プログラムで提供した育児知識をウェブメディアでも配信することで情報の共通性や拡散を行い、また、継続的に育児知識、育児技術、育児情報の提供を行った。今後の研究の課題は、より多くの育児期の父親に対してのウェブメディアの普及である。
著者
井原 今朝男
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

中世禁裏財政は幕府財政からの補助金で幕府の政所によって運営されていたという通説を批判した。新出史料の「即位下行帳」の分析から、禁裏の賦課した諸国段銭や諸国所課を幕府が徴収して共同財政の惣用下行帳で、公家の伝奏切符と幕府方の惣奉行人らの下書との複合文書で財政支出システムを運営していたことをあきらかにした。業者は必要経費を立て替え払いし、請求書を禁裏の公家と幕府奉行人に示して手形を発給してもらい公方御倉から支払を受けるという債務を前提にした請求主義の決算システムになっていたことをあきらかにした。その研究成果は『室町廷臣社会論』(塙書房2014)として公刊した。
著者
高安 健将
出版者
成蹊大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

議院内閣制は、議会と政府を同じ政治勢力が掌握するシステムである。それゆえに、その政治勢力には大きな権力が委ねられることになる。このような強い権力の出現が許容されてきたのは、政治エリートへの信頼と政権党による民意の集約が前提とされたからである。しかし、近年、日英両国でこうした前提が成立しなくなっている。本研究は、議院内閣制を成立させる前提条件が変化する中で、それとは必ずしも一貫性を持たない、第二院や最高裁判所の活性化、分権化や権力移譲といった制度とその運用に注目し、議院内閣制に対する影響を考察した。「マディソン主義」は近年の日英両国における政治の動きを捉えようとして導入された視座である。
著者
佐藤 正彦
出版者
九州産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

1.大分市古国府に子孫が在住する旧府内藩、大工棟梁利光平十郎が明治17年に建立した八幡社神殿と同13年に建立した柞原八幡宮仮殿から平十郎の作風を検討して、平成18年度日本建築学会大会にて、「大工棟梁利光平十郎の作品と作風」として次のような結果を発表した。1)向拝組物が三斗枠肘木である。2)向拝中備に斗なし墓股を用いる。3)身舎については、仮殿に組物や中備がないのは神殿と違って仮殿(お旅所)の建物の性格の相違によるものとした。2.江戸時代小城在住の大工丹宗常十が天保10年に建立した岡本八幡神社宮殿と嘉永5年に建立した星厳寺楼門から常十の作風を検討し「大工丹宗常十の作品と作風」として次のような結果を日本建築学会九州支部大会で発表した。1)組物が大斗肘木である。2)柱を切目長押、内法長押、頭貫で固める。星厳寺楼門は上層に地長押が付く。本稿では解体され現存しない牛津町乙宮社拝殿が丹宗常十の作品であったことにも触れた。3.大分市古国府の大工利光家の文書は、解読を終了し、一部は学内研究報告に発表し、研究成果報告書に全文を掲載した。その結果、利光家は江戸から大正まで、大工職につき、技術は京都から得ていたと推定した。また、組織として、利光が大工棟梁をつとめると、引頭が矢野、仕手を利光がつとめ、矢野が大工棟梁をつとめると引頭が利光、仕手が矢野又は利光であることを指摘した。4.長府博物館所蔵の大工河村家文書の解読を終了し学内研究報告に発表した。
著者
西尾 太一 西岡 昭博 香田 智則 宮田 剣
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

経皮薬剤の分野においては、適量を持続的に一定期間投与できる製品が求められている。この要請に対し、本研究課題ではポリエチレン(PE)フィルム内に薬剤を供給するセルロース粉体を分散させた薬剤経皮貼付フィルムを創成するための研究を実施した。PEフィルム表面に供給される薬剤の濃度を表面拡散量と定義し、その影響をフィルム表面における結露実験と表面反射光の赤外吸収スペクトルで評価した。本研究課題を実施した結果、吸収母材となるセルロースの結晶化度を調整することで薬剤供給の速度が制御できることが分かった。また、PEの結晶化度を制御することで表面拡散量の定常化(0次放出)が実現できることが確認できた。
著者
宮田 麻理子
出版者
東京女子医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

我々は、視床の触覚核であるVPm核の中継細胞への上行性線維が神経損傷後5日以降に一本支配から多重支配になることを明らかにした。しかし、抑制性入力の変化に不明であった。そこで、本課題では、末梢神経損傷後経日的にVPm中継細胞から抑制性GABA電流を調べた。その結果、手術1日目からシナプスGABA電流は減弱し、一方でシナプス外GABA電流は増加していた。lこの増加は手術後7日目では多重支配した細胞のみに観られら。さらに、正常動物でVPmにシナプス外GABA受容体のアドニストを投与したところ、多重支配が生じた。したがって、損傷後のシナプス外GABA電流の増加が上行性線維改編を誘導する可能性がある。
著者
古村 美津代 石竹 達也
出版者
久留米大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

認知症高齢者グループホーム(以下、GH)のケアスタッフが認知症高齢者との関わりの中で抱える困難とその関連要因を明らかし、GHケアスタッフへの支援を検討した。GHケアスタッフは、認知症高齢者との関わりの中で様々な困難を抱えていた。この研究結果において、GHケアスタッフの職場環境の改善に加えて日々の業務に伴う困難を支援する必要性が示唆された。
著者
八月朔日 泰和 後藤 薫 渡辺 雅彦
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

中枢神経系において、野生型と比べDGKbノックアウト(KO)マウスの線条体投射ニューロン樹状突起における棘突起数が減少していた。また、DGKbとAMPA型グルタミン酸受容体のサブユニットの1つであるGluA2は、DGKbのカルボキシル端で結合していた。さらにDGKb-KOマウスの線条体において野生型に比して減少する分子が認められ、DGKbはGluA2を介して棘突起形成に関与する可能性が示唆された。次に、中枢神経系におけるDGKeの機能解析を行い、DGKeがプルキンエ細胞の樹状突起形質膜直下の滑面小胞体であるsubsurface cisterns(表面下槽)に局在することを明らかにした。
著者
石田 功
出版者
帝京平成大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

緑膿菌の薬剤排出システムに着目して、抗菌薬の抗菌性を増強する研究を進めた。